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【事件激情】マーダーズ イン カントリー四th【或る田舎的殺戮】

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1997年 平成9年
8月1日

奈良県

「月ヶ瀬中学生女子失踪事件」捜査本部
取調室

policetalk002v.jpg 
「なぜやった?」

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「………」
丘崎誠人、まるで抜け殻。

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誠人が事件の日からまもなくとつぜん売り払った三菱ストラーダ(中古)の後部座席から血痕が発見され、それが充代のDNAと一致したこと。

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現場の路上に落ちてた塗料片ジャージに残されたタイヤ痕。どれも誠人ストラーダ(中古)と一致したこと。
ダウンベストにこびりついてた毛髪の血液型誠人と同じだったこと。

証拠を突きつけ、びしびし厳しく取り調べて、
「てんごしようと思った」
つまりご愛好のAVよろしく少女をラチって鬼畜凌辱ねらい──という自供までこぎつけた。

seitotalk001n200.jpg 
しかしなんと大人しいヤツなのか。
逮捕連行のときにマスコミの前で演じた大暴れと同じ人間とは思えない。

たしかにこの男、仕事も長続きせず転々としたらしい。でも仕事先でモメごとを起こしたことはない。ただ来なくなったり遅刻ばかりでクビになったり。いつの間にかすうっと消えてる、そんなかんじ。
「大人しくて物静かな人」
元同僚たちの共通した印象。

生きる力が少ない。そんな匂い。

前科前歴もない。せいぜい軽めの交通違反くらい。

どうにもやらかしたこととのギャップがありすぎる。

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このままでも性的いたずら目的の容疑で立件できるだろう。

でもな──ぬーむ

調べ官はもう少しばかりこの男のことを知りたくなった。
違和感が消えない。この男のおとなしさ、それと、もうひとつ

「なあ、丘崎くんな。君の話を聞いとるうちに、君には別の理由もあるんやないかと思えてきとるんや。聞かせてくれんか」

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「さ、もう一度訊こうか。なぜやった?」

誠人はそれでやっと口を開いて、

初めて話したのだった。

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自分が生まれたときから決まっていた異端の人生を。


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四th 或る田舎的 インヘルノ
──月ヶ瀬村中2女子殺人事件

nabaririverume001.jpg 
名張川上流、小さな山の尾根に家屋敷が軒を並べる山渓の村。
梅林@3000本とお茶生産地。江戸時代の家屋やら能舞台やらが残って文化財指定なんかもされて。

ume001.jpg 
ちなみに梅林は酔狂な趣味でつくられたんでなくて始まりはれっきとした産業で、江戸時代に染料としてバカ売れしてウハウハだったんだが、化学染料登場であえなくニーズはなくなった。が、さいわい本数が多かったもんだから観賞用として名所になった。

この小さな村で丘崎誠人は生まれた。


35年前──
セイジ*リエ*、流れ流れてこの村に。

誠人の両親である。

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2人とも被差別部落在日朝鮮人の血が複雑に絡み合う出自で。

それぞれトラブルあって部落(このばやいは被差別部落の意)界隈に住めなくなった、で、知り合って夫婦になった。といっても戸籍は入れない事実婚。主義主張じゃなくていろいろやむをえずの事実婚

しかもリエ*は幼い頃から働かされてたので小学校に通えず読み書きができなかった。
平安時代とかどっかの発展途上国とかじゃなく戦後の日本の話である。

夫婦は、村人からさっそく、
「おめえらは区入りさせん」
と告げられる。

ここで登場するのが、村独自の自治制度「区」「与力」

村は長引・月瀬・嵩・桃香野・尾山・石打など、尾根や谷で分かれた小集落の集まりで、これが「区」に分けられ、
「区」の代表が「与力」

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与力っつっても↑こういう人がいるんじゃなくてってのはお約束。

