PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

【事件激情】ハラハラクロック!5発目【連続企業爆破】

tocontents18.gif h5title4発目へと戻る18  h登場人物h20 
 

治安ヲ妨ケ又ハ人ノ身体財産ヲ害セントスルノ目的ヲ以テ
爆発物ヲ使用シタル者及ヒ人ヲシテ之ヲ使用セシメタル者ハ
死刑又ハ無期若クハ七年以上ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス
(爆発物取締罰則 第一条)


title_haraharaclock0030400_20111220214129.jpg

警視庁公安部による捜査は、
公になった記録や被告の手記などから分かるかぎり事実に即してる……はず。
ただし登場する公安部員の多くは創作で会話も捏造である。


title_鵺ヌエ064

h04220230.jpg 
腹腹時計? ふうむ」

福井参事官の差し出した小冊子をぱらぱら見て。

ha05020220.jpg 
「こういう輩は毎度ふざけた名前をよく考えるものだ」

ha050030220.jpg 中島二郎@警視庁公安部長
福井與明
@警視庁公安総務課長兼参事官

ヤバ系アングラ本の古典「栄養分析表」「球根栽培法」「新しいビタミン療法」

h05anzai200.jpg 
栄養…=武器製造マニュアル、球根…=ゲリラ戦略マニュアル、
ビタミン…=火炎ビン製造マニュアル

今だと闇サイト裏サイトあたりの危険的情報源は、
左翼系本屋それ系イベで出回る怪しげな地下出版物・アングラ同人本同人誌だった。

「この『腹腹時計』は今年3月に入ってからアカの書店に出回っており、
大阪でも見つかっています」

h0504xbookshop200.jpg

全国津々浦々の各警察公安はもちろん油断なくそのへんこまごまチェックしてるんである。
作者・発行者は不明、いきなり梱包で郵送されてきたらしい。それをまんま書棚に並べるというのも凄いテキトーな時代だが。

「それより奥付をご覧ください」

作者 編者 東アジア反日武装戦線“狼”編集委員会
発行 東アジア反日武装戦線“狼”情報部情宣局


ぬーむ。

「徹底的に分析させろ。2階に気取られるな」
警視庁2階には刑事部捜査1課がある。

総監には知らせますか」
「いや、まだいい」

さらにもう1人、不可思議な動きをする幹部が。

h05040195.jpg 
いそいそ電話中なのはノンキャリ公安参事官
お相手は、お隣の人事院ビル警察庁警備局公安第1課キャリア理事官

もちろんその話は理事官から公安のラスボス山本警備局長の耳に届く。
中島公安部長福井参事官もとうぜんノンキャリからサッチョーにそういう耳打ちがされるのは承知で黙ってたりする。

警視庁の一員であるはずの幹部が、重大な発見を警視総監に知らせるより先に、警察庁公安幹部にこそっと耳打ちする。当然のように。

なんてのを隣で見たかのように書いてるがとうぜん妄想である。
ただノリは大体こんなかんじで。

警視庁公安部警視庁なのに警視庁じゃない、
h05041220.jpg 
奇っ怪なりヌエのややこやしやな生態なんである。

警察一丸と言いながら、こんがらがったパワーバランスがこんがらがりながら、
未曾有の爆弾テロの大捜査線が、(いちおう)警視庁挙げて始まったわけなんだが。

一方、捜査線の現場では──
爆心地を中心にローラー聞き込みしまくってた捜査班が、

h0504x0200.jpg 
犯人を乗せた」という個人タクシーにたどりついた。

「学生風の2人組御茶ノ水駅で乗ってきて、

ha010220199man.jpg ha010210237man.jpg 
爆発の少し前、12時20分過ぎ頃に丸の内2丁目に着き、紙で包んだ円筒の器を抱えて三菱重工ビルの前で降りた」

それを受けて御茶ノ水駅周辺で地道に聞き込み中。


さらに現場で見つけた破片をもとに、
爆弾容器ペール缶、精巧な想像図ができあがり。

意外とあっさり墨田区の町工場に行き当たる。
限定品のペール缶だったんである。

h05050200.jpg 
オイルショックでガソリンや灯油の買い置きをあてこんで製造。フタではなく口金式で、直径29cm、高さ35cm、容量は約20キロ。

小売業者に確認したところ、1個3千円で売り出し、70個を販売。

業者の手元に残った在庫も数どおり、
売れた缶も61個までは買い手を突き止めて現物を確認。

残る9個>不明。

ha010280250pail2.jpg 
そのうち2個爆弾になった。

こうやって遺留品と目撃証言をつき合わせてじりじり網を地道にすぼめていく捜査はいかにも刑事警察なかんじ。


一方、公安部もいかにも公安警察なかんじで網をそろそろ広げ中。


title_脳髄の指紋0322

「こいつはよく研究してますねえ。これまでの過激派連中の失敗を」

h050430220.jpg 
公安4課 担当=公安資料管理

公安部は長らく反体制勢力相手にしのぎを削ってきたから、
極左系の文字が書いてあるものならひたすら読みまくりの知り尽くしまくりの、
新左翼地下出版オタク↓みたいなのもいるんである。

