【事件激情】彼女Y.Mの福音 : 前編【池袋出会いカフェ殺人事件】



■ 「現場、池袋1丁目。被害者、35歳くらいの女」

そのちっぽけなピンクのラブホテルは、池袋東口から出て明治通りを北東へ、移転も間近な豊島区役所の向かいのブロックにある。
昭和系やらアート系やらなぜか落語までやってる映画館「新文芸坐」、ボーリング場の看板をかかげるレトロというより単に古い雑居ビル「D-BOX」、ストリップ「ヌード専門館ミカド劇場」。
再開発もまだ遠く、年季の入った2階3階建てのビルや商店がひしめく。
パチンコ、ヘルス、いかにもそちゃら向けの狭い汚いラブホ、テレクラ、個室ビデオ、まあそんなのが迷路みたいな路地にグチャグチャ現れ、その数だけネオンがぎらっぎら、
とまあ昭和仕込みの脂っこい香り、というか臭いがよどんでる、場末ええな奥の奥までもう奥の一角に。

そのラブホだが、なんとかアーバンな感じにしようと企業努力した結果よけいに場末感が倍増なんだけども。
もともとこの建物では池袋でも1、2を争う人気の風俗店が営業してたんだが、10年くらい前につぶれて、いろいろあって今のピンクのラブホになったんである。
元風俗店の物件だからぜんぜん宿泊向きじゃないわけでとにかく狭い。
小さいのに13室も客室にしたからベッド1個で部屋はいっぱい、ベッドなのか部屋なのかわからんくらいで情緒もムードも(なつかしい響き)へったくれもない。
そんなんだからここに来る客がどんなジャンルなのか想像もつくってもん。
さてこの日、
2010年 9月26日 日曜日

午前4時過ぎ。
夜明けまであと1時間半。
フロント係がおかしいなと思い始めている。
そろそろチェックアウトするはずの2階の客。ちっとも降りてこない。
その男女2人は深夜2時にやって来て、

90分の予定でチェックインしていた。
なにしに来てどんな組み合わせかは考えるまでもなし。ここはほぼ100パーそのためのホテルなんだから。
途中、男の声で

「延長お願いします」
のコールがあった。
でも延長分の30分も過ぎた。なのに降りてこない。
部屋に何度か電話した。寝てるのか出ねえ。
まあフロント係が電話しただけで放っておいたのは、こういうこともよくあるわけで。
たとえば浴室で(;゚∀゚)(;゚∀゚)(;゚∀゚)とか。
そんな真っ最中にドア叩いて逆ギレされてもめんどくさいしどうせこっちが悪者にされてアホらしいし。
が、
夜も明けて、

正午も過ぎた。
2階の客、いまだ音沙汰ナシ。
さすがにヘンだぞ。やっとラブホテルマンたちは2階へ向かい。
合い鍵で客室のドアを開けた。

ベッドに髪の長い女がうつぶせで寝ていた。
あれ、男はどこだ、トイレか?
「えーと、お客さま、お客さま」
おずおず声をかけて、女を揺すぶって──

豊島署の署員が駆けつけた。
続いて警視庁捜査1課の腕利きたちも鑑識課員も。
ベッドの女、死んでいた。
「30代も半ば」と刑事は思った。ほかの捜査員もそう思った。
一緒に部屋にいたはずの男の姿はない。
正面玄関や非常口を通って出た様子もない。客が金払わずに出ようとするとセンサーでブザーが鳴るからだ。
でも実際男はいない。どうにかして出て行ったらしい。
現場検証。
女は服は着てたけれども、靴を履いてなかった。

室内のどこにも靴はない。部屋に入るときは履いてたはずだ。
厄介にも身元がわかる物も持ってなかった。というかバッグや財布すらない。
一緒にいた男が持ち去ったかもしれない。
死後おそらく数時間。
目立つ傷はない、司法解剖しだいだがとにかく女は死んだ。
間違いなく男がこの部屋にいるうちに。
男は少なくとも延長コールした午前3時半前後までは部屋にいた。
男を捜せ。

「池袋のホテル、30代とみられる女性の変死体」
というニュースが流れた。

女の身元は不明。男の行方も不明。
捜査員は正直「またかよ」の心境だったろう。
池袋では4月にラブホで19歳女子@フリーターが殺される事件があったばかりで。

犯人はその彼氏20歳@やっぱりフリーターだった。“別れ話のもつれ”。
あまりにもありふれすぎの事件。
たぶん今回のこの名無しの30女も別れ話かなにかがこじれて、とかだろう。
痴情怨恨なら女の身元さえ分かればその人間関係の中にたいてい犯人がいてわりとすぐ捕まる。実際、ほとんどの殺人はそんなのだ。
女の荷物を残らず持ち去ってるとこからすると女の身元がバレると速攻で困る身近な男かもしれない。

が、
もしかするとこの名無しの30女は風俗嬢で、客に殺された、って可能性も大いにあり得る。
商売女だと捜査はいきなり難易度上昇なんである。しかも客が犯人だとなおさら。店に所属してるデリヘル嬢あたりならまだしもフリーの立ちんぼだと、犯人は行きずりの客だったりしてもうどうしようもない。
どちらにしても、ありふれた事件だ。
これまで【事件激情】に登場してきた異形のメジャー級にくらべて、一瞬で消費されて忘れられつつある事件的によくある事件。
でも一見ありふれたこの事件、じつは事件激情的に底が深いんである、いやというか浅い、いやむしろ浅いから深い?んーと次行ってみよ!
警察の見立ては半分当たり半分ハズレた。

