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【事件激情】ウルトラ : 12機目【シモヤマ インシデント】

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u12ぼくが

「僕が言葉を使うときはね」

ハンプティ・ダンプティはあざけるように言いました

「その言葉は、僕が選んだ意味を持つようになるんだよ
僕が望むとおり、ぴったり同じ意味にね」

「────────ルイス・キャロル「鏡の国のアリス」



u12Feb.jpg

February,1997
1997年2月

New York City
ニューヨーク

u08えふびー 
John P. O’Neill
Special Agent of Federal Bureau Investigation

ジョン・オニールFBI特別捜査官

FBI本部テロリズム対策・防諜本部対テロ部長から、
ニューヨーク支局国家安全保障主任特別捜査官(Special Agent in Charge of the National Security Division at New York field office)に転任。

と書いてもFBI名物の分かりにくい役職名って栄転なのか降格なのかわっからへんが、
このばやいは栄転めでたくワンランク昇進である。

u03らんどま05 
ニューヨーク支局といえば、FBI全米56支局のなかでも別格、
最大規模で人員も管轄もひときわ最大。

u12とくにに

とくにニューヨーク市国連本部もあるしウォール街もあるし常時VIP銀座状態だし、じつは世界金融ネットワークサーバ所在地だしで、
この支局国家安全保障主任特別捜査官は、単にニューヨーク州だけの対テロ担当じゃなくて、全米全世界のテロリストを相手にするえろい人なんである。

念願の前線司令官にもどったオニールは転任後さっそく動く。

u03のみにけ 
あらゆる人種、あらゆる宗教、あらゆる階層、あらゆる国籍のキーマンたちとつぎつぎに接触、持ち前のコミュ力のかぎりを尽くして人脈つくり、さらにニューヨークにやってくる外国の警察関係者を漏れなく歓待して海外捜査のコネつくり、

と忙しい一方で、

u09れいせ

こういう課外活動も。

u01のぞむところ 悪い顔や
んっふふふふふふ、やっと手に入れたぜ。

u12ゆりこし 
ユリコ・シラトリ連邦公文書館めぐりで閲覧していた元機密文書の数々。

シラトリのやつがペルーに張りつきになってて身動きとれんうちに、

u12なにたく

なに企んでるのか尻尾つかんでやるからな。
ざまあみろ、むっははははは。

u091995_201404191246147c1.gif

ヴェノナファイル

u12あーそ 
あー、ソ連潜入スパイどもの暗号解読のあれか。
あいつこんなもんにも興味があったのか。
そういやもともと専門は文書解析だって言ってたな。

……それと?

u03じーえいち 
──GHQ/SCAP日本占領期マッカーサー総司令部文書、か。

u12しもや

シモヤマケース……?

へえ、またずいぶんと古い話……ヴェノナ騒動と同じ頃にあった日本事件か。

u12おしゃ

お、写真も──

u12おしゃ02 
u12おしゃ03 
ん?

u12んあれ 
え? およ? あれ?

u12おいお 
……おい、おれは頭おかしくなったのか?

u12こりゃ02 
こりゃ、どういうことなんだ?
 


u12titleultra.jpg

下山事件の背景と経過、警視庁による捜査は公開された情報にもとづく。
平塚八兵衛はじめ黒字紫字赤字はすべて実在の人物だが、
一部の会話や行動はちっとばかし変えている。
彼らの属する国家、官公庁、組織団体もすべて実在する。
また白鳥百合子ニイタカ・ヤヨイ-カトリーヌは、架空の人物であり、
実在する人物との関わりはすべて根拠は妄想、ソースは創造である。




u12cptきゃのん
u12cptいんぼ


1949年 昭和24年

7月下旬

u12けいしち 
警視庁下山国鉄総裁事件特別捜査本部は、本庁のほか西新井署五反野南町駐在所を拠点に捜査員140名体制で日本橋五反野近辺で捜査展開中。

u12えーし02 
「えー、下山総裁が連日、日本橋付近で専用車を降りて、大西運転手を待たせていた件につきまして、下山氏の行き先ですが」

u12もりた 
森田のぶ@45歳。

u12ちゅうお 
中央区新川1ノ8、『成田家』という待合女将です。
下山氏と非常に懇意にしておりまして」

u12つまりそ 
(つまりそういう仲ってこった)

