【事件激情】ナインイレヴン : 1003【911アメリカ同時多発テロ】
【事件激情】ナインイレヴン : 1003【911アメリカ同時多発テロ】
──これは2001年9月11日火曜日の午前9時59分から午前10時28分までの、
アメリカ北東地域およびその上空でおきた出来事の再現である。
“なんということでしょう、信じがたい事態となりました”
“ワールドトレードンター2が崩壊しました”
“映画のような光景です”
“人々は携帯電話を手に涙を流し、半信半疑で残ったタワーを見上げています”
【ナインイレヴン】は、【ウルトラ】でやがて到来する(予定)の
9.11の惨劇を、【ウルトラ】本篇とは異なる視点で再現する。
出来事や人物の言動は公開された記録にもとづく。
登場する公官庁、団体、人物、地名はすべて実在する。
【ウルトラ】本篇でおなじみの面々は、実在・架空ともに登場しない。
つまりいつもの妄想と創造もなしである。
400mの巨塔があっちゅうまに崩壊した映像は、思いがけないインパクトで、
911陰謀論のなかでも最も有名かつキテレツな「制御解体」論を生むことになる。
なんでまた巨大建造物があんなトランプタワーが潰れるみたいに消滅したのか、建築工学の専門家たちがあれこれ推理してたが、2002年に鹿島建設が精確なシミュレーション解析を成功させ、これが科学的な定説となっている。
長くなるので今回は略。どんなものか、なんで「爆破解体」なんてヨタ話があり得ないのかは【ウルトラ】でやがて明らかになるであろう白土三平風。
September 11 , 2001
Tuesday
2001年9月11日
火曜日
am9:59:04
World Trade Center1 : Northtower
ワールドトレードセンター1 ノースタワー
高熱を帯びた膨大な粉塵(コンクリパウダーと微細な金属砕片とダイオキシンとアスベストとベンゼンと水銀とホルムアルデヒドとセルロースその他もろもろ体に悪そうな有害物質と人間の肉と骨)の奔流が、隣のノースタワー1階ロビーにもなだれ込み。
ファイファー大隊長以下前線指揮所はWTC6との渡り廊下へダッシュ退避。
この“大砂塵”で前線指揮所にも死者が出た。
消防署付司祭マイケル・ジャッジ神父@68歳、同性愛者、ソックスの飼い主夫妻とマブダチというキャラ立ちしまくりのファーザー・マイクは、瀕死の消防士に最後の祈りをしてやろうとヘルメットを脱いだその瞬間に瓦礫の直撃を受けたんである。
ファイファーに同行した映像作家ジュール・ノーデがタワー内の貴重な映像を残した。
「タワー1にいる全隊、総員退避せよ」
だが消防局のオンボロ無線は相変わらずビル内部の消防士に届かず。
人の足と口が唯一の通信手段。
退避を命じたファイファーも、まさか隣のサウスタワーが一瞬で全クラッシュしたとは思ってもいない。上層階の一部が崩れ落ちたんだろう程度に考えていた。
同35階
消防士の多くがこの階でバテて休憩中。
とつぜんフロアが激しく揺れ始め、
“緊急事態、メイデイ! 建物から退避!”