彼女は痴情のもつれじゃなく、売春の客に殺された。
でも彼女は35歳ではなく、

まだ22歳で、
有名私大に通う女子大生だった。
■ 観光には確実に役立たない池袋案内!
池袋に田舎もん(つまりワシのような)が来て、最初に思うのは、

城壁
って言葉。
とくに池袋駅東口の池袋パルコ、西武百貨店はなんでまたあんなクソいかめしい設計にしたのか、
まるで蛮族の侵攻を防ぐセゾン帝国の巨大要塞。

威圧感超満点である。
で、
この池袋。新宿、渋谷とともに山の手3大副都心、なんていわれてるんだけども。
なぜか新宿渋谷にくらべて、んーなにか垢抜けないというか、どこかパッとしないんである。

埼京線やら東上線やら有楽町線やら鉄道すべてが埼玉県とつながって、
「埼玉の植民地」とか埼玉県人の橋頭堡とか揶揄されてるイメージからなのか、

中国人がめっさやたら多くて「中国城」なんていわれてるからなのか。
戦後闇市の流れをくんだ昭和臭な歓楽街やら風俗店がいまだ多いからなのか、

それとも都心部なのにゴミ処理場の巨大煙突@日本一ノッポから

もくもく煙が上ってるせいか。
個人的に主犯は、駅前のフクロウ交番と、
これはなあ…ダメだろう
“キン肉バスター”なんて呼ばれちゃってる謎なアートだと思ってるんだが。

キン肉マンの必殺技・キン肉バスター。本当の作品名は…知るか
西口。
いちおう東京芸術劇場、
なぜか宇宙基地テイスト
とか立教大とか文教都市っぽいアイテムが揃ってるんだが、
にもかかわらずいかがわしい盛り場のイメージの方が強し。
北口。
もはや事実上チャイナタウン状態。

中華系が一族郎党ひしめいて、看板は中国語ばっかし。中華なマフィアの影もちらほらする。前はコリアンもいたりしたんだが、生存競争で駆逐されたらしくいまや圧倒的チャイニーズ。

ちなみに北口にあるホテルオーエドは都心の割に安いビジネスホテルで一時期重宝して使っていた。関係ないけど。
で、「城壁」側の東口はどうかというと、
とりあえずサンシャイン60。

70年代終わりに「東洋一」として完成した東洋一という言い方がまた古くさいが、巣鴨プリズン跡にそびえ立つA級戦犯の墓標ビルヂングとサンシャインシティ。
それから池袋界隈はビックカメラの牙城なんであるけども、さいきんヤマダ電機がアウェー侵攻で勝負かけてきてて、

ビックカメラとヤマダ電機系LABI1モバイルドリーム館
熾烈な家電量販店頂上決戦が繰り広げられてやたら暑苦しい。
で、
LABI1日本総本店@ヤマダ電機は、閉店した池袋三越の居抜きだったりして、
じつは百貨店でもってきたブクロはゆるやかに衰退しつつあるんではないかともいわれる昨今。

それからジュンク堂とか日本最大書店もあったりデカレコ店もあったり、いちおう文化の街でもある。
しゃて、

東京の街路はどこもぐちゃごちゃしてるが、池袋の道はまた絶望的なまでに面妖怪奇。異常に戦闘意欲満々の城下町かよである。なぜか地下街まで無限ラビリンス。どこの敵を防いでるんだと問いただしたい。
そのひとつ、脈絡のない進路をとる「60階通り」ことサンシャイン60通りは、

昼はこれといって個性のないカジュアルな街、

日が沈むと一転してネオンぎらっぎら、夜の人たちがうろつく夜の街になる。
その裏路地は、これまた昭和の香りというか臭いの夜の街で、

美久仁小路、栄町通り、ひかり町、人世横丁なんつー戦後伝統的?な赤ちょうちんワールドがひしめく。
もっともこのへんの古い町並みも消えつつあって、人世横丁は再開発で取り壊し、ひかり町もラーメン通りにリニューアルした。
でもって池袋はサブカルの街でもある。

シアターグリーンは演劇の殿堂で、

乙女ロードは腐女子の聖地。ボーイズラブ、やおい、執事カフェお帰りなさいませお嬢様。
西口公園(もちろんウエストゲートパークなんて絶対的に呼ばれてない)では、それまでのアコ系や民俗芸能発表会系にくわえて、

例の事件で難民のごとく流れてきたヲタ系パフォーマーたちがいろいろやってたり。

ああそういえば池袋はラーメン激々々戦区でもある。
ちなみに池袋は、東京では珍しく面の広がりのない街だ。
西口から10分も歩くと、そこは住宅地。
といっても狭い汚い独身男向けのぼろぼろの古アパートばかり。そこに二段ベッドやら雑魚寝やらで暮らすのは日雇い労働者(仕事ねえよ)と中国人たち。
つまりドヤ街。

昔はそれなりにサザエさん的な下町だったろうなって商店街は軒並みシャッター通りというかもはや無人の廃墟化していて、ほぼゴーストタウン。
池袋は新ドヤ街と廃墟の街でもある。
あとまだあるけどキリがねえのでそんなところで。
長々と使い道のないタウン紹介をしてきたけども、事件を理解するのに必要だからである。こらえてつかあさい。
こんなごった煮のるつぼが池袋。

ただし、かつての新宿のごとき突き抜けた野卑でカオス的な明るさがない。
なぜかこの街はフィルターが一枚かかったように暗いんである。
そして忘れてはいけない、なにより池袋は、

エロエロンタウンなんである。
■ 池袋リビドーアンダーワールド

駅前の主要道路にソープランドが堂々かつ燦然とネオンを輝かせ、キャバクラ、ガールズバー、セクパブセクキャバ、ソープ、ヘルス、ピンサロ、個室マッサー、耳かき風俗、テレクラ、個室ビデオ、ストリップ、大中小のラブホ、出会いカフェ、偽装風俗マンション、偽装風俗ホテル、なんちゃらパブ、なんちゃらクラブ、なんちゃら──エロイエッサイムもろもろ。
新宿の歌舞伎町@はっぴゃくえんっが、裕次郎の兄貴の肝いりによる浄化作戦で、ぼったくりバーとガールズバーと違法風俗はす激減。ラーメン屋だらけの魅力の薄い街になった一方で、
池袋はますます活気づいた。

