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【事件激情】サティアンズ 第十一解【地下鉄サリン事件】

title前解へ戻る39  title目次へ39  s00主な登場人物01


オウムの子供たちがもし危険だとすると、
その危険な子供たちを産んだのはこの社会です、この家族です。
なんでそのことに気がつかないのか、わかんない。
それぐらい彼らは鈍感だと思います。
だから子供の側からすると、そういう奴らは殺してもしょうがない

(そういう奴ら?)

江川紹子に代表される連中ですよ」


──山崎哲@劇作家『宝島30』9月号




s0hサティアンズタイトル 

オウム真理教による犯行の経緯、警察の捜査は、原則公開された情報にもとづく。
ただし丸メガネの女はじめこの色で示されている人物は、架空の警察官であり、
実在する警察官彼女らの関わりは、創作全開ソースは妄想である。



s11cpt怪文書

s11警視庁 
警視庁

s11走る渋谷011 
警部!」

s11警視どのが逮捕 
警視どのが逮捕されたって本当ですか!」

「なんでみんなおれのとこに来るんだ!」

s11さっきはさnew 
「さっきは佐々さんからお怒りの電話だ。なんでマリモの世話をさせられるのだとかテレビタレントとはなにごとだとか二酸化炭素はどれくらい与えるのが適量なのだとか、知るかマリモの生態なんて! おれはあいつの保護者じゃないんだ」

「きっとオウムの差し金です!」

s11そんなわけないだろ011 
「そんなわけないだろ。いいか渋谷
あいつの身柄を押さえたのは、うちの警務部人事1課だ。あいつはサッチョウ出向中の、しかもチヨダにいる警視だぞ。ふつう警視庁監察風情が乗り込んで拘束するなんて横紙破りできるもんじゃない。

この一件にはサッチョウのずっと上の方の意志が働いてるんだ。あいつはオウムにとらわれるあまり視野狭窄に陥った。警察の一員として一線を越えたんだ」

s11警視どのを奪還 
警視どのを奪還しましょう!」
「できるかバカもん。もうおれはやつとは縁を切った。
おまえもこの件からは距離を置け、火傷するだけだぞ」

警視どのを見捨てるんですか! 見損ないました、警部!」
「あいつは強いしずる賢い。おれたちがいなくても勝手にやるだろ」

s11なにを見てたんだ 
警視どのは、ぜんぜん強い人じゃないですよ!
警部はぼくよりずっと長くそばにいたのに、なにを見てたんだ──ですか!」

「おい、渋谷、待──」

s11くそ02 
「くそ」


白鳥警視、君があまり非協力的だと、君の友人にも迷惑がかかるのだが。

公安1課本富士署に君と親しい人物がいるだろう」

s11わたしがいnew 
「わたしが違反を認めないと、彼らも“警務部の管理下”に置かれると?」
「必要ならばそれもあり得るということだ」
「いやらしくわたしの痛いところを突っつきますね。監察官の鏡ですよ」

s11じゃみとめnew 
「じゃ認めてあげます。調書は適当に書いといてください。サインするんで」
「え…、あ、はい」(…こいつはなぜこんな立場でこんな高飛車なのだ)


9月のいつからか──

ある怪文書が、警察マスコミの間でじわじわ広がった。
何者かが各所にファクスしたのがはじまり。

作者は「HtoH&T.K


松本サリン事件はオウムである

で始まる、

s11松本サリン事件に関する一考察01 
松本サリン事件に関する一考察

1万5000字もある大作怪文書なんである。

その中身はまず、

s08宮崎拉致ワゴンで間違いない 
宮崎県オウム教信者、父親誘拐事件の詳しい顛末、
早い時期からオウムが機関誌でサリンなど毒ガスについてふれていたこと、
s松本サリンballs210 
さらにサリンのつくりかた、オウムサリンをつくっているという疑い、
逆説的訴訟」大好きなのに、教団への毒ガス攻撃訴訟だけはしないのね、
という皮肉、

s松本サリン当夜0250 
松本サリン第一通報者会社員がなぜ犯人でありえないかの分析、
人的にも¥的にも物的にも動機的にも犯人はオウムしかねえだろ、という結論、

s人民寺院死体群3400 s04ウエイコ炎上01 
そして人民寺院ブランチダビディアンを例にとってオウム集団自殺の危険性、

を、なぜか斜に構えたシニカル文体で。
matsumotosarin
けっこう詳しいことまで突っ込んでる部分もあるんで、
オウム信者の反主流派が書いた?」「警察官が書いた?」「公安警察の誰かが?」「ジャーナリストの誰か?」とうわさが乱れ飛んだけども、
今にいたるも書き手は不明のままである。