h00永田町にやり顔210 
「この手合いは勢いだけのやつらが多いんですが、こいつは今までいなかったタイプ。じつに危険な野郎ってことです」

「なんで嬉しそうなんだおまえは」
公安1課からきた課長代理補佐心得(主査格)は呆れて。
「それでどうだ。なにかつかめたか」

「むしろ解析班としては、冒頭の4ページ分が気になってるんです」

h06060200.jpg 
全36ページの大半が都市ゲリラ活動のマニュアルですが、
この『はじめに』の4ページ分は他と色合いが異なっていて。

「書き手の叫びたい主義主張になってます」

この「腹腹時計」は爆弾テロ実践マニュアルであると同時に、
「東アジア反日武装戦線」広報誌であり、
やつらのフランチャイジー募集広告にもなってるわけです。

課長代理補佐心得(主査格)は、重信房子がアカ新聞雑誌に載せた求人広告を思い出し、苦虫かみつぶし顔に。

h0504qh200.jpg 
『闘うあなたへ、アラブよりの招請状』
『さあ、片手に荷物をさげて知らない街に出てきて、
 私たちとともに闘いを始めましょう』


あれは今世紀最大の糞ジョークだった。女狐め。

このところ日本の公安警察重信房子一党に振り回されっぱなしである。

パリでやつらの後方支援メンバー山田義雄フランス当局に逮捕され>ペラペラ自供、兵站を支えるシンパを芋づる式に挙げて欧州組織に大打撃を与えた。
さらに重信を涙目にするために情報を絞り尽くしてやる、

と張り切った矢先の9月13日

h05ハーグ200 
ハーグ事件
オランダ ハーグフランス大使館占拠、人質をとって、
山田の釈放を要求してきたんである。

フランス超法規的措置でとっとと山田義雄を逃がしてしまった。日本側としては釈放すんなと言うわけにもいかず。

なんか日本からテロリストを輸出して同盟国に迷惑かけてバツが悪いかんじである。

今年に入って重信たちは「日本赤軍」と名乗り始めている。なんかそれも日本の悪宣伝になってて挑発されてるみたいでむかつく日本のお巡りさんであった。

と、まあ日本赤軍の話じゃないし、このくらいにして腹腹時計に戻ると、

「募集、っていっても、連絡先すら書いてないじゃないか」
“狼”情報部情宣局の電話番号とか私書箱とか載せてくれてたらすぐ解決ですね。でも連絡先はなくていいんです」

会う必要ないです。必要なことはこれに書いてあるし、それぞれ“独立した小隊と班”でがんばれ、とも書いています。
読んで共鳴した人間が好きに始めればいい。爆弾ゲリラなら1人でもやれますしね。

h0504v0200.jpg 
「まさか全国そこらじゅうでこんな事件が起きるというのか?」
「そんなことあるもんか、と言い切れないのが、この本の薄気味悪いところでしてね」

しかしだからこそ、犯人のすべてがここにある。
犯人につながる糸口が隠れてるはずなんです、この36ページの本のどこかに。

h0504oh200.jpg 
公安警察が探すのは物理的な指紋じゃなく、脳髄の指紋。

脳髄から漏れ出た「思想」という排泄物をたどる。

「腹腹時計」の作者は、主義主張を読ませて、共鳴する同志をつのるつもりだろう、
が、
公安から見ればそれこそ大きな、というか唯一の糸口となる。思想は一人ひとりちがう。同じように見えても、びみょうにクセが出る。

「はじめに」で言ってることは↓

日本帝国主義は、戦前からアジアの人々を苦しめ
朝鮮人、アイヌ民族、沖縄人民、日雇い労働者を苦しめてきた
戦後も、経済による侵略を続けている
日本は悪い国、日本人は悪い奴、息してるだけで超悪い
その歴史的罪業を罰してやる