このときの無線の声が、大隊長ファイファーのものだったかどうかは分からない。
ジョゼフ・ピッチオット大隊長はベテランの直感で「やばい」
「全員退避ーーっ! 急いで降りろーー!」
ワケも分からず命令に従う者、かまわず現場に留まる者あり。
外からタワー崩壊を見ていたニューヨーカーズ、生中継を見ている米国市民、そしてワールドワイドな視聴者たち@数億人はなにがおきたか知っていた。
近くにいた者はとつぜんの大砂塵に巻き込まれ、それが熄んだあと、
そこの空に2本そびえているはずのものがひとつしかないことに呆然。
一方、タワー内部にいるかんじんの当事者たちだけが、
なにが起きたかまったく知らないまま。
am9:59:52
United Airlines Flight 93
ユナイテッド93、機を上下に揺さぶり出す。
ミネソタ空軍州兵輸送機「Gofer06」>ワシントンナショナル空港管制
“こちらGoferゼロ-シックス、V, VFR* ” *V, VFR : 有視界飛行方式
“航空機を追い抜く時のように翼をうねらしている。なんの意味があるのかよくわからない。翼をロックしているようだ”
近くを飛ぶ小型機パイロット ビル・ライトもそれを目撃。
“3マイル*先に、大きな機が見える 尾翼にユナイテッドエアラインのロゴが見える さっきから何度か、機が前後に揺れている” *3マイル : 5km弱
am10:00:08
─ユナイテッド93機内 ボイスレコーダーおよび無線通信の音声記録より─
ガラスや皿の割れる音。
乗客たちが配膳用カートをぶつけて操縦室ドアを押し破ろうとしている。
対して、その操縦室の内側では、
オートパイロット解除のアラーム音が鳴り響き。
ハイジャッカー1 “ドアを押さえろっ”
ハイジャッカー1 “これで終わりにするか?ここで終わりに?”
ハイジャッカー2 “いや、まだだ、奴らが全員で来たら終わりにしよう”
am10:00:26
乗客 “操縦室に入れ! でなけりゃ全員死ぬぞ”
am10:00:37
ハイジャッカー “機体を揺らせ! サイード!”
am10:00:42
Roll it!
乗客 “やっちまえ!”
もちろん乗客全員がヒロイックだったわけでなく、
エドワード・フェルト>緊急回線への携帯電話
Edward Felt
“ハイジャックだ、ハイジャックされてるんだ”
“いまトイレに隠れてる”
“ば、爆発した、白い煙が…”
am10:01:00
ハイジャッカー1 “アッラーフ、アクバル! これで終わりにするか? 落とすか?”
ハイジャッカー2 “そうだ、落とせ、落としちまえ!”
am10:01
World Trade Center1 : Northtower
ワールドトレードセンター ノースタワー
ニューヨーク市警、ノースタワー内にいる全警察官に退避を指令。
下界でも人々は迫りくる粉塵嵐から逃れるように、
ダウンタウンからぞろぞろ歩き始めた。北へ北へと。
am10:01
渡り廊下を遠回りしてやっとシャバに出たファイファー大隊長、
とりあえず瓦礫まみれのウエストストリートに臨時指揮所を移す。
「んーと、あれ? タワー2はどこだ?」
「見えないぞ」
「そんなはずはない、煙で見えないだけじゃ?」
「でも、たしかあそこらへん……」
「え?」
「え?」
am10:01:13
United Airlines Flight 93
ハイジャッカー1 “アッラーフ、アクバル”
ハイジャッカー2 “酸素を切れ”
ハイジャッカー1 “あいつらを入れるな”
am10:01
180th Fighter Wing, Ohio Air National Guard
NEADS@北東空域防衛セクター>オハイオ空軍州兵第180戦闘航空団@トレドエクスプレス空港へのスクランブル要請。
ようやく近場の戦闘機を動員したほうが早いじゃんと誰かが気づいたわけだが、
電話に出たF-16パイロットは冗談と思って要請を真に受けず。時間をムダにしたあげく司令官に電話がつながってやっと緊急発進にとりかかる。
am10:02
Chicago, Illinois
イリノイ州シカゴ
ハイジャック機が飛んでくるかもしれないってんで、
シアーズタワー@110階はじめシカゴ市内高層ビル群で避難が始まる。
am10:02
Traffic controller at Washington Sector
ワシントン管制セクター
「不審機アンノウン、この速度のままだとワシントン到達まで、あと18分以内」
am10:02:35
ハイジャッカー “操縦を代われ、おれが操縦する、代われかわれ”
am10:03:03
“アッラーフ・アクバル!アッラーフ・アクバル!アッラーフ・アクバル!