区入りというのは「の一員」と認められること。区民2人の推薦がないと区入りができない。

もちろん明文化された条例じゃなく、しきたりってやつである。

法的根拠はなくとも与力の権威は絶大で、
区民の冠婚葬祭、トラブル解決、生活指導、納税、ぜんぶひとまとめで処理与力。

「縁者は一代、与力は末代」

繰り返すが江戸時代じゃなくて、1997年の話である与力。

明らかに徳川幕藩体制期に定まった農村支配制度が微妙に土着化したの図。

ちなみに月ヶ瀬では土葬両墓制埋め墓詣り墓の2つ墓がある。かつて日本じゃ両墓が主流だった。

いろんな時計の針がここでは止まってる。

book五人組と近世村落 五人組と近世村落―連帯責任制の歴史  
封建時代の旧制がいまなお有効、は意外と全国各地にある。

こういう制度は共同体の内っ側にいて疑問持たずに生きてられるならそれはそれは分厚い帰属感に包まれてすこやかに暮らせるだろう。

でもその輪からはじかれた者にとっては、そこは地獄と化すんである。

区入りがなければ与力もつかず。村の社会的生活はみんな与力がつかさどるんで、
区入りできない=自動的に村八分になるのだった。

というかリエ*は村人から初めっからじかに

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「家ぇ焼けるか、葬式できんときは村が寄ってやってやる。それ以外は付き合わねえからな」
と堂々と言い渡される。

それ村八分そのものである。

成人式、結婚式、出産、病気、普請、水害、法事、旅行、葬式、火事

こののうち葬式火事以外のには一切関わらない、
絶交だもんね仲間はずれシカトはばじ行為。
すなわち村八分

葬式火事だけ例外なのはじつは根はいいやつなんだな、じゃなくて、死体ほっといたら匂うし伝染病のもとだから、火事は延焼がイヤだから、にすぎず。

ちなみに近代ニッポンで村八分違法である。が、田舎的には…

1952年には静岡県上野村で選挙不正告発した女子高生一家への村八分事件
1992年には兵庫県佐用町水根村八分訴訟
2004年には新潟県関川村村八分訴訟。ぜんぜん最近じゃん。

じつは現代にいたるも田舎的ワールド村八分はザラなんである。

水根なんてたった7戸12人しかいない限界集落なのにそこの総代に命じられるまま1戸を村八分をしてる。もちろん総代が訴えられて敗訴したんだが、賠償金も6戸で割り勘するハメになった。なのにみんな文句も言わず裁判なかったかのように村八分続行中である。

村八分なんてのは、たいていそこの有力者の武器になってるだけって話が多く、
月ヶ瀬のようにシステマティックなのはさすがに珍しい。

郊外都市でもママ友集団あたりのシカト系イジメも装いを変えた村八分で、法的にも同じく共同不法行為として損害賠償どころか刑事罰の対象にもなる。ってことでママボスさん心するように。



田舎的田舎でばかり起きるとは限らない。都会にだって田舎的は存在する。
ただライフラインおよび全人生が一元支配されてる田舎での田舎的は生きるか死ぬかになるんでより卑劣でより罪深い。


で、まさにセイジ*リエ*夫婦は住むところもない状態になったんだが、

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村の民生委員与力が公的役回りも兼任)が動いた。

当時のマスコミ報道は、この「与力」という概念をどうにも説明しにくいんで、しかたないから「民生委員」を肩書きとして記事を書いた、だからなんだか妙な記事になった。

まあとにかくこの与力@民生委員が、区民に空いてる土地を融通させ、
「この家に住むがええ」
と夫婦に貸した。

区入りは認めぬ、が、住むことだけは許す。貧乏だろうから家賃も月1万な。

というと与力どのいいとこあるじゃん親切じゃん、のようだが、

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そこは村はずれの傾斜地、周りは藪、日当たりも悪くいつもじめじめして。
納屋だった掘っ立て小屋が、以後35年にわたって夫婦のマイホームになった。

