【事件激情】ウルトラNW: 第15便@再掲【憲法第九条】
*第14便









【事件激情】ウルトラNW: 第15便【憲法第九条】
article 9.
第九条
1. 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、
1. 国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国
1. 際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2. 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保
2. 持しない。国の交戦権は、これを認めない。

EYES ONLY
貴官閲覧に限る
Aug. 2, 1946
from ;
US Military Attaché office, Embassy of United States in British Empire
to ;
Special Blanch of the Military Intelligence Division, US Army
Col. Clarke, Carter
Subject ;
For YCN Profile, Reply to the query
1946年8月2日付
駐イギリス帝国アメリカ大使館駐在武官オフィス 発
合衆国陸軍情報部 特別局 カーター・クラーク大佐 宛
貴官より照会のY.C.Nの履歴について回答を送付する。
なお、この文書は貴官の閲覧のみとし、余人の目に決して触れないこと。
当該事案の関係者、貴官の上司、上級官庁部局もその例外ではない。
くれぐれも公的記録に残さず、速やかにかつ適切に処分のこと。
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
ガチャッ
Spring, 1936
1936年 昭和11年
春──
Tianjin Concession
天津租界
19世紀後半から20世紀初頭にかけて、西洋列強の植民地獲得競争の食指は、
最後に残された未開拓の“市場” 東アジアへと伸びる。

清朝末期の弱体化と軍閥割拠の混乱に乗じて、西洋列強は支那沿岸各地に「租界」なる治外法権の外国人居留地を次々と興し、半植民地として支那を侵蝕していった。

日清日露戦争の連勝を経て五大国の一角へと成り上がる日本も利権に食い込み、

華北の主要港天津にも、イギリス、フランスなどと並んで租界を構えていた。

「カトヌー!」「弥生さん! こっちよ!」
「つや子、梅代!」
「元気そうでなにより」
──Y.C.N.の出生は1913年乃至’14年とされる。
イギリス人とロシア系日本人を両親とし、
出生地は樺太‘現サハリン’もしくはアムール川流域と推定。
当時の記録にはエカテリーナという名が見られる。
1920年、ニコラエフスク虐殺にて赤軍民兵に家族を殺害され孤児となる──
「すっかり見違えたねえ」
「その眼鏡がなかったら弥生さんと分からなかったわ」
「あなたたちも。つや子はとても女性らしくなって、梅代は変わらず元気そう」
「わたしのそれってほめ言葉なの?」









【事件激情】ウルトラNW: 第15便【憲法第九条】
article 9.
第九条
1. 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、
1. 国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国
1. 際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2. 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保
2. 持しない。国の交戦権は、これを認めない。

EYES ONLY
貴官閲覧に限る
Aug. 2, 1946
from ;
US Military Attaché office, Embassy of United States in British Empire
to ;
Special Blanch of the Military Intelligence Division, US Army
Col. Clarke, Carter
Subject ;
For YCN Profile, Reply to the query
1946年8月2日付
駐イギリス帝国アメリカ大使館駐在武官オフィス 発
合衆国陸軍情報部 特別局 カーター・クラーク大佐 宛
貴官より照会のY.C.Nの履歴について回答を送付する。
なお、この文書は貴官の閲覧のみとし、余人の目に決して触れないこと。
当該事案の関係者、貴官の上司、上級官庁部局もその例外ではない。
くれぐれも公的記録に残さず、速やかにかつ適切に処分のこと。
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─

Spring, 1936
1936年 昭和11年
春──

Tianjin Concession
天津租界
19世紀後半から20世紀初頭にかけて、西洋列強の植民地獲得競争の食指は、
最後に残された未開拓の“市場” 東アジアへと伸びる。

