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【事件激情】サティアンズ 第二十二解 前篇【地下鉄サリン事件】

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坂本弁護士一家事件ポアだったと信じたくて
麻原にはもう神秘性は感じてなかったけど
教団を抜けてしまえば、あれは単なる殺人になってしまう
そう考えると教団を抜けられなかった

──────────端本悟@被告人質問で




s22よっくっ 
「うっ、このっ、やろっ」

あっ、くっ、えいっ──

s22ああえいくそ 
ああ、くそ、えいっ──

杉マリコ*@ロッカー大のコンテナに監禁>そのまま年越し>これで3か月目突入。

一度外に出されたとき、小さなドライバーをくすねてきた。
それで床の鉄板のネジをゆるめようと、

s22何日にもわたって 
いまだ折れない不屈のメンタルで、すでに何日にもわたって暗闇かつしゃがむことしかできない狭いコンテナ内で苦闘中。

以前、自治省の見張りのやつが「床を外して逃げた信者がいた」
って話してるのを盗み聞いたから。

s22お腹の子のために 
「お腹の子のために、負けるもんか」

s22サティアン 
負けるもんか


s0teサティアンズタイトル02

オウム真理教による犯行の経緯、警察の捜査は、原則公開された情報にもとづく。
登場する公官庁、機関、組織、部局、役職もすべて実在する。
ただし白鳥百合子はじめこの色で示されるのは、架空の人物であり、
実在する人物と彼らの関わりや出来事は、創作全開ソースは妄想である。
またこの色この印*のある人物は仮名である。


いつ終わるともしれず延々とつづいたサティアンズ、ようやく終盤へと突入──


s22cptアサシンズ

s22霞ヶ関駅 
1995年3月15日 水曜日 ──地下鉄サリン事件5日前

午前8時──

営団地下鉄丸ノ内線 霞ヶ関駅

中央官公庁ど真ん中、いわば官僚たちの御用達駅

その駅員から110番通報

s22不審なアタッシェ 
「駅構内に不審なアタッシェケースがある。爆弾かも」

とかやってるあいだに、アタッシェケースからいきなり、

s22水蒸気が ぶわっ
わーっ毒ガスだーっ

警視庁機動隊爆弾処理班が駆けつけ。

改札口近くに置かれてたアタッシェケースを慎重に回収。
不審なアタッシェケースは駅構内に計3個。ぶわっと蒸気噴いたのは1個だった。

「中身は爆弾ではありませんでしたが、
500mlペットボトル大の金属製タンク2本ファンが仕込まれていました」

s22超音波震動 
超音波震動でタンク内の液体を気化させ、ファンで穴から外に送り出す仕組み。

「それで、タンクの中身ですが…、ただのでした。噴出した蒸気にも毒性はなく」

なーんだ。

が、気になるのは、中身が既製品じゃなくて金属加工であつらえたもので、
しかもサイズもきれいにズレもなくそろっていて。超音波震動を使う気化装置といい、
技術知識と高性能の工作機がないとできない仕事だ。
極左過激派のいかにも手づくりってかんじの爆弾とは明らかにちがう。

s22気味悪いのは

それよりも気味悪いのは、このアタッシェケースがあった改札口──

s22いちばん近いのがA2 
いちばん近いのがA2出口ってことで。A2から出ると目の前に、
s22人事院ビル合同庁舎がある 
人事院ビル合同庁舎」がある。少し歩けば警視庁職員出入口も。
つまり警察庁警視庁の人間がよく使う出口であり改札口であり。

オウムのしわざか」と、マルエスシフトに関わる幹部たちはひそひそ。
なんでなのかはわかんないけども、
次はサリン撒くど」って脅しじゃないのか、
という説に落ち着いた。


違うんだが。
 


s00オウムマーク 

あーダメだ、失敗だ!

s22失敗だ 
諜報省次官井上嘉浩@アーナンダ師長

蒸気が出たのになんの被害も出てない。中身はただのってどういうことよ?