森田のぶは既婚で、夫と手伝いとで12坪ほどの成田家を切り盛りしています」

待合とは、今でいう割烹料理屋みたいなもん。

u12なりたやの 
成田家のある新川1ノ8は料亭や待合が多い界隈で、日本橋から徒歩10分ていど。
下山日本橋近辺から徒歩10分ていど歩いていける距離。

警視庁森田のぶ重要参考人として聴取。

u12しもやまさ 
下山さんとは20年来、懇意にしていただいておりました。
あのかたが新橋駅に勤めていらしたときからです」

u12bkすいげつろ 
戦前しかも昭和ひとケタ森田のぶ@20代は、宴席に呼ばれる酌婦で。
まあ大雑把にいうとピンクコンパニオンみたいなもんである。

ある日、呼ばれた宴席にいた客の一人が、

u12わかき02 
若き日の鉄道官僚下山定則

u12このと 
このとき下山のぶを気に入ったらしく、酒席に幾度か呼ばれて、いろいろ懇意に。

だがまもなく下山の転勤もあって、なんとなしにフェードアウト。

u12そんな2 
そんな2人の関係が復活したのは、終戦後昭和22年(つまり事件2年前
のぶにもすでに夫がいて、京橋すき焼き店仲居をしていたが、あるとき下山と再会。またよく逢い引き交流するようになる。

u12のぶが 
のぶが夫婦で待合成田家」を営むようになると、下山は職場の宴席や私的な集まりに使ってくれたり、自らも足繁く通うようになった──。

技術畑で堅物といわれてた下山の、ちょっと意外な桃色の一面。

なので国鉄関係者には総裁成田家女将の昵懇な関係は暗黙の了解になっていて、
下山失踪時にも加賀山副総裁は、森田のぶの所にいないか確かめている。

u12かがや 加賀山副総裁 
総裁人員整理が終われば辞任して、参議院選挙に出るつもりだった。それもあって森田のぶとの関係をタネに何者かに脅迫され、こじれて殺されたのではないか」

u12つきに 
月に1、2回息抜きに一人で来られて、ほんの5、6分ばかり、お茶とお菓子くらい、時計を気にしながら帰られました」
「誰かと会ったり仕事の話をすることはありませんでした」
「最後のおいでは6月29日で、『いよいよ整理が始まるから忙しいよ』と言われて」

という夫婦の話と、近所の聞き込み結果は異なり、

u12じかんじ 
次官時代はほとんど毎日のように昼頃に車であの店に来て、夕方までいましたね」
下山さんの自動車がいつも待っていた」

じっさいには夫婦が言うよりもっと頻繁に、
下山成田家を訪れていたとみて重ねて捜査中。

u12さらに7 
事件のおきた5日下山失踪当日のぶにはアリバイがあります。
午前中は神奈川県平塚へ出かけ、また夜は知人の見送りのため上野駅へと出向いており、いずれもウラが取れています。

u12もりたの 
森田のぶ下山氏を恨むどころか好意を抱いており、2人に別れ話や怨恨などの問題は浮かばず。のぶ誘拐殺害に関与する動機も見出せませんでした」

u02どっちで 
「いやさすがですね、八っさんの読み通りだ」

u04しゅじんはじ 
「うーん」
「どうしたんですか?」
「ん? ま、なんでもねえや」

u12きょうもま

(今日もマッカーサー元帥のお目付が目を光らせて、と──ありゃ?)

u02なんだあの なんとなく拍子抜け
(なんだ、今日はしゃしゃり出て来ねえのかニイタカめ)

u12たかめ 
「…………」

u12ゆーじん 
Lieutenant Eugene H.Hattori
ユージン・H・ハットリ中尉
CIS(Civil Intelligence Section)/PSD(Public Safety Division),
Officer in Charge of the Tokyo Metropolitan Police Department

@民間諜報局公安課 警視庁担当官


u00緑丸


「あ、誰だ畜生!

u12だれだ

こんなビラ貼りやがったのは!