トタン屋根、壁はベニヤ@すきまだらけで夏は暖房、冬は冷房@すきま風付き。

風呂の湯沸かしは薪を燃やして。

そして便所、なし。
「下水道の分担金を払ってないから」
だから一家は裏山に穴を掘って用を足していた。

あー江戸時代でもどこぞの発展途上国でもなく
戦後、それも平成になってからも続いてた話である。


さて、
この“親切な”与力@民生委員の大きなお屋敷に生まれた孫娘が、

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のち被害者となる充代だ。

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セイジ*リエ*夫婦は、行商、日雇いのガテン労働でなんとか食いつなぐ。

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やがて長女キリ*が生まれ、次女が生まれ、三女が生まれ、
babycry001n.jpg babycry001n.jpg 
長男誠人が生まれ、さらに四女が生まれ。

okazakihouse001n.jpg 
セイジ*は、家族が増えるたびに板っ切れで斜面に家を継ぎ足した。
だから彼らの家は一瞬3階建てに見せて、斜面に1階建て3棟が階段状に連なってるのだった。素人がやるんでさらにあばらや指数が倍増である。

区入りなしでは茶畑も持てないし区有林の権利もない。集会にも呼ばれないし、役員選出の投票権もない。
けれども負担だけはかぶせられる。の奉仕作業もやらされるし、負担金は最低ランクながら支払わされる。

30年住み続けても、Z級村民扱いはガチ不変。

とはいえ、ここが旧弊にとらわれガッチガチ隔絶された排他的集団かというと、じつはそうでもない。
そもそも梅林観光地だし。
都市生活に疲れて「癒しの田舎暮らし」を求めて半移住してきた都会人もいる。村人は排斥するでもなくふつうに受け入れて付き合っている。

そういう寛容な顔もいちおう村は持っている。

が、その顔は、丘崎一家にだけは一度たりとも向けられなかった。
日本が経済大国になろうが昭和から平成になろうが。
そこだけは不変。諸行無常の例外。

そんな極貧かつ孤立の暮らしだがセイジ*は愛人をつくった。
当然ながら夫婦仲は寒冷化する。

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リエ*は子育てをしなかった。いや、子育てという概念すら知らなかった。
7歳から働かされてたんで。されたことも見たこともないものはできない。

家事も知らないから家の中はホコリと土だらけ。家具もまったくない。生活用品は土だらけの床にじか置きである。

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一家団欒? そんなもんなかった。料理をなんとか覚えた長女キリ*がつくりおきしたおかずをみんなが食いたい時間に勝手にむさぼる。

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家族の会話もない。みんなたまたまひとつ屋根の下で息してるだけ。

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リエ*のもとにかわるがわる男たちが通ってきた。夫セイジ*がいないときに。

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で、隣り合う部屋で幼い誠人はそれを聞いていた。

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キリ*が成長すると、村にある居酒屋の賄いとして働くようになった。

で、今度はキリ*のもとにかわるがわる男たちが通ってきた。

seito001n240x.jpg 
で、隣り合う部屋で少年誠人はそれを聞いていた。

babycry001n.jpg 
キリ*は未婚のまま子を産んだ。
父親は…んー誰ってこともないまま。

──ていう何重苦ものヘビーすさんだ家庭で少年誠人は育った。

で、そんな無茶な立場でも、日本には義務教育なる制度がありまして、国籍住民票あるなし関係なく子どもはみんな小中学校に行かされるんだが。

誠人はとうぜんのようにひどい目に遭った。

小3のとき、公民館で放火騒ぎ。

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丘崎の息子がやった」と噂が立った。
なぜなら
丘崎の息子やさけ」

村祭りで金が盗まれた、ビニールハウスでボヤ

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丘崎の息子がやった」
なぜなら
丘崎の息子やさけ」

「あの子と遊ぶんやないよ」
親たちは子どもらに言い聞かせる。
「なんでー?」
丘崎の息子やさけ」


少年誠人はめっきり暗い性格になった。当たり前だ。

seitodarkness001.jpg 
中2で不登校。そのまま学校には二度と行かず。グレるでもなく(つるんでくれる相手がいない)。友だちもできず。家にこもった。

