「これは
死を見つめる
修行だ」
「全員を
菩長にする」
オウム真理教による犯行の経緯、警察の捜査は、原則公開された情報にもとづく。
ただし“丸メガネの女”はじめこの色で示されている人物は、架空の警察官であり、
実在する警察官と彼女らの関わりは、創作全開ソースは妄想である。

最終局面にむけて、役者が揃いつつあり──
警視庁@
新庁舎でも、
水面下で動きが。
意外なことにこの
1994年9月の時点、
オウム真理教は、
まだ
警視庁の管区内で、事件らしい事件をやらかしてなかった。
オウム真理教新東京総本部@亀戸亀戸異臭騒動いちおう
東京総本部の屋上から
炭疽菌をスプレー放出した
細菌テロだったんだが、近所に悪臭が立ちこめただけで、怒った下町のおっちゃんらに
麻原がわやくちゃにされてヒゲひっこ抜かれたくらいで事件までなってない。
八王子サリン事件被害者である
創価学会が箝口令敷いて表沙汰になってないし被害届も出されてないのでそもそも
警視庁は知りもしない。
じゃ
警視庁で唯一全国区で動ける
公安部、はどうしてたかというと、
法務省・検察庁から、
「
松本サリン事件は
裁判所宿舎を狙った
オウムのしわざ」
「
公安部が捜査に乗り出せ」
くり返しせっつかれてたんだが、
渡邊泉郎公安部長「
宗教法人は我々の持ち場ではない」
とスルー。ぴくりとも動こうとせず。相変わらず切迫感があるんだかないんだか微妙な左右の翼の監視に精を出していた。
という具合に
公安部が
ソ連崩壊後も幻の赤い敵にとらわれ杉て、
時代の変化に鈍感だったのとは対照的に、
全国最強の戦闘力を誇る
デカ集団はひと味ちがった。
S1S mpd =
Search 1 Select :
Metropolitan Police Department「
選ばれし捜査第一課員@警視庁」
寺尾正大@警視@
警視庁刑事部「
伝説の男」「
1課の寺尾」
現場のデカから尊敬される名将。叩き上げの
ノンキャリの星。
じつはサラリーマン経験有の異色のデカ。
捜査1課係長>
管理官>
理事官>>
鑑識課長←今ココ
警察本部において殺人、強盗、傷害、暴行、強姦、誘拐、立てこもり、放火、
凶悪犯罪を扱う
捜査1課長は、つねに
ノンキャリ叩き上げの指定席。
捜査1課長には
鑑識課長をやってから就任っつうのが慣例になってるんで、
来年2月人事で
寺尾の
捜1課長就任は約束されてるわけである。
で、その
寺尾鑑識課長@未来の
捜1課長が、
捜査1課で最も信頼する
ベテラン刑事に非公式で内緒の仕事を頼んだ。
小山金七@警部 捜査1課 人呼んで「
落としの金七」
丸顔で飲み屋で真っ赤になってる人のいいリーマンのおっちゃんみたいに見えるが、
【トリカブト殺人事件】@2時間差のアリバイトリック崩し、
【世田谷区ホステス殺し】@移動トリック、
【湯島聖堂前刺殺事件】@通り魔に見せかけてじつは…、など
推理小説かよ的難事件をつぎつぎと解決、
【ロス疑惑】では
日本側捜査官として訪米。
金七のこまか杉る現場検証っぷりを感心した
ロス市警がお手本にしたとかしないとか。
【吉展ちゃん事件】を解決したので有名な
平塚八兵衛の系譜に連なる
捜査の鬼、
取り調べの名手にして
はぐれ刑事人情派、
平成の世ではもはや希少価値のいわゆる「
名刑事」ってやつ。
名前もなんか時代劇っぽいし。
落としの金七捕物帖とかそんなかんじ。
八丁堀の同心「
落としの金七捕物帖」、
寺尾警視の密命を受けて
山口県へ。
そしてなんと例の
元オウム信者岡﨑一明と極秘に接触した。
もちろん
神奈川県警には内緒で。
寺尾の未来予想>「近いうち
オウムは必ず
警視庁管内で
重大事件を起こす」
いざそのときに右往左往せず即応できるよう、事前に
オウムのいろいろを把握しておきたかったんである。
落としの金七捕物帖が、
岡﨑一明@じつは
坂本事件実行犯と会って、
ジョーカー岡﨑のウソを見抜けたかどうかは定かでなし。
すでに
落としの金七捕物帖はこの時点で
オウムと
坂本弁護士事件の関わりを聞き出してた、とも噂されるけども、それが本当かどうかは関係者一同沈黙のまま。
とにかく
警視庁捜査1課は、水面下で一足早い情報収集を始めていた。
この
寺尾の動きが、そもそも
落としの金七捕物帖からの耳打ちに基づいていて、
その
落としの金七捕物帖に接近、
岡﨑ネタも含めて情報をこーそり渡したのが、
丸メガネの女ですってのは例によって内緒だ。

「
1課の寺尾」の不吉な未来予想は、
翌
1995年2月28日に的中する。
【目黒公証人役場事務長(假谷さん)拉致事件】を序章に、
オウム真理教バーサス
ニッポン警察の、
“最終戦争ハルマゲドン”が始まるんである。
「あれ?」
「
警部どうしたんですか。わたしの帰りを待ってたので? そんなに恋しくて?」
「茶化すな、話がある」
「じゃ、ちょっと上がっていきます? 例によって古民家の急な階段ですけど。ぜんぜんおいしくない南洋のお茶もらったんで、消費に協力してください」
「これから聞くことに正直に答えろ」

「
神奈川県警から
サッチョウに、
サリン説法の報告が上がるよう仕組んだのは
おまえか」
「
チヨダのことは詮索無用で──」
「
答えろ」
「
それが?」
「狙いは、
城内長官の退場か。
なんでだ!」
「あの人、ちょっと邪魔だったので」
「ちょっと邪魔って──
おいっ、長官だぞ!おまえそれでも
警察官か!」

「わたしは、」
「日本国憲法及び法律を忠実に擁護し!」「( ̄□ ̄;) は?」
「命令及び条例を遵守し! 地方自治の本旨を体し!警察職務に優先してその規律に従うべきことを要求する団体又は組織に加入せず!
何ものにもとらわれず!
何ものをも恐れず!
何ものをも憎まず! 良心のみに従い!

不偏不党且つ公平中正に、
警察職務の遂行に当たることを固く誓います!」「………」
「いやーちゃんと覚えてるもんですねえ。
わたしが高卒で
警察官を奉職したとき、これ宣誓で言わされました」
「あれ? 今のどこにも
長官の使用人になれとはなかった気がしますが、わたしがド忘れして抜かしたんでしょうか。それとも
警部の宣誓にはあったんですか?」
「……おまえ、神にでもなったつもりか」
「神様だったらよかったですね。
こんな回りくどいやりかたしなくても、
邪魔なやつなんてフイッて消せるのに。
ていうか
ポア?」
「
もうたくさんだ」

「おまえとはこれきりだ。
“渋谷”にも近づくな」

桜田門は──
昔っから
警視庁の代名詞なんであるが、
そのお隣に地味なかんじで
警察庁もあったりする。
警視庁と
警察庁、名前も似てるんで、いまだゴッチャにされる両者、
警視庁は>
東京都警本部かつ
首都警察本部、
で、
警察庁は>
全国都道府県警@
警視庁含む
自治体警察集団のさらに上に鎮座ましまし。
ただし
警察庁は
行政官庁なんで兵隊いないし自ら捜査はしない、できんし。
いわば
キャリア管理職集団。なんちゃらホールディングスというかんじである。
お隣の
警視庁新庁舎とは対照的に、レトロチックな
人事院ビル合同庁舎。
ここに
警察庁が、
自治省@現
総務省、
消防庁、
人事院と同居中。
戦前戦中はかの悪名高い
内務省の総本山、
昭和1ケタから建ってるレトロ建築にもほどがあるんで老朽化も体力のげんかっ、ていうかこの一等地でいつまで低層5階建てやってんだよ上の空部分もったいねーだろ!
なので、
もうすぐ取り壊され、新立派ビルに立て変わる予定。
その
合同庁舎の
警察庁フロア、
警備局区画のごくごく目立たない一室。
ひっそりとかつての
サクラ改め
チヨダがある。
かつて
警察大学校さくら寮にあった
サクラ@
全国公安隠密司令塔。
例の
神奈川県警盗聴事件のごたごたで反省して解散しました、
とみせかけて、
名前と場所が変わっただけで懲りずに同じことやってますんで。
仕事は相変わらず合法非合法清濁併せのんだ、
全国
公安警察にいる
「作業班」&
「協力者」の指示運営。
チヨダ担当官は約20-30名。
都道府県警公安部門から出向してきた
警視警部がひそかに配属中。
警視庁に籍のある
警視“永田町1丁目10”もそのひとり。
さて
警備局警備企画課所属の2人の
理事官@警視正のうち1人が、この内緒機関
チヨダの管理人となるならわしで。
警察の裏のさらに奥を知るわけだから、将来有望な若手
キャリアの登竜門でもある。
警察庁は、
チヨダの存在を公式には認めていないんで、
チヨダ担当
理事官になった
キャリアは人事記録から抹消され、
存在しない
“裏”の存在、
裏理事官となる。
っつうとなんか隠密ザ忍者みたいでかっこよさげだが、職員名簿から
キャリア1人の名前がいきなり消える(そして2年くらいで異動になるんでまたいきなり名簿に復活する)んで、
警察付きの記者たちには誰が
“裏”になったかまあモロ分かりである。
もちろん
警察側もそれは分かっててあえてやってる。まあ儀式みたいなもんで。
というわけで、
1994年当時、
“裏”こと
チヨダ理事官>
高石和夫警視正。
「
理事官、おはようございます。
広島の件でお願いしてたチェックを…」
ん? え? なんすか?
あ…
おい、姐さんが── まさかここで?── ひそひそざわざわ

「
白鳥百合子警視か?」
「
ですが?」
「
警視庁警務部、
監察室だ」
しらとりぃ? ゆりこぉ? ぜんぜん似合ってねー!
本名そんなマンガのお嬢みたいなのかよー!
「
てめーら、驚くとこ、そこかよ!」
「そのー、いいかな、
警視」
「あ、すみません、お騒がせして。はい続きをどうぞ」
「えー
白鳥警視、貴官は私的営利を目的に職権を濫用した疑義があり、
服務規程違反の監査対象となった。協力願いたい」
「んーと、これって
逮捕、みたいなもんですか?」
「いや、ちがう。ただし直ちに職務を解かれ、以後身柄は
警務部の管理下に入る」
「要するにしばらく帰れないわけですね。では、自宅の
マリモの世話を人に頼みたいのですが、いま誰かに連絡はできますか」
「それはできない。伝言なら受けよう」
「そうですねえ、友人には絶交されてしまいましたので。
では
テレビタレントの
佐々淳行さんに、
わたしの
マリモの世話をよろしくお願いしますとお伝えください」
もう慣れましたか、
警察庁顧問のお立場は。
いやいやははは、ついまちがえて3階の
長官室に入りそうになりますな、ははは。
お、
「おや、どうされましたか?」
「いや、
ハエが一匹ね」
「しつこくまとわりついていたんだが」
「かんたんに
駆除できたようですな」
【第十一解 怪文書】へとつづく