u12くだら 
「くだらねー嫌がらせしやがって!」

u12しゃがい 
「社外からは総叩き、社内でも後ろからどつかれ、か」
「みんな『自殺説じゃ商売にならねえ』ってカリカリ来てるんだよ」

「部数、朝日に負けてるしなあ。あっ、すみませんデスク

平 正一
@毎日新聞社会部デスク@「下山事件取材班キャップ
u12いいたい02 
「言いたいやつには言わせておけ。取材を重ねて事実のみにもとづき記事をつくる、
それをブレさせたら報道の名折れだぞ」


このころまだ日本にはテレビジョン放送なるマスメディアはない。

u12bkしんぶんやu12bkらじおこれ 
 
だから報道といえば、新聞ラヂオ、映画館のニュース映画、そして雑誌だった。

主要紙のパワーバランス、>朝日毎日が両雄、関西系の讀賣が全国主要紙に食い込むべく台頭してきたところ。そういう意味で下山事件は売上げ増進に絶好の起爆剤、

u12なのでか 
なので各紙どんどん他殺推しでスリリングかつ過激に面白おかしくエスカレーション。ちなみにこのころ物資不足で紙面はペラ1枚の2ページか、多くて4ページだった。そのほぼ全面が下山事件他殺推し連呼のみに当てられたんである。

u12bkまいにちし

そういうなかで、毎日新聞だけが自殺を主張中。

u12しゅちょ 
下山事件取材班キャップ、>平正一。外地の支局も歴任してきたベテラン記者。

自殺主張」というとちと語弊がある。

正確には、自殺」、自殺他殺両方を取り上げていた。

報道としちゃごく当たり前の基本のキなのに、それやってたのは毎日のみで。

u12じけんち 
事件直後こそ、毎日新聞も他紙と同じく他殺を前面に押し出していた。

だが日を追うごとに──

u12しゅちょ 
「好き勝手な憶測は慎むべきだ」
無責任なデマはとばさない、あくまで事実だけを元に報道をする」

という古きよきブンヤにして頑固一徹の平デスクだからこうなった。

u02すえひろ 
ちなみに「末広旅館下山総裁に似た紳士が休憩した」という大ネタをゲットして特ダネ打ったのも毎日の若手記者。

これべつに平デスクがずば抜けた名探偵だったわけじゃなく、

他殺信仰の曇って歪んだ眼鏡を外してふつうにふつうに見れば見るほど、
ミステリーロマンわくわくなんてどこにもないことが分かる。

つまり毎日以外の媒体ぜんぶが、あまりに酷ダメすぎなんである。

u02いのちしらず 
他殺説に都合が悪い17人もいる目撃者@五反野
マスコミ毎日以外)がどう扱ったかというと、

替玉」「単に別人の人違い
刑事誘導テクで言わされたインチキ証言キリッ」
とディスって軽視無視。しかもそれなんの根拠もなく。

の一方で、他殺に都合よけりゃ百億万倍あやふやな流言飛語でも絶賛全面採用!

が、

u04からすむぎのみ 
背広のポケットにあったカラス麦、靴の底についた葉緑素(土手の状況と一致)、
下山の毛髪と末広旅館の客室で採取された毛髪の酷似、

u12さらにす 
さらに末広旅館で女将長島フクの見た下山似の紳士の「靴ひもをいちいちほどいて履いてからきつく縛り直す」という行動、>大西運転手の証言する下山のクセと一致、

「見た」というだけでなくきっちりウラもとれてるんである。

u02からすむぎ 
u02えびかに 
さらに、カラス麦@山崎たけエビガニ採り渡辺盛と義妹伸子は、刑事の聞き込みよりずっと前に自ら「下山総裁に似た人を見た」と交番に名乗り出てるし、

u02たかそうなくつ 
「チョコレート色でラバーソウルの上等な靴」@成島正男の目撃談も、刑事と話すより前に成島妻経由で井戸端会議で近所のおかみさんに広まってたんで。のちにそれを知った平塚八兵衛成島を聴取してるんである。

