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【事件激情】ネバダたん (1)【佐世保小6同級生殺人事件】

Chapter1 2004年6月1日 昼12時40分

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ある一枚の集合写真。
子どもたちの中に2人の少女がいる。左側の子はまるっこい顔に大らかな笑み。その横に立つ子はやや緊張気味で、体型が気になるお年頃なのか、だぶだぶの黒のパーカーとにチノパン。
その胸にはこんな文字がある。

「NEVADA」

この写真から少女は「ネバダたん」とネット上で呼ばれるようになった。
「佐世保小6女児同級生殺害事件」犯人として。



■給食の時間のできごと

2004年つまり平成16年も例によっていろいろあった。
アテネ五輪、ジーコジャパンが優勝した北京アジア杯、イラク“自己責任”人質事件、プロ野球初ストライキ。窪塚洋介もビルから華々しくダイブ。兵庫では親族7人を45分で虐殺する大量殺人。ちなみにワ士はそれらが同じ年だったことすら忘れていた。

そんな年の6月1日長崎県佐世保。それはこんな風に起きた。

その小学校は全校児童190人程度の小規模学校、1学年1クラスで、6年も38人だけ、6年1組しかなかった。

12時35分──。そんな6年教室では、給食の「いただきます」の時間になっても、2人の女子の姿がないままだった。みんな給食を食べ始めた。

12時40分頃──。2人がいないな、などと担任(男)が誰ともなしに言っていると、やっと当の女子のうち1人が前の入口に現われた。

彼女は目鼻立ちのよく整った美少女だった。でもそのきれいな目が今はなんだかおかしくて、目の前にあるものとは何か違うものに向けられてるようだった。

彼女がよく履いている裾を引きずるほどだぶだぶのボトム。それもなんだかおかしい。午前中は青色のはずだったのに、なぜか裾辺りから黒ずんで紫っぽい
手に持つタオルについた赤いのは血? それになんでカッターナイフまで持ってる? 学校に持ち込み禁止のはずじゃないか。

担任(男)が慌てて「どこか切ったの?」と聞くと、
彼女は急に泣きそうな顔になって叫んだ。



「違うちがう! わたしの血じゃない!」

担任は思わず、ミタちゃんはどこだ、と肩を揺すった。2人は仲のいい友だちだから、きっと一緒にいたはずだ。
「あっち」と彼女は虚ろな顔のまま学習ルームの方角を見た。

すると、なぜか担任は彼女を廊下に残したまま扉を閉めてしまうと、自分の机に戻り、まったりとお茶を飲み出した(何をしてるのか先生…)。すぐに彼女が戸を開けて、「大変なの、早く救急車を呼んで!」と急かした。
ああ──やっと担任は我に返って、廊下を曲がった向こうの学習ルームへと向かった。よろよろと。

     *

学校からの通報で飛んできた救急隊員は事情が分からずイライラしていた。
学習ルームはひどい惨状だ。あれじゃもう病院に運んでも仕方ない。酷いことをする、可哀想に。
一体なにが起きたのか。変質者でも学校に入り込んだのか。

にしても先生の誰一人、何も説明できないってのは、どういうことだ!どの先生もパニクって「分かりません」ばかり。それに女の子がこんな無惨なありさまで倒れてるっていうのに、なんで誰もそばにいてやらない。なんで独りぼっちで転がしたままなんだ。えらく薄情じゃないか。
警察はまだか?なにまだ呼んでない?この子の親には報せたのか?

発見者の男教師に質問してもすすり泣いてばかり。泣くなら向こう行っちまえ。子どもたちもいるのに先生のあんたがしっかりしてなくてどうする。

おいおい誰か事情を話せる人間はいないのか!と救急隊員が怒っているところに、女教師が「この子が知っています」と、小柄できれいな顔の女の子を連れてきた。少女は大人たちよりよほど落ち着いて見えた。

君、あそこにいたんだね。なにがあったの、知ってるかい──救急隊員が訊くと、
少女は虚ろな目のまま、幼い声で答えた。

「わたしが、カッターで、首を切りました」

「は……?」隊員も女教師も唖然。
「お願い、ミタちゃんを助けてあげて」


*なぜ、彼女は、あんなことを?

学校内で初めて起きた小学生同士の殺人は世間の度肝を抜いた。

ネットでの希薄なコミュニケーションが…とか、テレビやゲームの暴力が…とか、今どきのキレる子どもは…とかさんざ騒がれ、彼女も「さぞ異常に違いない、異常のはずだ」と決めつけられた。だがその後の発表では「ごく普通の子」だという。

普通の子?

普通の子があんなことをしでかすのか? 一番の友だちに?
ネットのやりすぎが原因なのか? 少年犯罪凶悪化の前触れなのか?

が、この事件、酒鬼薔薇聖斗事件とはちがい、犯行後すぐに犯人自ら告白し、しかも刑事捜査のできる下限よりさらに下の11歳だったこともあって、すこぶるまともな情報が少ない。噂やデマはあふれるほどだが。

あららら当日のことを書いただけででえらく長くなってしまった。

うへえ、こりゃあ一回でハンパに済ませたら罰が当たる。たとえこんな電子の海の端っこの端っこで書いてるにしても脳。


仲良しだった2人なのに、どうしてこんな悲劇に終わってしまったのか。
5月27日から事件当日まで“運命の6日間”に何が起きていたのか。
真偽入り交じる無数の情報を漁りまくって分かってきたのは、意外で、とても悲しい“真相”だったんである……。


【なので続く】 >>(2)

▽参考文献

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| 事件激情 | 15:43 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

この事件、当時とても気になったんですよ。
被害者の父親は毎日新聞の記者でしたよね?
我が家では「毎日」なので父親のコメントが印象に残っています。

悲しい真相、読むのが怖いような気もしますが、
心して読ませて頂きますよ。

| かあたん | 2010/03/25 01:44 | URL |

Re: タイトルなし

>かあたんどの

> この事件、当時とても気になったんですよ。

実を言うとこの事件、数年前からずっとワ士の心にトゲのように引っかかってました。
そして案の定今回ちろっと調べてみたら、これはやばい、あたってしまいました。
なんとのう、東電OLや狭山事件のようには済まない。

なので書くことによる厄落としのようなもんです。

よろしゅうお付き合いを。

| noriaky231(仮名 | 2010/03/25 02:17 | URL |

ごぶさたしてをります

何だか異様に迫真性のあるルポですね。
読みながら、背筋がぞくりといたしました。

続きを心待ちにしております、かしこ。

| いわのふ | 2010/03/26 18:31 | URL | ≫ EDIT

Re: タイトルなし

>巌の府どの

こちらこそご無沙汰です。またぱっとメシでも食いませう。あ、お城でもいいですよ。

これねえ。数年前からずっっっと心に引っかかってた事件なんですが、
なんか虚実とりまぜ異常にたくさん情報が飛び散ってましてねえ。
気づけば取り憑かれてしまうんですよう、彼女に。

だから憑き物落としでござる。

が、フォトンベルトにも浮気。




> ごぶさたしてをります
>
> 何だか異様に迫真性のあるルポですね。
> 読みながら、背筋がぞくりといたしました。
>
> 続きを心待ちにしております、かしこ。

| noriaky231(仮名 | 2010/03/26 23:58 | URL |















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