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【事件激情】マーダーズ イン カントリー 壱st結【或る田舎的殺戮】

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ぶどう酒飲んでた女がひとり、急にもだえてバタッ。

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前会長樽雄の妻フミ子@30歳だった。
「どうした? フミ子さん」

もう酔いつぶれたんか?

そしたら、ほかの女たちも、

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「うっ」>>>>>「がっ」>>>>「ぎっ」

げえげえ食ったものを血反吐状態、痙攣窒息

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楽しい会合はいきなり地獄絵図に。

女ばかり17人がばたばた倒れ、5人が死んだ。
残りも瀕死状態で病院送りに。

死者は、

奥西フミ子@30歳
奥西千恵子@34歳
新矢好@25歳
中島登代子@36歳
北浦ヤス子@36歳


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まず駐在さんが駆けつけるんだが、まさに横溝正史ドラマの駐在さん状態でどうしようもない。

そのあと名張署署員たちも大慌てで駆けつけた。
17人死傷なんて田舎警察にはいまだかつてない大事件。で、どうしようもない。

そのあと三重県警本部捜査1課もやって来る。
でも県警レベルでもまれな──というか全国でもこんなのまれだ。

やがて食中毒なんかじゃなく、毒物による殺人事件と分かる。

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山奥の無名の村がいきなり全国区の注目を集めた。
「第二の帝銀事件」
と世間は大騒ぎ。

さらっと解説 帝銀事件──

終戦まもない1948年帝国銀行(現・三井住友銀)の支店で厚生省技官になりすました男が「赤痢の予防薬」とだまして行員たち16人に青酸化合物を飲ませた。
12人死亡4人重体犯人現金16万円+小切手1万7千円分(合計で今の1800万円)を盗んで逃げた。

やがて画家平沢貞通逮捕>死刑確定。が、冤罪が疑われ、「真犯人は旧陸軍の細菌部隊731部隊の元将校だ」「GHQが捜査に介入して真実を握りつぶした」とかまあいろいろあらあな。

じっさいGHQの機密文書が1985年に公開、そこで思いっ切り731部隊のツールや手法が使われてたことが新聞報道されるんだが、それでもニッポン裁判所はぴくとも動かず。

再審請求も通らないまま、歴代の法相もいわくつきの死刑執行をためらったまま、平沢95歳獄死
下山事件3億円事件とともに昭和の永遠なミステリーに。

ちなみに横溝正史帝銀事件をモデルに「悪魔が来りて笛を吹く」を書いた。



調べによると農薬と判明。

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有機リン酸系農薬「ニッカリンT」
栄養ドリンクみたいな名前だが、
致死量0.06-0.15グラム。
青酸カリよりはるかに凶悪である。

男全員ぶどう酒を飲まなかった女3人はなんともなく。
となると、まあ栄養ドリンクみたいな名前だけど青酸カリより凶悪なニッカリンTぶどう酒に混入されてただろってことになる。ふつうに考えて。

で、三重県警捜査本部「毒殺犯は会に参加した32人の中にいる」と見込んで捜査を開始。
農薬を入れる機会があったのは誰か、誰がぶどう酒を買って、誰が公民館に運んだのか、住民同士の利害関係はどうか。

やがて

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どろどろ血な不倫関係が浮上、住人の一人が逮捕され──

って、この事件だけいきなり事件そのものでしかも逮捕されて終わってんじゃん、と思うだろうけども、
いやいやこの大量毒殺は序章に過ぎず、

本当の忌むべき田舎的殺人はこのあとから始まるんぞえ。


timemachine003n200.jpg ミニメイツ バック・トゥ・ザ・フューチャー
さーて時代はそっからまたさらに60年後の未来へ、新世紀へゴーッ──

もう田舎的世界はなくなった?
いーンやしっかり健在であるよ。


2004年
8月2日


兵庫県加古川市

あら、まーた兵庫かよ。【事件激情】はなーぜか@兵庫県事件が多いんであるが兵庫県民でもないし偶然である。なんだか兵庫県警に愛着のわいてきてるワシである。

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前夜は花火大会であたりはにぎわった。
で、それが終わって日付も変わって、

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熱帯夜
うだる暑さにもほどがある夏い葉月の夜。

午前3時半頃

最初の110番通報、
男の声で、

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が家に入ってきた。が頭から血を流して倒れとる」

住所 >西神吉町大国
田園というと聞こえはいいけれども田んぼが広がる地域。

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その家があるのは神社近くの一角。
郊外の小金持ってる農家系にありがちなやたらめったらデカくて肉厚なお城寺社仏閣かよって感じの田舎な日本家屋。

所轄の加古川署、最寄りの警官が焦って出動。
なんでまたこんなことになるんや。

市内では、昨年6月にも無差別通り魔@「無職男にクワで通行人4人が殴られ1人死亡」事件が起きたばかりだった。というか通り魔が起きた町からそう離れとらへん場所やないか。
兵庫県警、相変わらずこんなんが多いっす。

で、じつにこのわずかな時間にも現地では分刻みで殺戮が進行してるんだが。

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相前後して119番受けた救急車が現場に急行。
夜中だし事件が起きて大勢ケガ人が出た、ってくらいしか情報がない。これ救急隊的には危ないしそういうの困るんだが。

ヘッドライトの光が道路上のなにかを照らし出す。

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人だ、若くない、ばあさんらしい、パジャマ、血まみれ

救急隊員が近寄って少し見ただけで、
うわ、ひどいわこりゃ。
こんな悲惨な傷は初めてや。どんだけ刺されとるんか。
意識なし、心肺停止。
もうなにやっても手遅れや。

隊員が思いかけた瞬間



ドッッ

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ッカーンッ!


“お城”の西隣の木造住宅がとつぜん爆発
夜空に高々と火柱が上がった。

な、な、なんだ?
せ、戦争か? テロか?

人の本能として一目さんに逃げ帰りたいところだが、
使命感の方がまさって、救急隊“お城”へと駆け込んだ。

「誰かおりますか!ケガしよる人!」

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血の跡大量。うわ、やばいやばいぞこれは。

「1階は誰もいませんッ」

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「2階に上がれッ」

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2階──
廊下も和室も血の海



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「2階に傷病者3人! 応援乞う!」
「男性2人、女性1人! 多量に出血
「男性は2人ともにCPA。女性は意識レベル──」



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ゴウゴウ紅蓮の炎が燃えさかり中。
「こりゃただの火事やない。ガソリンが発火したんや

消防車と応援の救急車パトカーが続々やってきて、静かにご就寝中だった一帯はいきなり喧噪の渦。


「路上に女性1名、2階で男性2人女性1人。路上の女性と男性2人はすでに死亡の模様、2階の女性は重傷
「大量のガソリンに引火した模様、失火か放火と──」
「えー炎上している家住人と思われる女性を保護。たいへんな興奮状態、身元を確認中」

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「危険ですから避難してくださいッ」

警官たちが家々を回って住民をたたき起こし、というかさっきの大爆発でそんなんみんなとっくに起きてるんだがとにかく呼びかけて、
近所の人々は着の身着のまま外へ飛び出して、
空を焦がす火焔地獄をぽかんと見ている。

そのうち警官の一人が、炎上中の家から道を挟んで60m離れた2階建て住宅のドアを叩いた。

「起きてますか、加古川警察です。向かいの家が火事ですので早く──」


しーん

おかしいな。すぐ近くであんなえらい爆発あったんやし、この騒ぎやし、ふつう起きとるやろ絶対。家ん中は明かりも点いとるようだし。とっくに外に出てるんか?

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なんや変やぞ──警官はいやーな何かを感じた。

玄関、カギかかっとる。
裏手に回ると、1か所だけカギかかってない窓があった──

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「・・・・」

これって、あれだよな、やっぱり…。

おれもう泣きそう。
拳銃のありかを確かめ、それから特殊警棒を握りしめ、


静かーに入り込んで、

加古川警察です、誰かいますかー、いたら返事をしてくださーい、いたら返……」


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数分後、警官は無線にわめきまくり。

「室内で死亡4名!! 男性2名と女性2名全員刺されて死んでますっ。いえ違います! そっちの家やなくて別の家です。そやから違いますって! こっちの家にも死体があるんですッ4人ですっ4人、いや前の4人とは別にもう4人ッ大量の血が──」


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阿鼻叫喚の渦状態の夜空を焦がしまくる業火を見ながら、
近所の人々はつぶやいている。

「燃えよるの、あいつの家や」
あいつ遂にやりよったんか
「やっぱりヤスタカが──」


inaka001x350.jpg 
66年間を股にかけて、
4つの時代4つの田舎4つの事件を駆け足で行ったり来たりしたんだが、
いちおうこの配列はテキトーじゃなくて意味があるんである。

さて、これだけじゃなんのことやらであるが、

なんでそれぞれこんな惨事になったのか、いやこれからなっていくのか、
時間を少し巻き戻し戻き巻し少を間時、かのたっなにとこなんこぜな、がるあできゅるゅるるるるるるる


【弐nd “或る田舎的非モテ 睦やんの逆襲”】へと続く



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