いくら誘導テクに長けた刑事でも会う前の相手を誘導するのはちと無理で。

まともに調べるほど、現場付近を昼過ぎから直前まで徘徊してた下山似の紳士が、のち轢断死体で見つかった下山別人、って持ってく方が五次元的無理矢理で。

結論ありきで難癖つけてんじゃねーよばーか、で終わり。

ふつうなら。

ところが、

u02ぼうさつだ 
謀殺下山事件だーっ

朝日新聞、というか他殺の伝道師矢田喜美雄は、
これら他殺と矛盾する情報が気にくわない。

u1217に 
見かけただけの目撃者はあくまでスルーすりゃいいとしても、紳士の接客までしてる末広旅館女将の証言は、他殺推しには致命的だ。極悪誘拐団に拉致され囚われの身のはずの下山が、安宿でぐーすか昼寝してたんじゃぜんぜんまるでダメおである。

で、どうするかというと、

ふつうなら、たしかな事実と証人と反証をもって理詰めで反論するのが、
公器を名乗るなら最低限の鉄則だろ、なんだが。

朝日新聞は、それより確実に勝てていちばん手っ取り早いやりかたを。

u07だからた02 
つぶせ

u12あさひのき 
朝日新聞記者が取材にかこつけ、五反野周辺でデマをばらまく。

末広旅館の主人は共産党員の命令で下山さんらしい人が泊まったと届け出た」

もちろん悪意満々の誹謗中傷である。

gossip001_201404191250226a2.jpg

朝日新聞冷戦時はソ連中共北朝鮮の広報紙、いまは売国だのアカヒだのだのいわれてるが、じゃあ以前は素晴らしかったかっつうと、人を人とも思わぬ傲慢邪悪なDNAはずうううっと前からすでに成長済みだったんである。

朝日だけじゃなく、讀賣もなんとか女将フクにボロ出させようとしつこく粘着。共産党機関紙アカハタも逆の目的でフクにストーカー的つきまとい。

さらにこんなデマも。

u12bkごきんじょ 
旅館の宣伝のために警察嘘の届け出をした」
大金もらって証言して、土地も買った

さらにさらにこんなことも、

u12しゅじん 
「主人は元特高警察共謀してありもしない下山滞在をでっちあげた

こんな具合で悪評が立ち、末広旅館はたちまち商売あがったりになってしまう。

u12おかげでお 
おかげで女将フクもすっかり病んでしまい引きこもりがちに。

インターネットも某巨大掲示板もツイッターもない時代、マスコミの影響力は今とは比べものにならんほど絶大で、ひとたび狙われたら個人なんてひとたまりもない。

例の平成三部作あたりから下山事件を知った人たちの期待するような、
謎が謎を呼ぶ国家的陰謀ロマン・ザ・リアル

の代わりにじっさい五反野にあったのは、

u12うそを 
嘘ついてデマを言いふらして人を陥れてほくそ笑むペテン師どもの醜悪な顔顔顔、

そのクソ醜い光景がすべて。
それ以上はなにも無い。今も昔も。どんなときも。


が、そういうお下劣な風潮に抗して、
少なくとも報道の原理原則を貫いたはずの毎日新聞はどうなったかというと↓

販売数激ダダ下がり。みるみる毎日一人負け状態に。
これ単に「自殺じゃつまらん」からで。
地味な事実なんかよりインチキでも派手な他殺推しの方が売れてウハウハで。

u12たさつせ 
他殺推しがむやみに肩幅きかす空気。

この年の日本は、共産主義者による九月革命がマジあるんじゃ? とノストラダムスの大予言1999年人類滅亡的な空気がムンムンしてた頃で。

u12じっさ 
で、じっさいはどうだったかというと、
このとき日本革命なんておきる可能性0%である。

かんじんの日本共産党党中央こと党中央委員会──德田球一野坂参三志田重男ら最高幹部たち、まーたく革命やる気迫なし。

だってやっと合法政党になれてGHQニューディーラーとウィンウィン(゚д゚)ウマーだし総選挙で議席増えたし、ここであんまりGHQに楯突いてまた非合法にされたら元の木阿弥だし。やっぱ日陰暮らしに戻るのはつらいしさ。
で、ふつうに政党として与党めざす平和革命論なんてのをぶってるし。

党中央の意に沿ったアカハタは「革命はこのあとすぐ! CMの後で!」的に威勢よく煽る一方で、>じっさいは国鉄労組はじめ各社労組ストにいろいろ理屈こねて反対、各地の党支部でもストをやめさせるのがきほんの動きだった。労組内では共産党系と社会党系の組合員が対立、グダグダ状態。

