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【事件激情】県警対14歳 Vol.3【酒鬼薔薇聖斗事件】

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  以下、 この色の人名*すべて仮名である。

  警察を含む登場人物会話思考の多くは創作である。

  ただし、事件に関わる行動やその結果事実関係は公開された記録にもとづいている。




透明な存在であり続けるボクを、
せめてあなた達の空想の中でだけでも
実在の人間として認めて頂きたいのである。

──「第二の挑戦状」より



comi_irezumino.jpg 
 > 事件地図           > おもな登場人物 /yubiright38x20.gif
   └ α(北須磨団地) /yubiright38x20.gif    
   └ β(タンク山) /yubiright38x20.gif



1997年 5月25日

日曜日
──2日目 午後

酒鬼薔薇聖斗

tankyama04bush200px.jpg 
タンク山の行き慣れた獣道をずんずん行く。

タンク山というのは小さな丘に見えて目印になるものが何もなくただただ無秩序に木々が生い茂ってるばかり。タンク付近のほかは獣道くらいしかないんで、大人でも迷ってしまいそうだ。
でも酒鬼薔薇にとっては自分の庭のようなもの。何人で来ようと捕まるものか。

さっき警察犬が吠えてたな。
あれを嗅ぎつけたのか。犬はやっぱり鼻がええんや。
なのに人間の警官は気づかず帰ってしまった。あいつら犬より頭悪いんや。

dogsasuke01.jpg 
ふとサスケを思い出す。

dogsasukeandbachan01.jpg 
ばあちゃんの犬。

ばあちゃんサスケ
dogsasukeandbachan02going01.jpg 
もういないけど。


さっき糸ノコを使ったとき、指に伝わってきた感触も思い出す。

昨日よりずっとよかった。
あのときはやるべきことをやるのに精一杯で、せっかくの感覚をゆっくり味わう間もなかったから。

今日の方がずっと満足感というか素晴らしい気分を味わえた。

crime05kananoko01s200px.jpg 
ちなみに酒鬼薔薇はずっと「糸ノコ」と最後の最後まで間違えてるんだが、実際は「金ノコ」なんである。
でないと、南京錠を切れないわけだし。


でも失敗したのは、口の中にまだ残る味。
boy00perori2.jpg 
鉄臭っさ
金属なめたようや。
いい考えと思ったんやけど。やめときゃよかった。正直うがいしたい。

crime08plasticbag02s200px.jpg 
手にはずっしり重くなった黒いビニール袋
ふうん、意外と重いんだな。

さて、これ、どないしよか。硬くなっとったから記念品もとれへんかったし、
といってこのまま家に持ち帰っても置くとこないしな。
もう一度じっくり眺めてみたいのもあるし。

うん、やっぱりあそこや。あそこなら人も来ない。

そうと決まれば急げや。酒鬼薔薇ビニール袋を手に生い茂る葉をかき分けながら市道へと下りていく。


もちろん友が丘一帯はくん捜索の真っ最中で、大勢の人々が行ったり来たりしてる。

ちょうどタンク山南側の市道も、

teacherwalk01s180pxc.jpg 
多井畑小学校女教師が歩いていた。


彼女くん捜索に休み返上で加わってるんだが。

歩道に人の姿が現れてもとくに興味は引かれなかった。まじまじ見たわけでもなく視界に入った程度。

近づいてくるその人物は見たことのある顔の気がした、
けれど、くんと明らかに違うし。
相手の持ってる重そうな黒いビニール袋も視神経はとらえた、
けれど、意識レベルでは認識してない。
ダッテソレハチイサイフクロジュンクンジャナイカラ

manwalking180px.jpg 
相手とすれ違ったあと、

脳髄の忘却システムがその人物と出くわした記憶を短期メモリから長期メモリに移して保存するか、その価値のないものかを検討、
結局覚えなくていいゴミデータとして忘却のゴミ箱へポイ。

