【事件激情】ウルトラNW 第6便@再掲【VS白洲次郎】
*第5便
我が国の占領が米国による占領であったことは、
最悪中の最善であったとはっきり言える。
─────────────────白洲次郎
「で、これなんだけどさ」
「どう思う?」
「んー、電話番号だろ、たぶん」
「この達筆──というかミミズののたくったようなの、じいちゃんの字だよ、な」
「すぐ分かる、間違えようがないわ、はは」
「じゃ、おじいちゃんが伯母さんに渡してたっこと?」
「というよりばあちゃんの遺品を形見分けしたときに紛れたんだと思う」
「これチラシの裏じゃんか。ちょっと覚え書きしただけのゴミだろ?」
「でも、アルバムに挟んであったんだよ、大事そうに」
「ふうん。父さんはなんて?」
我が国の占領が米国による占領であったことは、
最悪中の最善であったとはっきり言える。
─────────────────白洲次郎
「で、これなんだけどさ」
「どう思う?」
「んー、電話番号だろ、たぶん」
「この達筆──というかミミズののたくったようなの、じいちゃんの字だよ、な」
「すぐ分かる、間違えようがないわ、はは」
「じゃ、おじいちゃんが伯母さんに渡してたっこと?」
「というよりばあちゃんの遺品を形見分けしたときに紛れたんだと思う」
「これチラシの裏じゃんか。ちょっと覚え書きしただけのゴミだろ?」
「でも、アルバムに挟んであったんだよ、大事そうに」
「ふうん。父さんはなんて?」
「知らないみたい」
「じいちゃんの書いたメモが、ばあちゃんの手に渡って、
ばあちゃんが亡くなるときに伯母さんに渡ってたってことだろ」
「なんかミステリーとかの謎解きみたいだね」
「じいちゃん死んだの、何年前だっけ」
「んーと、20年くらい? 1980年よりも前だよ、昭和えーと54年とか」
「引退してすぐガンで死んじゃったんだよな」
「ぼく幼稚園入る前だったし、よく覚えてないんだよな、おじいちゃん」
「この人がけっこう似てきたよ。毛の抜け上がり具合も」
「うるせーよ」
「でもこれ、どこの電話番号だろうね」
「かけてみたら?」
「えー? とんでもないとこにかかったらやじゃん」
「へへ、愛人だったりして」
「どこの世界に愛人の電話番号を女房に預けとく夫がいるんだよ。
あのいかにも堅物のじいちゃんにそれはないだろ」
「わかんないよー?」
「やっぱ警察関係じゃないか? 刑事だったんだしさ」
「…………」
「え、おい、今かけるの?」
「……あ、うん、かけた方がいいと思って。市外局番、たぶん3いるよね」
「おいおい、もう夜10時だぞ、相手誰かも分からないのに」
「あーでも、もうかけちゃったし」
「あ、つなが……あれ? 転送電話だ、これ」
「おお、すげえ、番号生きてんのかよ」
“……は…い、どち…さま?”
「あ、つながった、あれ?」
“あなたの……なぜこの番号を知ってるんですか?”
「あのー、じつは亡くなった祖父のメモにあった番号にかけたら、そちらに…」
“ごめ…混線し…よく聞…”
「祖父は、平塚八兵衛というんですが、昔、警察にいたんです、心当たりは……」
“…ま………”
「もしもし、もしもし?
