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【事件激情】県警対14歳 Vol.13_2【酒鬼薔薇聖斗事件】

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伊丹*の見立てどおり。

▽回想始まり▽

dec;itamisaid01n200 
班長。あいつ、もしかして少年法を知らんのではないでしょうか」

小学校卒業文集
「家族が全員死んで、避難所に村山さんがおみまいに来たら、たとえ死刑になることが分かっていても、何をしたか、分からないと思います。」

そして、酒鬼薔薇聖斗第二の犯行声明文
「ボクはこのゲームに命をかけている。捕まればおそらく吊るされるであろう。」


あいつは未成年でも14歳でも、人を殺せば死刑になると思っとる。

だからこんなに固いんや。やつには命がかかっとるからな。

dec;meeting03n220 
えー、いくら勉強できんやつでもそれはないですよ、
さすがに宍戸*たちは反論した。

「いまどき少年法を知らん子なんておらんでしょう?」

「だってそれ小6のときの作文ですよ? しかも連続殺人を犯そうとしてるやつだ。そういうやつにとっちゃ少年法なんて基本中の基本やないですか」
第二の犯行声明では自分やないやつになりすましてるわけだから、わざとああやって書いたんじゃないですか」
「それに『懲役13年』はどうです? あんなことまで考えとるやつが
少年法知らないなんて」

detective;meeting02n200 
「その辛気くせえ『懲役13年』もういっぺん読んでみい。
少年法知らんでも書けるで」
伊丹*はゆずらない。
「それには少年法のことなんてひとっつも書いとらんかったぞ」

「そりゃそうですが…。うーん、どうしてそこまで確信あるんですか」
「ん? 確信なんかあるかい。カンや」

△回想終わり△


しかし伊丹*さんの芝居やばいで。下手とかベタとか以前になんちゅう棒や。カチカチの棒やんか伊丹*さん。学芸会じゃずっと木とか海草の役ばっかやったろ。

が、
まさか、
あの棒で効き目あるとは。


となると、さっきの伊丹*のささやき芝居と、
宍戸*の「そうですか、出ましたか」も気になってるはずだ。

dec;shigerukunyo01n200 
さあ、いったい何が出たんやろうな、シゲル*くんよ。

skb;eye04n200 
新しい証拠かな? 目撃者かな? 気になるやろ。
でも訊く勇気ないやろ。おれも教えてやらん。

というか教えようにも、
じつはこっちに手札はもう1枚もないんや。

宍戸*はわざとおさらいをたらたら続けた。
シゲル*がいらついてるのが分かる。

「それから君は26日の──」

boy;hearing03n200 
「物的証拠はあるんですか?」


キタ━━━━━(゜∀゜)━━━━━ !!!
>>>>
宍戸*心の叫び。

今まで決して出なかった言葉。
婉曲ながら犯行を認めるようなものだからだ。


ここで、じっさいに取調官宍戸*@【事件激情】内)のとった行動は、
のちのち尾を引く問題となる。

「証拠なら、ここにある」

police;hearingfile01n 
宍戸*はデスクに積んだ捜査資料のファイルを漠然と手で示して、

skb;parapara01n200 
上の一冊をぱらぱらめくった。
わざと第二の犯行声明文赤い文字が見えるように。

冤罪裁判で有名な人権派の長老弁護士後藤昌次郎が、
のち山下捜1課長取調官4名および検察官公務員職権濫用、特別公務員職権濫用罪で告訴した。
訴状によりますれば、
取調官は筆跡が一致してなかったにもかかわらず、犯行声明文を見せて、
「これが君の書いたものであることははっきりしている」
とウソをついた、
と訴えている。
ちなみに後藤の弁護人じゃなく本人と一度も話してない。

 
“ふやけた”状態でゆらいでいた日向シゲル*は、

この瞬間、
崩れた。

skb;loose01n194 
「そこまで分かってるなら、しかたない」

たるそうにつぶやいた。
と思ったら、



skb;cry03n249  

うわああああああん

宍戸*松笠*もびっくり。

伊丹*高浜*安東*警部補の待つ隣室にまで泣き声は伝わった。

あああああああ

skb;cry02n 

わあああああああん

だがこの取調室には、
へきえきとして手加減してくれる先生も、かばってくれる母親もいない。



人をしたい。今度は首を絞めてしたい。

skbbicycle02n.jpg 
すのに適当な人間を探そう。誰かおらんか。

ああ、向こうから誰か来よる。
あれは弟の友だちや。よくガバメントを見に来とったな。


littleboy01s200pxcopy.jpg 
いつもニコニコしてた子や、今もニコニコしとる。こっちに来る。


ボクよりも小さいから殺せる



turtle02blue200px.jpg 
「向こうの山に青いカメがいたよ。一緒に見に行こう」

crime;skbandchild01n250 
chocolate01s200px.jpg 
chocolate02s200px.jpg 
antennabase01outer200px_20110224173523.jpg
crime;hands01n250 




skb;cry01n 
シゲル*はえぐえぐ泣いて泣いて泣いて泣いて、

男児殺害および死体損壊遺棄を自供した。

shoesrope.jpg 
腕で首を絞めた後、
自分の靴ヒモでもう一度絞めた、
と供述。

string250px のコピー 
死後もう一度ヒモで絞められていたことはマスコミにも伏せられてたから、
これが秘密の暴露となった。



日向シゲル*、自供!」

executive;executiveface00c 
山下捜1課長はその瞬間、「××××!」とか口走ったが、
周りの捜査員たちには意味が分からなかった。
彼の郷里・鹿児島の方言だった。