ほんとならボツリヌス菌がばらまかれてたはずなのに。

地下鉄サリン事件5日前に起きた霞ヶ関駅アタッシェケース事件

麻原都心大事件を起こし、警察の目を上九一色からそらさせよう。警察庁に近い霞ヶ関駅ボツリヌス菌散布せよ」
目的も標的もほぼ同じ「プレ地下鉄サリン事件」ともいえるんだが。

ただし15日のこの騒動、被害ゼロ、
そもそも毒物ですらなかったんで、殺人未遂殺人予備も成り立たず、起訴されず追及されず終わったんでさだかではなく。

なんで失敗したかもじつはよくわかってなくて、
科学技術省製作の噴霧器アタッシェケース、噴出口の穴があいてると目立つんでメッシュで覆ったけどもそこでが詰まってしまったか。
そもそも遠藤誠一@ジーヴァカボツリヌス菌の培養が失敗だったか。


s22こっちが敵のお膝元 
「こっちがの目の前で危ない思いして仕掛けたのに、なんなの一体!
作ったやつが自分で仕掛けに行けばいいんだ!

どっちにしろ井上の怒りは、安心安定の無能村井以下科学技術省ジーヴァカじゃなくてただのバカだろ遠藤!に一緒くたに向けられてるんである。

s22一方の警察も 
一方の警察も、対応が不適切もいいとこで、このあと地下鉄ぜんぶが厳戒状態になってもいいようなのに、なぜか以後気にかけた様子もなく──

3月20日の朝に至るまでまーたくの無防備だった。

のち被害者の会高橋シズエと面会した國松長官
オウムがなんらかのかく乱工作に出るという情報は得ていたが、どこで何をするのか特定できなかった」と言い訳したんだが、
わずか5日前にズバリ「地下鉄」「毒物散布」という立派ヒントがあったんである。

同じ所に2度砲弾は落ちない、ってことで以後地下鉄はスルーしたのか。

それで警察の陰謀ガー真犯人ガーとかは言わないけども、よくわからない。たぶん警察にも「なぜ地下鉄を警戒してなかった?」が、わからないんでないだろうか。


というくらい地下鉄サリン事件直前の警視庁はカオスの極みにあった。

というのも、

s21が警視庁では  
強制捜査Dデイ5月19日とする!」

s22え4日後ですか02

「え、4日後ですか」「総監…それは…」「準備がとても間に合いません」

s22君たちはそれを私だと 
「あー君たちはそれを私だと思い込んで話しかけておるのか、それとも気づきながらわざとやってるのかね」

s21いえなんでもありません 
「あ、こ、これはすみません、総監」「まったく気づきませんでした」
(似たよーなもんじゃんか)

井上幸彦@警視総監
s22そのとおり、4日しか 
そのとおり! 4日しかないのだ! だからとっととやる! ぼさっとするでない!

警視庁警視庁で焦らなきゃ急がなきゃの事情ありで、マスコミから「なぜ早く踏み込まないのか」「假谷さんを救え」やいのやいの責め立てられてるんである。

最悪予想>着手に遅れたから手遅れでした>警視庁猛バッシング喰らう>どうせ警察庁は待ったかけるだけで責任とりもしない>ならば勝手にやらせてもらう!

s22おいっちにぃ おいっちにぃおいっちにぃ
警察庁なんて知るか也! 警視庁独断で強制捜査に乗り込むぜ夜露死苦!

もちろんそこに警視庁ノンキャリ軍団サッチョーへの反発心も。
さらに城内ファミリーの牛耳る警察庁に対して腹に一物あり@井上総監が乗っかって煽ったもんだからもうとまらなくなった。

そのあとはまさに修羅場。

上九一色村サティアン群、さらに東京総本部はじめ都内13拠点一斉家宅捜索するんで、捜査1課400名総動員でも足りない。

s22特別人事発動 
特別人事発動ゴーッ!

化学の知識のある捜査員を、捜査2課3課さらに所轄署からも引っ張ってきてどんどん捜査1課に臨時編入。さらに生活安全部からも化学工場事故検証の経験者を引っ張ってきてこれも編入。

2月の定例人事異動がやっと終わったばかりなのに…(TмT)、警務部一同号泣である。

さらにただでさえこのミッションインポッシブルに、
s21本丸はオウム 
「すべて秘密裏に目立たないようにやれ!」「記者クラブにも気づかれずやれ!
総監閣下のムチャぶり続けざまに炸裂。

だから大混乱なんだけども、静かに静かに準備は進み、何をするかまったく知らないまま、ただただ突然の辞令騒ぎに右往左往する兵隊たちである。

s22防毒マスク 
さらにワケワカのまま編入された臨時捜査1課員、自己紹介も挨拶も説明もないままいきなり防護マスクの装着訓練させられ。

警視庁松本サリン事件を受けて、化学防護マスク64個を慌てて買ってたんである。

s22同時に航空隊 
同時に、警視庁航空隊のヘリが山梨へと飛び、
上九一色村サティアン群を空撮。粛々と突入計画を練り始める。


s22機動隊長経験も 
井上幸彦機動隊長経験もある武闘派。
が、あさま山荘事件翌年機動隊長になった、
というほんのちょっと生まれる時代が遅かった戦国武将伊達政宗みたいな。

即断即決剛胆不敵、やると言ったらやるもののふの生き様みせてやらん!

s21ずごおおお 
さあ皆の者!

s22討ち入りの 
討ち入りの支度じゃあっ!