切れちゃった」
「相手誰だった?」
「女の人」
「……あ、うわ、」
「見てテレビ」
「でも誰かわかんないうちに切れた」
「ねえ、テレビ見て」
「もう時間も遅いし、かけ直すなら明日にしようぜ」
「……いや2人とも、それより、あの、テレビ」
「そうだね、明日また──」
「ねえ、ちょっとテレビを」
「え、なにさっきから? テレビテレビって、な──」
「あ──」
「え」
「……たいへん」
登場する事件テロ紛争戦争、その捜査は公表された情報に基づく。
黒字の人物・赤字の人物・紫字の人物および各国の機関団体部局は実在する。
ニイタカ・ヤヨイ-カトリーヌはじめこの文字色は架空の人物であり、
実在する人物との関わりは、根拠は創造にしてソースは妄想である。
「あの娘ルルル、カンカン娘♪」
「ルルルルルル そわそわにやにや♪」
「ルルルルー銀座のカンカン娘♪」
「うちがなくてもルルルルルル♪」
「男なんかにルルルルルル♪」
「ルルルルー銀座のカンカン娘♪」
「遅れて申し訳ない、ミスニイタカ──」
「(;・∀・)……なぜ泣いているので? まさか遅刻したのをそんなに怒って?」
「先ほどまでムービーを鑑賞していました。
ハットリ中尉、あれを知っていますか?」
「ああ、今日からロードショーなのか。評判のようだね。
ハウスボーイも言っていたが、どうでした?」
「素晴らしかった。荒削りでしたし、ハリウッドに比べたらお金も人手もかかっていませんが、つくった人々のパッションはぜんぜん負けてなかった」
「街はまだボロボロで、生活も苦しく貧しくても、」
「人々は、決して絶望していません」
「今よりマシな明日を信じて前を向き、顔を上げて、」
「力強く生きていこうとしています。
この国にやって来てわたしが感じたことが、
ムービーにたくさん詰まっていました」
「この火を絶やさせはしない。わたしにはその債務がある」
「虎やルルルルルルジャングル♪」
下山事件発生から42日目──
昭和24年 1949年 8月16日 火曜日
「ルルルルー銀座のカンカン娘♪」
──────↑ここだけ歌詞覚えてるんで朗々と熱唱、あとはルルル
「あー(同じ部分ばかり何回も聴かされ死にそう)例の国警長官の件だが、」
「ようやくカタがついたようだ」
「それはなによりです」
「しぶとかったですね、案外と」
マッカーサーGHQと吉田茂率いる日本政府、
GHQ内の左派が反共シフトで弱体化したあと、関係は良好だったが、
いつも同じ方向いて二人三脚してたわけじゃなく、
虚々実々の駆け引き、化かし合いも少なからずおきた。
そのひとつが、この年、春から夏にかけて政官界を揺るがした、
国警こと国家地方警察本部長官人事の一件。
国家地方警察が何か、忘れちまった人は、> *【ウルトラ 2機目】をおさらいだ。
国警長官 斎藤昇 前警視総監、元内務次官
ひと口に内務省といっても領域は多種多様。斎藤は行政局や県知事など行政畑で、悪名高き治安維持法だの特高だの思想警察だの警察系じゃない内務官僚だった。
GS@民政局─左派連立政権が、警視総監田中榮一と同じく、
戦前の司法官僚をあえて避けた人選だった。
で、社会党を倒して返り咲いた総理大臣吉田茂は、
この斎藤長官を追い出して、別の人間にすげ替えようとしていた。
下山事件発生の4日前──
昭和24年 1949年 7月1日 金曜日
吉田首相から、>G2部長ウィロビー少将宛の手紙
「斎藤はプアー・チーフ・オブ・ポリス」
「罷免のうえ長官交代すべき」
「後任にふさわしい有能者を用意した」
この国警察長官交代工作の裏側で、
吉田首相の参謀として暗躍したのが、
キキッ
スチャッ
白洲次郎@ “プリンシプルと呼ばれた男”
役職は──法的裏付けはないんだけど吉田茂の側用人? しいていえば首相私設秘書。
この白洲次郎@ザ・プリンシプル、毀誉褒貶まことに激しい男。