捜査本部日向シゲル*@14歳本件被疑者と断定。

神戸地検にも連絡が行き、待機していた吉浦検事須磨署入りした。
警察の聴取のあと急ぎ1回目の調書を取るためだ。

coat;koube02n220 
神戸地裁の待機組にも急報は届いた。

すぐに捜索差押許可状検証令状の家宅捜索セットを地裁令状部に請求。
まもなく裁可を受けて第一陣が令状を手に飛脚よろしく北須磨団地へと急いだ。

typhoon;0600x220 
午後6時
北須磨団地 日向*

ようやく琴絵*小河*刑事と一緒に帰ってきた。
なんやった?と訊く亮一*に、

mama;nashigega02m200 
「あんなあ、シゲ*3月の通り魔で疑われてるんやて」
「え、なんでや。なんでそんな…」

日向*さん、お話があります」

detective;inspectorcall01n220 
五十嵐*警部が呼んだ。

「よく聞いてください。弟さん2人をすぐ預けられる所はありますか」
「え、親戚なら…まあ。でもなんでですか」
「すぐ弟さんたちを預けに行ってください。
預けたらおとうさんだけ急ぎ戻ってもらえますか」

typhoon;0610x02n250 
午後6時10分──

亮一*はなんだかよく分からないながら警部の語気に圧されて、雨風の激しくなるなか、ソウヘイ*ユキオ*を車に乗せて、親戚の家まで連れて行った。
まったく何から何まで急や。

typhoon;1830;01n326 
午後6時35分──

亮一*が帰ってくると、五十嵐*警部が「ちょっと外で話せますか」と雨ざーざー風ぴゅーぴゅーの玄関先で、

dec;inspectortalk200x100 
「じつは、くんの事件で、重大なお話があります」

さっき渡されたばかりの令状をチラッ。

father;vsinspector200x100 
「えっ、なんで? うちになんかあるんですか」

五十嵐*警部はそれには答えず、
奥さんも呼んでください。2階でお話ししたい」
「え、2階は子どもたちの部屋ですが」
「すぐ2階に。奥さんも呼んでください」

亮一*琴絵*はなんだか分からないまま2階の廊下で五十嵐*警部と相対した。

「2階は2部屋ですね。シゲル*くんの部屋はどちらで?」
「手前の方です。奥は弟2人で1部屋を。ねえ刑事さん、一体どういう──」

「おとうさんおかあさん、どうか気を静めて聞いてください」

dec;inspector04n200 
「今、シゲル*くんを、

くん殺害の容疑で取り調べ中です」



father;pokan01n150h mama;pokan150h 
両親はぽかん。そりゃぽかんだ。

警部は、今度は正式に令状を提示。
「確認ください。ご自宅の捜索差押許可状および検証令状です」



「……なんで、


え、シゲル*が、え?」

father;eee01n200h mother;cruel02n200h 
おとうさん、わからへん、もういっぺん言って」



father;eee02m200 mother;cruel03n200h 
え、ええええええ? シゲル*が何ですって?

ねえ、おとうさん! ねえ、

なんやのこれ! ねえ!


dec;inspector03n220 
「雨戸を全部閉めてください、家宅捜索を始めます」

typhoon;house01n250 
外では雨が激しくなって。

午後6時45分──

typhoon;0645;01n369 
台風8号神戸市に接近中。
海岸気象台で最大瞬間風速25.7メートルを記録した。

雨と風の荒れ狂う中、
少しずつ少しずつ、捜査本部は、鑑識課員を中心に
家宅捜索要員を近くに集合させていた。

typhoon;policego220 
合図とともに、一斉に動いた。

police;sousakubox01n200 
家宅捜索開始。


捜査本部殺人死体遺棄容疑日向シゲル*逮捕状を請求。

typhoon;kobe01n293 
午後7時──
台風8号兵庫県に再上陸。

雨風が激しく、北須磨団地自治会は東地区の夜間パトロールを中止。
西地区は予定通りパトロール。



須磨署

typhoon;0830;180 
すでに地検吉浦検事日向シゲル*への聴取にかかっている。

安東*警部補逮捕状を、伊丹*刑事に差し出す。
「さあ」

「え、いや、私はそんな…」
被疑者確保は、本庁の特権だ。所轄は脇役らしく後ろに下がってないと。

dec;Lieutenant01n 
安東*警部補はそれでも、
「いや、伊丹*くん、君や」


dec;yessir01n203 
「……分かりました。頂戴します」


伊丹*シゲル*と向き合うと、

police;arrestwarrant01n 

日向シゲル*くん、これは読めるよな。
これはな、君の逮捕状です。

えー今…午後7時5分日向シゲル*
土師淳殺害死体遺棄の容疑で逮捕する」

police;hearingroom02n200 

酒鬼薔薇聖斗、逮捕。


は取り調べ開始から3時間弱で自供した、とも言われる。いや夕方まで粘った、という説もある。
【事件激情】では後者をとった。

少年法の存在を知らず、人を殺せば子どもだろうと死刑、と思い込んでたのはリアル本当である。

ただし、それを取調官が逆手にとって…は、
事件の性格を際立たせるつもりの創作でねつ造であり事実ではナイ

は逮捕後、担当弁護士から初めて少年法の存在を教えられた。



午後7時10分──

detective;tell01n200 

警察庁兵庫県警から「被疑者逮捕」の第一報。


午後7時20分──

typhoon;mansion01n250 
電話が鳴った。

初めに出たのは田中デカ長。イタ電だったとき対策。
「──あら、宍戸*くん、ご無沙汰やね。……え、ミキティー*が?……」
田中刑事は少しのやりとりのあと、
神妙な顔になって、
土師さん、捜査本部から報告があります」
受話器を差し出した。

father;hear01n220 
「はい…」
おとうさんですね。県警捜査1課宍戸*と申します。報告します。
被疑者日向シゲル*14歳を、今夜7時5分逮捕しました)

