阪神・淡路大震災

死者行方不明
6437人、負傷
4万3792人、

避難
30万人以上
倒壊・火災
47万世帯

震源に近かった
神戸市の市街地も
大被害を受けた。

中央区、灘区、東灘区──

兵庫区、長田区、須磨区──
警官たち──探している、焼け跡で、
遺体のかけらを。

ハイカラモダン港湾都市
神戸一日にして
焼け跡と
がれきの山になった。
それからわずか
2か月後の──
3月20日、
東京都
──
午前8時

営団丸ノ内線、日比谷線、千代田線──

通勤時間の
地下鉄車内、
神経ガスサリンが散布される。

死者
13人、負傷約
6300人。
地下鉄サリン事件警察庁の正式名
地下鉄駅構内毒物使用多数殺人事件@そのまんま。

この日、首都機能は麻痺。
世界初、大都市ねらいの
無差別化学兵器テロ。
日本はもちろん海外にも衝撃。
警視庁の
井上警視総監も緊急会見を開き、化学テロを実行したのは
オウム真理教と公表する。
麻原彰晃を教祖とする
オウム真理教は80年代末から台頭、初めのうち次世代型の新しい宗教ともてはやされて信者増、それも高学歴・インテリ職業や若者多数。
バラエティで
麻原が
とんねるずと共演したり、
朝まで生テレビに出演したり、
美人幹部がアイドル視されたり。
ダライ・ラマと会談してしまったり
(頼むもうノッカンにしてくれbyダライ・ラマ)、
尊師マーチ(ダンス付)さらに
「真理党」として
衆院選挙に立候補して
面妖な選挙活動したり話題をふりまくが、
その裏で激しく
カルト化。
武装計画、
クーデターによる体制転覆、
政教一致専制国家樹立、そんとき
麻原はもちろん
神聖法王いっちばん超弩級スーパー偉い人にに!
尊師の
体重と
毛と
ヒゲの増加に正比例して
妄想度凶悪度を右肩上がりにヒートアップ。
会社
乗っ取り、信者
監禁、信者
致死、信者
リンチ殺人、信者親族
拉致監禁、信者親族
殺害、
坂本弁護士一家殺害事件、
松本サリン事件、
VXガス、ホスゲンによる
暗殺・暗殺未遂、
爆殺未遂、
軍用自動小銃大量生産計画、
炭疽菌、青酸ガス、ボツリヌス菌生成開発
──山のような
ポア。
そんなことばっかやってりゃ怪しまれるわね。
いよいよ
警察の
強制捜査が近いと知って、テンパった
麻原彰晃と
教団幹部たちは、
「首都で大規模テロを起こせば警察はオウムどころじゃなくなるだろ」どこでどう配線がねじれてつながったか知らんけども
尊師は本気。
グルが本気ならそりゃやるっきゃないっしょ!
もちろん、完全に
逆効果。
テロはかえって
警察を本気にさせた。
日本最大最強の
暴力機構様をナメんなよてめー。
地下鉄サリン事件から
2日経った
22日、
警視庁と
山梨県警が、
富士山麓、
上九一色村の教団本部“
サティアン”を
強制捜査。
自衛隊から借りた
ミリタリー式の化学戦防護服を着用、教団との
銃撃戦にもそなえて重武装の
警視庁機動隊、さらに
自衛隊までくわわっての
“戦争”だった。
さらに全国
25カ所の教団施設も
強制捜査。
サリンプラント、
化学兵器細菌兵器工場、実験棟、
自動小銃製造工場、ロシアから買った
軍用ヘリ──
拉致監禁されてた
被害者たちも次々と救出。
まー出るわ出るわ。
さらに空気清浄機
コスモクリーナーも発見
(これは別に…いいだろ)1週間後、
警察トップ
國松孝次警察庁長官が自宅マンション前で、

長官瀕死の重傷。
でもそこは官僚組織、頭がとれてもなんとかなる。
警視総監「長官、あなたの尊い死はムダにしませんっ」
長官「オレまだ死んでねえぞこら」
警察は手を緩めず、
オウム狩り激しく続行。
教団幹部たち、続々と
逮捕。
“防衛庁長官”
岐部哲也、“治療省大臣”
林郁夫、“法王官房次長”
石川公一、“自治省大臣”
新実ミラレパ智光、“建設省大臣”
早川紀代秀、サリン生成を担った“第1厚生省大臣”
遠藤ジーヴァカ誠一・“第2厚生省大臣”
土谷正実・“法王内庁長官”
中川智正の
“科学班”3人組、“法務大臣”
青山吉伸、“諜報省次官”
井上アーナンダ嘉浩──
4月23日、
教団ナンバー2にして“科学技術省大臣”
村井秀夫、マスコミの囲み取材中、

自称右翼に刺されあえなく
死亡。
そして、
5月16日、
尊師麻原彰晃こと
松本智津夫、

ひきこもっていた隠し部屋が見つかってやっと
逮捕。
1995年、
日本人の価値観を480度ほど急旋回させた
2大カタストロフの年。
そしてこのとき、

荒れ果てた廃墟の地で
人知れず、ひそかに──


怪物が生まれた。

おお前置きのくせにやたら仰々しゅう長くてスマンであるが、
が、
1995年に起きた
2つの災厄は、
2年後の
神戸連続児童殺傷事件こと
酒鬼薔薇聖斗事件の欠かせない
前史、
プリークウェル、
エピソード1ってやつなんである。
しゃて、
酒鬼薔薇こと
“少年A”を分析した本はまあ実にたくさんあって。
ルポライターやら
学者やら、さらに
被害者の
親たち、
加害者の
両親、
加害者の
弁護士、関係ない
人権派弁護士、
加害者の学校の
校長、少年審判の
裁判官、さらになぜか
佐川パリ人肉一政まで──いろんな人間に語られ尽くされまくってる。
だから今さらそこをなぞってもしゃーない。
なので例によってひねくれて
事件当時に戻ってみる。
フォーマットは
「捜査ドラマ」。

そう
警察目線である。最近やたら
刑事ドラマ多いしね。
もちろん
事件1か月後の
6月28日、
酒鬼薔薇聖斗が
逮捕されてみれば
中学生@14歳でしたってのはまあみんな知っとるてでーらー有名だてなことなんで、
犯人当ての話じゃないんだがの。
で、
ぬーむと悩んだのが
人名である。
酒鬼薔薇聖斗の
実名は例によって無数に増殖してネットの海に漂いまくってるんだが──まあそれはそれでナニがあれで。
土師淳と
山下彩花の2人の名前もどうするか、ちと迷ったんだが、ご両人とも親自ら思いっきり
子どもの名をタイトルに手記を発売して続編まで書いてるし、
2人の名はもはや
被害者氏名の域を超えて事件の
アイコンにすらなってるんで、いつものいい加減な
【事件激情】的呼び名はあえてつけないってことで。
公的人物や
組織機関の責任者も
実名。ちなみに敬称略。
それ以外の人々は、
“酒鬼薔薇聖斗”の家族もふくめて、みんな
仮名偽名である。仮名の人は
こういう色にするんでまあどれが仮名か分かるんじゃないかしらん。
一応
ある法則にもとづいて
仮名偽名を付けてるけども、
←ある法則のヒントとくに元ネタ知らないままでもなんの問題もないんである。
では、
大震災と
オウムに揺れた年から2年後、
1997年 5月、
舞台は
神戸市須磨区の
新興住宅地へと──
H9・5・8
愛する「バモイドオキ神」様へ

バモイドオキ神様、ぼくはいま14歳です。
そろそろ聖名をいただくための聖なる儀式「アングリ」を行う決意をしなくてはなりません。
「アングリ」を遂行する第一段階として学校を休むことを決めました。
いきなり休んでは怪しまれるので、自分なりに筋書きを考えました。
その筋書きは◆「昼頃に出かけた息子が夜になっても帰ってこない」
1997年(平成9年)5月24日
土曜日 午後8時50分神戸市須磨区・
須磨ニュータウン小学生@11歳の家族から
捜索願が出された。
捜索願を受けた
須磨警察署は
署員を動員、捜索にかかった。
「いなくなったのは
土師淳くん、男児、11歳」
「
市立多井畑小学校6年生、なかよし学級。若干の
知的障害あり」
「身長137cm、体重42キロで小太りの体つき、服装は──」
このとき、あるひとりを除いてまだ誰も知らなかったが、
犯罪史上最年少にして最も
凶悪狡猾な
シリアルキラー酒鬼薔薇聖斗と
兵庫県警捜査本部の
36日間にわたる闘いが始まったんである──
≫ 【Vol.2 タンク山】へと続く
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