斜め上に偏ったベクトルへ。
警視庁はとくに店舗型風俗を厳しく取り締まっていて、ずいぶんと店舗型は減った。
で、反作用のごとく無店舗出張派遣型が増えた。デリヘルやらマンヘルやらホテヘルやらである。念のためデリはデリバリー、マンはマンション、ホテはホテル。
無店舗といいながらマンヘルホテヘルはマンションやラブホの近くに受付があって、客はそこで店舗型と同じように風俗嬢を選び、店の個室のようにマンションやホテルの部屋に移動。このとき金を受付に払うと警察に店舗型と見なされるので、まず風俗嬢に金を渡し、それを黒服が回収に来る、なんて回りくどさもまたこの世界らしく。

まあ警察もですな、大きな声では言えないけども、なんだかんだいって性風俗産業をある程度は必要悪と見なしてて、
まあ一線超えたハネッ返りはガチでぶっ潰す。でもすべてを完全に壊滅させるまではやらない。
しゃて、そういう狐と狸の化かし合いの世界のなか、
■ 出会いカフェの出会い
新たにひねり出されたリビドー刺激ビジネスが、

「出会いカフェ」
女=入店無料。
入店するときに会員登録して身分証のコピーをとられるけど要るのはそれだけ。

女フロアではソファでくつろいで、雑誌やマンガを読んだり、DVDもインターネットしたりも見放題やり放題で全部タダ、

フリードリンクだしお菓子もスイーツも食べ放題。時間制限もなし。なんかトクな感じ。
一方、
男=ささ入会金やら入店料払って。へえへえどうせそうでしょうよ。

別の入り口から隣の男フロアに入る。
男フロア/女フロアの「/」の部分はマジックミラーで、

男側からだけ女フロアが見えるんである。

その図は飾り窓というか遊郭の切り見世というか、
水族館というか生け簀というか…。

男は気に入った魚、いや女を見つけると、「おぅ、おやじ、あの活きのよさげなのを一匹さばいてくんねい」じゃなくて店に「あの子と話したい」と指名する。
で、トーク料として店に1英世払う、
すると、
トークルームとかトークブースとかの個室で女と2人きりで話せる。

でも待った、まだである。まだここは話だけ。
そうか言葉責めプレイだねじゃなくてホントに話だけ。

話をして「交渉」成立すると、女を店外へ「デート」に連れ出せる。男はこのとき退出料として店に3英世払う。

ここから先、店は一切関わらない。2人の「個人的交際」乙。
あくまで交際だからして、男が女に「交通費」を出してあげるという建前になる。
一緒にお茶したりご飯食べたりカラオケしたりなら
↓
飲食代おごり+「交通費」1一葉也

一緒にホテルも行くなら
↓
「交通費」1.5諭吉から2諭吉+ホテル代もちろん男持ち
そんなシステムなんである。
ポイントは店が「出会いの場を提供してるだけ」っつう点。
女たちはあくまで従業員じゃなくて無料会員なる客、客同士が店でナンパ的に会って自由意志で一緒に外に出て「交際」するここ試験で出るからよく復習しとくように。
店としちゃ利幅は薄いものの、規制のせまいせまい隙間をぬいまくった商売だ。
ちなみにこの手の出会いカフェは全国で100店くらいあって、そのうちの半分近くが東京圏、そのうちかなりが池袋にある。
警察もこれをほったらかしてるわけじゃなく。
2008年には池袋の出会いカフェCが警視庁に摘発された。
店長やら9人逮捕。
店内にいた女子高生を含む客の女たち31人も補導された。
きゃー恥ーずかし-。

顔を隠した制服姿のJKたちが連れ出されての市中引き回しの刑の図はなかなかにして壮観で話題になった。
でもこれ、出会い喫茶商法そのものがアゲられたわけじゃなくて、「東京都デートクラブ規制条例」なるホコリかぶってた条例をこじつけたのだった。学校から200m以内は禁止な、お兄さんとの約束だ、ってあれである。
Cのばやい店側が、
「女性限定の漫画喫茶だから合法だ!」
と無駄に強気だったのと、
店から出たおっさんと女子高生@制服がラブホ街をこれ見よがしに闊歩したりしてたもんだから、ついに警察がブチ切れたんである。
さらに巣鴨でも、
出会いカフェLの経営者やら12人が逮捕された。
こちらは出会いカフェに見せかけてじつは女たちは従業員で、しかも個室で性方面サービスまでいたしてたっつう偽装出会いカフェだったから、
そりゃあんた全然あかんだろって感じで売春防止法に引っかかった。
でも出会いカフェそのものを首尾よく規制する条例はいまいちバシッとしてなくて、
官憲と店側の微妙なせめぎ合い継続中なんである。
さらに素人エンコー方面も、この夏休みには、
「サンシャイン60通りでグラドル級の美少女JKの立ちんぼが1諭吉で」

なんて噂もリアリティもって広まるくらいすさみまくっていた。
てなわけで、ここ数年、とくに池袋の性風俗方面はちと暴走灼熱気味で、いわゆる爛熟モードにあった。
秋葉原通り魔事件のときもそうだが、ある現象がピークを過ぎて腐りかけのとき、
まるでそれを総括するような事件が起きる。
□
さて、そんな池袋。
9月25日 土曜、夜。

彼女がベッドの上で発見されるよりも、12時間前にさかのぼり──。
■ 「割切りなら2諭吉で(*^∇゜)v」

その出会いカフェKは、現場となったピンクのラブホのすぐ近く明治通りから一方入った路地にある。
事件の直前、25日土曜の夜半もKのフロアは相も変わらず女たちでわさわさだった。
制服まんまのJK集団もだべってるし、女子大生もOL風も、ギャル系も森ガール系も、なにやってんのか謎な系もいる。
このKって店、
料金が激安で人気なんである。