「……………ありがとうございます」

ヒナタ*という名に聞き覚えがあるような──でも今は頭がぐるんぐるんしてて。
それよりも──
……14歳──

犯人刑罰を受けないんやな。ぼくらからを永遠に奪ってった犯人は。




午後8時──

police;housesearch01n220 
日向*家に文字通りなだれこんできた捜査員はみるみる増えて10数人。

father;out01n200h mother;out02n200h 
亮一*琴絵*はただデク人形みたいに眺めていて、
押収物を指さすよういちいち言われてはそれをいちいち撮影され。

police;boxes01n200 police;boxes02n200 
段ボールがどんどん積み上がり。

ぽんやり見てる琴絵*が、ぐらりと揺れる。
亮一*は慌てて支えた、ていうよりへなへなの互いの身にすがって。

knifeofryoma01n200.jpg 
シゲル*の部屋の押し入れから「龍馬のナイフ」ことくり刀と、マルボロ

house;kitchen02n200 house;redtape01n200 
台所から第二の犯行声明封筒に貼られていたのと同種の赤いビニールテープ

postage100yenstamp.jpg 
食器棚から封筒に貼られていたのと同種の100円切手「銀鶴」のシート、

house;childroom01n180 
次男三男の部屋から第二の犯行声明に使われたのと同種の茶封筒

house;desk01n209 
シゲル*の勉強机の上には、
大学ノートが隠す様子もなく無造作に置かれていた。

なにげなく開いてみると、

bamoidokiatcrimenote01n180.jpg 
なんやこの絵?

ちんまくて汚い字を読み始めた捜査員は、すぐぎょっ
「警部!」

crimenote01n200.jpg 
「愛するバモイドオキ神様へ」
で始まり、3月16日「実験」と称して
竜が台少女2人殺傷した経緯をこまごま書き込んだ日記。

犯人しか知り得ない記述もたっぷりで、
これが3月通り魔事件の重要な証拠となる。


警察無線で話してた五十嵐*警部が戻ってきて両親に、
シゲル*くんの部屋の天井裏を調べます」

darkroom03c200px_20110529014230.jpg 
天井裏からはエアー釘打ち機が出てきた。
さらに──

「あの北西隅の天井板1枚を押収します。書類にサインをしてください」
「…なんで天井板を」

「おたくの息子さんが、くんの頭部天井裏に隠していた、と話しとるので」


typhoon;policemen02n266 
午後8時30分──

マスコミも友が丘中公園近くに警察が集結してるのにやっと気づく。

様子を見に行っても封鎖されて近づけない。
何が起きてる? あそこに住んでるのは誰なんや?


その頃、兵庫県警広報課が、報道各社に次々と電話を入れている。

今日午後9時半から須磨署で会見を開きます」


午後8時36分──

typhoon;jksmansion01n220 
電話が鳴った。

「おにーちゃん! おにーちゃん!」

JK;callbrother01m180 
「もー電話出てよー」

アサコ*が呼んでも、居間のおにーちゃん無反応。

どーせまたゲームやっとるんやわ、まったく。そっちの方が電話近いのに、なんでわたしが歩いてかなかんのよ。ちなみにケータイ普及前夜である。

「はい、もしもし。磯江*です」
しぶしぶ電話に出ると、

アサコ*?)
「あ、ノリ子*ー、この間は楽しかった。ありがとね。台風すごいねえ」
アサコ*アサコ*テレビ見た? テレビ
「へ?」
テレビテレビテレビ!

JK;telephone004n 
「テレビ? ううん、いま本読んどって」
すぐテレビすぐ見てすぐすぐすぐ!!
「な、テレ…え、なんやの?」
えーからもー早よ見て早よ! NHK!速報っ!

ノリ子*興奮しすぎでなに言いたいか分からへんよ。

慌てて居間へ行くと、

JK;brothergame01n186 
やっぱりおにーちゃんめテレビゲームや。このバカチン。

remote control01n 
アサコ*はリモコン拾ってピッとNHKにかえた。

「Σ(゚д゚|||) あああーーーっ、ちょっ、こら、なにすんや!」
おにーちゃん抗議してるけど、

アサコ*聞いてない。

JK;looktv02n200 
目はニュース速報のテロップに釘づけ。


(見た? アサコ*、見た見た見た?
「うん……いま、見よる……」



tvnews;arrest02n250



「やった…」


JK;lookingtv04m200

「…ミキティー*のおっちゃん、やったんや」




NHKの速報がメディアでは最も早く、

つづいて午後8時44分──

AFP通信が東京発で世界にむけて打電。
「日本の警察が、神戸の残虐殺人の容疑者を逮捕」

ロイター通信
「日本の厳しい教育制度に復讐しようとする14歳の少年」


NHKは速報後、特番に切り換え、視聴率は44%を超えた。


酒鬼薔薇聖斗が捕まったぞ!