誉褒は「GHQと唯一対等にやりあい戦後日本を救った男」「経済復興の立役者」から、毀貶は「徴兵逃れの売国奴」「利権まみれの政治ゴロ」まで。
現役当時の評価「側近政治」「白洲天皇」「ラスプーチン」……おおむね低評判。
で、吉田茂の推す「国警長官後任にふさわしい有能者」というのは、
白洲次郎の同郷の後輩、久山秀雄。
元内務省調査局長、元内務省警保局長
まさにこーゆーね↓いわゆる恐ーいイメージのね、
思想弾圧特高警察の権化みたいな役職と思考の、どストライクの男。
とうぜんGHQににらまれて内務省解体後、九州に左遷されていた。
が、しぶとく九州で吉田─白洲コネクションと結びつく。
麻生太賀吉@北九州財界の若き総帥にして国会議員
ごぞんじ太郎の父ちゃんでありますな。
ちなみに太賀吉の妻にして太郎のかあちゃん和子は、吉田茂の三女で、
<和子の婿候補に太賀吉を紹介したのが白洲次郎だった。
吉田は麻生財閥と姻戚になったおかげで、ふんだんな政治資金をゲットできた。
だから吉田と白洲の仲は単なる上司部下ってだけで終わらず、ぎっちぎちに深い。
そこへ白洲の後輩久山も合流、サークルに仲間入り。
と、まあすがすがしいまでのめくるめくずぶずぶっす。
白洲的にも、白洲の重用に批判的な斎藤長官を追い払って、気心の知れた後輩をあてこむのは、一石三鳥くらいあるんで、
得意のプリンシプルある交渉力でGHQへの根回しを徹底。
「がっははは」
ハバナ産葉巻チョーうめー
「細工は流々仕上げをご覧じろだな、次郎よ、
ん? 白洲はどこ行った?」
バルルルルルルルルル
自慢の愛車ベントレー3リッター
キキッ
スチャッ
「総理、すでにPSD@公安課長プリアム大佐にも人事案を伝え、内諾を得ています」
「君はいちいちベントレーで乗りつけんと話が始まらんのかね」
そして7月5日 火曜日──
──まさに下山事件と同日、
この政治闘争がついに表面化。
吉田内閣の官房長官増田甲子七、>国家公安委員会に対して、
「斎藤長官を罷免するように」
国家公安委員長@辻二郎
「はぁ? なに政府が指図してんの? やなこった(を知的な丁寧語で)」
「むきー!」
政府VS国家公安委員会@警察行政は真っ向からバーサスモード。
「斎藤は社会党内閣に任命され、警察経歴も乏しい」
「長官として適任ではない」
「政府に対しても報告怠慢である」
「国家公安委員会が斎藤罷免の要望を聞き入れんのはけしからん」
「委員の何人かは、前政権に任命されており、思想的にも偏っている」
じつはこれ、下山事件なんかよりはるかにヤバい、
地味に民主警察の標ぼうする政治的中立の危機だった。
さらに、そのあと、
7月10日 日曜日──
増田官房長官、ついに斎藤国警長官当人を呼び出して、
「ことここに至っては、君から辞表を出してくれ」
「はぁ? “ここに至っては”って手前ェらで大ごとにしといて意味わかんねーし。やなこった。クビにできるならやってみろよおら(を知的な丁寧語で)」
「むきー!」
この強気に見える最後通牒、じつは官邸サイドの焦りの表れである。
トドメの銃口を突きつけてみせたものの、
すでに弾倉にはかんじんの弾丸が入ってなかった。
じつはわずか数日のあいだに、舞台裏では、
ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぬ
万全のハズだった官邸側のGHQ根回しが、
急転直下で逆転サヨナラ負けを喫してたんである。
CIS@民間諜報局 ポール・ラッシュ少佐
「長官人事はア・コンクリード・ウイズである」
「斎藤は内務次官、警視総監、国警長官の各任期ともに協力関係に問題なし」
「一方で、吉田の推す某人物は前歴からして、好ましくない」
PSD@公安課 パティ行政官
「政治示唆と警察業務の分離は必要である」
こうなると、あらららららーと潮目が変わり。
手のひらクルー
PSD@公安課長 H・E・プリアム大佐