男は入店で3英世。
マジックミラーで女たちをみて「おぅ、おやじ、あの活きのよさげなのを一匹さば以下略は他とおなじだけど、トーク代が無料。
1人10分までなら何人の女と話しても無料。出入りも自由。
女を連れて外に出る退出料が2英世。
だから店に払うのはしめて1一葉で済む。
同業他社にくらべて格段に安いKである。

ただ激安だけあって、女の方もすべて無料っつうのは変わらないものの、マジックミラーの前で横一列に座る式で、
これじゃもろカタログ状態じゃんあんまりくつろげないしぃ、
だいたい激安料金に寄ってくる男なんて当然ながら金あんまり持ってないわけで、女側はいまいちおいしくない。
でもKはウィークデーも朝5時までやってる店だから、埼京線の早い終電に乗れず始発を待つ女、カプセル代をケチりたいけどネカフェはイヤなのよね的な女にはとても都合がいいのだった。
ひたすら指名を拒否ってDVDと雑誌見まくってお茶だけして帰るヒマつぶし女子もいるし、ネットカフェ難民ならぬ出会いカフェ難民の家出少女、出会いカフェを渡り歩いて暮らす無宿女もいたりする。
周りは女ばかりだから安全だしヒマつぶしの道具もあるし。
ちょっと脚を広げてパン見せ座りすればすぐ指名されてタダ飯でおこづかいまでもらえちゃって(゚Д゚)ウマー
寂しい…、男の人と友だちになりたい…と本気で思ってる女もほおぉぉぉぉんのわずかながら。たいてい逆に危ない感じだが。
もちろん「割切り」目当ての素人売春婦たちも。

割切り。
「一度限り、お互い引きずらない、割り切った大人な交際」
きっぱり売春の言い換え。
割切りをきっかけに「愛人契約」を結んで月々小遣いをもらうパターンの売春もある。
彼女たちの普段使いの顔はOL、学生、高校生(おい)、フリーター、家事手伝いという名のニートなどもろもろなんだが、
交際を済ませてまた店に戻って次の指名を待つ「回転女」なんつーのもいて、このへんになるともはやプロの売春婦となんも変わらない。
店に風俗嬢として雇われるとマージンとられるけど、出会いカフェで直接客と交渉すれば全額自分のもの(゚Д゚)ウマー

それにナンパっぽい流れだからカラダ売ってる感覚も薄いし。
が、
そんな彼女たちがだ、「私たちは違うもんね(*^∇゜)vテヘッ」と、本職の売春婦風俗嬢を蔑み見下してるんなら、
彼女たちだってどうオブラートで包んでも1ミクロン違わず売春婦そのものなんである。
さらに女が見ず知らずの男相手に後ろ盾なく商売するのはとても危険まみれ。
ヤリ逃げされた、逆に金を奪られた、むりやり変態プレイ強要、写メ撮られて脅迫、お茶だけのつもりがレイプ、仲間が待ち受けてて輪姦、ケガさせられた、ラチられて連れ回された監禁された、
「カフェ嬢狩り」狙いの男もけっこういる。

こういう男たちがあとで逮捕されたケースもあるにはあるけども、女もちっと後ろ暗いんで多くは泣き寝入りだ。
そのへんのリスクもぜんぶ自己責任になってしまうんである。
でもそういうリスキーなとこは彼女たち頭にない、いやあえて思考停止中。
どころか少々痛い目にあったり怖い目に遭ってもまた店にやって来るんである。
だって(゚Д゚)ウマーだから。

さて、彼女は死体で発見される前夜、25日 土曜の夜も、
その出会いカフェKにやってきた。
はじめ35歳などと報道されたもんだから、じつは22歳と分かったとき
「どんだけ老け顔なんだw」
「どんだけブスなんだwww」
なんて言われてしまってた彼女だが、
のちにニュースで被害者として映し出された顔は、
たしかに色黒ギャル系メイク、たいへんにビッチなかんじ、けれども、

ふつうに若くて、ふつうに美人系だった。
こんな声がささやき。
どうやってこれを30半ばと間違えるんだよ?
■ 彼女を店から連れ出した「男」
ふだん別の店を使ってるのか、そんなにKのフロアで見かけられることはなかったけど、フロアの女客たちは彼女を覚えていた。それだけ彼女は目立った。

彼女の長い髪は人目を引いた。色黒ギャル系で生意気そうで、

脚が長くてスタイルがよくてむきー。
整形じゃないの?だってほら大きすぎる目とか形よすぎの唇とか鼻筋とおった鼻とかなんて声もちらほらあったが、真偽はもう分からない。この時点で美人なら美人でいいだろう。どーせ男にゃわかんねえし。
彼女はいつも一人で来店。ヒマつぶし目的じゃないのは明らか也。
金曜の夜もKに来て、席に着くとすぐ指名されて店を出ていった。
で、今夜もまた彼女はKにやって来た。
それだけヘビーユーザーなんだが、なぜか彼女は店内に充満する空気とビミョーにちがう妙な明るさがあった。
だから常連の女にも「こういう所に慣れてないように見えた」と思われた。男にはそういうとこがいいのかよく指名されるのだった。

とにかくその夜も彼女は席についてまもなく指名されて。
トークルームで相手の男と交渉が成立したらしく。外へ連れ出された。
さて、
どこかで酒でも飲んだかカラオケしたか、
しばらくして2人は例の池袋1丁目裏路地を歩いている。

いかがわしげな酒場やら水商売やら風俗やらばかりの路地。
この界隈をまともなカップルはまず歩かない。
歩いてるのは男ばかり。男女だったらまず客と娼婦。
その“割切り”相手の男と彼女もそう。まったく彼氏彼女には見えない。