typhoon;2100;01n286 
午後9時──

暴風雨続行中だっていうのに、
「酒鬼薔薇」のいる須磨署前に、近所の野次馬200人超えが集まった。

typhoon;0900mob250 
生中継のリポーターを野次馬が押しのけカメラにVサイン
赤ちゃんを抱き上げてカメラに映す母親
もはやNHK中継不能。

バカ騒ぎ。今も昔も。


午後9時20分──

神戸市教育委員会山口第一課長は、
自宅でニュースを見てて、

man;gyo01n220

慌てて市教委に駆けつけた。
もちろんマスコミが待ちかまえる。

「市内の中学生が逮捕されましたが!」

eyeboyoon01n250.jpg 
「今、頭が混乱している。目玉も飛び出てるし、かんべんしてほしい!」


東京──
文部省中学校課長もテレビを見ていて、

man;gyo01n220

世田谷の自宅を飛び出して霞ヶ関へ急行。

中学生がこんな凶悪事件やれるのか。本当にあの手紙を書いたのか、中学生が」


pressforarrest230.jpg 
午後9時35分──
須磨警察署 捜査本部

山下捜査1課長の緊急記者会見。

police;executivespeech01n200 
被疑者神戸市須磨区在住の中学3年生男性14歳です」

──凶器はなんですか? 首を切断した凶器は?

ナイフ、など」

──ナイフの刃渡りは?

「分かりません」

──動機は? 逮捕の端緒はなんですか?

「今後、重大な関心を持って取り調べます!」

記者会見、始まって5分でおしまい。

press;end02n220 
え、終わり?
ひしめく記者たちも違和感。
それもそのはず。

じつはいまだ家宅捜索で凶器が見つかってない。


この事件の最終盤、異様なほどバタバタな展開がいろんな憶測を呼んだ。

逮捕前後には早くも検察官須磨署検面調書を取り始めている。
すべてがたった1日で始まり終わった。
なんでそんなに急いでたんだ?

真実が分かる日は、やはり来ないわけだが。




午後10時──

jichikaimember02n.jpg 
北須磨団地自治会が緊急役員会。
まあやっぱり役員たちをマスコミが待ちかまえてるんだが。

警察から連絡がない、中学3年生と言っても誰なのか分からん!」

──心外ですか!?

jichikaicho02n209.jpg 
石田一一(いちいちではなくかずいち)自治会長
「心外だ。それ以外、何もいうことはない」




kanteipress01n200.jpeg 
午後10時40分──
東京・永田町

官邸もやっと口を開いた。

社会秩序の敵・酒鬼薔薇聖斗逮捕で開放感あふれるはずが、

問題が解決したらさらに難儀な問題に変わっただけです、で、
なにやらお通夜チックに。

梶山静六官房長官がマスコミの前に現れ、

eyeboyoon01n250.jpg 
「容疑者が中学生ということであり、複雑な気持ちです」




police;watching01n250 
捜査本部も、微妙な空気。
まさに大金星、達成感あふれて、
ハリウッド映画だったら、
イヤアアアアッホホーイ!イェーイ!くらいになるはずが、

みんなどんより疲れたような…。


世界でもまれな猟奇劇場型連続殺人は、
これまた犯罪史上に残る異形の結末を迎えたのだった。




typhoon;rainandneon01n200 
午前0時── 日付が29日に変わる頃、

家宅捜索がようやく終了。
けっきょく凶器は家になく、のちシゲル*は外で捨てたと供述した。

その頃にはマスコミが日向*家の周辺をびっしり埋め尽くしている。

police;goingfromhouse270 
警察は囮車両を数台使って、マスコミの目をくらまし、
日向*夫婦を親戚宅へと逃がした。


comi_shienkara.gif 

事件後すぐ、実名がインターネットで流れた。
当時はまだパソコン通信からインターネットへのゲルマン民族大移動のとっかかりで、あの2ちゃんねるもまだ無い。
今ほど誰でも見える状態じゃなく。でも大騒動になった。

book;Focus300

さらに新潮社の写真週刊誌Focusが、7月2日発売号顔写真を掲載。週刊新潮目隠し入り顔写真を掲載。大々騒ぎに。


取り調べ中の日向シゲル*はといえば、

犯行そのものの再現だけは目をきらっきらさせてディテールまで嬉々として語った。

(首にいろいろ傷をつけた理由やそのほか猟奇的な行為もあるんだが、そこは以下略。グググればたくさん出てくると思われ)

が、
動機とか理由とかそういう話になると、とたんにうんざり顔になる。

「なんで理由が必要なの? この程度でいいんじゃないんですか?」


7月6日──

tool;hasu01n211 
シゲル*の「凶器を捨てた」という証言で、西公園横の向畑ノ池を調べたが、繁殖した蓮が水面にびっしりだし、濁りもひどくて見えやしない。
なので、ポンプで池の水をぜんぶ抜いて捜索。

tool;kananoko01n180 
やがて供述どおり、池の底から刃渡り30cmの金ノコ発見。
アンテナ基地局南京錠切断と切断に使われた金ノコだった。

tool;stealhammer200 shockhammer0a253px.jpg tool;knifeofryoma02n200h 
さらに金づちの一種八角玄能ショックハンマーくり刀こと「龍馬のナイフ」のもう1本も見つかった。