────bloods005.jpg──────s22なぜおまえが言う 
なぜおまえが言う!

という剛烈大将の下、警視庁軍団、大車輪で準備に激走。

s20きっと手伝いたい 
本富士署公安係小杉@オウム警官も、
なにか本庁がざわめいてるのは感じとる。署内刑事課も落ち着かない。

強制捜査が近い? でもいつがDデイかは分からない。
本庁幹部も知らず、捜査1課でさえ「19日決行」を知るのは寺尾捜1課長だけ。
だから所轄はだまって言うとおりにしてろや状態で。
とにかく本庁方面が急に緊迫してるかんじ。

s22人事院ビル合同庁舎がある 
この静かな大騒ぎ、お隣の警察庁はお隣にもかかわらずぜんぜん気づいてないんだが、

s22とうぜん白鳥は 
とうぜん白鳥は敏感に嗅ぎとる。

でも、
s22上に知らせる 
(上に知らせるのはやめとこ)悪い顔や。

あ、いかん、マリモマリモの水入れ換えないと。
もう3日も帰れてないし。また帰れんし──

s22いかんマリモの 
「うーん誰かに頼も。──」

s22まさささんでnew 
「また、佐々さんでいいや」


s13おれを女に土下座02 でいいやとはなんだ!


s00オウムマーク 


「おい、いま何時だ」

s22いま何時だ 
3時くらいじゃないか?」
「終電とっくに終わってるよな」

s22また待ちぼうけ 
「また待ちぼうけかよ。ほんとにこの道とおるの?」
「確認したから間違いない、……はずだ」

s22明日また来るか 
「今日も帰ってこないな。明日また来よう」

「あれ? ガフヴァは?」
端本ぉおお、またどっか消えたな。フリーマンにもほどがあるぞ」

無線もつながらんし。どこ行ったんだやつは」
「まさかまたセーラーとどっかに。くっそー」
「いいよあんなやつ置き去りで(怖いし)。帰ろ帰ろ」

s22ポア実行部隊

待ちぼうけをくらった白鳥百合子ポア実行担当隊である。


s00オウムマーク 

5月16日 木曜日 朝 ──地下鉄サリン事件4日前

s21が警視庁では 
おはようみんな!

s22御前会議 
昨日に続いて「朝いちばん御前会議」だよ!

顔をそろえたのは、井上総監石川重明@刑事部長 櫻井勝@公安部長 寺尾正大@捜1課長小風明@公安総務課長、という昨日の警視庁幹部の面々、にくわえて、

s22警備部長 コーヘイくん
中田好昭@警備部長

s21いえなんでもありません 
(また着ぐるみなの? 流行り?)
(しかもどうして兵庫県警の?)

機動隊を前備えとするからには警備部はとうぜん引っ張りこまれるわけである。

s22機動隊に第一線 
「というわけで、機動隊第一線やってもらうからな!」

s22警備部長 コーヘイくん
「……え?」 というわけでって、なんのわけで? え?

中田的に初耳。

policekoheiface;bluea コーヘイくん 
オウム捜査警察庁主導と決まってたんじゃないですか?」
「それに、上九一色山梨県ですよ。機動隊は勝手に他県へ出動できません!」
機動隊を動かすには警察庁の許可が必要です!」
オウム自動小銃持ってるとか、サリンとかそういう話はどうするんですか? 危ないじゃないですか機動隊員が!」

でも剛腕井上の前ではそんな強く言えず、
2デシベルくらいでボソボソつぶやいたくらいで押されてしまいましたんである。

kako-am6Ic4VpcTMm07me221.jpg コーヘイくん 
でもちょっとだけ勇気を振り絞って、というか保身力全開で、
中田警備部長警察庁警備局近石警備課長に全力でチクったんで全力で。

2年後酒鬼薔薇聖斗事件にも兵庫県警本部長として登場するこの人、このみごとな小役人っぷりは新潟監禁少女救出時にもかかわらず雪見酒麻雀事件でもぞんぶんに発揮されるんだが。