清朝末期の弱体化と軍閥割拠の混乱に乗じて、西洋列強は支那沿岸各地に「租界」なる治外法権の外国人居留地を次々と興し、半植民地として支那を侵蝕していった。

日清日露戦争の連勝を経て五大国の一角へと成り上がる日本も利権に食い込み、

華北の主要港天津にも、イギリス、フランスなどと並んで租界を構えていた。

「カトヌー!」「弥生さん! こっちよ!」

「つや子、梅代!」

「元気そうでなにより」
──Y.C.N.の出生は1913年乃至’14年とされる。
イギリス人とロシア系日本人を両親とし、
出生地は樺太‘現サハリン’もしくはアムール川流域と推定。
当時の記録にはエカテリーナという名が見られる。
1920年、ニコラエフスク虐殺にて赤軍民兵に家族を殺害され孤児となる──

「すっかり見違えたねえ」
「その眼鏡がなかったら弥生さんと分からなかったわ」


「あなたたちも。つや子はとても女性らしくなって、梅代は変わらず元気そう」
「わたしのそれってほめ言葉なの?」
──次にY.C.N.の所在が確認されるのは、1924年のロンドンであり、エカテリーナもしくはその英語名キャサリンを名乗る。
1926年もしくは’27年よりイギリス人輸入商の義妹の身分で、大連Dalianに居住──


同市の弥生高等女学校ガールズハイスクールに編入、1928年まで在籍する。
日本名ヤヨイ、エカテリーナの仏語名カトリーヌはこの頃から──

「久しぶりだねえ、7年ぶり?」

「大連の女学校以来だから、6年じゃない? あれ? 8年?」

「カトヌー、卒業の前にイギリスへ戻ってしまったものね」
「もう梅代さん、カトヌーなんて奇妙な呼び方おやめなさいな」
「どうして? カトリーヌの愛称だよ」

「そんな略しかた、聞いたことないわよ」

「いいよいいよ、嫌じゃないから。その呼びかた久しぶりで懐かしい」

「弥生さん、洋装似合って素敵ね、職業婦人だ」
「格好良いよねえ、カトヌー。上背もあるし、色白できれいだもの、うらやましい」

「今はどこで仕事を?」

「うん、マセソン商会で秘書と通訳をね」
「うわー、一流どころだ。カトヌー、頭よかったものねー」
「ううん、たまたま縁があっただけだよ」
──1935年から'37年まで、天津Tianjinイギリス租界および上海Shanghai共同租界のジャーディン・マセソン商会で副頭取秘書兼通訳として勤務──

(´-`).。oO(ってのは偽装で実は英国間諜の元締めよなんてさすがに言えないな)
──ただしこの頃から既に大英帝国海軍提督委員会アドミラルティボードの嘱託として、極東における諜報活動に従事していたことが──

「聞いて聞いて、わたしは来月から満州へ行くんだよ」

「向こうの女学校で教えることになったの」
「おめでとう、梅代の師範になる夢がかなったんだね」

「わたしの答案を丸写していた梅代が、スクールティーチャーにねえ」
「カトヌー、それは思い出さないでいいから」

「わたしは通州に移るの。主人が医院を開くから家族で。上海で日本人が殺される事件が起きているし、匪賊も多いのでしょ。娘たちもまだ小さいから心配で」
「軍がしっかり守っているから大丈夫よ」

「うふふ、すっかり3人とも国際人だねえ」

「まあ梅代さん、なに言っているの、本物の国際人を前にして」
「あ、ほんとだ。これは身の程知らずでした」

「そんなことはないよ。わたし、まだ日本の土を踏んだことさえないもの」
「え、そうなの。意外だね」

「日本、どんな国なのかな。まだ写真と映画でしか知らなくて」
「うーんと、日本は、夏は暑くてね、」


「冬は寒いよ」
「なんだか梅代さんに教わる子たちの将来が心配になるわねえ」

「つや子、梅代」
「ん?」「なあに」
「あのとき言えないままお別れだったから今言わせて」

「わたしをアイノコと疎まずに、友だちでいてくれてありがとう。
あなたたち2人のおかげで、わたしは幸せだった」
「なあに、急に改まってどうしたの」
「今言わないと後悔すると思って」

「おかしな人、今生の別れみたいに」

「またすぐ会えるよ、カトヌー」

「だって、ほら、わたしたち国際人ですもの」
「いつか3人で一緒に日本を旅行しましょうよ」
「いいわねいいわね、カトヌーを案内してあげようよ」
──なお、貴官の懸念するY.C.N.の信頼性についてだが、