切断された南京錠とすり替えた南京錠のカギは見つからなかった。

skb;angry01n195 
シゲル*は池の水が抜かれたと聞いて激怒。
「あの池はボクの聖域なのに! なんてことをするんや!」


bathroomdooropens200px.jpg bathroom03tarai200px.jpg darkroom03c200px.jpg 
を洗ったという自宅の風呂場金だらいを隠したという天井板も調べられたが、血液の痕跡ルミノール反応は出なかった。


7月15日──

兵庫県警日向シゲル*を、2月中落合通り魔事件3月竜が台通り魔事件再逮捕して翌日送検男児殺害と別々だった捜査本部を統合した。


供述から、が、警察・住民による捜索隊が道路やタンク山多井畑の森に充満してる白昼、堂々と首切断したり入角ノ池に隠したりママチャリで自宅に運んだりしていた、と分かった。
当然ながらその姿は見られていたけれども、誰ひとり彼を“目撃”しなかった。

酒鬼薔薇聖斗は、狡猾でも慎重でもなんでもなかった。ただ透明だっただけで。


マスコミでは例によって、
毎度おなじみ「少年の心の闇」とか安易な言葉を連発。

同校の生徒から高値で学年アルバムを買ったり、やりたい放題である。

「部屋にはホラービデオ連続殺人のマニア本がぎっしり」
例によってマスコミのそちゃら系バッシングもねちねちしつこく、
業を煮やした県警サイドが表明。

police;executivespeech02n200 
「報道は事実誤認。警察はそのようなことは確認していない」

この事件ではひときわ警察側のマスコミ不信が強くて情報を遮断し続け、
マスコミは逮捕直前まで、
「がっしりした黒いポリ袋のおっさん」
を被疑者として無邪気に垂れ流し続け、大恥かくことになった。


国会でも「もう少しマスコミと協力し合って捜査できなかったのか」と批判が出た。

しかし、マスコミと協力して捜査なんて……やめとこうや。
松本サリン事件みたいなのがまた起きるもとだし。


ちなみにこれ以降、
テレビの特撮ヒーローモノから「怪獣の首をはねる」「真っ二つ」描写が消えた。
今にいたるも。




報道は「学校への恨み」から「祖母が死んだときからに興味を持ちこしゅとう゛ぁ」と、サイコボーイな犯人像へと変わっていき、

boys;daberi01n200 boy;funky01n200 boy;kanemasagen01n200 
例のカネマサ*はじめ元同級生たちが口々に「思えばあのとき…」「そういや前から異常やった」的にぺらぺらマスコミにさえずった。
それが誇張されてナチュラルボーンサイコキラーのイメージが形作られるなか、


ただひとり、その空気に反して語る少女がいた。

girl;comment02n200 
「いいやつだった」

同い年の彼女は小学時代、シゲル*と仲のいい友だちだった。

「面白いこと言ったり、悩みごとの相談も聞いてくれたり」
「おばあちゃんが死んだからって変わったわけじゃない
「ホラーは好きだって言ってたけど友だちと一緒に見てたし変じゃなかった
「学校でいじめたりとかいじめられたりとかなかった」
「嘘をついちゃいけないって家で言われてたからじゃないか」

当時のあの空気内でよくぞ言ったな発言。
彼女だけが、流れに迎合しなかった。

「ほんと家族思いだったのに、なんであんなことしたんやろ」

ボイスチェンジャーで処理されててなお、その声はとても悲しそうで悔しそうで。

「マスコミは知らないクセにどうしてあんなこと書くの?」

さてどちらがの本当の姿だったのか。
マスコミの描いたモンスターと、少女の語った“いいやつ”と。

ちなみに男子はみんなイカレてて、女子が善なるものばかりなのは偶然である。

じつを言うと、酒鬼薔薇聖斗の内面にはあまり興味がないワシである。どうせわかんねえし。
むしろ激情的に気になったのは、家族や地域、周囲の人々、警察の捜査。
だから酒鬼薔薇の描写は必要最低限、省略したこともたくさんある。そのまま最低限で「敵」としてだけ登場させるつもりだったんだが後半はまあそうもいかなくなってしまい、ちと出しすぎたと思ったくらいである。

 
dsec;decshearing01n200 
7月24日──

親類宅に逃れた日向*家の面々、
いまは“加害者家族”として、両親も弟2人も警察から毎日聴取を受けていた。

シゲル*の取り調べがひと区切りついた伊丹*高浜*もこれに加わっている。

しかしどうも日向*夫妻には、とつぜん加害者家族にされたという被害者意識ばかり強いような。いまだ“遺族に申し訳ない”的態度はカケラも見えない。

聴取する刑事たち、微妙にイライラッ。

「おとうさん」
あるとき高浜*がついに、
被害者の親御さんに対し、人間としてどう思われますか。そろそろシゲル*くんの親として電話なりお詫びを考えていますか」

father;question01n200 
「あのー、本当に息子が犯人なんでしょうか。誤認逮捕やないんですか」

カッとして言いかける高浜*を制して、
伊丹*、あくまで静かに、
「この事件誤認逮捕はあり得ません。もしこれが誤認逮捕やったら、今後、兵庫県警は存続しないでしょう」

亮一*は、あのーそのー事実なら謝罪する気持ちはもちろんありますが、そのー、とかもごもごしてる。

高浜*は言わずにいられない。
日向*さん、2月10日3月16日被害者の名前、ご存知ですか?」
「……あ、その……いえ…」

dec;angry03n200 
事件以来、厳しいマスコミ報道、毎日の聴取、あなたたち家族のつらい気持ちは分かります。でも事件被害者3人の家族は、それ以上に長い間、つらく暗く苦しい日々を送ってるんですよ!
「………」