“アッラーフ・アクバル!アッラーフ・アクバル!アッラーフ・アクバル!”
ボイスレコーダーの最後には、操縦室のドアが開く音が録音されていた。
ユナイテッド93乗員 シシー・ライルズ>夫への携帯電話
CeeCee Lyles
“やったわ! やったやった!”
その直後、断続的な悲鳴。
つづいて激しい風の音。風防が割れた可能性がある。
Shanksville, Pennsylvania, near Pittsburgh
ペンシルバニア州ピッツバーグ郊外 シャンクスビル
地上の目撃者たち
「エンジンの音を聞いた。飛行機が80度か90度の角度で落ちていくのを見た」
「空から音がしたので見上げると、完全に逆さまになった飛行機が丘の上を飛んでいき、ほとんど垂直に急降下して、次の瞬間──」
ただ一人、地面に激突する瞬間を目の当たりにした地元住民リー・パーボー、
「俺の上、30から50フィート*を飛んでいった あまりに地面に近かったから、」
「下の小麦畑が機体に映って小麦色に見えた」*30から50フィート : およそ9~15m
am10:03:11
ワシントン北西240km地点。
ユナイテッド93はシャンクスビルの小麦畑に落ちた。
地元民バル・マックラティーは咄嗟にカメラをひっつかんで撮った。
唯一のユナイテッド93墜落の瞬間をとらえた写真である。
時速580kmのまま、ほぼ垂直に近い角度で地表に激突したため、機体は木っ端微塵。
連邦政府の公式発表ではam10:03、
しかし、
陸軍の地震計の計測をもとに割り出された墜落時刻はam10:06だった。
この3分の時間差がまたまた例によって、
「政府が都合の悪い録音を消去した、なぜなら──」的陰謀論を呼ぶんだけども。
am10:07
FAAクリーブランド管制セクター、ここでやっと、
NEADSにユナイテッド93のハイジャックを通報。
am10:07
FAAハーンドンコマンドセンター>FAA本部
ハーンドン「ユナイテッド93について新着報告。最後に伝えた地点で黒煙が上がっているのを確認。ジョンズタウン 15マイル南」
FAA本部 “了解、こちらも速報が来た”
ハーンドン「インディアナポリス警察から報告のあったアメリカン77は?」
FAA本部 “シャーリー近くで黒煙と報告があったが”
ハーンドン「それは聞いてないな、なんだそりゃ? こちらからの情報じゃないだろ」
am10:04
World Trade Center1 : Northtower
ワールドトレードセンター ノースタワー
ティモシー・ヘイズ巡査@NYPD航空隊ヘリパイロット
“報告する、タワー1最上階から15階ほど下の階が真っ赤に光っている。バッテリーパークシティの近辺にいる者全員に退避を勧告する”
警察のデジタル無線は、タワー内にいる警官のトランシーバーにも楽勝で届いた。
警官たちはとにかく出会った相手に「すぐ逃げろ」と叫びながら、全力で駆け下りる。
だが、この超重要情報は、消防隊には伝わらなかった。
ニューヨーク市警とニューヨーク消防局は長年の因縁もあって没交渉で。
連携はなし。情報共有も、無線周波数の同調もなし。とうぜんこの日も。
たまたま出くわした警官から聞いたり、警官から聞いた民間人に聞いた消防士だけが、「タワーもう無理超逃げて」と知ることができた。
ダミアン・ヴァンクリーフ@第7ポンプ車隊もその一人。
「とにかく夢中で階段を降りた。地上に近づくと急に家族の顔が浮かんでね」
Damian Vancleaf
「“ぜったい脱出するぞ”」
同19階
この階では疲労困憊の消防士や民間人100人以上が休憩中。
ふう、やれやれ。
「やれやれじゃないって、早く逃げないとこのビルやばいって」
警官が懸命に急かしても、
「えー、ったるいしー」「足痛いから無理」
「消防の人がまだいるから大丈夫じゃね?」
こういうときの法則どおりみんな動こうとせず。
デニス・タルジオ@第7ポンプ車隊消防士
Dennis Tardio
「やっとの思いで1階ロビーに降りたが、指揮所には誰もいなかった。おれはジョークで言った。“司令部に見捨てられた、世界の終わりが始まるぞ”」