「この件について、首相側の行動は独裁的である。本件は日本政府の問題。友好的に首相と公安委員会が協議し解決するか、または法務総裁に委ねるべし」
手のひらクルー
G2部長ウィロビー少将
「長官人事はG2の関与すべき事案ではない。国家公安委員会の判断を尊重する」
頼みのウィロビーにまでハシゴ外されたら、さすがの豪腕吉田も突っ張れず。
むー
「今回はやられたなあ次郎よ、ウィロビーに手のひら返されてはどうにもならん」
キキッ
「総理、申し訳ありません」
「こういうときもベントレーは欠かさんのだな。あーそれからな」
「おまえが話しかけておるのは僕ではなく、女芸人だ」
「これは重ね重ね失礼しました、そういえば毛がありますね」
「と言うこの僕も吉田茂ではなく角野卓造だがな」
「もはやわけが分かりません」
「さすがのおまえも今回ばかりは策士策に溺れた、か。
ま、よいわ。僕の信条は、」
「負けて勝つ!だ」
だーっははははーっ!←ヤケクソ
「次行こ、次っ」
吉田首相とウィロビー少将は親密な協力関係にあり、ウィロビーの部下の例のキャノン少佐@キャノン機関と斎藤国警長官は昵懇の仲、
なんだが、みんなお仲間かというと、そんな単純な色分けじゃなく。
しかも増田官房長官と白洲は険悪だけども、久山は増田派閥、民間諜報局の実力者ラッシュ少佐と吉田首相は懇意だが、その一方でラッシュ少佐は戦前牧師として日本にいた時代に山梨県知事だった斎藤と出会い、以来莫逆の友でもあるという──
複雑怪奇に魔物がめくるめく情と欲で組んずほぐれつの占領首都東京である。
怒りの次郎
「ぬー誰かがGHQに先回りして火消しをしやがった」
そいつが誰か、プリンシプルのある僕には分かっているぞ、
裏で動いて僕のプリンシプルあふれる仕掛けを邪魔して恥をかかせたのは──
きさまだな、ヤヨイ-カトリーヌ。
おあいにくさまでした、プリンシプル閣下。
イギリス留学経験のある白洲と、自称日系イギリス人ニイタカになんらか面識があった──かどうかは定かではない。
吉田/白洲は、この計画によほど未練があったのか、のち日本主権回復後、性懲りもなく国警長官交代案を蒸し返そうとする。
が、
この策謀も、アメリカに帰国していたウィロビー少将にあえなく阻まれた。
クビ狩り合戦を切り抜けた斎藤長官、時代時代でGS>G2とつねに勝ち組の側にいる官僚的嗅覚もすごいが、一応有能でもあって占領期を通して長官でありつづけ、
しゃらっとスライドして初代警察庁長官におさまるんであるが。
さて、もしこのとき、吉田/白洲の思惑どおり、
国警長官すげ替えが成功していたら日本はどうなったか。
久山の前歴↑と評判、吉田/白洲プリンシプルの独断的性格の組み合わせからして、
戦後警察がもっと強権的でドス黒いモンスターへと育ってた可能性は強し。
ちなみに白洲の代名詞みたいな武勇伝「マッカーサー叱ったった」が裏付資料ちっとも出てこないのと比べて、この長官交代未遂劇の件は、GHQ文書や関係者の証言がふんだんとそろった消しようもない事実(ニイタカ部分除く)なんだが、
白洲本人はじめ白洲誉褒派はチクともふれず、なかったことにしてる模様。
まあ正直あんまし胸張ってプリンシプルと言いにくい一件だしの。
──という、
下山事件と同時進行で起きていたプリンシプルな政局の回想終わり。
そして、昭和24年1949年8月16日 火曜日
、の占領首都東京へと戻りますると──、
「皆さん、今日はご足労いただきありがとうございます」
中野区中野4丁目
「お集まりいただいた皆さんは、この場所である極秘の任務に就いていました」
「かつて内務省警保局に属しながら、組織表や職員録にも載らず、
その存在すら国会にも報道機関にも隠されていた、
“存在しないセクション”でした」
「そのセクションの名は『第四係 作業』」
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