彼女の脳はその人物とすれ違ったことをまもなく忘れる。

もちろんその人物

parktomogaokanishi200px.jpg 
友が丘西公園の方へと向かい、さらに谷へと降りていったなんて知るはずもなく。


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北須磨団地の裏には、タンク山のほかにも多井畑の広い雑木林がある。

woods04bamboo02x200px.jpg 
里山といえば聞こえはいいけど、まあ開発の削り残しで繁り放題の荒れた森なんである。


今日はそんな多井畑の森にも捜索が入り始め、
その警官3人組も団地棟の裏手にある小道から入ったところ。

police_yamagari01s200px.jpg 
雑木林を歩き回るから、いわゆるお巡りさん的な制服警帽ではなくて、
出動服にキャップ式活動帽という出で立ち。
一般の皆さんがネズミ捕りに捕まえられるときによく見かけるスタイルですな。

うはー、なんちゅう深い森や、
警官3人組は早くも疲れてる。
あの整然とした住宅街のすぐ裏っかわが、こんな原生林みたいだなんてなあ。

地図によるとこの奥に「入角ノ池」というのがあるらしい。
「ニュウカクノイケ?」
イレズミノイケ、と読むそうです、班長」
「なんや薄気味悪い名前やな」
「地元の人でもよっぽど年寄りやないとあることも知らん池だそうです」

まもなく入角ノ池のほとりに到達。

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「なんや…藻だらけやな」
「よどんでますね」
「臭っさ。おい水腐っとるんか?」

鬱そうとした森の中、昼なお暗ーく静か。たまに鳥がそこらで鳴いてる。
池というよりとか的な美しくない雰囲気。ぜんぜん癒されねえし。

この入角ノ池はずうううっと昔、このへんで細々やってる農民が農業用水向けにつくった人工池なのだった。
ニュータウン開発後はまったく使われもせず、水源も涸れて、かといって干上がりもせず、ほとんど忘れられて森の奥でずううっとよどんで臭っさいまま。

woods03irezumi03x200px.jpg 
「やな感じやな」
もしや、ここに迷い込んで足を滑らせておぼれたかも──を考えて、

よどんだ水面を見渡してみるけれども、人が浮いてるなんてこともなかった。
なんとなくホッとする。こんなとこで溺れ死ぬなんてあんまりだ。

もっと奥へ行くか。

「そういや班長、『踊る大捜査線』って観られてます? 織田裕二の」
「いいや、なんやそれふざけた題やな。織田裕二ってあれやろカンチやろ」
カンチ? 古いなあ班長。いや踊る大捜査線、おもろいですわ。リアルっつうか。捜査本部とか管理官とかちゃんと出てくるし、所轄のデカが勝手に殺人事件の捜査とかしてないし」

bookcddekakon02.jpg 刑事魂 ~ TV刑事ドラマソング・べスト 
警察官は刑事ドラマなんてバカバカしくて観るもんかと思われてるが、
じつはリア警たち、けっこう楽しんで観ていて。

「へえ珍しい、きちっとつくっとるんか」
事件記者が監修に噛んでるんやそうです。まー厳しいこといやおかしなとこあるし、本物のキャリアの人らって、ギバちゃんみたく威張っとらんと思うんですけどね」

book05dvdodoru.jpg 踊る大捜査線 コンプリートDVD-BOX  
ギバちゃんって、一世風靡の」
そいや!そいや!そいや!──っていちいち懐かしいなあ班長」
「あのギバちゃんキャリアなんか?」

muroikanrikan.jpg 室井管理官コンプリートブック (ぴあMOOK) 
警視庁管理官ですわ。で織田裕二が所轄で」
「へーえ、言うほどおもろいんなら観てみよか」
「え、最終回で終わっちゃってますよ、2か月くらい前」
「終わったドラマの話すんなタコ」

なんてざーとらしいヨタ話をしてたかどうかはともかく、
この年1月から3月が、のちにモンスターコンテンツに化ける「踊る大捜査線」TVシリーズ初放送だった。

と時代感なぞ醸しだしつつしてると、


「ん?」

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「なんや? あの子


一瞬、いなくなった男の子か、と思いかけたが、違う

なんで、森の奥から?
警官たちちょっとゾッ。

あれ   人間か?