「出ようとすると、待て、と誰かが止めた。
すると目の前でつづけて2回、地面に激突する音、
上の階から落ちてきた人間だった」
「人が雨のように降ってきた。
マリオットホテルの屋上にばらばらの死体が見えた、いくつも」
am10:08
AirForceOne
エアフォースワン
機上のブッシュ大統領にハイジャック機墜落の急報が届く。
「撃墜したのか? 事故か?」
am10:08
NEADS@北東空域防衛セクター
「ピッツバーグ近く、モード3、ワンファイブツーセブン、追跡ナンバー確認したか」
「爆弾搭載した航空機への対応について、そのう、“確約”は得られているのか」
「いま許可を求めているところだ………駄目だ、発砲は許可できない」
このとき、NEADSはまだユナイテッド93の行方を捜している。
FAAがとっとと墜落の報告をしなかったせいで、ブッシュよりも知るのが遅かった。
am10:12
CNN “議事堂が爆破された” これは誤報。
このあとも混乱から無数のデマ情報が駆け巡る。
“国務省で自動車爆弾爆発”
“アラスカ方面の大韓航空がハイジャックされた疑い、F-15戦闘機に撃墜許可”
“ハイジャック機がキャンプデービッドに向かっている”
など。
am10:14
NEADS@北東空域防衛セクター
NEADS IDtech「ナイン-スリーの現在地は?」
────────────down
ワシントン管制セクター “ダウンした”
───────────touch down
IDtech「ダウン? いつ着陸したんですか?」
ワシントン “着陸じゃない”
IDtech「……墜落したのね(また連絡ナシかよ!)、どこに?」
ワシントン “キャンプデービッドの北東のどこかだ”
am10:15
ペンタゴンの突入炎上部分がついに崩落。
am10:16
White House
ホワイトハウス
この時刻に、地下核シェルターのチェイニー副大統領が、
民間機の撃墜許可を発令したとされる。
am10:16
(すでに飛んでない)ユナイテッド93迎撃のため、
さらに追加のF-15戦闘機2機がスクランブル。
am10:19
World Trade Center1 : Northtower
ワールドトレードセンター ノースタワー
ティモシー・ヘイズ巡査@NYPD航空隊ヘリパイロット
“報告する。100%確実ではないが──”
“タワーの上部が今、傾きはじめているように見える”
“南西に傾き、南西の隅が崩れはじめている”
am10:18
NBC“PLO@パレスチナ解放機構のアラファト議長、同時多発テロへの関与を否定”
am10:22
国務省と司法省でもようやく避難を開始。
am10:24
ジェーン・ガーベイFAA長官、全米の空港閉鎖のため、
欧州やアジアからの国際便は別の国へ向かうよう指示。
米国行き国際便のほとんどがお隣カナダの空港に着陸した。
この日、カナダ国内の空港は着陸ラッシュの大混雑。
人口5000人の田舎町の空港でさえ、夕方までになんと53機が着陸。
滑走路に隙間無くジャンボジェットがぎっしり並ぶ光景は町の語りぐさとなった。この町、1日限定で人口が3倍の1万5000人に増えた。
am10:28
World Trade Center1 : Northtower
ワールドトレードセンター ノースタワー
最初のアメリカン11突入から102分後──、
──ついにそのときが来た。
【ナインイレヴン(終)09111028】へとつづく
このときの無線の声が、大隊長ファイファーのものだったかどうかは分からない。
ジョゼフ・ピッチオット大隊長はベテランの直感で「やばい」
「全員退避ーーっ! 急いで降りろーー!」
ワケも分からず命令に従う者、かまわず現場に留まる者あり。
外からタワー崩壊を見ていたニューヨーカーズ、生中継を見ている米国市民、そしてワールドワイドな視聴者たち@数億人はなにがおきたか知っていた。
近くにいた者はとつぜんの大砂塵に巻き込まれ、それが熄んだあと、
そこの空に2本そびえているはずのものがひとつしかないことに呆然。