男=ラフな格好で身なりかまってないっぽい。なんだか少年なのか老けてるのかわからない。
彼女=ギャル的に華やかにオシャレ。
いかにもちぐはぐ。

そろそろ午前2時って頃、
2人は入り組んだ路地の奥の奥、ピンクのラブホに入っていく。

その10時間後、
彼女はベッドの上で見つかった。
男は消えた。
【後編につづく】 >
*東京DEEP案内 ─埼玉の植民地「池袋」
*池袋の繁華街 / 池袋風俗情報!
*風俗wiki 池袋風俗街(東口)
*風俗街の辞典 風俗大辞典 東京・池袋・渋谷
【事件激情】 >
*その男、K。 ─秋葉原通り魔事件 >
*ネバダたん 彼女と彼女の365日 ─佐世保小6同級生殺人事件 >
*狭山事件と「となりのトトロ」─事件編 > ─うわさ検証編 >
*永遠に謎な女 ─東電OL殺人事件 >
*借りてきた「絶望」。─殺戮ゴスロリカップルと毒殺女子高生タリウム >

90分の予定でチェックインしていた。
なにしに来てどんな組み合わせかは考えるまでもなし。ここはほぼ100パーそのためのホテルなんだから。
途中、男の声で

「延長お願いします」
のコールがあった。
でも延長分の30分も過ぎた。なのに降りてこない。
部屋に何度か電話した。寝てるのか出ねえ。
まあフロント係が電話しただけで放っておいたのは、こういうこともよくあるわけで。
たとえば浴室で(;゚∀゚)(;゚∀゚)(;゚∀゚)とか。
そんな真っ最中にドア叩いて逆ギレされてもめんどくさいしどうせこっちが悪者にされてアホらしいし。
が、
夜も明けて、

正午も過ぎた。
2階の客、いまだ音沙汰ナシ。
さすがにヘンだぞ。やっとラブホテルマンたちは2階へ向かい。
合い鍵で客室のドアを開けた。

ベッドに髪の長い女がうつぶせで寝ていた。
あれ、男はどこだ、トイレか?
「えーと、お客さま、お客さま」
おずおず声をかけて、女を揺すぶって──

豊島署の署員が駆けつけた。
続いて警視庁捜査1課の腕利きたちも鑑識課員も。
ベッドの女、死んでいた。
「30代も半ば」と刑事は思った。ほかの捜査員もそう思った。
一緒に部屋にいたはずの男の姿はない。
正面玄関や非常口を通って出た様子もない。客が金払わずに出ようとするとセンサーでブザーが鳴るからだ。
でも実際男はいない。どうにかして出て行ったらしい。
現場検証。
女は服は着てたけれども、靴を履いてなかった。

室内のどこにも靴はない。部屋に入るときは履いてたはずだ。
厄介にも身元がわかる物も持ってなかった。というかバッグや財布すらない。
一緒にいた男が持ち去ったかもしれない。
死後おそらく数時間。
目立つ傷はない、司法解剖しだいだがとにかく女は死んだ。
間違いなく男がこの部屋にいるうちに。
男は少なくとも延長コールした午前3時半前後までは部屋にいた。
男を捜せ。

「池袋のホテル、30代とみられる女性の変死体」
というニュースが流れた。

女の身元は不明。男の行方も不明。
捜査員は正直「またかよ」の心境だったろう。
池袋では4月にラブホで19歳女子@フリーターが殺される事件があったばかりで。

犯人はその彼氏20歳@やっぱりフリーターだった。“別れ話のもつれ”。
あまりにもありふれすぎの事件。
たぶん今回のこの名無しの30女も別れ話かなにかがこじれて、とかだろう。
痴情怨恨なら女の身元さえ分かればその人間関係の中にたいてい犯人がいてわりとすぐ捕まる。実際、ほとんどの殺人はそんなのだ。
女の荷物を残らず持ち去ってるとこからすると女の身元がバレると速攻で困る身近な男かもしれない。

が、
もしかするとこの名無しの30女は風俗嬢で、客に殺された、って可能性も大いにあり得る。
商売女だと捜査はいきなり難易度上昇なんである。しかも客が犯人だとなおさら。店に所属してるデリヘル嬢あたりならまだしもフリーの立ちんぼだと、犯人は行きずりの客だったりしてもうどうしようもない。
どちらにしても、ありふれた事件だ。
これまで【事件激情】に登場してきた異形のメジャー級にくらべて、一瞬で消費されて忘れられつつある事件的によくある事件。
でも一見ありふれたこの事件、じつは事件激情的に底が深いんである、いやというか浅い、いやむしろ浅いから深い?んーと次行ってみよ!
警察の見立ては半分当たり半分ハズレた。

彼女は痴情のもつれじゃなく、売春の客に殺された。
でも彼女は35歳ではなく、

まだ22歳で、
有名私大に通う女子大生だった。
■ 観光には確実に役立たない池袋案内!
池袋に田舎もん(つまりワシのような)が来て、最初に思うのは、

城壁
って言葉。
とくに池袋駅東口の池袋パルコ、西武百貨店はなんでまたあんなクソいかめしい設計にしたのか、
まるで蛮族の侵攻を防ぐセゾン帝国の巨大要塞。

威圧感超満点である。
で、
この池袋。新宿、渋谷とともに山の手3大副都心、なんていわれてるんだけども。
なぜか新宿渋谷にくらべて、んーなにか垢抜けないというか、どこかパッとしないんである。