「あーちょっと失礼」
伊丹*は黙って高浜*を外へ引っ張っていって。

「なんや君らしゅうもない!」

dec;angry02;198 
「なに親に自分の怒りぶつけとるんや。やったんはシゲル*で、あの親父とちゃうぞ! 君がやっとるんは、“親は責任とって死ね”とか電話してくるアホんだらと一緒や」

detective;angry02n200 
「しかし、あいつは刑務所にも行かんのですよ!」

特命捜査が始まった時点でみんな思ってたけども考えないようにしてたこと、
14歳酒鬼薔薇聖斗刑事罰を受けることは絶対にない。

「なのに親まであんなじゃ、あんまりやないですか」

「そんなんみんな思っとるわい! 口に出して言わんだけや。
ええか、それはな、おれらの考えることやない。おれらの仕事は悪いことしたやつら追っかけて捕まえるだけや。そこまでだ。裁くのは別のもんの役目や」
「………」

dec;talkeye01n200 
「おし、ちょっとええ言葉を聞かせたるわ。

魔物と闘う者は、
その過程で自分自身も魔物になったらあかんで気ぃつけ。
フカブチをのぞいとると、フカブチもこっち見とるで危ないで”」

「それって──」
「そ、あいつが偉い哲学のあーヒゲのおっさんからパクったとかいう言葉や。
おれは忘れん。君も覚えとけ」

detective;sergeant01n のコピー 
「いささかベタやが、ここらで消える架空のおれらやし。ええやろ」

「あのー深淵フカブチやのうて、シンエンって読むと思うんですが、痛てッ
「こまかいこと気にすな! だいたい意味合っとればええんや。というかこれがおれの最後のセリフかい、せっかくキメたのにバカたれ」




日向シゲル*逮捕から1か月になろうとする、
7月25日──

この日、奈良月ヶ瀬村女子中学生失踪事件で、

murder;nara01n140 murder;nara01m140 
奈良県警は、村の丘崎誠人@25歳@無職逮捕
こちらは前々から村人に、マスコミに「怪しい」と名指しされてた人物だった。

同じ日、
神戸地検日向シゲル*神戸家裁に送致。

この送致をもって事件捜査は終了、

police;kaimyo02n 
神戸連続児童殺傷事件捜査本部解散。


事件終結を待っていたかのように、

gun02n200.jpg 
gun03n200.jpg 
山口組内紛が勃発。

8月28日山口組宅見勝若頭がホテルのラウンジで撃たれて死亡。
一般人も巻き添え死亡。
撃ったのはもちろん、対立ド真ん中だった中野太郎若頭補佐の系列の組員だった。

山口組中野若頭補佐破門、のち絶縁する。
このあとしばらく仁義なきドンパチが続くのである。


うわああああああん

skb;angry01n195 
「だまされた、悔しい!」

なんかシゲル*また泣いてるし。

「じつは犯行声明筆跡の一致は証明できてなかった」
って初めて知ったのだ。
シゲル*の弁護団は「偽計での自白」として少年審判で無効を訴えた。

familycourt01n.jpg 
神戸家裁井垣判事は、これを認めて警察調書をまるっと証拠から除外した。

警察が緊張した一瞬。

が、井垣判事は、ほとんど同じ内容の検察官調書については、

「言いたくなけれぱ言わなくてもよいし、警察に言ったからといって、事実と違うことは言わなくてもいい」
検察官が明確に告げてから供述を求めている。
だから「毒樹の果実」の理論の適用はない、

ってことで「有効」と認めた。まあだから審判の結果は変わらんのだが。

ちなみによくカン違いされるけども、少年審判裁判じゃない。事件の事実を争う場ではなくて、更正をどうするか決める場だ。
検察官弁護人もいない。裁判官が1名ですべて取り仕切る。ここでは犯罪でなく非行、被告でなく非行少年。刑罰でなくて保護処分だ。

今回、事件が事件だけに、神戸家裁は例外中の例外で、
法定要旨精神鑑定結果の公開に踏み切った。

そこで“エロ心がなぜか暴力とくっついちゃって殺したり傷つけたりすると絶頂です”症こと「性的サディズム」
そして暗記得意な「直観像素質者」ってスペックも明かされた。
ただし──

policetape02x のコピー 
少年審判ゆえ警察の捜査も公の場では明らかにされず多くは謎のまま。
なのでまあ、捜査部分は妄想にして創作にしてねつ造の架空も多くなったわけだが。

実際の捜査はρ(・д・ )こんな風だった、という説もある。

○すでに事件発生当日、警察は小学校での聞き込みでシゲル*の小6時代、小3だった被害男児を叩いたことがあると証言を得て、>以来、シゲル*をひそかに内偵していた。

○事件発生から数日内に元同級生カネマサ*がタレコミ。それで警察シゲル*を知った。>第二の挑戦状が来たときシゲル*はすでにマークされていた。

まあ( ・д・)bどっちも定かじゃない。間接的な証言(か推理)だけで

ちなみに冤罪論に立った「警察陰謀はこんな風に進んだ」説も緻密なのから神のお告げみたいなのまでたくさんあるけども、まあ知りたければグググればよいかと思われ。


事件警察の手を完全に離れた。法務省矯正局へと移った。

kantouhospitalprison01n.jpg 
家裁の決定で、脳内的治療が必要>関東医療少年院へ。

ここで希代の殺人少年をこね直す一大国家プロジェクトが始まる。

「G3」というカテゴリで、肝いりの一大脳的治療プロジェクトが、
大々的に税金を投入してスタート。

院長医師3名、なぜか修道士、それと、

doctor;woman03n170 
母親役美熟女医
(週刊誌によるとメーテル似)