某提督の忠告を以て照会の回答としたい。
“あの女を決して敵に回すな。

だが、決して味方と思うな”

登場する事件テロ紛争戦争、その捜査は公表された情報に基づく。
黒字の人物・赤字の人物・紫字の人物および各国の機関団体部局は実在する。
ニイタカ・ヤヨイ-カトリーヌ、白鳥百合子らこの文字色は架空の人物であり、
実在する人物との関わりは、根拠は創造にしてソースは妄想だが、ある意図がある。
第15便は、1930年代、1940年代、1977年、そして2001年と、
複数の時代を行ったり来たりするが、それにもある意図がある。





「……できたそうだな」

「ニイタカ!」

「ニイタカ! 聞いてるのか?」

「あ、まったく聞いていませんでした。昔のことを思い出していて。なんでしたか?」
「( _, ._
「( ゚Д゚)CIAとかいう官庁ができたそうだな、と三度も繰り返したぞ」
August 24, 1949
1949年 昭和24年
8月24日
Wednesday
水曜日

After 50 days from ‘Shimoyama Incident’
──下山事件から50日後
Occupied Tokyo
占領下東京
「ああ、はい、そのようですわね」
「なにやら東京でもこそこそやってるようでGHQも警戒してる。どうも気に入らん」

「だいたい特務機関のような輩はロクなもんじゃない、」

「ああいうのは上にまで隠し事をして話をややこしくするばかりだ」


「で、おまえさんとしてはどうなんだ、そのCIAとやらは」
「ミスター白洲は、いつでもどこでもいちいちそれ一式やるのですね」

「インテリジェンス専業なら商売敵だろう? おまえさんにとっても」

「とんでもありません、わたしは一介の秘書で通訳にすぎませんから」
「しらじらしい建前はよせ」

「しかし一介の秘書風情の耳にした噂ですけど、
その新しい官庁はとても強力な切り札を手にしたようですよ」
「なんだ? 新兵器の類か?」

「はい、ミスター白洲も大好物の武器ですよ」

「その名をドルといいます」


1947年9月、CIA@中央情報局は、トルーマン大統領直属の情報機関として生まれた
が、その始まりから胡散臭さがまとわりつきまくっていた。

「あれ? わしスパイ団つくるつもりはなかったんだけんどもなあ…」
そもそもトルーマンが欲しかったのは、世界のニュースの要約を切り貼りして手っ取り早く世界の動きがつかめる大統領専用早読み新聞屋さん程度のものだった。
当時のアメリカにはそういう仕組みがまったくなく、ルースベルト急死で大統領に繰り上がったトルーマンは、なんにも知らない手探り状態で世界最大国家の舵をとるハメになって相当困ってたんである。
ところが、

このうまそうな話に政界ゴロ連中が群がってきたあたりで雲行きが怪しくなる。
大戦が終わって職にあぶれそうな米軍特務機関の残党、スパイ萌えの冒険好きな良家のぼんぼんたち、ワシントン界隈にたむろってるうさんくさ連中がまんまと寄生して、
いつのまにか計画を乗っとると、どんどん「ぼくの考えたかっこいいひみつちょうほうぶいん」な部分だけを膨らませ、気づけばトルーマンのニーズから百億万光年かけ離れたいびつなスパイごっこ隊ができあがっていた。

まんまと高価なオモチャを手に入れた“スパイ萌えボーイズ”は、
情報収集&解析活動(←本来のトールマンの需要)を「(地味でつまらんしよくわからんから)米国に必要ないキリッ」と決めつけ、徹底的に軽んじて干しまくった。
代わりに秘密トンネル掘ったり秘密偵察機つくったり潜入工作員を送り込んだり暗殺計画立てたりかっこよさげなひみつこうさくにだけやたら情熱とカネと人を注いだ。
が、根が大雑把なアメリカ気質ゆえか、そのほとんどすべてに失敗。
先輩の英国情報部があきれるくらいの最悪っぷりで。
なのに、秘密設定なので外には知られず、議会から検証もされず、やったらやりっぱなし、失敗しても反省もしないし教訓にもしない。そりゃまともになるはずもない。
9.11直前にあらわになったCIAの絶望的な情報処理の弱さは、
じつは誕生した瞬間から、もはや運命づけられていたんである。
さらに省庁ヒエラルキーでの序列もCIAはかなーり微妙で。