一方、タワー内部にいるかんじんの当事者たちだけが、
なにが起きたかまったく知らないまま。
am9:59:52
United Airlines Flight 93
ユナイテッド93、機を上下に揺さぶり出す。
ミネソタ空軍州兵輸送機「Gofer06」>ワシントンナショナル空港管制
“こちらGoferゼロ-シックス、V, VFR* ” *V, VFR : 有視界飛行方式
“航空機を追い抜く時のように翼をうねらしている。なんの意味があるのかよくわからない。翼をロックしているようだ”
近くを飛ぶ小型機パイロット ビル・ライトもそれを目撃。
“3マイル*先に、大きな機が見える 尾翼にユナイテッドエアラインのロゴが見える さっきから何度か、機が前後に揺れている” *3マイル : 5km弱
am10:00:08
─ユナイテッド93機内 ボイスレコーダーおよび無線通信の音声記録より─
ガラスや皿の割れる音。
乗客たちが配膳用カートをぶつけて操縦室ドアを押し破ろうとしている。
対して、その操縦室の内側では、
オートパイロット解除のアラーム音が鳴り響き。
ハイジャッカー1 “ドアを押さえろっ”
ハイジャッカー1 “これで終わりにするか?ここで終わりに?”
ハイジャッカー2 “いや、まだだ、奴らが全員で来たら終わりにしよう”
am10:00:26
乗客 “操縦室に入れ! でなけりゃ全員死ぬぞ”
am10:00:37
ハイジャッカー “機体を揺らせ! サイード!”
am10:00:42
Roll it!
乗客 “やっちまえ!”
もちろん乗客全員がヒロイックだったわけでなく、
エドワード・フェルト>緊急回線への携帯電話
Edward Felt
“ハイジャックだ、ハイジャックされてるんだ”
“いまトイレに隠れてる”
“ば、爆発した、白い煙が…”
am10:01:00
ハイジャッカー1 “アッラーフ、アクバル! これで終わりにするか? 落とすか?”
ハイジャッカー2 “そうだ、落とせ、落としちまえ!”
am10:01
World Trade Center1 : Northtower
ワールドトレードセンター ノースタワー
ニューヨーク市警、ノースタワー内にいる全警察官に退避を指令。
下界でも人々は迫りくる粉塵嵐から逃れるように、
ダウンタウンからぞろぞろ歩き始めた。北へ北へと。
am10:01
渡り廊下を遠回りしてやっとシャバに出たファイファー大隊長、
とりあえず瓦礫まみれのウエストストリートに臨時指揮所を移す。
「んーと、あれ? タワー2はどこだ?」
「見えないぞ」
「そんなはずはない、煙で見えないだけじゃ?」
「でも、たしかあそこらへん……」
「え?」
「え?」
am10:01:13
United Airlines Flight 93
ハイジャッカー1 “アッラーフ、アクバル”
ハイジャッカー2 “酸素を切れ”
ハイジャッカー1 “あいつらを入れるな”
am10:01
180th Fighter Wing, Ohio Air National Guard
NEADS@北東空域防衛セクター>オハイオ空軍州兵第180戦闘航空団@トレドエクスプレス空港へのスクランブル要請。
ようやく近場の戦闘機を動員したほうが早いじゃんと誰かが気づいたわけだが、
電話に出たF-16パイロットは冗談と思って要請を真に受けず。時間をムダにしたあげく司令官に電話がつながってやっと緊急発進にとりかかる。
am10:02
Chicago, Illinois
イリノイ州シカゴ
ハイジャック機が飛んでくるかもしれないってんで、
シアーズタワー@110階はじめシカゴ市内高層ビル群で避難が始まる。
am10:02
Traffic controller at Washington Sector
ワシントン管制セクター
「不審機アンノウン、この速度のままだとワシントン到達まで、あと18分以内」
am10:02:35
ハイジャッカー “操縦を代われ、おれが操縦する、代われかわれ”
am10:03:03
“アッラーフ・アクバル!アッラーフ・アクバル!アッラーフ・アクバル!