担任教師誠人に冷淡で、卒業まで数度しか様子を見に行かず。
法廷で誠人は、「不登校担任のえこひいきと体罰がひどかったから」と証言した。

卒業式だって行かなかった。
担任に命じられてしぶしぶ同級生が届けた卒業証書誠人破って焼いた。


裁判では、村の住民同級生たち、当時の担任も証人として出廷、

uwasa01v250.jpg 
「そんな差別はなかった」
口をそろえて否定した。


この事件部落差別が原因、かというと、微妙に違う。

たしかに一部にはそれがあるものの、それだけじゃないのだ。

部落差別、在日差別、職業差別、貧困、村八分、いじめ──丘崎家の人々は、戦後日本の暗部を網羅したかのごとく背負わされた。

なのに一家はどのカテゴリにも入れずどこにも属せず。
だからマイノリティの互助も、被差別への支援も、救済も彼らだけをすり抜けて。

birdchildren001.jpg 
こうして一家は、オリジナルの下層民として「創造」されたのだった。


んー、そんな目に遭ってんならなんで村から逃げなかった?

村から出なかったのが悪い
外で自立しなかったのが悪い
どこに住むかは自由、どう生きるかは自己責任

こういうとき必ずその手の自己責任論的バッシングが出てくるんだが。

そういう人は、孤立し虐げられ続けることが人の心の芯をどう破壊するか想像できないしする必要もない幸せな人か、
要領よくいつも踏みつける側にいて、
いじめられっ子にも非がある、ぼくらも被害者
とかうそぶいてた人だ。

jizo.gif 村のお地蔵さん。丘崎一家に御利益はなかった


さて、
またタイムマシンにお願いして──

2004年
兵庫県加古川市へと

tatsu02eyes450.jpg 
「わしゃ、ヤスに殺されるかもしれへん」

タツヒコ*氏が、勤務先の同僚に愚痴ってる。
ご近所ではタツヒコ*一家が突出してヤスと衝突し、憎まれてたから。

04001.jpg 
タツヒコ*家、西側の道を挟んだヤス一家のお向かいさん。

タツヒコ*氏はヤス母屋ヒサコ*らと同姓で隣に住んでるが血縁はない。だから「親族」と言い切るとちっと語弊があるんだが。マスコミによっては「遠縁」と表現されてる。
ただタツヒコ*家も代々同じ土地に住み続けてるんで隣り合ってるのは偶然じゃなく、かなり密で濃いー地縁がある。

sumikogossip220 のコピー 
覚えてますか、もともとアツコ*@タツヒコ*が10年前からうわさ広げ隊の切り込み隊長、だったんでヤスからの心証はデフォルトでよくない、

ってとこへ持ってきて、
toriosae200.jpg 
タツヒコ*氏は前からヤスがご近所ともめると、怒鳴りつけたり羽交い締めにしたり、保安官的行動をよくとってて。だから互いに悪感情。

そこへ持ってきてさらに「車騒動」連発。

サツキ*@24歳@タツヒコ*が家の前で洗車中、
carwashers220h.jpg 
ていう洗車風景だったらヤスも文句言わずにいただろうが。んなこたあない。
その水が、
「うちの土地に流れて来るやんけ!」
ヤス怒声。