埼京線やら東上線やら有楽町線やら鉄道すべてが埼玉県とつながって、
「埼玉の植民地」とか埼玉県人の橋頭堡とか揶揄されてるイメージからなのか、

中国人がめっさやたら多くて「中国城」なんていわれてるからなのか。
戦後闇市の流れをくんだ昭和臭な歓楽街やら風俗店がいまだ多いからなのか、

それとも都心部なのにゴミ処理場の巨大煙突@日本一ノッポから

もくもく煙が上ってるせいか。
個人的に主犯は、駅前のフクロウ交番と、

“キン肉バスター”なんて呼ばれちゃってる謎なアートだと思ってるんだが。

キン肉マンの必殺技・キン肉バスター。本当の作品名は…知るか
西口。
いちおう東京芸術劇場、

とか立教大とか文教都市っぽいアイテムが揃ってるんだが、
にもかかわらずいかがわしい盛り場のイメージの方が強し。
北口。
もはや事実上チャイナタウン状態。

中華系が一族郎党ひしめいて、看板は中国語ばっかし。中華なマフィアの影もちらほらする。前はコリアンもいたりしたんだが、生存競争で駆逐されたらしくいまや圧倒的チャイニーズ。

ちなみに北口にあるホテルオーエドは都心の割に安いビジネスホテルで一時期重宝して使っていた。関係ないけど。
で、「城壁」側の東口はどうかというと、
とりあえずサンシャイン60。

70年代終わりに「東洋一」として完成した東洋一という言い方がまた古くさいが、巣鴨プリズン跡にそびえ立つA級戦犯の墓標ビルヂングとサンシャインシティ。
それから池袋界隈はビックカメラの牙城なんであるけども、さいきんヤマダ電機がアウェー侵攻で勝負かけてきてて、

ビックカメラとヤマダ電機系LABI1モバイルドリーム館
熾烈な家電量販店頂上決戦が繰り広げられてやたら暑苦しい。
で、
LABI1日本総本店@ヤマダ電機は、閉店した池袋三越の居抜きだったりして、
じつは百貨店でもってきたブクロはゆるやかに衰退しつつあるんではないかともいわれる昨今。

それからジュンク堂とか日本最大書店もあったりデカレコ店もあったり、いちおう文化の街でもある。
しゃて、

東京の街路はどこもぐちゃごちゃしてるが、池袋の道はまた絶望的なまでに面妖怪奇。異常に戦闘意欲満々の城下町かよである。なぜか地下街まで無限ラビリンス。どこの敵を防いでるんだと問いただしたい。
そのひとつ、脈絡のない進路をとる「60階通り」ことサンシャイン60通りは、

昼はこれといって個性のないカジュアルな街、

日が沈むと一転してネオンぎらっぎら、夜の人たちがうろつく夜の街になる。
その裏路地は、これまた昭和の香りというか臭いの夜の街で、

美久仁小路、栄町通り、ひかり町、人世横丁なんつー戦後伝統的?な赤ちょうちんワールドがひしめく。
もっともこのへんの古い町並みも消えつつあって、人世横丁は再開発で取り壊し、ひかり町もラーメン通りにリニューアルした。
でもって池袋はサブカルの街でもある。

シアターグリーンは演劇の殿堂で、

乙女ロードは腐女子の聖地。ボーイズラブ、やおい、執事カフェお帰りなさいませお嬢様。
西口公園(もちろんウエストゲートパークなんて絶対的に呼ばれてない)では、それまでのアコ系や民俗芸能発表会系にくわえて、

例の事件で難民のごとく流れてきたヲタ系パフォーマーたちがいろいろやってたり。

ああそういえば池袋はラーメン激々々戦区でもある。
ちなみに池袋は、東京では珍しく面の広がりのない街だ。
西口から10分も歩くと、そこは住宅地。
といっても狭い汚い独身男向けのぼろぼろの古アパートばかり。そこに二段ベッドやら雑魚寝やらで暮らすのは日雇い労働者(仕事ねえよ)と中国人たち。
つまりドヤ街。

昔はそれなりにサザエさん的な下町だったろうなって商店街は軒並みシャッター通りというかもはや無人の廃墟化していて、ほぼゴーストタウン。
池袋は新ドヤ街と廃墟の街でもある。
あとまだあるけどキリがねえのでそんなところで。
長々と使い道のないタウン紹介をしてきたけども、事件を理解するのに必要だからである。こらえてつかあさい。
こんなごった煮のるつぼが池袋。

ただし、かつての新宿のごとき突き抜けた野卑でカオス的な明るさがない。
なぜかこの街はフィルターが一枚かかったように暗いんである。
そして忘れてはいけない、なにより池袋は、

エロエロンタウンなんである。
■ 池袋リビドーアンダーワールド

駅前の主要道路にソープランドが堂々かつ燦然とネオンを輝かせ、キャバクラ、ガールズバー、セクパブセクキャバ、ソープ、ヘルス、ピンサロ、個室マッサー、耳かき風俗、テレクラ、個室ビデオ、ストリップ、大中小のラブホ、出会いカフェ、偽装風俗マンション、偽装風俗ホテル、なんちゃらパブ、なんちゃらクラブ、なんちゃら──エロイエッサイムもろもろ。
新宿の歌舞伎町@はっぴゃくえんっが、裕次郎の兄貴の肝いりによる浄化作戦で、ぼったくりバーとガールズバーと違法風俗はす激減。ラーメン屋だらけの魅力の薄い街になった一方で、
池袋はますます活気づいた。

斜め上に偏ったベクトルへ。
警視庁はとくに店舗型風俗を厳しく取り締まっていて、ずいぶんと店舗型は減った。
で、反作用のごとく無店舗出張派遣型が増えた。デリヘルやらマンヘルやらホテヘルやらである。念のためデリはデリバリー、マンはマンション、ホテはホテル。
無店舗といいながらマンヘルホテヘルはマンションやラブホの近くに受付があって、客はそこで店舗型と同じように風俗嬢を選び、店の個室のようにマンションやホテルの部屋に移動。このとき金を受付に払うと警察に店舗型と見なされるので、まず風俗嬢に金を渡し、それを黒服が回収に来る、なんて回りくどさもまたこの世界らしく。

まあ警察もですな、大きな声では言えないけども、なんだかんだいって性風俗産業をある程度は必要悪と見なしてて、
まあ一線超えたハネッ返りはガチでぶっ潰す。でもすべてを完全に壊滅させるまではやらない。
しゃて、そういう狐と狸の化かし合いの世界のなか、
■ 出会いカフェの出会い
新たにひねり出されたリビドー刺激ビジネスが、

「出会いカフェ」
女=入店無料。
入店するときに会員登録して身分証のコピーをとられるけど要るのはそれだけ。

女フロアではソファでくつろいで、雑誌やマンガを読んだり、DVDもインターネットしたりも見放題やり放題で全部タダ、

フリードリンクだしお菓子もスイーツも食べ放題。時間制限もなし。なんかトクな感じ。
一方、
男=ささ入会金やら入店料払って。へえへえどうせそうでしょうよ。

別の入り口から隣の男フロアに入る。
男フロア/女フロアの「/」の部分はマジックミラーで、

男側からだけ女フロアが見えるんである。

その図は飾り窓というか遊郭の切り見世というか、
水族館というか生け簀というか…。

男は気に入った魚、いや女を見つけると、「おぅ、おやじ、あの活きのよさげなのを一匹さばいてくんねい」じゃなくて店に「あの子と話したい」と指名する。
で、トーク料として店に1英世払う、
すると、
トークルームとかトークブースとかの個室で女と2人きりで話せる。

でも待った、まだである。まだここは話だけ。
そうか言葉責めプレイだねじゃなくてホントに話だけ。

話をして「交渉」成立すると、女を店外へ「デート」に連れ出せる。男はこのとき退出料として店に3英世払う。

ここから先、店は一切関わらない。2人の「個人的交際」乙。
あくまで交際だからして、男が女に「交通費」を出してあげるという建前になる。
一緒にお茶したりご飯食べたりカラオケしたりなら
↓
飲食代おごり+「交通費」1一葉也

一緒にホテルも行くなら
↓
「交通費」1.5諭吉から2諭吉+ホテル代もちろん男持ち
そんなシステムなんである。
ポイントは店が「出会いの場を提供してるだけ」っつう点。
女たちはあくまで従業員じゃなくて無料会員なる客、客同士が店でナンパ的に会って自由意志で一緒に外に出て「交際」するここ試験で出るからよく復習しとくように。
店としちゃ利幅は薄いものの、規制のせまいせまい隙間をぬいまくった商売だ。
ちなみにこの手の出会いカフェは全国で100店くらいあって、そのうちの半分近くが東京圏、そのうちかなりが池袋にある。
警察もこれをほったらかしてるわけじゃなく。
2008年には池袋の出会いカフェCが警視庁に摘発された。
店長やら9人逮捕。
店内にいた女子高生を含む客の女たち31人も補導された。
きゃー恥ーずかし-。

顔を隠した制服姿のJKたちが連れ出されての市中引き回しの刑の図はなかなかにして壮観で話題になった。
でもこれ、出会い喫茶商法そのものがアゲられたわけじゃなくて、「東京都デートクラブ規制条例」なるホコリかぶってた条例をこじつけたのだった。学校から200m以内は禁止な、お兄さんとの約束だ、ってあれである。
Cのばやい店側が、
「女性限定の漫画喫茶だから合法だ!」
と無駄に強気だったのと、
店から出たおっさんと女子高生@制服がラブホ街をこれ見よがしに闊歩したりしてたもんだから、ついに警察がブチ切れたんである。
さらに巣鴨でも、
出会いカフェLの経営者やら12人が逮捕された。
こちらは出会いカフェに見せかけてじつは女たちは従業員で、しかも個室で性方面サービスまでいたしてたっつう偽装出会いカフェだったから、
そりゃあんた全然あかんだろって感じで売春防止法に引っかかった。
でも出会いカフェそのものを首尾よく規制する条例はいまいちバシッとしてなくて、
官憲と店側の微妙なせめぎ合い継続中なんである。
さらに素人エンコー方面も、この夏休みには、
「サンシャイン60通りでグラドル級の美少女JKの立ちんぼが1諭吉で」

なんて噂もリアリティもって広まるくらいすさみまくっていた。
てなわけで、ここ数年、とくに池袋の性風俗方面はちと暴走灼熱気味で、いわゆる爛熟モードにあった。
秋葉原通り魔事件のときもそうだが、ある現象がピークを過ぎて腐りかけのとき、
まるでそれを総括するような事件が起きる。
□
さて、そんな池袋。
9月25日 土曜、夜。

彼女がベッドの上で発見されるよりも、12時間前にさかのぼり──。
■ 「割切りなら2諭吉で(*^∇゜)v」

その出会いカフェKは、現場となったピンクのラブホのすぐ近く明治通りから一方入った路地にある。
事件の直前、25日土曜の夜半もKのフロアは相も変わらず女たちでわさわさだった。
制服まんまのJK集団もだべってるし、女子大生もOL風も、ギャル系も森ガール系も、なにやってんのか謎な系もいる。
このKって店、
料金が激安で人気なんである。

男は入店で3英世。
マジックミラーで女たちをみて「おぅ、おやじ、あの活きのよさげなのを一匹さば以下略は他とおなじだけど、トーク代が無料。
1人10分までなら何人の女と話しても無料。出入りも自由。
女を連れて外に出る退出料が2英世。
だから店に払うのはしめて1一葉で済む。
同業他社にくらべて格段に安いKである。