中田部長のチクりで初めて警察庁は、隣人の爆走トライアルを知ったんである。

s22残念 
ちっ、あっさりバレちゃったか。残念。

警察庁大慌て。こっちは黄金週間までには、くらいのイメージだったのに、
いきなり3日後!? 前倒し杉だ!

s22國松長官、急ぎ電話 
國松長官、急ぎ電話>井上総監

資格者」と呼ばれる国家公務員資格I種試験合格警察庁採用者警察キャリア絶対的年功序列なんか文章黒いぞー、

負け組はつぎつぎ早期退官して後進に道を譲ってくバトルロワイアルなオキテゆえ、
高級官僚クラスはきれーに序列がそろってる。

長官───國松 1961入庁
警視総監井上 1962入庁
次長───関口 1963入庁
官房長──菅沼 1964入庁
刑事局長垣見 1965入庁
警備局長杉田 1966入庁

國松は現役でただひとり井上より年次も格も上、じっさいの職歴でも先輩後輩。

城内舎弟のもやしども何するものぞ@剛腕井上も、國松パイセンにだけは渋々ながら耳を傾ける。そのへん体育会系なんで。

s22國松長官、急ぎ電話 
警視庁教団に一番槍をつける、これは認めよう。
だが19日は急ぎ杉だ。教団施設にまだサリンが残ってるとの情報もある。

s22逃亡信者の情報から 
いやいや当方、逃亡信者の情報から第七サティアンプラントは失敗、サリンはもう加水分解されて、無い、と断定しておりまするゆえ。

s22國松長官、急ぎ電話 
こちらも別の情報源からサリンがまだ残っている、と情報を得ているのだ。

「その情報が正しいかどうかは分からぬでしょう」
「そう、どちらの情報も現段階では確かではない。ならば、最前線に向かう警察官の尊い生命のことも考えなければ」

s22逃亡信者の情報から 
ぬぬむ………(そういうとこ突かれると武将型は弱い)

ラジコンヘリ自動小銃も仔細がわからないのだ。
機動隊化学兵器自動小銃の対策もさせなければ」

「ぬ、そこは警視庁としてもしかと配慮していくさ支度しておりますぞ」

s22國松長官、急ぎ電話 
言っておくが警視庁の持っている防護マスク程度ではサリンを防ぐには足りない。サリンは皮膚からも眼球からも吸収される。自衛隊化学戦装備が必要だ。

s22逃亡信者の情報から 
それはそうでありますが……(え、そうなの? 知らなんだじつは焦)

というわけで井上総監が、まあしぶしぶパイセンに譲歩、
強制捜査決行日Dデイ警察庁の判断にお委ねし申す、となった。

s22早期の出陣を 
「ただーし、我ら警視庁、早駆けの出陣をやめたわけではありませぬぞ」

假谷さんを早くオウムから救い出せとマスコミの突き上げが激しく。
どうせ杉田局長あたりが慎重すぎることはありませんとなどと嘯きおるでありましょうが、あやつの言うなりにしておっては来年になってしまう。

この期に及んで来月やら春以降やらぬるい日程を決められては、
警視庁としては承服いたしかねるしだい

(そのときは今度こそ勝手にやらせてもらいますからな)
s22チェケラ チェケラッ!

とりあえず暴走超特急の速度を少し緩められてひと息の國松長官である。

が、今度は國松・垣見・杉田の三者会議でまた会議は踊る。

s14垣見隆 
垣見「可能だったら19日でもいいんじゃないか」

s07神奈川本部長 
杉田「いやいや、しっかり準備して訓練もして。慎重すぎることはありません

s22慎重すぎることは 
「本当に慎重すぎることはありませんと言うんだな…」
「は?」

けっきょく三者会議は物別れに。

午後にはこの3人プラス、刑事局警備局の幹部連も加わってさらに言い合い続く。

刑事局サリンないない早く早く
警備局サリンあるある遅く遅く

お互い主張するだけで一歩も譲らず、ただ時だけ過ぎて。

s22慎重すぎることは 
頭痛が痛い…。


「はい、もしもし。どちらさまでしょう?」

s22それはいちnew 
「君、警視庁の動きを知ってて黙っていたな」

「あ、報告するの忘れてました、以後気をつけます」
「もう一度、私に意見する気はあるかね」

s22もういっかいnew 
「──私もう1回直訴したらクビなのでは?」
 

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5月16日
とあるのは
3月のことですね?

| いしむら | 2014/01/23 13:04 | URL |















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