のチームで疑似家族を形成し、適切な性教育も施しつつ、少年を「育て直す」

liferesetmachine01n250.jpg 
専門家以外には「ふざけてんのそれ?」と首を190度ほど傾げたくなるんだけども
彼ら専門家はいたって本気。

法秩序の擁護者のメンツにかけて、反社会的バケモン酒鬼薔薇聖斗「無害な真人間」へと作り直すのだ。もちろん税金をふんだんに投入で。


塀の中の日向シゲル*

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ここには漫画がない 退屈でイライラする


もう早よ、死にたい





▽続き(終章)を読む▽

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事件に関わったあの人やこの人はその後──
 
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【事件激情】マーダーズ イン カントリー 壱st結【或る田舎的殺戮】

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ぶどう酒飲んでた女がひとり、急にもだえてバタッ。

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前会長樽雄の妻フミ子@30歳だった。
「どうした? フミ子さん」

もう酔いつぶれたんか?

そしたら、ほかの女たちも、

nabari007;170h nabari010;170h nabari009;170h 
「うっ」>>>>>「がっ」>>>>「ぎっ」

げえげえ食ったものを血反吐状態、痙攣窒息

nabari008;220h nabari002x220h.jpg 
楽しい会合はいきなり地獄絵図に。

女ばかり17人がばたばた倒れ、5人が死んだ。
残りも瀕死状態で病院送りに。

死者は、

奥西フミ子@30歳
奥西千恵子@34歳
新矢好@25歳
中島登代子@36歳
北浦ヤス子@36歳


nabari014;150 
まず駐在さんが駆けつけるんだが、まさに横溝正史ドラマの駐在さん状態でどうしようもない。

そのあと名張署署員たちも大慌てで駆けつけた。
17人死傷なんて田舎警察にはいまだかつてない大事件。で、どうしようもない。

そのあと三重県警本部捜査1課もやって来る。
でも県警レベルでもまれな──というか全国でもこんなのまれだ。

やがて食中毒なんかじゃなく、毒物による殺人事件と分かる。

nabarinewspaper01n218.jpg 
山奥の無名の村がいきなり全国区の注目を集めた。
「第二の帝銀事件」
と世間は大騒ぎ。

さらっと解説 帝銀事件──

終戦まもない1948年帝国銀行(現・三井住友銀)の支店で厚生省技官になりすました男が「赤痢の予防薬」とだまして行員たち16人に青酸化合物を飲ませた。
12人死亡4人重体犯人現金16万円+小切手1万7千円分(合計で今の1800万円)を盗んで逃げた。

やがて画家平沢貞通逮捕>死刑確定。が、冤罪が疑われ、「真犯人は旧陸軍の細菌部隊731部隊の元将校だ」「GHQが捜査に介入して真実を握りつぶした」とかまあいろいろあらあな。

じっさいGHQの機密文書が1985年に公開、そこで思いっ切り731部隊のツールや手法が使われてたことが新聞報道されるんだが、それでもニッポン裁判所はぴくとも動かず。

再審請求も通らないまま、歴代の法相もいわくつきの死刑執行をためらったまま、平沢95歳獄死
下山事件3億円事件とともに昭和の永遠なミステリーに。

ちなみに横溝正史帝銀事件をモデルに「悪魔が来りて笛を吹く」を書いた。



調べによると農薬と判明。

nabari015;121 
有機リン酸系農薬「ニッカリンT」
栄養ドリンクみたいな名前だが、
致死量0.06-0.15グラム。
青酸カリよりはるかに凶悪である。

男全員ぶどう酒を飲まなかった女3人はなんともなく。
となると、まあ栄養ドリンクみたいな名前だけど青酸カリより凶悪なニッカリンTぶどう酒に混入されてただろってことになる。ふつうに考えて。

で、三重県警捜査本部「毒殺犯は会に参加した32人の中にいる」と見込んで捜査を開始。
農薬を入れる機会があったのは誰か、誰がぶどう酒を買って、誰が公民館に運んだのか、住民同士の利害関係はどうか。

やがて

nabari016;225 
どろどろ血な不倫関係が浮上、住人の一人が逮捕され──

って、この事件だけいきなり事件そのものでしかも逮捕されて終わってんじゃん、と思うだろうけども、
いやいやこの大量毒殺は序章に過ぎず、

本当の忌むべき田舎的殺人はこのあとから始まるんぞえ。


timemachine003n200.jpg ミニメイツ バック・トゥ・ザ・フューチャー
さーて時代はそっからまたさらに60年後の未来へ、新世紀へゴーッ──

もう田舎的世界はなくなった?
いーンやしっかり健在であるよ。


2004年
8月2日


兵庫県加古川市

あら、まーた兵庫かよ。【事件激情】はなーぜか@兵庫県事件が多いんであるが兵庫県民でもないし偶然である。なんだか兵庫県警に愛着のわいてきてるワシである。

kakogawa010;234 
前夜は花火大会であたりはにぎわった。
で、それが終わって日付も変わって、

kakogawa009;300 
熱帯夜
うだる暑さにもほどがある夏い葉月の夜。

午前3時半頃

最初の110番通報、
男の声で、

1997phone01copy.jpg 
が家に入ってきた。が頭から血を流して倒れとる」

住所 >西神吉町大国
田園というと聞こえはいいけれども田んぼが広がる地域。

kakogawa007;250 
その家があるのは神社近くの一角。
郊外の小金持ってる農家系にありがちなやたらめったらデカくて肉厚なお城寺社仏閣かよって感じの田舎な日本家屋。