そもそも連合国軍占領下で民衆もとくに盛り上がってないのに、
いきなり共産革命!なんて夢まぼろしなんだけども。

05budo060240.jpg 
ただしじっさいとは違っても、みんな共産主義という名の物の怪の不気味さに
理屈抜きでざわざわめいてる空気だったのはたしかで。

u12めいこ 
名港水族館名物「イワシのトルネード」

その空気に乗っからない言動は、どれだけ正論だったとしても「アカの味方 味方の」のひと言でたたきつぶされ。だから下山事件他殺を推さない=共産党の一味、と漏れなくレッテル愛国無罪ってかんじで。

他殺を推す競合他社や読者からの自殺説叩きつまり毎日叩きは激化する一方。

朝日讀賣毎日を名指しで「素人すじ」「科学を信じない者」と批判。
素人とか科学を信じないとかそりゃそのまんまブーメラン杉るだろおまえらだが、いかんせんこういうときは声が大きい方が、ウソでもなんでも勝っちまうんで。

日本政府も同じく。増田官房長官がわざわざ毎日新聞記者を呼びつけ、「自殺などけしからん、紙面を変えろと凄む。今だと報道への介入で大騒ぎだろうけども。

u12だれだ 
攻撃は外からだけでなく内からもこんなんだったり。

たち取材班は内外両面からフルボッコされながら、
取材方針は間違ってない」と孤立無援で踏ん張り続ける。

birdchildren001_201404191250241f4.jpg 
だからまー毎日新聞がまともってよか、大半がクズ野郎なのは他紙と変わりなく。

そのなかのごくごくごくごく一部、たまたまたま平デスク(の指揮する取材班)だけが真っ当な新聞記者ってだけだけだけども。


──そういう圧倒的じゃないか我が軍は状態の他殺絶対正義な “戦況” なのに、

徐々に形勢は自殺へと傾き始める。

かんじんの現実界=警察捜査で、まーたく他殺のタの字も出てこないんで。

ちなみに警視庁は、他殺論者の力説するような「初めっから自殺一辺倒」じゃなく、ふつうの事件以上に自殺他殺両面ていねいにウラとり捜査。
やはり死者が大物なんで世間に与える影響大とみて。

アホらしい替玉ネタだっていちいち捜査している。

u02はたけしごと 
目撃者の一人増田定次郎@「夫婦で野良作業中」は、「挙動不審な中年紳士」は見たものの、「近くの郵便局長に似ていた

これは単にこの夫婦が下山総裁の顔を知らなかったんで、「例え」として出しただけなんだけども。たしかにその郵便局長の顔が下山と微妙に似てたもんだから、
替玉? 人違い?」と捜査本部もやや色めき。

なので関口由三警部補率いる五反野地取り班は、いちおうこの郵便局長7月5日のアリバイもいちいち調べている。

また東京地検他殺にこだわっていて、捜査2課を焚きつけ、替玉説のネタを探し、

その結果、出てきたのが↓これ。

u12じけんのよ 
5日午後8時45分轢断現場に近い常磐線亀有駅発の上野行き電車に、
若い男と『下山総裁らしい人物』が同伴で乗っていた(ように見えた)」

この若い男というのは実在していて、
国鉄田端機関区機関助手@22歳。国鉄労組活動家

地検「この若い国労活動家@22歳が、替玉を移動する役割を担っていたのでは?」

いや下山似の紳士夜11時半まで目撃され続けるんだが、なんで9時前に帰ってんだよ替玉。つうか替玉のくせに公共交通機関乗って目立ってんじゃねーよ。

まあこのへんクズネタにすぎないんでいちいち顛末までの説明は略。隠してるんじゃないんで知りたければこちら*とかが詳しい。なんか細菌兵器まで出てきて凄い設定になってるぞえ。全研究下山事件*「他殺説 731部隊、チフス、下山事件」