この当時、諜報戦争の最先端トレンドは「ヴェノナ」*【ウルトラ 9機目】

陸軍情報部とFBIとSIS@英国秘密情報部合同の
超絶極秘“暗号解読&共産スパイ狩り”大作戦


ところが、米軍・FBI・英国情報部は、大統領側近たちを共産スパイに汚染されまくりとまったく信用せず(そしてそれは正しかった)、どこの馬の骨ともわからんCIAもとうぜんハブられ、何年にもわたってヴェノナ作戦では蚊帳の外に。
さらに、海外情報=国務省、国家安全保障=国防総省とテリトリーが思いっ切し重なるんで、その省庁両雄からも邪険にされるし。なんだか肩幅が狭いCIAである。
だけでなく干されて当然の無能っぷりでもあった。
ひみつこうさくごっこに夢中で情報部門を干してきた報いで、
CIAは重大なトピックをなにひとつ予測できなかった。
ソ連の原爆完成も、朝鮮戦争勃発も、そして朝鮮戦争への中国参戦も──。
はっきりいって役立たず集団だったんである。

だがCIAには他のどの機関も同盟国も真似できない最強兵器「ドル」があり。
二度の大戦でぼろぼろに疲弊した欧州から国際経済中心はアメリカへと移り、


$ドルは大英帝国の£ポンドから通貨オブ通貨の座を奪う。
ドルチート時代の幕開け。
CIAはそのドルを湯水のようにばらまけるという、
短所を補って倍返しの強みがある。


国務省対ソ専門家ジョージ・ケナンの主導する「ソ連封じ込め政策」に、CIAはうまく取り入って。防共のための欧州復興支援計画「マーシャルプラン」向けの巨額予算から秘密工作費を好きなだけ中抜きできる打ち出の小槌をゲット。
CIAの得意技とは、スパイを潜入させて機密を探る繊細な職人芸
、からはほど遠い、

敵の敵にドルをこれでもかと与えまくって敵の敵に敵を転覆させる札束攻勢、
もうかっこよさも美学もへったくれもない粗野なパワープレーである。
というかCIAがそれなりの結果を出せるのは結局いまも昔もこれしかない。

戦後のイタリア、ギリシャの選挙に巨万のドルをぶちこんで共産党の台頭を阻み、イラン、イラク、グアテマラで生まれた左翼政権をクーデターで転覆させ──

そして、マッカーサーがワシントンの干渉を嫌う極東マターにも、
CIAはひそひそっと布石を打っていた。
もちろん得意のドルでね。それしかできんし。

ポスト吉田茂とみなした岸信介/佐藤栄作兄弟、池田勇人、緒方竹虎、賀屋興宣、正力松太郎────のちの55年体制の立役者たちは、アメリカの望む形の戦後日本をつくる約束をして、CIAからがっつり裏資金を受けて権力基盤を固めていく。
さらにCIAは現政権にも抜かりなく手を伸ばし。

辰巳栄一@元陸軍中将。
吉田内閣の軍事顧問として重用され、陸上自衛隊創設にも関与する。
でもこの男、裏ではCIA協力者“POLESTAR-5”なるコードネームで、
内閣調査室や陸自の機密はダダ漏れに、
──というのが、2000年代のアメリカ公文書機密解除でもろバレになるんだが。
下山事件のおきた1949年にはCIA法が議会で可決され、CIAは巨万のドルを議会にこまごま干渉されることなくいっくらでも好きな秘密工作にぶっ込めることになる、