実物の200分の1くらいに圧縮超訳したけども、だいたいこんな感じ。

h00永田町異顔5横長250 
「この内容から犯人が何者なのかを辿りますと──」

「腹腹時計」にはアカの大好きな「労働者」という言葉がほとんど出てきません。
ただひとつ、日雇いが「流動的労働者」となってる程度で。

h0504w0200.jpg 
これまでの左翼運動は、日雇いのような労働者を
「貧しすぎて革命も考えられないやつら」
「ルンペン・プロレタリアート」

見下してたりしてきた。平等叫ぶわりに差別的なんである。

それから、共産主義は旧も新も最終的には革命にもってきたいわけで、
大衆よ立ち上がれ、
ってのがいちおうお題目なんだけども、

「腹腹時計」はそうじゃなく、

h0504g200.jpg 
「日本人」まるっと帝国主義の一味、悪としてロックオン。
労働争議も反戦運動も学生運動もさくっと全否定、
で、そういう悪の帝国日本が虐げている、

h0504c200.jpg 
アイヌ人民・朝鮮人民・沖縄人民・台湾人民・日雇労働者
の側に我らは立ってるんだと言っている。

こういう考え方は、総監が会見で言われたとおり黒ヘルどもの理屈ですが、その中でもこの作者は極端に先鋭化して尖りまくってます。

h0504ih200.jpg 
「この並んでる虐げられた人民の中にホシがいるのか」
「いいえ、犯人は自分たちが悪認定してる日本人でしょう。日雇ですらない。この文面には本物感の匂いがぜんぜんない。ここに出てくる日帝搾取弾圧も、侵略も、単に観念的なイメージなんじゃないですかね」

日本人のくせに日本人を悪党呼ばわりするのが、さっぱり分からん」
「そのへん自分たちはいいんだとか正当化の理屈もつらつら書かれてますけど、まーそういうとこは、どれだけ屁理屈をこねるかだけの話なんで、どうでもいいです」


それでは、裏表紙をご覧ください。

h0504th220.jpg 
この絵柄ですが、雑誌の表紙をイラスト代わりにしてます。

『創造』? 知らんな、こんな雑誌、あったか?」
課長代理補佐心得主査格がご存じなくても無理ないですわ。韓国の雑誌ですから」

「創造」韓国で出版された反体制寄りの雑誌です。当然ながら我が国よりはるかに反共の朴政権下では秒殺で弾圧されて、この号をもってあえなく廃刊になりました。
この「創造」は国内の一般書店ではもちろん売ってません。
いま実物を手に入れるべく伝手を辿ってるところです。販売ルートはたどる価値あるかもしれませんね。

「ただ、上はどう見てるか知りませんが、この事象、難航するでしょうねえ」

「腹腹時計」には、

h0504p0200.jpg 
・表面上は、ごく普通の人であること
・隣人との挨拶は不可欠
・大勢の出入りはダメ、深夜明け方にごそごそするな
・自宅や職場ではへんに秘密っぽくするな
・髪型や服は清潔に、こざっぱりと
・職場でも左翼的な言動はしない
家族との関係はふつうに続けろ、でも真の姿を見せるな
アジト武器庫・工場は必ず別の場所にしろ


以下べからず集がずらっと。

赤軍派、連合赤軍などの過激派は、まさにそのへん基本のキすらやれなくてコケてるんで、なかなかやれそうでやれないことなんである。

h00永田町異顔片面h459 
「もし犯人がこの通り実践して、
“ごく普通の人”として暮らしてたら、こりゃ炙り出すのはホネですよ」


で、その“ごく普通の人”は、その頃──


文京区 武藤薬品

実験薬担当の美人薬剤師の評判はとてもいい。

h050550200.jpg 
こっちでもあやちゃんあやちゃんと親しまれている。
美人だけど気さくであとはご近所の評判と同じなんで略。

社長も「日本女性の美徳をすべて備えとる」とぞっこん。
あやちゃん既婚と知って無念な男子多数。

h050520200.jpg 
そんな職場のマドンナが、
こっそり薬品をくすねてるなんて、社内の誰も思いもよらない。
あやちゃんが前の総合病院からここに転職してきたのは、薬品メーカーの方が爆弾向きの化学物質が豊富だからだ。
なんてこともみんなもちろん知らん。

ha0505x0200.jpg 
今日もにこやかに「お先に失礼します」

h050540200.jpg 
帰って行くあやちゃんのバッグの底には、
職場から盗んだ薬剤の包みが隠されてる。

h050550250.jpg

次の爆弾で使う、新しい雷管をつくるために。


6発目 茗荷谷の客】へとつづく
tocontents18.gif h5title4発目へと戻る18 

h登場人物h20 
h警察庁警視庁組織図18 
h連続企業爆破事件関連年表h22 
h参考文献h23 
関連記事
スポンサーサイト

| 事件激情 | 01:06 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://nornie.blog70.fc2.com/tb.php/245-b96ae13c

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT