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【事件激情】狭山事件と「となりのトトロ」─1.事件編

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狭山事件の名を初めて見たのは、学校のキャンパスの壁に貼ってあったビラだった。

その特徴ある書体と語り口で、「無実の罪の石川さんを救え」的な呼びかけが書かれていた。目を向ける学生はほとんどいなかったが。

狭山事件が起きたのはじつに半世紀近く前。あまりにも意表をつく斜め45度の角度からふたたびスポットが当てられることになった。「となりのトトロ」の“モデル”として。


*あまりにも謎を多く孕んだ事件の怪


さて、とにかくその狭山事件だ。この誘拐殺人は昭和38年(1963年)、埼玉県狭山市の農家が点在する集落で起きた。

こちらのサイトに写真がたくさん載ってるから当時の田園ぶりが分かるだろう。


5月1日、堀兼の区長N家の娘で女子高生のヨシエ16歳は、下校したはずなのに夜7時近くになっても帰宅しなかった。そして身代金20万円を要求する脅迫状が届いて事件となる。
次姉トミエ23歳が身代金受渡し役となって深夜に酒屋前で待機。暗がりのなか、犯人らしい男が現れるが、二言三言交わしただけですぐ犯人逃走。包囲していたはずの警察はあえなく犯人を取り逃がしてしまい、まもなく畑に埋められたヨシエの死体が発見される。

1か月前に起きた「吉展ちゃん事件」に続くまたしても警察の大失態で、是が非でも犯人を逮捕しなければならなくなった。大焦りの捜査の結果、近くの養豚場の元従業員カズオ24歳が容疑者として逮捕される。一審は死刑、最高裁まで争って無期懲役が確定する。

なんていって済むような単純な事件ではなくこの殺人事件にはとてもやらやらが多いんである。
ところで、世に「下山病」というのがある。かの下山事件の謎解きにとり憑かれてるような人たちのことをいうんだが、狭山事件もまたその手の病気になりそうな謎また謎の深淵の面妖さをむんむん漂わせている。

まずひとつは…、





(続き)

カズオ逮捕の根拠だが、鴨居から見つかった万年筆、そして“自供”で出たカバンは警察のねつ造である線が濃厚。さらに自供と実際の現場に矛盾が多すぎて、「冤罪」と言われるのも無理はない穴だらけぶりだ。だがそれでも起訴されたら有罪になってしまうのがまあ日本の流石な裁判ならではである。

さらに、当日は誕生日だったヨシエ16歳が、下校後、雨のなか線路下のガードで人待ち顔風だったのを見られており、誰か知人と会う予定だったのではないかということ。

そして死体は後ろ手に縛られうつ伏せでなぜか後頭部に石を乗せられるという不思議な埋められ方で、性交の跡があったが強姦なのか和姦なのか、処女非処女だったかもはっきりせず。

唯一犯人の遺留品の脅迫状は、「刑札」「気んじょ」「死出死まう」といかにも無学そうな誤字が多いが、これは学のある人間がわざと装ったような書き方(というかことえりの誤変換っぽいな)であること。そして“犯人”のカズオは当時ひらがながやっとで文盲に近かったこと。


*「五つ墓村」──自殺と変死の連鎖


そして事件をさらに奇怪にしたのが、関係者の自殺・変死がやたらと続いたことだ。

まず、ヨシエの葬儀当日にN家の元作男31歳が井戸に飛び込んで自殺。近所の農夫31歳が自宅でナイフを胸に突き立てて変死。さらに翌年、被害者の次姉トミエが農薬を飲んで自殺。3年後には養豚場経営者の兄が轢死。14年後にはヨシエの次兄キヨジがなぜか女言葉の遺書を遺して首吊り

「八つ墓村ならぬ五つ墓村」とマスコミはこぞって書き立てたんである。


またわずか10分間という隙に脅迫状が玄関に置かれ、被害者ヨシエの自転車も誰かの手で戻されていたこと。カズオ犯行の証人が妙にころころと変わる情報をマスコミにしゃべりまくったり。

逮捕されたカズオが被差別部落出身だったことから、部落解放同盟が「差別裁判」「狭山闘争」として支援に乗り出し、さらに加わった新左翼が度々の実力行使に出たことで事件はさらに複雑になった。

それこそ多種多様な「真犯人」も唱えられた。長兄犯人説、警察やらせ説、黒幕説、単独犯説、複数犯説、オズワルド的身代わり説、財産狙い説、怨恨説、色恋のもつれ説、一家への恨み説、家族抗争説、土地開発がらみの陰謀説…、とにかく多い。

とまあ、狭山病にかからない程度にまとめてみた。でも充分長いが。


*怖い噂──「となりのトトロ」は狭山事件がモチーフ?


さてこの半世紀前の事件の名が、いきなりネットに頻繁に現われるようになったのは、2006年半ばからだ。

いわく「となりのトトロ」は狭山事件がモチーフになっている──。

そんな不気味な噂が広まっていた。それも「サツキとメイの姉妹は映画の途中で死んで幽霊になっている」という都市伝説とセットで語られ始めたらしい。

あげくはスタジオジブリにまで、あの噂は本当かと問い合わせる人も出て(問い合わせてどうするんだ)、ついにジブリが公式サイトで「狭山事件は関係ないし、姉妹は死んでない」と噂を全否定する大事になった。
それでもこの噂を支持する人(つまりは信者)は今なおとても多い。すごく多い。「トトロ 狭山事件」でググってみればそのヒット数の莫大さに驚くだろう。

たしかに「となりのトトロ」は奇妙な作品だ。無邪気な子供向けアニメのはずなのに、どこか暗さがあり陰のイメージがある。そして不可解かつ思わせぶりな演出も多い。だから妙な都市伝説がわくってのもあるんだが…。


では一体、どのへんがトトロ裏設定=狭山事件といわれるようになったのか?


(まだまだ続くので後日へ続く

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| 狭山事件と「トトロ」 | 22:13 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

興味津々です!
続きが楽しみ!

| かあたん | 2010/03/17 11:08 | URL |

>かあたんどの

莫大な長さになっちまったのをお読みいただき、まりがとうござります。
「検証編」も近々アップします。そしてまた莫大な長さでござりますが…。

| noriaky231(仮名 | 2010/03/17 13:10 | URL |

ふむぅ。楽しそうに遊んでおる脳、貴公。馬やらすぃ。つまり隣のtotoとtotoとtotoとtotoとtotoとtotoとtotoとtotoと十とtotoと音とtotoとと土々呂の部隊になった五月と名の家、昔懐かしいから愛知万博の会場につくっちゃいました、というあそこは猟奇殺人の部隊というわけだ。しかしその都市伝説はなかなか面白いな。狭山事件もまぁよくそれだけミステリアスな展開をしたもんだ。元がもしも単純なK札のミスだったのだとしたら・・・。

| 否認頭のあいつ | 2010/03/17 13:55 | URL |

>否認頭のあいつどの
あいつ、と云いながら「どの」。

なにを言うか、一昨日は徹夜でやっと思いで仕事を終えたのである。まあその徹夜もこれを書いてたのが原因だがの。

これより莫大な量になるのではしょったが、狭山事件はK札のでっち上げやらミスやらドジやらにくわえて、片田舎ならではのいびつなしがらみや思惑や家庭の複雑怪奇な事情もからんでこじれにこじれてああなった感じだな。

| noriaky231(仮名 | 2010/03/17 15:23 | URL |















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