やけに小柄で華奢。色白。
なんか生活感のない顔つき。無表情。

手には学校のっぽい手提げバッグ。
boy06withbag180px.jpg 
何が入ってるのか不格好に膨らんで重そう。

「おうい、君。どっから入ってきた」

華奢な少年はべつに驚く様子もなく見返して、

西公園の入口から」

「え、あんな方から来たのか?」
警官3人組の入ってきた団地棟とは反対の高台ではないか。あっちに道なんてなさそうだが。

policemeninwoods.jpg 
「君。昨日な、男の子がおらんくなったんや。危ないで、あまりこういうとこ出歩いとらんと早よ帰りや」

華奢な少年はうなずくと、そのまま入角ノ池の方へと向かっていった。
補助バッグを重そうに持ちながら。

警官3人は、補助バッグの中身なんて気にもしなかった。
彼らが探してるのは11歳の男の子で、
あんなバッグにおさまるものじゃないのだ。


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さらにその頃──
book_aro40.jpg キレイな大人髪カタログ 髪型ファイル vol.10 (Miss Books)

「なんちゅう混んでるんや。6時間もかかるなんて混みすぎやわ!

琴絵*、やっと美容室でヘアセットを終えたものの。
家に帰っても息子3人も留守やしってことで、いそいそくん捜索の手伝いに。

kitasuma0ptameeting200px.jpg 
PTAの会合に駆けつけた琴絵*は張り切って提案した。
「ただ回っとるだけじゃあかんと思うんです。写真入りの手配書みたいなのを貼らな。人通りの多い駅とかに」

大抵こういうときは琴絵*のようなタイプが張り切って提案するし、みんな引っ張られるんである。
そらええわ、日向*さんの言う通りやと、さっそく住民たちはの顔写真を引き延ばしてコピーしたポスターを80枚つくって手分けして地下鉄やJRの駅に貼りに回った。


night02xmansion230px.jpg 
夜9時になって、
「昼頃、離宮公園くん似の男の子がひとりでいた」と目撃情報が届き、

policemen03s200px.jpg 
さっそく須磨署員with警察犬@働きを認められずプチすね気味、土師夫婦“じいちゃん”その他が、須磨離宮公園へと急行。
が、もう暗いし、広くて入り組んだ空間が多いし森もある。

「明日の朝、また出直しましょう」
みんな疲れる足で一旦撤収。


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あれは明日どうなってるんだろう。

darkroom01deep.jpg 
寝転がりながら酒鬼薔薇はふと。

時間とともにあれがどう変化するのか。表面とか色とか変わるのか。

そう一度思うとむしょうにまた見たくなる。

crime05kananoko01s200px.jpg 
あの糸ノコ金ノコだが)を使ったときのあの気分。満足感。んー満足というのともなんか違うな。

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全身が泡でいっぱいになるような満たされた最高に気持ちいい──
“この不思議な映像は僕がつくったのだ”
とか眺めて思ってるうちにせっかくの感覚はすうっと引いてしまったけど。

また感じたい。あれを見れば思い出せる、あの感覚もよみがえるはず。

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明日も行くことにする。あの暗い森の池に。



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    > おもな登場人物 /yubiright38x20.gif  > 事件地図 /yubiright38x20.gif


5月26日

月曜日


──少年がいなくなって3日目


朝6時から再度須磨離宮公園に乗り込んだけれどもやっぱり空振り。

「お父さん、お母さん」
警官が言いにくそうに提案。

policemen08atrikyupark.jpg 
「すでに3日目です。公開捜査にしてはいかがでしょう」

「分かりました。お願いします」
「ただ、そうしますとですね、くんのいろいろな情報も新聞やテレビで公開されることになります」
「それは、知的障害のことですか」
はちょっとムッ、
でも警官に悪意はなくて親切で言ってくれてるのだと思い直して、
「構いません、お願いします」

といってるうちにまた雨。

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午前11時40分
須磨警察署土師淳捜索の公開捜査に踏み切った。


daysmansion200px.jpg 
一方、マンションの土師宅では、

電話番を引き受けた藤原*さんと日向*さんつまり琴絵*が朝から待機中。頼まれたというより聞きつけた琴絵*が目をきらっきらさせて「引き受けてあげる」と前へ前へと乗り出して“頼まさせた”わけだが。

maruhi03.jpg北須磨団地のママ友ウラ事情 土師家と日向*

ところで土師さんちの奥さん琴絵*の脳内設定ほど琴絵*親しいママ友とは思ってなくて、

琴絵*卓球サークル日向*家には家族用卓球台があるくらい卓球主婦なのだ)にグイグイ誘われて、年上だし発言力もあるみたいだから断るのも気が引けるし、仕方なく付き合ってラケット振ってみたりもしたけど、

