PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

【事件激情】ハラハラクロック!4発目【連続企業爆破】

tocontents18.gif h4title3発目へと戻る18  h登場人物h20 


爆破、殺傷の対象を限定し、
無用な巻きぞえなどの犠牲を出さないように
作戦上配慮しなければならない

──腹腹時計 vol.1 第2章「展開」より



title_haraharaclock020400.jpg  

警視庁公安部による捜査の一部は仮想にして創作である。
また東アジア反日武装戦線のうち何人かは、
もう真実はどうだったかを語ることができない。一部の会話や思考は創作である。



呉越同舟とはこういうことさ

h040010220.jpg 
人海戦術で拾い集めた2370点の遺留品は、深川射撃訓練場に運び込まれて、鑑識課捜査1課の応援で125名がせっせと仕分け中。

爆薬はまだ種類が特定できませんが、これまでの爆弾とはケタ違いの破壊力です」

爆心には30cmの穴。被害範囲200m四方

陸上自衛隊によりますと、道路破壊用20ポンド爆弾より強力で、おおよそダイナマイト10キロ、700本相当の威力ということです」

h0402020220.jpg 
31日時限装置の残骸を発見。
向かいの三菱電機ビルの屋上まで飛ばされていた。

h040030220.jpg 
時計の目安針、ねじ、ゼンマイ>市販のトラベルウォッチ
ナショナル製ハイトップ積層乾電池、ビニールコード、爆薬容器らしい破片

h060rrrr.jpg 
起爆には電気雷管を使用したらしい。
電気雷管は売るのも買うのも免許がいるし所持も譲渡も厳しい制限がある、
そして罪も刑法よりずっと重い。

h060ioqq170.png 
盗んだものや購入された製品ではなく、自製。
電気雷管つくるのは難しい。
それができる、となると非常に厄介な。


爆弾の目撃証言」

爆発15分くらい前ビル警備員フラワーポット横にあったのを見た。

ha02030220pail2.jpg 
そこに似たようなフィルム缶が置いてあることは珍しくないため、
警備員も「不審に思わなかった」

別の警備員清掃係によると、「昼休み前はなかった」
置かれたのは>警備員に見られるまでの正午頃からの約30分間
そのあいだの目撃者を捜し出せ。

予告電話

爆発5分前三菱重工ビルの交換台に若い男の声予告電話があった。

ha02050200.jpg 
“東アジア反日武装戦線”と名乗りました」


ざわざわ。

名乗りからして、少しは犯人の傾向が推定できる。

「東アジア」とは中国・朝鮮半島・台湾、場合によっては沖縄@琉球王国
それにわざわざ「反日」がくっついてることからして、いわゆる大東亜戦争での日本の侵略やら植民支配やら強制連行やらをディスる立ち位置だろう。

h040yata0200.jpg 
標的となった三菱重工は、香川照之が汚なすぎてダメなんですっな岩崎弥太郎に始まるコンツェルンの中核企業で、戦前も戦中も戦後も軍需産業の担い手。

ha03reisenh76.jpg ha03musashih76.jpg ha03chinuh76.jpg 
零戦をつくり戦艦武蔵をつくり戦車をつくり。
戦後も軍需防衛産業の担い手、自衛隊駆逐艦護衛艦をつくり戦車特車をつくり。
それで狙われた?

h04Matth170.jpg 
「黒ヘル」は黒ヘルという集団があるんじゃなくて、新しめ独立系のグループ群まとめて黒ヘル。
彼らの好む黒旗黒ヘルメットは、何色にも染まらない“無政府主義”

このカテゴリにくくられるのは、アナーキスト全共闘@ノンセクトラジカル黒ヘル系がいるし、さらに民族派右翼も。右も左も振り切った先は意外と似てるんである。

既存の過激派を全否定してるからして、黒ヘルは群れたがらず、せいぜい数人から十数人単位のごくミニ集団、一匹狼も多く。

東アジア反日武装戦線とは公安で把握している組織か」
「いえ、我々も聞いたことがありません。ただ小さなセクトはそれこそ毎週のように現れては消えていますんで。現在精査中です」

ha02060220.jpg 
ふん、公安さんもがっぽがっぽ予算使ってるわりにゃ、結局肝心なこたぁ知らないんだな、と捜査1課古参刑事が小声で皮肉る。
不協和音ありまくり。
共同捜査本部の刑事たちはお互いめっさ居心地が悪そうである。