“アッラーフ・アクバル!アッラーフ・アクバル!アッラーフ・アクバル!”
ボイスレコーダーの最後には、操縦室のドアが開く音が録音されていた。
ユナイテッド93乗員 シシー・ライルズ>夫への携帯電話
CeeCee Lyles
“やったわ! やったやった!”
その直後、断続的な悲鳴。
つづいて激しい風の音。風防が割れた可能性がある。
Shanksville, Pennsylvania, near Pittsburgh
ペンシルバニア州ピッツバーグ郊外 シャンクスビル
地上の目撃者たち
「エンジンの音を聞いた。飛行機が80度か90度の角度で落ちていくのを見た」
「空から音がしたので見上げると、完全に逆さまになった飛行機が丘の上を飛んでいき、ほとんど垂直に急降下して、次の瞬間──」
ただ一人、地面に激突する瞬間を目の当たりにした地元住民リー・パーボー、
「俺の上、30から50フィート*を飛んでいった あまりに地面に近かったから、」
「下の小麦畑が機体に映って小麦色に見えた」*30から50フィート : およそ9~15m
am10:03:11
ワシントン北西240km地点。
ユナイテッド93はシャンクスビルの小麦畑に落ちた。
地元民バル・マックラティーは咄嗟にカメラをひっつかんで撮った。
唯一のユナイテッド93墜落の瞬間をとらえた写真である。
時速580kmのまま、ほぼ垂直に近い角度で地表に激突したため、機体は木っ端微塵。
連邦政府の公式発表ではam10:03、
しかし、
陸軍の地震計の計測をもとに割り出された墜落時刻はam10:06だった。
この3分の時間差がまたまた例によって、
「政府が都合の悪い録音を
am10:07
FAAクリーブランド管制セクター、ここでやっと、
NEADSにユナイテッド93のハイジャックを通報。
am10:07
FAAハーンドンコマンドセンター>FAA本部
ハーンドン「ユナイテッド93について新着報告。最後に伝えた地点で黒煙が上がっているのを確認。ジョンズタウン 15マイル南」
FAA本部 “了解、こちらも速報が来た”
ハーンドン「インディアナポリス警察から報告のあったアメリカン77は?」
FAA本部 “シャーリー近くで黒煙と報告があったが”
ハーンドン「それは聞いてないな、なんだそりゃ? こちらからの情報じゃないだろ」
am10:04
World Trade Center1 : Northtower
ワールドトレードセンター ノースタワー
ティモシー・ヘイズ巡査@NYPD航空隊ヘリパイロット
“報告する、タワー1最上階から15階ほど下の階が真っ赤に光っている。バッテリーパークシティの近辺にいる者全員に退避を勧告する”
警察のデジタル無線は、タワー内にいる警官のトランシーバーにも楽勝で届いた。
警官たちはとにかく出会った相手に「すぐ逃げろ」と叫びながら、全力で駆け下りる。
だが、この超重要情報は、消防隊には伝わらなかった。
ニューヨーク市警とニューヨーク消防局は長年の因縁もあって没交渉で。
連携はなし。情報共有も、無線周波数の同調もなし。とうぜんこの日も。
たまたま出くわした警官から聞いたり、警官から聞いた民間人に聞いた消防士だけが、「タワーもう無理超逃げて」と知ることができた。
ダミアン・ヴァンクリーフ@第7ポンプ車隊もその一人。
「とにかく夢中で階段を降りた。地上に近づくと急に家族の顔が浮かんでね」
Damian Vancleaf
「“ぜったい脱出するぞ”」
同19階
この階では疲労困憊の消防士や民間人100人以上が休憩中。
ふう、やれやれ。
「やれやれじゃないって、早く逃げないとこのビルやばいって」
警官が懸命に急かしても、
「えー、ったるいしー」「足痛いから無理」
「消防の人がまだいるから大丈夫じゃね?」
こういうときの法則どおりみんな動こうとせず。