興味あれば長いけどどーぞ>松本サリン事件に関する一考察


ただ、これですべてが劇的に動いた──わけはない。

s11なにしろこれ証拠も 
なにしろこれ、証拠も裏付けもひとっつも書いてない。
言いっぱなしである。だからこそ怪文書

当時マスコミふくめて世間一般で、オウムはトラブルの多い厄介者とはみなされていたけども、さすがにサリンとはまったく結びついていない。
まさか宗教団体化学兵器を開発できるなんて思いもしてないし。

警察の大部分も含めての世間一般にとって、
彼らはいまだ総選挙のへんな踊り念仏集団だった。

s松本報道被害200 
この怪文書スポーツ紙週刊誌があつかった程度で、それも東京でこそ水面下でひそひそされたものの、地方までは届かず、ほとんど知られもしないまま。

宗教法人かつうるさいオウムゆえテレビ局一般紙も華麗にスルー。
表の世界ではいまだに第一通報者会社員クロ認定され続けていた。

かくしていましばらく表的世界では
松本サリンはオウムであるは、“都市伝説”でありつづける。


さて当のオウムはなにやってたんだよ、というと、

この頃から地下鉄サリン事件の前兆というか、
個人相手の化学テロをさかんにやらかし始めてるんである。

s09土谷正実  
天才にして人格は未発達の化学バカ土谷正実のおかげで、サリンに代わるポアツールとして、ホスゲンVXガスイペリット@マスタードガス青酸ガスの生成に次々と成功。

破壊度のコントロールが効かないデンジャラス杉るサリンより使い勝手いいってことで、なんでもかんでもポアで片付けようという風潮、ポアがブーム(麻原脳内で)

で、そういう事件のひとつが、9月20日にも起きた。



s11cptウォッチャー

マスコミやら文化人やらが、オウムに共鳴したり寛容だったりした頃から、
空気を読まずに一貫してオウムであり続けたメディア人はそう多くない。

江川紹子浅見定雄@宗教学者小林ゴーマニズム宣言デーブスペクター

有田芳生は友だち江川に感化されての後発組だが、レギュラー番組「ザ・ワイド」があるのが強みで、のち江川とともにオウムウォッチャー2トップとなる。

そんな顔ぶれのなかで麻原が真っ先にポア指定した宿敵中の宿敵が、

s11麻原が真っ先に02 
江川紹子@オウムウォッチャー

s11神奈川新聞の 
早大神奈川新聞の元記者
29歳で独立してフリーランスに。
はじめは少年事件とか人権系とかやってる共産党系ジャーナリストだった。

それがオウムといえば紹子音引きがあるとないとで大違い、というくらいの宿敵的関係になるきっかけは、

s11息子が新興宗教に 
「息子が新興宗教にハマって帰らない」
出家信者母親から相談されたのがそもそもの始まり。

s11このとき紹子 
このとき紹子@31歳
当時ずっと40代のベテランだと思いこんでたのはここだけの内緒だ。

その新興宗教オウム真理教」を、紹子はあんま知らなかったんだが、
ひとまず友だちの弁護士を紹介した。

s02坂本弁護士顔02 
坂本堤弁護士@横浜法律事務所

相談を引き受けた坂本弁護士も同じくオウムをあんま知らなかったんだが、
実態を知るほどに「オウム許っせん
VSオウムへとのめり込んでいき──

s02坂本アパート03 
s02オウム実行犯シックス01 
s02殴打031 


このときの自責の念が、

s11このときの自責の念が 
江川オウムウォッチへとのめり込ませ。
ほかのマスコミ人がスルーしてるときも執拗かつ地道にオウムの追っかけを続ける。

ただしあれである、そういうヒロイックな美談だけでリアル世界は終わらず。

s11独立2年目の駆け出し 
独立2年目駆け出し無名のフリー記者だった紹子は、
オウムウォッチで報道の第一線へと躍り出た。

アンチ目線でみれば、
メジャーシーンでのし上がるため、
自分が坂本弁護士を巻き込んだ事件をダシにした、ってことにもなる。

のちオウム追及の功績で紹子は、菊池寛賞の栄誉に輝き、タイム誌でも紹介されるんだが。もろもろ積み重なって坂本弁護士母親に激しく恨まれるようになるし。

さらに坂本弁護士一家殺人実行犯のうち2人が、
オウム真理教被害者の会の中心メンバーで交流もあった2人の息子端本悟中川智正だった、というなんともはやの皮肉。

世の中は簡単には割り切れない。

s11とにかくそういう情念が 
ということはともかく取材動機にそういう情念がこもってるんで、
紹子にはほかの報道関係者とはちがう次元の気迫粘着力がある。

そしてなにより、オウムの嫌がるとこ執拗に突っつくのが紹子スペックだった。

当時のテレビのやり合いをみるに、どうもオウム得意のまくしたて話法が、江川の独特の淡々と我が道を行く的なリズムと相性最悪で、
オウム的にやりにくくて苦手だったんでないかと思われ。

s06オウムアニメ坂本事件の 
いかにオウム江川紹子を嫌いの大嫌いだったかは、オウムアニメ悪役として出てくるあたりでお察ししますである。
微妙な変名で登場する江川悪魔的ジャーナリストで、CIAだのユダヤだのの手先でもあるらしく電話を通して怪電波で相手を洗脳しちゃう魔人である。