──世界の多くの人々にとって不幸なことに。

「まあ、それよりもだ、ニイタカ、今日おまえさんに来てもらったのは──」
「半島のことでしょうか?」
「なぜ分かった、とはあえて聞かんぞ」

「ご自慢のブラックボトル様をひけらかすためにわざわざわたしを招いたのでないことは分かりました、オイリーボーイ閣下」
「ಠ_ಠ その名で呼ぶのはもはや君くらいだ。そして僕がややぬるめの水割りを推奨するにもかかわらず無視してざくざく氷を入れまくるのも君くらいだぞキャサリン」
「懐かしい名前をひさびさに聞きました、英国にいた頃を思い出しますね」

「それで、どう見ているのだ?」

「半島のことでしたら、ウィロビー少将にお尋ねになるほうがよろしいのでは?
ご自慢の秘密探偵団をたくさんお抱えのようですし」
「もう聞いた。半島で武力衝突のおこる可能性はゼロに近いということだ」
「なら、心配いりませんわね」

「……………」
「でもプライムミニスターとあなたはそうは思わない。
だから一介の秘書兼通訳風情の意見も聴いてみようかと?」
「なにを今さら。君が一介の秘書兼通訳でないことくらい周知の事実だ、」

「──だからこうして僕が頭を下げて尋ねているではないか」
「あら、戦後の民主化で、頭を下げるという日本語は、胸を張って上から目線でふんぞり返るという意味に変わっていたのですね。古い日本語しか知らず、不勉強でした」
「相変わらず憎ったらしいやつだな」

「それで、半島はどうなるんだ?」

ドーーーン

대한민국
Republic of Korea, aka ‘South Korea’
大韓民国
ドドドドーン

조선민주주의인민공화국
Democratic People's Republic of Korea, aka ‘North Korea’
朝鮮民主主義人民共和国
ドドドドドーーン
2つの朝鮮。米ソが急ごしらえした虚構国家である。
日本列島は空襲でずたぼろになったが、日本の一部だった朝鮮半島はなんの被害も受けていなかった。大日本帝國が投資建設してきた社会インフラもほぼ無傷である。
日本降伏前後の隙を突いてソ連赤軍は満州、樺太、千島、北鮮に侵攻。慌てて連合国軍というか米軍が半島南半分を確保。
互いの陸軍兵力がガチで38度線で対峙することになった。
偶発衝突>総力戦エスカレーションに突入する覚悟のない米ソはひとまず撤収。半島を緩衝地帯とするためテキトーな傀儡を連れてきて傀儡政権をこしらえた。
が、かんじんの傀儡sは勝手なことを考えていて。
大韓民国
大統領 李承晩イスンマン


(我は唯一の反共親米であるから後押しされたが、ずっと海外にいて、王の系譜を継ぐ両班ヤンバンとして正統性はあっても
じつは1秒も日本と戦争してないしというか日本として敗戦国側なのは内緒ニダ!
朝鮮民主主義人民共和国
首相 金日成キムイルソン


(モスクワの傀儡としてあてがわれた我であるが、都合のよい人形では終わらんニダ。アメリカは南を守るのやる気ないっぽいし。スターリンと毛沢東をうまく転がして、無慈悲かつ苛烈果敢かつ無慈悲かつ無慈悲な南進を遂げて、半島統一をはたすニダ)
抗日の英雄金日成を名乗ってるが、箔つけるためでじつはまったくの別人ってのは頭ん中でちょろっと思っただけで粛清ニダよ!

米ソ「おまえら、よけいなことすんなヴォケ」←今ココ
コールドウォー最初の代理戦争は、最も警戒されていたヨーロッパではなく、極東アジアの朝鮮半島、領袖米ソにあてがわれた役回りを無視してごちゃごちゃやり出した傀儡同士で火の手が上がることになる。

「北は動くか?」

「はい」
「いつ?」
「遅くとも来年の夏ですかねえ」
「そんなに早くか!」

「わたしも一応ワシントンにもGHQにも何度か申し上げたのですけれど。やはり人は信じたいことしか信じないのですね。李承晩イスンマンが勝手に北へ殴り込む心配はしても、金日成キムイルソンが同じことをするとはカケラほども思ってないようです。後ろ盾のスターリンがやらせないと。だから──」