そのへんで大っ嫌いになったのか、サツキ*ヤスを徹底してシカト。
「車で道譲っても礼も言わず当然って顔で行きよる」
ヤスむかむか。

そのあと、こんなことも重なる。
ヤスが自分の車を出そうとすると、

carnobuos180.jpg 
ノブオ*@26歳@タツヒコ*息子の車が道路にはみ出て駐車中。

ヤスは当然ながらタツヒコ*氏の家に怒鳴り込むわな、
「こら、車出られへんやないかいっ」

tatsu04redface208.jpg 
ところがタツヒコ*氏、またヤスめが…と思ったのか、
「今からどけるやんけ」
逆ギレ気味に返す。

そりゃとうぜんヤスお決まり癇癪コース、

nanyatokora250.jpg 
「なんやとこらっ」
ヤスに押されてタツヒコ*氏尻餅。

04002.jpg 
騒ぎに慌てて駆けつけたヤスキミヨ*が息子をたしなめようとしてるところへ、
今度はノブオ*@タツヒコ*氏息子が現れてキミヨ*にいきなり、

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「クソ婆ァ、黙っとれ!」

ヤス、あまりのことに一瞬フリーズ、

遅れてぶちぶちっ

「何どおいッ」

04004.jpg 
ノブオ*「警察呼んどおぞ! なんや、おー、やるんか!」

あとは怒鳴り合い。というか警察呼んで強気って…ちと…あれな…

まあ最後にはノブオ*がしぶしぶ車どけたんだが、
タツヒコ*氏がまたよけいな捨てゼリフで、

tatsu03badface230.jpg 
「覚えとけよ!」

こりゃどうよ? ここだけ見たらどっちがトラブルメーカーだよって域。

ヤスはあとで母親キミヨ*にぶちぶちと、

yasangrymouse250 のコピー 
「なんやあのガキら! ひとこと“ごめんな、のけらあ”言うたら済んどおやないか!
それをあのクソガキ。おかあにクソ婆いいおって。
クソ生意気なちょこざいな。ああごうがわく!」


珍しくヤスの言い分の方がもっともでござい、ではないかである。

もちろんこれだけじゃ殺人まで行き着くような話じゃない。でも今までの積み重ねに積み重ねたマグマの最後の一押しには充分すぎて。

ヤスデスノートタツヒコ*氏とその家族4人全員が並んだのである。


時代はまたさかのぼる──
1997年 

「月ヶ瀬中学生女子失踪事件」捜査本部
取調室

「………そうか、それはつらかったな」
そう一言で片付けられるのもイヤかもしれんが。

policetalk002v.jpg 
「しかしな、丘崎くん、君は中学を卒業してまもなく村を出たよな。ヨソで就職したんだろ。
なのに、なんで村に戻ってきたんや? 嫌な思い出しかない村じゃないのか?」

seitotalk002n250.jpg 
「………」

そう、時代はさらに10年さかのぼって1986年月ヶ瀬──

丘崎誠人、1日たりとも登校することなく中学(形だけ)卒業。

働かにゃってことで、測量のバイトを始めた→辞めた
東京大阪の飲食店で調理師見習いとして住み込み→辞めた
土木作業員を始めた→辞めた警備員になった→辞めた左官見習い→辞めた。ま→やめた。やめた。やめた。

家族の会話もなし、中学でも人間関係もなしだった15歳少年が、外界で急に円滑なコミュニケーションなんてとれるはずもない。

毎度毎度毎度いつの間にか実家なんちゃって3階建てに舞い戻ってる。

家では数少ない贅沢品プレステで黙々とゲーム。これまた贅沢品ビデオでは18禁ビデオ鑑賞。とくにお気に入りは少女凌辱もの。
そのへん買う金は、老いてまだ日雇いガテンを続ける親にねだった。
丘崎家には1台しかテレビがないので、誠人がAV見たくなると、そのたびにテレビを自分の部屋にえっちらおっちら運ぶ。
終わるとえっちらおっちら戻す。そのテレビで見たくないよ兄ちゃん。


もはや何度目かしらん、

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またもや誠人なんちゃって3階建てに舞い戻ってきた。中学を出て10年経ってた。