デニス・タルジオ@第7ポンプ車隊消防士
Dennis Tardio
「やっとの思いで1階ロビーに降りたが、指揮所には誰もいなかった。おれはジョークで言った。“司令部に見捨てられた、世界の終わりが始まるぞ”」
「出ようとすると、待て、と誰かが止めた。
すると目の前でつづけて2回、地面に激突する音、
上の階から落ちてきた人間だった」
「人が雨のように降ってきた。
マリオットホテルの屋上にばらばらの死体が見えた、いくつも」
am10:08
AirForceOne
エアフォースワン
機上のブッシュ大統領にハイジャック機墜落の急報が届く。
「撃墜したのか? 事故か?」
am10:08
NEADS@北東空域防衛セクター
「ピッツバーグ近く、モード3、ワンファイブツーセブン、追跡ナンバー確認したか」
「爆弾搭載した航空機への対応について、そのう、“確約”は得られているのか」
「いま許可を求めているところだ………駄目だ、発砲は許可できない」
このとき、NEADSはまだユナイテッド93の行方を捜している。
FAAがとっとと墜落の報告をしなかったせいで、ブッシュよりも知るのが遅かった。
am10:12
CNN “議事堂が爆破された” これは誤報。
このあとも混乱から無数のデマ情報が駆け巡る。
“国務省で自動車爆弾爆発”
“アラスカ方面の大韓航空がハイジャックされた疑い、F-15戦闘機に撃墜許可”
“ハイジャック機がキャンプデービッドに向かっている”
など。
am10:14
NEADS@北東空域防衛セクター
NEADS IDtech「ナイン-スリーの現在地は?」
────────────down
ワシントン管制セクター “ダウンした”
───────────touch down
IDtech「ダウン? いつ着陸したんですか?」
ワシントン “着陸じゃない”
IDtech「……墜落したのね(また連絡ナシかよ!)、どこに?」
ワシントン “キャンプデービッドの北東のどこかだ”
am10:15
ペンタゴンの突入炎上部分がついに崩落。
am10:16
White House
ホワイトハウス
この時刻に、地下核シェルターのチェイニー副大統領が、
民間機の撃墜許可を発令したとされる。
am10:16
(すでに飛んでない)ユナイテッド93迎撃のため、
さらに追加のF-15戦闘機2機がスクランブル。
am10:19
World Trade Center1 : Northtower
ワールドトレードセンター ノースタワー
ティモシー・ヘイズ巡査@NYPD航空隊ヘリパイロット
“報告する。100%確実ではないが──”
“タワーの上部が今、傾きはじめているように見える”
“南西に傾き、南西の隅が崩れはじめている”
am10:18
NBC“PLO@パレスチナ解放機構のアラファト議長、同時多発テロへの関与を否定”
am10:22
国務省と司法省でもようやく避難を開始。
am10:24
ジェーン・ガーベイFAA長官、全米の空港閉鎖のため、
欧州やアジアからの国際便は別の国へ向かうよう指示。
米国行き国際便のほとんどがお隣カナダの空港に着陸した。
この日、カナダ国内の空港は着陸ラッシュの大混雑。
人口5000人の田舎町の空港でさえ、夕方までになんと53機が着陸。
滑走路に隙間無くジャンボジェットがぎっしり並ぶ光景は町の語りぐさとなった。この町、1日限定で人口が3倍の1万5000人に増えた。
am10:28
World Trade Center1 : Northtower
ワールドトレードセンター ノースタワー
最初のアメリカン11突入から102分後──、
──ついにそのときが来た。
【ナインイレヴン(終)09111028】へとつづく
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