「38度線は高い確率で不意打ちを受けるでしょうね」

「解せんな。アメリカ人はなぜああも楽観的なのだ」

「では地理の時間です。ヒトラーは瞬く間にパリを席巻してしまいましたよね」
「ん?」
「なのになぜロンドンを落とせず、モスクワを落とせなかったのでしょうか?」

「地勢だけでいえば、フランスはドイツと地続きで国土も広くないからだろう」

「搦め手のベルギーを抜かれると、たちまちパリが危機、反攻の暇なく詰んだ」

「それに対してイギリスとの間にはドーバー海峡があった。わずか20マイル*の距離だが、海は海だ。戦車も機械化歩兵も海を渡れず、ドイツ得意の電撃戦ブリッツクリークもできんから効果の薄い空爆しかできなかった」*20マイル=34km

「そして対ロシアでは距離だ。正攻法で切り込むにはあまりに広大すぎた。
大日本帝國にとって支那と太平洋が広すぎたように。こんなところか」
「はいよくできました、3点」
「なんで正解なのに3点なんだ!」

「アメリカという国は、その合わせ技なのです」

「太平洋と大西洋のおかげで他の大国と地続きでなく、さらに資源が豊富で広大すぎる国土もあります。だから緒戦では不利でも、そこから反撃の準備にかかって、物量に物言わせ力で押し返すための時間を稼げます。真珠湾からの対日戦の流れはまさにそうでした。あの国は歴史上の覇権国のなかで最も恵まれているのです」

「それゆえに先手の重さを根本のところで理解できない。だから狭く、大した天然の要害もない半島で先に動かれることがどれだけ命取りなのか、ピンとこないから甘々な観測になる。今回も最初の一手は取られてしまうでしょう」

「半島の場合、その初手がチェックメイトに直結しかねんと。はね返せるか?」
「さあ、そこまではさすがにわたしも分かりません。もしかすると資本主義陣営は半島全土をあっけなく失う可能性もありますね」
「いずれにせよ、総理の懸念は、半島の帰趨よりも、我が国への影響だ、あー……」

「アメリカが、日本人を徴兵して半島の最前線に放り込むと?」
「可能性はあるだろう」

「どころかアメリカ政府は間違いなくそう考えるでしょう。
米兵の代わりに日本兵を肉の壁にできれば費用対効果もよく、“ジャップス”が何人死のうが本国のアメリカ市民の心は痛まないですからね」

「ぬー、アメリカが考えなしに日本を叩いたからボルシェビキが満州を食らい、支那を食らい、半島まで侵蝕したのだ。このうえその過ちの代償を日本人の血で贖わせようとは、了見が( ゚Д゚)ウマーすぎる。じつに腹立たしい!」

「あら、あなたにも義憤という人間らしい感情が残っていたのですね」
「僕をなんだと思っとるんだ」

「そうですね。日本との戦争を生き延びたアメリカのGIさんたちには大変お気の毒ですが、彼らの選んだ彼らの政府が犯した傲慢と偏見の代償は、
日本人のでなく、彼ら自身の血で贖ってもらいましょうか」
「どうやれと?」

「あなたがたの手には素敵な武器があるじゃないですか。
それも当のアメリカが、リボンを結んで贈りつけてくれた魔法の呪文が」

「呪文?」

Article 9 of Constitution
「憲法第九条」

カランッ……

「ご馳走になりました。ストラトフォード卿にもよろしく」
「まったく、常温ややぬるめの水割りこそ最もあのウイスキーの芳醇無比な香りを際立たせるというのに、またもや無粋なオンザロックにしおって」
「暑い昼日中に我慢して生ぬるい液体をありがたがる趣味はありませんから」
「おまえさんはウイスキーを分かる鼻と舌があるくせにわざとやるから腹が立つんだ」