h04070220.jpg 
h04080220.jpg 
すでに公安部は全国のアナーキストたちを洗い始めている。

ただし公安部は、そういう大事なことを刑事部には教えない。

わびさびを知らんがさつな捜査1課なんて力任せに枝葉末節の下っ端ばっか逮捕しまくって肝心のラスボスを逃がしかねない、
公安公安的思考で思ってる。

対してそういう公安の態度をアンフェアで無駄に秘密主義めが。逮捕>自供こそいちばんの近道だろーが。
刑事デカ的思考で思ってる。

公安><刑事。同じ警視庁でありながら、
それこそ水と油なんで。

今回の事件の性格から不承不承ながら公安部員刑事部捜査員がバディを組んで動くことになるんだが、
世界が違うんで同じ警察でも隠語すらちがってて。

h04100220.jpg 
「じゃおれらは地取りに…」
ジドリってなに?」
地取りだよ、聞き込みだよ」
「なら聞き込みって言えよ。刑事の隠語はわかんねえよ」

キチョウによると…」
キチョーってなんだよ?」
基調だよ、基礎調査、身柄とか人脈を洗うの」
「紛らわしいな、公安かよ。つまり鑑取りだな」
カンドリってなに?」

こんな具合。共同捜査、始まる前から前途多難。

その裏で、
デカ的手法と公安的手法、
どちらが先に犯人にたどり着くか、ひそやかな競争がひそやかに始まった。


姉妹と隊長

宮城県仙台市

h04110220.jpg 
「──というわけなんだ」

と言ってるのは、片岡利明@「狼」
三菱重工ビル爆破「狼」がやったが、人を死なせる予定じゃなかった。けど行き違いで死んじまったんだ」と説明中。

聞いてるのは2人の女、

h04110230.jpg 
姉・なほ子@25歳  妹・まり子@23歳

なほ子>変わらず素朴無口でおとなしそう、
まり子>変わらずちゃきちゃき勝ち気そう、

なんだかすごく懐かしいかんじがする片岡@「狼」である。

ともかつて「狼」に属する仲間だった。
まり子「狼」法政大の同好会だった頃からのオリメンだったが、

h04120220.jpg 
大道寺将司@司令塔とケンカ>男メン2人を連れてはやばやと脱退
が、その男メン2人ともケンカ別れしてしまいひとりぼっち>すーかり凹んで>郷里の宮城県に帰ってしまい>地元で看護短大生になった。

h04130200.jpg 
なほ子まり子が抜けてからもしばらく「狼」に出入りしてた、いちおう「ナガサワ」というコードネームももらって

が、もともとに付き添ってただけであんまし熱心でもなく、つうか「狼」の理念すら理解してるのかしてないのか謎で。性格もピュアな純朴田舎っ娘のまんまで「こりゃゲリラは無理じゃないか」と大道寺片岡も心配するくらい。

まあ、なほ子さんはきっと「隊長」と一緒にいたかったんだよな、と片岡は思ってる。お似合いなかんじだっんただが…。

h04140200.jpg 
藤沢義実「隊長」=大柄で無口、でも頼れるからついた渾名が「隊長」。彼もオリメンだったんだが、
去年の暮れ、長野の実家から「どうしても帰って来い」と言われて、
「狼」をやめて郷里へ帰ってしまった。

隊長なほ子の仲はなんも進展ないまま終わった。
2人ともシャイすぎて友だち以下恋人未満つまりほぼ他人のまま。最後まで。

隊長がいなくなったせいか、今年の初め、大道寺が脱退をもちかけると、

h04150200.jpg 
なほ子「そうする、私には都市ゲリラは無理」
あっさり受け入れて帰郷。

で、丸の内惨劇を知ったなほ子がパニくって警察に洗いざらいしゃべってしまうのではないか。<ってことを「狼」一同は心配してるんである。

h0416h180.jpg 
なにしろなほ子大道寺片岡が書いた「腹腹時計」の原稿を
タイプライターで清書してるのだ。直結でやばい。

連合赤軍のやつらみたいに「口封じに殺すまではしないが、いちおう口止めくらいしておかないと。ってことで片岡仙台まで遠征してきたんである。

こういうことはホントなら大道寺@司令塔だし口が回るしがやるもんだが、
大道寺は珍しくしぶった。
君なら次の職場へ行くまで平日ヒマじゃないか、とかいろいろ言い訳してたが、
要するに、まり子@ザ・頑固とまた口論になるのがいやなんだろう。