という具合に、捜査員たちは他殺を見込んで捜査に乗りこんだけども、
捜査すればするほどますます自殺くさくなるばかりなんで、

とうぜんながら刑事たちの心証は「他殺はねえよな」へと傾いていく。

当時はなかった病名だけども、「初老期躁鬱病による自殺」という結論へと。


u00緑丸

 
u12u02げんばけんしょう 
「うへー八っさん、きょうの地取り、自分らの受け持ち、えらく遠いですよ。駅もないし、どうやってここまで行くんだろ。捜査車両使わせてもらえないんすかね」

u12かないお02 
金井、おめえよ、悪いが今日はそこ一人で行ってくれねえか」
「え? 八っさんはどこへ」
「おれぁ、ちっと別口を当たってみるわ。報告書てきとーにつくってといてくれ」
 
u12もういち 
「もう一度、おさらいしてみるか」

u12じけんの3

事件の3日前、7月2日の夜──

下山総裁加賀山副総裁とともに、
GHQCTS@民間運輸局国鉄担当官シャグノン中佐を訪ね

るはずがすっぽかした。

u02くじはん 
大西運転手によれば、そのとき下山別の場所にいたんで。

夜7時頃から、西銀座の関西料亭「出井 いづゐ」に。

u12ひとりではな 
一人ではなかったらしい、が、同席者は不詳。

GHQとの約束をすっぽかしてまで下山が会ってたのは、か。

u12ふしょうの 
「不詳の人物だらけだぜ」

この2日夜の下山の行き先だが、
朝日矢田記者大西運転手から聞いた話として「出井 いづゐ」と書き、
1950年に流出した警視庁捜査報告書@「下山白書では、貸席登原 とはら」@永田町2ノ7@首相官邸おむかいさん」になっている。

ちなみに下山は「登原とはら」の常連客で、同じ日2日の昼頃にもふらっと現れ、昼食を頼んでいる。貸席だから料理はきほん仕出し。だから味がどうこうより気の滅入る職場から離れたかったんだろう。給仕した女中によると「あまり食が進まないようだった」ってことで、下山の鬱々ぶりの裏付けのひとつになっている。

出井 いづゐ」と「登原 とはら」、2日ほんとうに下山が行ったのはどちらか。両者とも政官財の殿上人たちが密やかな会談に使うようなカテゴリの店であるんだが。

u02ぼうさつだ 
謀殺下山事件だーっ

この矢田記者って言うこと書くことどれも信頼性に欠け杉るんだが、ここは矢田の肩もつわけじゃなく、どっちの店でもいいから出井である。昼晩つづけて同じ登原に行くかしらん、混同があるんでは?って憶測なんで大した理由はない。
どっちの店だろうとあんま結果変わらないんで。

ちなみにちなみに「登原 とはら」の女主人登原久美子
のち「戦後政界の女黒幕」なんて呼ばれたりする。

u12しゅうせ02 終戦直後は食糧難で国会も畑に
@三菱重工重役長崎原爆で亡くした久美子は、永田町2ノ7にあるでっけえ自邸の一部を外務省に貸して、選ばれしお歴々のサロンとして重宝がられた。
これが「貸席登原 とはら」のちの「千代田クラブ」。

で、陰謀論壇で思わせぶりにささやかれるこのときのキーマンが、

shirasu.jpg 
吉田茂首相の腹心白洲次郎@「マッカーサーを叱った男」である。
なんか下山事件の黒幕=白洲次郎@「マッカーサーを叱った男」でした
ってのがトレンドのひとつっぽいらしく。

下山はどっちの店でもいいんだけど、とにかく「財界の大物S」まあ白洲プリンシプル次郎@「マッカーサーを叱った男」のことだが、その大物Sと密会、圧力を受けていて、で、プリンシプル次郎GHQの手先亜細亜産業@矢板機関ともつながってて…とまたいかにもな国家的陰謀ロマンへとはてしなく飛翔していく。

首相吉田茂の腹心でもある白洲プリンシプル次郎@「マッカーサーを叱った男」は、国家地方警察長官斎藤昇から吉田内閣に都合のいい官僚にすげ替える企み(これは実在した策謀で失敗するんだが)で同時進行的に暗躍中だった。


u12bkでかいちだい 
というような妄想的捜査をもちろんリアル平塚八兵衛はやってない。

なのに、あえてそっち方面に事件激情八兵衛がふらふらしてるのは、
ある意図がある。それは回を追うごと明らかにされるだろう@白戸三平風。


u02このころみつ 
三菱千代田銀行本店

「ええ、下山様が当行私金庫を契約されたのは終戦後です」
終戦後というと、去年? それとももっと前の?」
去年よりは間違いなく前ですな」

u12こうい 
「こう言っちゃなんですがね。銀行さんの私金庫なんてごたいそうなもんは、ふつう大会社の社長だの財閥のご一族だのが持ってるって印象ですがね。
そうおいそれと借りられるもんではないはずだ」