やっぱりそんなのガラじゃなくて自分的には刺繍とか編み物とかインドアなライフスタイルが好きだしで、
カドが立たないように徐々にフェードアウト──のつもりが気づけばやっぱり前へ前へと家に上がられてドヤ顔で助けてあげられて


遅れて姉夫婦つまりからみると伯母夫婦もやってきた。

tamagotti200px.jpg 
琴絵*は持参のたまごっちを2ついじって暇つぶし。

それに飽きると、藤原*さんや伯母夫婦を相手に話を始めたが、
ありがちなことでついつい自分の息子たちの自慢話になってるし。

伯母は、
(なんちゅう人や、こんなときなんでたまごっちやのんなんで子どもの自慢やのん)

おとなしめの義妹とは違って、スパンッとモノ申す性格なんで、

motherandant200px.jpg 
「もう身内も来ましたからけっこうです」
藤原*さんともども追い出した。
なんもしてない藤原*さんとんだ巻き添え。

でも琴絵*はこういう性格特有の卓越した鈍感力を発揮、相手を怒らせたなんて微塵も感じず、
その足で同じマンションの藤原*さん宅に寄ると、
お昼用に持参した弁当をぱくついたりダベったり。

mother07twomothers200px.jpg 
まあ彼女らがくんを心配してるのは決してウソじゃないんだけども、

とはいいつつ他人様の家のことだし、この捜索騒ぎはふってわいた非日常なお祭りだった。
ご近所のみんなさんともどもスリリングなひとときを体感してるのだ。
これは彼女らがまさに外道ってわけじゃなく誰だってそうなることで。

え?違う?自分なら心の底から一片の曇りもなく心配できる?

sosaku01taihousewife180px.jpg 
ちょうど今、タンク山を歩き回ってる主婦3人組も、
多かれ少なかれそんな人たちだった。

アンテナ基地局への小道を登っていったのもなんとなく。
タンク山はそんな広くもないから大勢で回ってればそろそろ探すところも尽きてくるわけだし。

「朝、自治会の人がここも探した言うてたけどなあ」
まあ念のためや。

「んーやっぱ鍵かかってるねえ」
3人はフェンス越しに中をちょっと覗いてみた。
でかいアンテナしかあらへん。

antennabase03fencewith weeds 
というか草ぼうぼうや。
刈った方がええんちゃう? これ電波とか障害とか起きへんのかな。
なんて思いつつ主婦3人は引き返した。


  gl01013.gif

その頃、酒鬼薔薇は、

parktomogaokanishi200px.jpg 
そこらを行き来する捜索隊を横目に見ながら、昨日と同じく友が丘西公園へ。

西公園の南端にはちょっとしたあずまやとベンチがあって、明石大橋なんぞも見える眺望がなかなかにして素晴らしく。

thillwestpark02x200px.jpg 
しかしあずまやを取り囲むコンクリ製のアニマルたちがキモカワすぎ、
というか単に不気味で、子どもたちの心にトラウマを植えつけること以外の何のためにあるのか謎なのだが、

もちろん今の酒鬼薔薇にはそんなラクダやカバなんてどうでもよく、

bookpicdoreinferno01intowoods180px.jpg 
公園の奥から雑木林の谷へ入ると、

woods02mamushi200px.jpg 
ロープにつかまりながらでないと進めない急斜面の難路“まむし道”を通って、

ふたたび入角ノ池のほとりに。

woods05irezumi01x200px.jpg  
酒鬼薔薇まむし道しかこの池に来る経路を知らない。

でも昨日ここらで出くわした機動隊員3人は、まむし道でなくて東の方から簡単に入ってきたみたいだった。

ちぇっ、なんや気に入らん。
森の奥深くの秘境やから特別の場所と決めたのに、あいつらみたく簡単に入ってこられる道があったなんてしらけるわ。

気を取り直し、
誰も昨日みたいに池の近くにいないのを確かめ。

隠し場所──水ぎわの木のうろから、
it200px.jpg 
それを取り出してゆっくり鑑賞



ふうん、


こんなもんか。


なんや変化が思ったほどないな。拍子抜けや。

昨日のあの全身を満たすような満足感というかなんともいえん気分もわいてこんし。


さて、これどないしよか。

相変わらずそこらじゅうで警察PTAのおばさん連中も総出で大げさな捜索が続いている。友が丘ってこんなようけ人が住んでたんや、と驚くくらいぞろぞろと。

どこに隠しておいても、いつか見つけられる。

sakakibara01u200px.jpg 
そうだ、

どうせ遅かれ早かれ警察に発見されるんなら、
いっそこっちからこれ晒してやったらどうや。

酒鬼薔薇は我ながら名案にいつになく興奮。
そうと決まればすぐ戻らな。さっそく準備にかからんと。


 gl01011.gif 

そしてさらにその頃、

あら、あかんもうこんな時間、長居したわ、ほなさいならっ。

tomogaoka01street200px.jpg  
琴絵*藤原*さんに失礼すると自分の家へと急ぎ足。


  gl01013.gif 

ふん、みんな真剣な顔して探し回っとったな。

のわりには酒鬼薔薇がチャリの前カゴに膨らんだバッグを乗っけて堂々と目の前を走り抜けても、

chari01maekago200px.jpg 
ひとっりもこっちに目を向けない。
え、あんたらそんなんでええの?と言いたくなるほど簡単だった。
なんちゅうアホどもや。

いっそこれをかかげて叫んでやればよかったやろか。

bookpicdore02infernoBertrandeBorn250px.jpg 
おい! おまえらの探しとるんは

これやろーっ!



嘘やけど。やらへんけど。


家に着くと、

bathroom02watertap200px.jpg  
さっそく補助バッグからそれを取り出して風呂場へ。

bathroom03tarai200px.jpg 
庭から持ってきたタライに立てて、ホースで水をかけてやる。

bathroom04water200px.jpg 
ずいぶん泥や葉っぱや草がへばりついてるし。
きれいにしなくちゃな。ごしごし磨いて。ごしごしごしごし。

「せいぜい警察の目からボクを遠ざけてくれよ」
洗いながらささやきかけたり。

「君の初舞台だよ」

さてと、夜までいったん家のどっかに隠さないと──


そのとき、玄関の方で
doorinner.jpg 
人が入って来ようとする物音がしたけど、

水の音と夢中になってるせいで、酒鬼薔薇は気づかない。



mothertakeoffshoes200px.jpg 
ただいまァ、

と靴を脱いだ琴絵*

あーしんど。なあ今日も大変やったわあ、くんのなあ──

rouka01_170px.jpg


しーん。

あれ、まだ誰も帰らへんのやろか。


──なんやの、この音?

bathroomdoor00x114px.jpg 
あら、お風呂。

おかしいな。水漏れやろか。
なんや扉も開きかけや。

このウチもあたしのおかあちゃんがこの団地出来たときに買ったんやし、
築30年じき突入や、建てつけとかガタきとるんやろうな。

あ、そうそう、ここな、この部屋な、ここ今は物置みたいになっとるけど、前はおかあちゃん(息子ら的にはばあちゃん)の部屋やった。
シゲル*があたしに叱られて逃げ込むのは必ず“ばあちゃんの部屋”や。

Godoftoilet.jpg トイレの神様(DVD付)
シゲル*はほんまおばあちゃん子やった。

子育てでおかあちゃんとはよう言い合いしたわ。おまえは子どもを叱るばっかりや、もっとかわいがったり、シゲル*がかわいそうや、とか毎度小言でなあ。
あたしからしたらおかあちゃんこそ孫を甘やかしすぎやったわ。せっかく母親のあたしがしつけとるのにしめしがつかへんやないの、とかよう揉めたなあ。
あら、いやや、あたしこんな説明的な独り言なんでつぶやいてるんやろ。

とつかの間しんみりした琴絵*だが、


にしてもなんやの、さっきから。
誰か風呂入っとるんか?

「なあ、帰って来とるん?」

mothertobathroom01x200px.jpg 
「誰やの? おとうさん? ユキオ*? ソウヘイ*? シゲル*?」

しーん。水の音だけぴちゃぴちゃ続く。

琴絵*はすたすた行って、

浴室の扉を押し開け

bathroomdooropen01.jpg


Vol.4 校門で待つものへ続く


そう、校門まだたどり着かぬんである。
前回、Vol.3で27日あの朝までをやる、と書いたけども、
破局的大量になってしまうので、すまぬがもう1回分割である。

shazai.jpg 次回Vol.4こそあの朝まで語る、予定。

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linksuzume0502.jpg <素材拝借感謝

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COMMENT

いや~~この終わり方こわいっ!!

しかし何度も人に見られてるのに
「まさかあんな子が」とか「まさかあの中に」とかいう先入観があると
いっくら変な場所を一人でうろついてても、スルーされちゃうもんなんですね。

そして、「まさかこんな場所にね」ってところにこそ
探し物があるというのも、実感としてものすごくわかります。

しかし、そーかー、血ぃ舐めたかあ。。

| ポロン | 2011/02/05 20:59 | URL | ≫ EDIT

うえーんうえーん、こわいよーこわいよー。

いやマジで、怖いです。
サカキバラ少年の心理描写はのりあきさんの想像もあるの??
それとも本当にこんなだったのおおおぉぉぉぉv-37


琴絵、なんかヤダ。。。v-17

| 志龍 | 2011/02/08 15:56 | URL |

まだこの頃、世間的には14歳は殺人をしない年齢と思われていたんだね。

少年の狂気、やっぱり空恐ろしいです。

| かあたん | 2011/02/08 16:05 | URL |

> ポロンどの

> いや~~この終わり方こわいっ!!

画像をいじったらホラーそのものになってしまいました。
そういわれてみれば我ながらこれ怖いな。

>
> しかし何度も人に見られてるのに
> 「まさかあんな子が」とか「まさかあの中に」とかいう先入観があると
> いっくら変な場所を一人でうろついてても、スルーされちゃうもんなんですね。

「少年A冤罪論者」という方々がいましてね、
「あんなに捜索の人がいたのに見つからずにいろいろできたはずがないッ」
と力むんですが、どうもこれが分からんようです。

>
> 血ぃ舐めたかあ。。

流出した検察調書にはけっこう微に入り細に入り書かれて鬼畜なんですが、
さすがにそのものの場面は奥ゆかしく書かずにおきました。

まあ・・・ホンモノなんですよこいつと宮崎の駿夫じゃない方は。

|  noriaky231(仮名  | 2011/02/09 02:30 | URL |

> 志龍どの

> うえーんうえーん、こわいよーこわいよー。
>
> いやマジで、怖いです。
> サカキバラ少年の心理描写はのりあきさんの想像もあるの??
> それとも本当にこんなだったのおおおぉぉぉぉv-37

えーと、すみません。
本当にこんなだったのおおおぉぉです。

心理描写は想像じゃなくて、
流出した検察調書の彼の供述にのっとってます。
言い回しは変えたりしてますが。
ホントにこんなこと考えてたんです彼は。

しかし猟奇なのはこのへん(と次回ちょびっと)までで、
あとは警察との頭脳戦です。

怖くない怖くない。

はず。


> 琴絵、なんかヤダ。。。v-17

本人(というかゴーストライター)が手記を出したりしてますが、まあ彼女はあらゆるところで悪名高いです。悪名ってホントは琴絵って名前じゃないですけども。

以降彼女はますます炸裂です。

しかしまあこういう人はわりといる気がします。

|  noriaky231(仮名  | 2011/02/09 02:37 | URL |

> かあたんどの

> まだこの頃、世間的には14歳は殺人をしない年齢と思われていたんだね。

ああ、そっか。
書いてながらね、「なんか意外性の説得力がないな」と思ってたんです自分内部で。

そういうことか。もう今や意外じゃないんだな。

そういう意味ではこれもすでに歴史物なのかもしれませんねえ・・・。

> 少年の狂気、やっぱり空恐ろしいです。

検察調書を読むとちょっと頭が妙になります。

|  noriaky231(仮名  | 2011/02/09 02:40 | URL |















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