が、坂本事件後から時が経つと、マスコミの関心は残酷ながらも薄れて、
いったん江川紹子オウムウォッチも開店休業。駆け出しジャーナリストは喰っていかないといけないんで。

s11だが94年になってオウム 
だが94年になってオウム事件が再増、
ふたたび江川悪魔的ジャーナリスト紹子も還ってくる。

いくらアニメん中で泣かそうがへこまそうがリアル紹子は黙らないんで。

s10これは死を見つめる 
ポア

まあ麻原的にそうなるわな。

s10乗り込んだのは 
ミラレパ@新實智光
ヴァジラティッサ@中川智正
ジーヴァカ@遠藤誠一
じゃガフヴァラティーリヤ@端本悟
例によって似た顔ぶれ。

強制捜査直前の警察でさえ誤解かつ過剰に見積もってたんだが、オウム信者みんなが洗脳された殺し屋マシンになってたわけではない。さすがの麻原信者にいきなり「ポアせよ」とは命じられなかった。
だからポアに出向くのはいつもだいたい同じ顔ぶれで、しかも村井やら新実やら最高幹部が自ら出陣。このパターンは最後まで変わらない。

s11ポア実行役は 
ポア要員は、1stマーダー田口事件に関わった古参幹部を母体に、新しい事件のたび少しずつ増えてるんだが。「おまえ加われ」と毎回1人2人スカウトしては巻き込むわけで、指名された信者はいやも応もなく犯罪に加担させられるんである。
坂本弁護士事件中川智正端本悟薬剤師リンチ殺人杉本繁郎のように。

ふつうに修行してたはずが、
ある日気づけば殺人犯

そうやって一度共犯になると>それが口封じになって>もう足抜けできず>また次の事件に参加させられ>以降無限リフレイン。

それがオウム無間地獄の恐怖。

s11やっと開発できたホスゲンを01 
さて江川悪魔的ジャーナリスト紹子ポア実行役4人組は、
やっと完成したホスゲンを持参していた。

ホスゲンポリウレタンの材料になるれっきとした工業用品でもあって、サリンみたいに「用途大量殺人オンリー」なんてどうしようもない化学の子ではない。
んだが、
わりと日常ふつうに発生するようなイージーかんたんな化合物のくせにホスゲンは、窒息性凶悪毒ガスでもある。

今回の作戦
s11郵便受けからホースを 
江川悪魔的ジャーナリスト紹子が寝てる深夜に>玄関の郵便受けからホースを突っ込んで>そこから室内にホスゲン注入>室内にホスゲン充満>\(^o^)/ ポア

s11ゴト01 
ゴト…

s11暗い室内 
s11猫目をさます

s11ガタゴト 
ガタ…ゴト…

s11猫なんにゃ011 
雲仙普賢岳取材で拾ってきたタレ

s11白猫もなんにゃ02 
そのあと飼うことになった雑種チビ

s11猫おちつかんにゃ 
ってチビの命名テキトーすぎないか紹子

s11ニャア 
にゃーお

s11猫廊下いく02 
うにゃーうにゃー(なんにゃなんの音にゃ?)

s11ガタゴト 
s11だれにゃなんにゃ 
んー?

s11ホース先02 
シュウウウ──

s11きしゃー 
きしゃーっ

s11なーに騒いでるの01 
「なに騒いでるの、タレチビ。なんかいるの?」

s11あれなにこれ02 
「あれ? なに、臭…」

ガタガタガタッ

s11逃走暗殺失敗01 
やばいやばい逃げろや逃げろ。暗殺失敗

やっぱり用意周到なんだか机上の空論なんだかわからんオウム

s11気管支に ぺろっぺろっ
ごく短い時間しかホスゲン噴射されなかったんで、
江川悪魔的ジャーナリスト紹子は気管支に全治2週間の軽症>命拾い。

のちゴーマニズム宣言デーブスペクターポア対象にされてたと分かるんであるが。

漫画家外国人タレントを大マジで狙うのがいかにもオウムの俗っぽさだけども、世間への影響力は下手な学者や文化人よりずっと大きいわけで、たしかに着眼点は正しい。


この94年から──

オウム犯罪は末期的エスカレーション。手口もよりいっそう雑に荒っぽくなり、拉致監禁当たり前、なんでもかんでも化学兵器を多用し出すんである。

s11一方の警察は02 
一方の警察はというと──

s11山はまだ動かない 
山はまだ、動かない。


第十二解 その男、凶暴につき。】へとつづく
title目次へ39 
s00主な登場人物01 s00事件関連年表01 s00用語組織図01 title関連資料 
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