という彼らからはテロリスト殺気というか緊迫感があんましないんだが、

当人たちはいたってマジだっんただろうけども、
どうもびみょうに肝心なとこからズレてるような。

h040xx0237.jpg 
たとえば大道寺夫婦は、実家との付き合いをどうしようかとか、大道寺の郷里釧路にいる病気がちの父親の面倒をどうするのよとか、そんなことを気にしてる。
じゃあできるだけ多めに帰って心配させないように親孝行しましょうよ、とか言ってるんだが。というかテロの片手間に親孝行?
ちなみに大道寺の父親は彼らが全否定してる日帝の手先こと市役所の公務員である。

h040yx0220.jpg 
さらにチームの団結を強めるため連休中にキャンプしたり。

連合赤軍みたいな冬山のつらい武者修行じゃなくてふつーに湖畔でキャンプ。バーベキューとかさ、楽しくてさ。

h040zx0220.jpg 
なんなんだこのなごみすぎな日常の延長は…。

まー学生運動の学生たちも、機動隊に石だの火炎瓶だの投げたり大暴れした翌週には里帰りして家族と紅白みてお屠蘇で酔っ払ったりしてて、
こういうヘンに生ぬるい感じはどこもあったんだけども、

このへんのビミョーな違和感は事件の最後の最後までつきまとう。


さて、仙台にまた場面転換すると、
片岡@「狼」の説明が終わっても、なほ子はぽんやりした顔で、

h04170220.jpg 
「わたしには関係ないことだから」
ひとことつぶやいただけ。相変わらず話を理解してるのかしてないのか謎な…。

まり子片岡を玄関先まで見送って、
 
h04180220.jpg 
お姉ちゃんには私からも言っとくから」
「助かる。すまなかったね、君の部屋まで貸してもらって」
「いいよ、あたしも話聞きたかったし。聞けてよかった。みんなが人を傷つけるつもりでやったんじゃなかったって分かって、ほっとした」

今もまり子は上京のたびに、爆薬の原料になる農薬クサトールをどっさり買って差し入れたり、いきなりカンパを5万円も口座に振り込んでくれたりする。

闘争がうまくいくの願ってるから。やれることあったら支援する、なんでも言って」

まり子はやっぱり「狼」に戻りたいんだろうな、と片岡は思うわけで。
でもまり子の性格じゃ都市ゲリラは無理。だいたいそれでケンカ別れしたんだし。
それまり子本人も分かってる。だから戻りたいと自分からは言えない。

片岡を見送るまり子はちょっと悲しそう。

h04190220.jpg  
「ねえ、片岡くん。ねえ、がんばってね」

彼女たちって、どのくらいコトの重さを認識してたんだろう。あんまり分かってなかったんじゃなかろうか。もう足ヌケしてるわけだし、とか。

でも、そういうわけにはいかないんであるが──。

h0420h200.jpg 
警視庁公安部

現在、公安部トップは、中島二郎公安部長
警備公安を渡り歩いてきたキャリア

じつは公安部はただいま別の件で大忙しだった。
7月にパリ山田義昭@日本赤軍が逮捕されたんで、ウラ取りしたり、密航ルートをアゲるのにバタバタしてるんである。
日本赤軍の欧州ルート壊滅>大ダメージなはずで、女帝重信房子怒髪天涙目とくれば、そりゃ大金星(公安部がやったんじゃなくてフランスだが)なわけで力が入るんである。

そこへもってきてこの爆弾テロだ。バイバインが欲しい中島部長である。

その執務室で──

h04210220.jpg 
部長、ご覧いただきたいものが…」

今年春頃から出回っているアングラ出版物がありまして、内容が非常に危険であるため注意しておりましたが──これです。

h04220230.jpg


5発目 脳髄の指紋】へと続く
tocontents18.gif h4title3発目へと戻る18 

h登場人物h20 
h連続企業爆破事件関連年表h22 
h参考文献h23 
関連記事
スポンサーサイト

| 事件激情 | 00:58 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://nornie.blog70.fc2.com/tb.php/244-526c260f

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT