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【事件激情】その男、K。─秋葉原通り魔事件 #03

#02 

  ◆2010年7月27日公判の加藤智大の被告人質問を反映した
   【#03改】
こちら


  『謝罪の言葉をきっかけに、母を許すことができました』
            ────加藤智大の弟による手記

kako-ziken01.jpg


 ■ スーパー女子高生マイキー



マイキー@15歳

ohmiky_2.jpg

が入学した2002年東京都立日比谷高校大改革の真っ最中だった。

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一時低迷していた日比谷高校は、マイキー入学のちょい前からの大改革で再生進学校として復活して、この頃からマイキーはじめ意欲的な秀才さんたちがどんどん入学しはじめた頃なんであるが、

その復活物語はまた長いので、
別ページに分けた。>「日比谷ルネサンス」

この高校の復活劇もまたけっこう面白いんだけども、

まあひとまずマイキーの行ってたのは優秀学校で人間的にも育てようとする良い学校、とだけ知ってれば、まあスルーしても無問題。


benkyogrl.jpg

やる気満々な優秀少年少女がひしめく学校の中でも、マイキーの存在はずば抜けていた。

まず在学3年間を通じて、ずっと学年トップクラスの成績をキープ。

といってガリ勉子ちゃんでもなく、

伝統50年以上で部員100人で演奏レベルの高さで有名(以上形容詞)なオーケストラ部で、バイオリンパートのリーダーで活躍。

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1年生から合唱祭の指揮者、文化祭の演劇企画でも中心になってクラスを引っ張り、

友だちとコピーバンドも結成、ボーカルやキーボードを担当。
得意なのはシャカラビッツの曲。

joshiband.jpg


さらに人間的にも無欠点だったらしく。

明るいムードメーカー。さばさばして男女ともに友だち多し、賢くて友情に厚くて裏表がなくて誰からも好かれるキャラ。へんくつな子もマイキーにだけは心を開いた。

マイキーは人を惹きつけ、力づける不思議な人間力に満ちていた。そういう子ってまれにいるでしょ?

joshisyugo.jpg


以上は10人くらいの人間について書いてるんではなくマイキー1人のことだ。

世の中には超人的行動力のある人間というのがいる。彼女もそんな人種。無限のバイタリティーがあった。

マイキーは先生たちもほっくほくの理想的なスーパーJKだった。



  酒鬼薔薇聖斗と同い年なんだよ」


さて一方、時は高速逆回しで4年前青森

青高に入ったK@4年前は元気してるだろうか。

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K母の人生予定表によれば、青森高校に入学して、輝かしいエリートの母人生が始まるはずだった。

ところが、

  

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【事件激情】その男、K。─秋葉原通り魔事件 #02

#01
  
  ◆2010年7月27日公判の加藤智大の被告人質問を反映した
   【#02改】
こちら


  「私はこの事件を一般化して理解してほしくありません」
        ──公判の証言台に立った被害女性の言葉
  
#02_kandakousa

「時間です」

勝ち組どもへの最終宣告のつもりでカキコした、
というのに、
加藤智大ことK@25歳はいまだ2tトラックで秋葉原の周りを行ったり来たりしていた。
 
神田明神通りを東へと走ってソフマップ本館のある交差点に差しかかる。
ここでそのまま右折してホコ天のど真ん中に突っ込んで、幸せそうな顔してるカップルをはねてはねてはねまくるつもりだった。

でも──うわ、人が多すぎる。
その人波に怖じ気づいて、つい信号が変わるのを待って交差点を横切った。

なに交通規則守ってるんだおれは。

もう一度だ。

山手線の高架前を右折して駅前のロータリーをぐるりと回って元来た道を戻る。それから今度は西向きに交差点に向かう。

よしっ。

#02_akb_kousa


でもまたハンドルを切れない。交差点をそのまま通り過ぎてしまった。

ああっ、またかよ。

また戻って来るのに昌平橋通りや神田淡路町までぐるぐる回る羽目になった。
くそう、なんてビビリなんだ、おれ。カッコわるすぎる。やるって決めたのに。宣言したのに。なんでやれない。

(なんした、やれないのトモヒロ!) 

ああ、嫌な声を思い出させるな。
うっせえすっ込んでろ、ババア。

行く手に交差点が見えた。

soukou.jpg

よし今度こそ。
アクセルに乗せた足を踏みしめて──
  

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日比谷ルネサンス

#03に戻る

meimonfukkatsu.jpg
名門復活日比谷高校―奇跡の学校改革はなぜ成功したのか (学研新書)


この学校からは、国会議事堂議員会館、メジャーな高層ビルが周りに聳え立つハリウッドのカン違いした日本の描写的なシュールきわまる風景が望める。

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便利なグーグルアースさんより

赤丸日比谷高校、すぐ隣に聳えるのがプルデンシャルタワー@元ホテルニュージャパン跡地。左手前が山王パークタワー。画面奥には赤プリ@廃業ニューオータニ村も見える。画面の右下が国会議事堂、右上のちろっと見える緑地は皇居のお濠。

校名は日比谷でもまさに永田町にある高校なんである。


 ■ かつての名門、「日比谷つぶし」で墜落


さて、東京都立日比谷高校は伝統校で、
かつてダントツの東大合格を誇りまくり、前身のナンバリング中学時代から進学校の最高峰だった。
当然ながらOBには教科書に載ってるような政治家、財界人、高級官僚、学者に文化人を、ズラズラと輩出している。

1960年代半ばにはなんと東大合格194人。どんな人数だよ。

ところが、ある時期を境に、日比谷高は没落低迷してしまう。

1967年、東京都教委が学校群制度」を始めたからである。
人呼んで「日比谷つぶし」。なんかの必殺技みたい。

学校群は特定の都立高(つまり日比谷)に優秀生徒が偏るのを平等に行き渡るようにしようと狙ったシステムで、
生徒は本人の志望に関係なく、群の同カテゴリの学校へとぽいぽい自動的に振り分けられた。

が、お上が考える制度がうまくいった試しなんて有史以来一度たりとも、無い。

学校群のルールで志望校に入れない生徒たち(とその親)の不満は役人たちのお手盛りな予測以上に大きく(当たり前だ)、優秀生徒はまんべんなく広がってくれるどころか、
都立そのものが嫌われて国立や私立へと流れてしまった。

日比谷だけでなく、都立ぜんぶのレベルがそろってがくんと落ちたんである。

やがて東大合格率のシェアは、開成、麻布、桜蔭、駒場東邦などおなじみの私立にすっかり奪われてしまう。
(私立名門はたいてい中高一貫なので、例の「お受験」がかえって激しくなった)

喜んだのは漁父の利を得た私立学校法人だけ、という悪名高き学校群制度はようやく1982年に緩和、1994年には完全に廃止される。

が、とくに日比谷の凋落ぶりは見るも無惨で、一度落ちた学校力はなかなか戻らなかった。1993年東大合格はたった1人

しかも厄介なことに、過去の栄光に浸るばかりの保守な関係者がたくさんいて面倒くさい存在となっていた。
教師陣も最悪のありさまで、東大卒を鼻にかけていまだ研究者気取りで生徒をバカにしてたり、昼から校内で酒盛りして酔っぱらって授業したり、労働争議ばっかり熱を入れたり、そんなダメ教師たちが異動もなく十何年も居座って校内を牛耳っていた。
まさにダメだこりゃ。



 ■型破りの新校長の大胆革命


が、
2001年、転機が訪れる。石原慎太郎都知事の肝煎りで始まった「進学指導重点校」に日比谷高が選ばれたのである。

そこで一念発起して、全国初の自前の入試問題を作成。

さらに翌2002年に就任した新校長は、東大卒ぞろいの歴代校長には珍しく同志社卒で、
しかも廊下で生徒が焚き火をして警察沙汰になるような問題校離島の高校を回ってきた苦労人だった。

ろくに進路指導もしない放任主義(なぜか都教委の奨励。ほんと教育委って存在自体ダメだな)だった校風を改め、抵抗勢力との激しい権力闘争も切り抜けつつ、

「公立高校としてエリート校の地位を取り戻す。めざせ東大合格2けたゲット

をスローガンに、一大改革に乗り出した。

のちに日比谷ルネサンスと呼ばれる改革の始まり始まり。


45分7コマ授業!
教員公募制で東大院卒とかどしどし採用!
3年分の綿密なシラバス(学習計画)!
1年生から徹底三者面談で生徒のすべてを把握!
生徒ごとに学力や勉強のクセまで徹底把握徹底指導!
成績低下は放っとかず徹底テコ入れ
ほとんど予備校みたいなアップテンポの濃厚授業!
先生成果主義!生徒が授業評価!つまんねえ先生は追放!
予備校・塾に頼らず校内学習に重点!
校内居残り自習上等
夏休み講座もたっぷり100講座
現役大学生の先輩が補習の講師に!
もし浪人しても予備校並に面倒見ます!

と大胆な改革をどんどん実行。

この経営努力が実を結んで、
偏差値は02年に急激上がって66.504年70.107年72.2と上昇。
05年東大合格14人とついに念願の2ケタ達成08年の東大合格者は29人となり、京大、阪大など国立上位や早慶など難関私大への合格者もぐんと増え、
中高一貫が嫌だしやっぱり都立だとお金かからないしという優秀生徒もどんどん入学するようになり、
死に体だった都立名門は息を吹き返したんである。


 ■芸術、体育、部活も重視の自由な校風も


ちなみに、
2010年東大合格37人38年ぶりに30人を突破。
東大合格者数では、10位の岡崎高校(愛知県)に次いで12位で、公立で2位につけている。ちなみに1位は中高一貫の私立開成

また、
ただ受験重視ばかりでなく、花も実もある真のよきエリートを育成!ってことで、日比谷では文化、芸術、体育や課外活動にも力入れている。
部活の入部率は9割。(ホントの秀才ってのは部活と勉強を両立させてるもんだ。ひょーすごいもんだ)
文化祭では各クラスが教室で50分演劇を上演、日比谷公会堂で開かれる合唱祭プロが審査員
という文武両道っぽい深みもある。

勉強も課外も進路も、生徒の意志を重視して自主性に任せる。

これマイキーのような何事にも積極的な生徒にとっては最高の学校なんである。


さて、あやうくこれが【事件激情】なことをすーかり忘れかけてたが、えーと、そう、マイキーである。

彼女の世界に戻る。

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