u12たしか 
「たしかに刑事さんの印象は外れてはいません」

「となるとだ、去年より前の下山氏といえば、国鉄総裁でも運輸次官でもなく、まだ東鉄局長名鉄局長だ。それだって自分のごとき木っ端役人と比べるのも怒られそうな雲の上の人だけどね、っつっても大社長大臣かってほど上の方の雲じゃない。

そういう当時の下山さんがおたくで私金庫を持てた経緯が気になるんですがね」

u04あめりかせいの 
戦後GHQ財閥解体公職追放がありましたでしょう。それでいくつか私金庫の契約が解除となり、枠が空いたのです。たしか7つほど。そのことをお知りになった下山様からお申し入れがあり、当行私金庫を契約されました」

「ふうむ、私金庫の空きができると宣伝するんですか、広告みたいなのを出すとか?」
「いえとくに宣伝というものは…。やはり身元のしっかりされた方でないと差し障りありますし、ほとんどがどなたかからのご紹介です」

u12いちげん 
「一見さんじゃ空きを知ることすら難しいわけだ。つまり下山さんも誰かから教えられ、さらに紹介も得て私金庫を契約できた、と。紹介者はどこの偉い方ですか」
「いやーそれをお答えするのは差し支えがありますなあ」

「じゃ、それはまた改めて、の話として、残る6枠私金庫もすぐ埋まったので?
もちろん、ほかの契約者はさぞや、

u12しきんこ 
私金庫にふさわしい身分の方々ばかり、

u12なんでし 
なんでしょうねえ」

u12ええま 
「ええ、まあ」

u04このころいんふれ
u04しゅんが02 
そして、特例的に私金庫を手に入れた下山は、そこに家の登記証書やら3万円(今だと数百万円)やら貴金属やらなぜか春画やらを隠し持っていた、と。

u04しゅじんはじ 
ぬー、なんかまだ引っかかるな。

u12しきんこは2 
私金庫を開けるには鍵が2つ要る。
契約者の持ってる鍵と、銀行の保管してる鍵、
この2つを一緒に差し込まないと開かない。
係の行員は鍵を開けたら場を外すから私金庫の中身は見ていない。

u12しっそうぜ 
失踪前日7月4日午後2時過ぎに下山私金庫から取り出したか、入れたもの。
失踪当日5日朝に入れたか、それとも取り出したもの。

u04なぞのげん 
私金庫にあった、ちょっとした大金@旧札3万円──事件と関係あるのか?

u02おおりに 
それと大西運転手の証言だ。

下山総裁はよく日本橋あたりで、

u02いやみぎ 
ちょっと待ってくれ

これでいつも1時間以上、長いと3時間は平気で待たされた。

u12そのち 
その「ちょっと待ってくれ」の何回かは森田のぶのもとへ。

u02せいぜんの 
4日夕刻の「ちょっと待ってくれ
なぜかわずか半時間で車に戻ってきた件。

森田のぶの所へも現れてないらしい。

u12なりたやの 
たしかに日本橋から成田家のある新川1丁目界隈まで歩くと10分強、
行き帰り20分強として、向こうに10分もいられない。
それじゃ愛人にあいさつしただけで帰ることになっちまうしな。

u02そのあともしも 
じゃ下山はどこ行ってたんだ?
失踪前日の夕方、たった30分だけ、

どこへ行って、誰と会った?

u12などとつ

待て待て、こんなの俺らしくねえぞ。
肝心なのは、目に見えるブツ証拠だ。
背景に目を奪われすぎると核心からどんどん離れて道を誤るぞ。


──などとぶつくさ考え中の平塚八兵衛を、

u12つける

尾ける者たちが──
 
u12かれら 
u12かれらの

彼らの属する組織は、Z-ユニット

u12おいそ02

「おい、なんか持ってきたのか」

u12にほんのポ 
「出すな、目立たないようしまっておけ」

u12またの02 
ジャップポリスを持ってないんだからな」


またの名をキャノン機関という。


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