もう2・3番目の姉はとっくに自立して家を出ていた。

babycry001n.jpg babycry001n.jpg 
キリ*@28歳子どもはさらに2人増えてた。やっぱり父親は、んー…誰ってこともなく。

狭い家に、まだガテン現役の老父母セイジ*リエ*、姉キリ*3人の子ども誠人、計8人がひしめく。

もはや誠人、働こうって気配すら見せず。

プレステAVビデオ、たまに滋賀県のソープ街雄琴まで遠征して肉肉しいものを発散。
その軍資金は親にねだってせしめる。

もうひとつの楽しみ、自慢の三菱ストラーダ(中古)
もちろん親にねだって農協でローンを組んでもらって買った。

seitoscar001.jpg 
チャゲアスドリカム、アーーーバンなかんじのラブソング系を流しつつそのへんをひた走るのが誠人の幸せタイムだった。

深夜までゲーム。昼まで寝る。夕方にストラーダ(中古)でどっか行って夜戻ってきて深夜までゲーム以下無限の毎日。

mutsuohead200h.jpg yasudowner001n100.jpg seitoface001.jpg 
睦やんヤスも、そして誠人も、
なぜか田舎的殺戮者は、同じ道を同じように往くんである。

えいやっと外の世界へ出て行ったことだってあるにもかかわらず。

なぜか本人にとってもっとも忌み嫌って憎みまくってるはずのそこわざわざ戻ってしまう。糸でもついてんのかってくらい。

seitoshout001n.jpg 
彼らはそこを忌み嫌い憎悪を燃やしつつ、でも外じゃ生きられない。
だからそこに帰ってくるしか道を知らない。

で、そこは家もあるし親(の金)に依存してとりあえず生きる。
でもそこを憎んでるのは変わらんわけで。
それでますます毒々な澱をためていく。

そこに未来がないことも分かっていてもそれでも。
そこに居続ければ必ず破滅すると分かっていてもでもそれでも。


事件は、
丘崎誠人が村に舞い戻って1か月後。
1997年5月4日に起きる。

その日──

backtohome001.jpg 
自慢の愛車ストラーダ(中古)で夜明けの月ヶ瀬へ朝帰り中。
前日の夜、例によって母親からせしめた金で滋賀県雄琴ソープ街で肉肉しく発散、
晴れやかかつ仙人的な気分で翌朝、月ヶ瀬へと帰ってきた。

seitosleep002n.jpg 
さすがに眠くて、途中の村営パーキングでちっと仮眠。
起きたら昼過ぎ。また運転開始。家へ家へ。

seitodrive001.jpg 
愛車ストラーダ(中古)飛ばし飛ばし。

と、

girlontheroad001.jpg 
県道をジャージ少女が歩いてるのを見つけた。

あれって──おお、充代やないか。
帰る途中か。部活かな。

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与力@民生委員の孫娘充代@13歳は、卓球大会が終わって、家に帰るところだった。

この先、まだ高台にあるお屋敷までずいぶんある。

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誠人は愛車ストラーダ(中古)のスピードをゆるゆる緩めて、

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少女に、

追いついた──



th 或る田舎的ファイナルカウントダウン名張ぶどう酒事件】へと続く


目次 contents
> 参考文献 web_book_magazine

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COMMENT

月ヶ瀬

ぐわわ…!ここで(続く)ですか…!
「オリジナルの下層民」を読んで、この現代にそんな家族が存在するなんてと驚きました。
思っていたよりさらに冷たく酷い疎外状況だったのだなと、ショックを受けました。
被害者が村の中心人物のうちの子だったというのも知りませんでした。
睦やんは非モテで男子陣からはハブでしたが、夜這に回っていた女子とは、嫌われつつも、嫌われる程度の交流があったわけですよね?
丘崎誠人は誰とも接点もないまま、村から「丘崎家」という存在して存在しない妖怪のような扱いを受けて、生まれたときから避けられていた…。
人が少ないというのはなんと恐ろしいことか…と思います。

数年前の奈良幼女誘拐殺害事件の小林も、非モテ新聞配達でしたよね。
月ヶ瀬、奈良の事件などのために、私の中では奈良はダークなイメージがあります。
昔は都ではっきりとあったはずの上下関係、それが、人の出入りが少ないエリアのために現代にそのまま残っているんじゃないかと勝手に思っています。

| 垢なめ | 2011/08/21 23:24 | URL |

> 垢なめどの

> ぐわわ…!ここで(続く)ですか…!