所轄の加古川署、最寄りの警官が焦って出動。
なんでまたこんなことになるんや。

市内では、昨年6月にも無差別通り魔@「無職男にクワで通行人4人が殴られ1人死亡」事件が起きたばかりだった。というか通り魔が起きた町からそう離れとらへん場所やないか。
兵庫県警、相変わらずこんなんが多いっす。

で、じつにこのわずかな時間にも現地では分刻みで殺戮が進行してるんだが。

kakogawa013;250 
相前後して119番受けた救急車が現場に急行。
夜中だし事件が起きて大勢ケガ人が出た、ってくらいしか情報がない。これ救急隊的には危ないしそういうの困るんだが。

ヘッドライトの光が道路上のなにかを照らし出す。

kakogawa006;250 
人だ、若くない、ばあさんらしい、パジャマ、血まみれ

救急隊員が近寄って少し見ただけで、
うわ、ひどいわこりゃ。
こんな悲惨な傷は初めてや。どんだけ刺されとるんか。
意識なし、心肺停止。
もうなにやっても手遅れや。

隊員が思いかけた瞬間



ドッッ

kakogawa004;273 
 
ッカーンッ!


“お城”の西隣の木造住宅がとつぜん爆発
夜空に高々と火柱が上がった。

な、な、なんだ?
せ、戦争か? テロか?

人の本能として一目さんに逃げ帰りたいところだが、
使命感の方がまさって、救急隊“お城”へと駆け込んだ。

「誰かおりますか!ケガしよる人!」

kakogawa003;200 
血の跡大量。うわ、やばいやばいぞこれは。

「1階は誰もいませんッ」

kakogawa008;250 
「2階に上がれッ」

kaogawa012;230 
2階──
廊下も和室も血の海



kakogawa015;230


「2階に傷病者3人! 応援乞う!」
「男性2人、女性1人! 多量に出血
「男性は2人ともにCPA。女性は意識レベル──」



kakogawa014;200 
ゴウゴウ紅蓮の炎が燃えさかり中。
「こりゃただの火事やない。ガソリンが発火したんや

消防車と応援の救急車パトカーが続々やってきて、静かにご就寝中だった一帯はいきなり喧噪の渦。


「路上に女性1名、2階で男性2人女性1人。路上の女性と男性2人はすでに死亡の模様、2階の女性は重傷
「大量のガソリンに引火した模様、失火か放火と──」
「えー炎上している家住人と思われる女性を保護。たいへんな興奮状態、身元を確認中」

kakogawa002;200 
「危険ですから避難してくださいッ」

警官たちが家々を回って住民をたたき起こし、というかさっきの大爆発でそんなんみんなとっくに起きてるんだがとにかく呼びかけて、
近所の人々は着の身着のまま外へ飛び出して、
空を焦がす火焔地獄をぽかんと見ている。

そのうち警官の一人が、炎上中の家から道を挟んで60m離れた2階建て住宅のドアを叩いた。

「起きてますか、加古川警察です。向かいの家が火事ですので早く──」


しーん

おかしいな。すぐ近くであんなえらい爆発あったんやし、この騒ぎやし、ふつう起きとるやろ絶対。家ん中は明かりも点いとるようだし。とっくに外に出てるんか?

kakogawa001;250 
なんや変やぞ──警官はいやーな何かを感じた。

玄関、カギかかっとる。
裏手に回ると、1か所だけカギかかってない窓があった──

kakogawa011;250 

「・・・・」

これって、あれだよな、やっぱり…。

おれもう泣きそう。
拳銃のありかを確かめ、それから特殊警棒を握りしめ、


静かーに入り込んで、

加古川警察です、誰かいますかー、いたら返事をしてくださーい、いたら返……」


kakogawa005;231



数分後、警官は無線にわめきまくり。

「室内で死亡4名!! 男性2名と女性2名全員刺されて死んでますっ。いえ違います! そっちの家やなくて別の家です。そやから違いますって! こっちの家にも死体があるんですッ4人ですっ4人、いや前の4人とは別にもう4人ッ大量の血が──」


kakogawa02n368.jpg

阿鼻叫喚の渦状態の夜空を焦がしまくる業火を見ながら、
近所の人々はつぶやいている。

「燃えよるの、あいつの家や」
あいつ遂にやりよったんか
「やっぱりヤスタカが──」


inaka001x350.jpg 
66年間を股にかけて、
4つの時代4つの田舎4つの事件を駆け足で行ったり来たりしたんだが、
いちおうこの配列はテキトーじゃなくて意味があるんである。

さて、これだけじゃなんのことやらであるが、

なんでそれぞれこんな惨事になったのか、いやこれからなっていくのか、
時間を少し巻き戻し戻き巻し少を間時、かのたっなにとこなんこぜな、がるあできゅるゅるるるるるるる


【弐nd “或る田舎的非モテ 睦やんの逆襲”】へと続く



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