ただ激安だけあって、女の方もすべて無料っつうのは変わらないものの、マジックミラーの前で横一列に座る式で、
これじゃもろカタログ状態じゃんあんまりくつろげないしぃ、
だいたい激安料金に寄ってくる男なんて当然ながら金あんまり持ってないわけで、女側はいまいちおいしくない。
でもKはウィークデーも朝5時までやってる店だから、埼京線の早い終電に乗れず始発を待つ女、カプセル代をケチりたいけどネカフェはイヤなのよね的な女にはとても都合がいいのだった。
ひたすら指名を拒否ってDVDと雑誌見まくってお茶だけして帰るヒマつぶし女子もいるし、ネットカフェ難民ならぬ出会いカフェ難民の家出少女、出会いカフェを渡り歩いて暮らす無宿女もいたりする。
周りは女ばかりだから安全だしヒマつぶしの道具もあるし。
ちょっと脚を広げてパン見せ座りすればすぐ指名されてタダ飯でおこづかいまでもらえちゃって(゚Д゚)ウマー
寂しい…、男の人と友だちになりたい…と本気で思ってる女もほおぉぉぉぉんのわずかながら。たいてい逆に危ない感じだが。
もちろん「割切り」目当ての素人売春婦たちも。

割切り。
「一度限り、お互い引きずらない、割り切った大人な交際」
きっぱり売春の言い換え。
割切りをきっかけに「愛人契約」を結んで月々小遣いをもらうパターンの売春もある。
彼女たちの普段使いの顔はOL、学生、高校生(おい)、フリーター、家事手伝いという名のニートなどもろもろなんだが、
交際を済ませてまた店に戻って次の指名を待つ「回転女」なんつーのもいて、このへんになるともはやプロの売春婦となんも変わらない。
店に風俗嬢として雇われるとマージンとられるけど、出会いカフェで直接客と交渉すれば全額自分のもの(゚Д゚)ウマー

それにナンパっぽい流れだからカラダ売ってる感覚も薄いし。
が、
そんな彼女たちがだ、「私たちは違うもんね(*^∇゜)vテヘッ」と、本職の売春婦風俗嬢を蔑み見下してるんなら、
彼女たちだってどうオブラートで包んでも1ミクロン違わず売春婦そのものなんである。
さらに女が見ず知らずの男相手に後ろ盾なく商売するのはとても危険まみれ。
ヤリ逃げされた、逆に金を奪られた、むりやり変態プレイ強要、写メ撮られて脅迫、お茶だけのつもりがレイプ、仲間が待ち受けてて輪姦、ケガさせられた、ラチられて連れ回された監禁された、
「カフェ嬢狩り」狙いの男もけっこういる。

こういう男たちがあとで逮捕されたケースもあるにはあるけども、女もちっと後ろ暗いんで多くは泣き寝入りだ。
そのへんのリスクもぜんぶ自己責任になってしまうんである。
でもそういうリスキーなとこは彼女たち頭にない、いやあえて思考停止中。
どころか少々痛い目にあったり怖い目に遭ってもまた店にやって来るんである。
だって(゚Д゚)ウマーだから。

さて、彼女は死体で発見される前夜、25日 土曜の夜も、
その出会いカフェKにやってきた。
はじめ35歳などと報道されたもんだから、じつは22歳と分かったとき
「どんだけ老け顔なんだw」
「どんだけブスなんだwww」
なんて言われてしまってた彼女だが、
のちにニュースで被害者として映し出された顔は、
たしかに色黒ギャル系メイク、たいへんにビッチなかんじ、けれども、

ふつうに若くて、ふつうに美人系だった。
こんな声がささやき。
どうやってこれを30半ばと間違えるんだよ?
■ 彼女を店から連れ出した「男」
ふだん別の店を使ってるのか、そんなにKのフロアで見かけられることはなかったけど、フロアの女客たちは彼女を覚えていた。それだけ彼女は目立った。

彼女の長い髪は人目を引いた。色黒ギャル系で生意気そうで、

脚が長くてスタイルがよくてむきー。
整形じゃないの?だってほら大きすぎる目とか形よすぎの唇とか鼻筋とおった鼻とかなんて声もちらほらあったが、真偽はもう分からない。この時点で美人なら美人でいいだろう。どーせ男にゃわかんねえし。
彼女はいつも一人で来店。ヒマつぶし目的じゃないのは明らか也。
金曜の夜もKに来て、席に着くとすぐ指名されて店を出ていった。
で、今夜もまた彼女はKにやって来た。
それだけヘビーユーザーなんだが、なぜか彼女は店内に充満する空気とビミョーにちがう妙な明るさがあった。
だから常連の女にも「こういう所に慣れてないように見えた」と思われた。男にはそういうとこがいいのかよく指名されるのだった。

とにかくその夜も彼女は席についてまもなく指名されて。
トークルームで相手の男と交渉が成立したらしく。外へ連れ出された。
さて、
どこかで酒でも飲んだかカラオケしたか、
しばらくして2人は例の池袋1丁目裏路地を歩いている。

いかがわしげな酒場やら水商売やら風俗やらばかりの路地。
この界隈をまともなカップルはまず歩かない。
歩いてるのは男ばかり。男女だったらまず客と娼婦。
その“割切り”相手の男と彼女もそう。まったく彼氏彼女には見えない。

男=ラフな格好で身なりかまってないっぽい。なんだか少年なのか老けてるのかわからない。
彼女=ギャル的に華やかにオシャレ。
いかにもちぐはぐ。

そろそろ午前2時って頃、
2人は入り組んだ路地の奥の奥、ピンクのラブホに入っていく。

その10時間後、
彼女はベッドの上で見つかった。
男は消えた。
【後編につづく】 >
*東京DEEP案内 ─埼玉の植民地「池袋」
*池袋の繁華街 / 池袋風俗情報!
*風俗wiki 池袋風俗街(東口)
*風俗街の辞典 風俗大辞典 東京・池袋・渋谷
【事件激情】 >
*その男、K。 ─秋葉原通り魔事件 >
*ネバダたん 彼女と彼女の365日 ─佐世保小6同級生殺人事件 >
*狭山事件と「となりのトトロ」─事件編 > ─うわさ検証編 >
*永遠に謎な女 ─東電OL殺人事件 >
*借りてきた「絶望」。─殺戮ゴスロリカップルと毒殺女子高生タリウム >
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