続いてしまうんです、すみません。

> 「オリジナルの下層民」を読んで、この現代にそんな家族が存在するなんてと驚きました。
> 思っていたよりさらに冷たく酷い疎外状況だったのだなと、ショックを受けました。

先進国のはずなのにな、という感じです。
誹謗中傷にならぬように大丈夫な程度に手控えたんですが、それでもひどいかんじです。

> 被害者が村の中心人物のうちの子だったというのも知りませんでした。

これも今回調べてから初知りました。
ずっと「民生委員って田舎じゃ凄い権力あるんだな」と思ってましたし。

> 村から「丘崎家」という存在して存在しない妖怪のような扱いを受けて、

そういう存在をこしらえてしまうのは集団にはやはりそれなりのメリットがあるんだろうな、と思います。

> 人が少ないというのはなんと恐ろしいことか…と思います。

なんとなく数十人とか数百人とかそのくらいの「みんなが顔見知り」規模がいちばんやばい気がします。他の生き方が許されないというか。生死に関わるというか。

> 数年前の奈良幼女誘拐殺害事件の小林も、非モテ新聞配達でしたよね。
> 月ヶ瀬、奈良の事件などのために、私の中では奈良はダークなイメージが

ああ小林薫@俳優でないほう唐揚げ大好き、もいましたね。あれはどうも後味が悪い。
奈良は事件の数は少ないんだけど、たまに起こる事件が特異で目立つんですよね、なぜか。

> 昔は都ではっきりとあったはずの上下関係、それが、人の出入りが少ないエリアのために現代にそのまま残っているんじゃないかと勝手に思っています。

地図を見ますれば、市街から離れるとぽつんぽつんと山の中に孤立してる人里がけっこう多いんですよね。そして市街自体も内陸であまり行き来が便利ではなく、そこでどんづまりなので交通の要路でもない。
そういう場所ではいろいろと独特の価値観形成がありそうです。

| noriaky231(仮名 | 2011/08/24 14:49 | URL |

「彼らはそこを忌み嫌い憎悪を燃やしつつ、でも外じゃ生きられない。
だからそこに帰ってくるしか道を知らない。

で、そこは家もあるし親(の金)に依存してとりあえず生きる。
でもそこを憎んでるのは変わらんわけで。
それでますます毒々な澱をためていく。

そこに未来がないことも分かっていてもそれでも。
そこに居続ければ必ず破滅すると分かっていてもでもそれでも。」

これ、もっすごリアリティあると思います。
犯罪に結びつかなくても、こういう人多いと思うなあ。。。

| ash | 2011/08/26 23:45 | URL | ≫ EDIT

> アッシュどの

> 「彼らはそこを忌み嫌い憎悪を燃やしつつ、でも外じゃ生きられない。
……
> そこに居続ければ必ず破滅すると分かっていてもでもそれでも。」
>
> これ、もっすごリアリティあると思います。
> 犯罪に結びつかなくても、こういう人多いと思うなあ。。。

じつは我が実家のご近所にまさにそういう輩がいまして、大鵬されました。
しかも犯罪に結びついて。
親が死に、実家に仕事もせず住み続け、大型犬を4匹も飼ってて、散歩させて通行人や犬を襲わせてはけらけら喜んでましたな。しかし、とうぜん大鵬。
もう出てきたんかな。

今までは貧乏でもまだ親に余力があってなんとかなってきたかもしれません。
そのへん世に出てこないんで隠されてたというかいないことになってたというか。
でもこれからはホント貧乏。そして彼らは中年。

どうなるんでしょ。


| noriaky231(仮名 | 2011/08/27 16:16 | URL |















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