「今日は暇乞いも重ねてお邪魔しました。まもなく日本を離れますので」
「どこへ行く」

「けじめを、つけようと思いまして」

「それではプライムミニスターにもよろしくお伝えください、オイリーボーイ閣下」


「余録稼ぎはほどほどになさいね」
「ふんっ、大きなお世話だ」


「今のを、どう思われますか、総理?」



「次郎が口舌でやり込められるとは珍しい」

「なかなかにして愉快であった」
「(#^ω^) いえ、その感想ではなく…」

「うむ、第九条を逆手に取る、か」

「しかし、あのご婦人、君の天敵ではなかったかな? 和解したのか」
「ご冗談を。イギリスにいた頃からあの女とはまったく以て相容れません」
「にもかかわらず、彼女の言うことは無条件に信じるのだな」
「こう認めるのはいささか業腹ですが、」

「あの女が日本と日本人のために述べる言葉だけは、無条件に信頼できるのです」
この日から10か月後──

朝鮮人民軍10万名が38度線を越え、大韓民国に侵攻。
ソ連製戦車の大群に、軽装備しかない韓国軍はまるで歯が立たず、
戦線は総崩れ。たった3日で首都ソウルが陥落する。

威勢よかった李承晩イスンマンは光速より早くソウルから逃げ出した。
そして国家存亡の危機に国民一丸となる、
かと思いきや内ゲバを始めて死者20万人から120万(幅ありすぎ)の【保導連盟事件】やかしたり、山口県に亡命政府をつくろう(つまり自分と取り巻きだけ安全な日本へ逃げる)と画策してみたり、この非常時になにやってんだよ状態で。

日本にいた米軍や英豪軍が救援で投入されるが、武器も準備もいまいちで、
負けを重ねて大苦戦、半島全土喪失寸前まで追い込まれることになる。

このときアメリカ政府の思惑は、
当時の国務省長官顧問フォスター・ダレスの回想にもあるとおり、
「日本に再軍備させ、日本兵を朝鮮半島で戦わせる予定!」

だが、吉田総理はというと──
「憲法第九条」を盾にアメリカから再三の要請があっても日本軍再編に応じない。

「国民に不戦感情が根強く、再軍備の実行は不可能」
皮肉にもそれはアメリカが日本の牙を抜くためにあてがった“民主”憲法であり、こつこつ5年かけてあらゆる手法で“ジャップス”の脳みそに刷り込んできたウォー・ギルト・インフォメーション・プログラムの「成果」だった。*【NW之章 始発便-結】
アメリカ側は、ならば派兵できるようにさせようと改憲を迫るが、

吉田は困ったふりをしつつ、その裏では宿敵社会党に、
「改憲に断固反対してくれ」
と根回しするっつう超絶老獪寝業師テクを駆使。
そもそもマッカーサーが日本国憲法を素人同然の部下たちに仕切らせてまで発布施行を急いだのは、御意見番対日理事会@米英ソ中と極東委員会@連合国11か国からのめんどくさい口出しをスルーして、とっとと既成事実にしてしまうためもあった。
まー反共シフトしたいまになって反共にはかなり不向きな条目がいくつも紛れ込んでることも身にしみて分かってきたんだがときすでに遅し。

「…………shit」
もし改めてアメリカの都合よく改憲させようとしても、ソ連と中華民国が両会議に席を持つかぎり、今度こそ絶対反対するに違いない。だけでなく、イギリスやオランダ──大戦で植民地利権に壊滅的打撃食らって絶賛没落中まっしぐらの連中もひとこと口挟みたいに違いなく、収拾ぜったいつかなくなるのは目に見えている。
アメリカは自ら仕掛けた憲法第九条の硬く厚い壁を突き崩すことならず。

太平洋戦線を転戦した将兵はすでに任期満了、>帰国していて、
占領下日本で勝ち組待遇でぬくぬく過ごし、戦争するなんて思ってもいなかった彼らは、いきなり血みどろの戦場に放り込まれ、泥沼を這い回ることになる。
日本は警察予備隊@のち陸上自衛隊なる軍事組織を構築することにはなったものの、あくまで駐留米軍が手薄になった国内の対共産党対不逞鮮人の暴動対策としてで。
半島の最前線に旧日本兵が動員されることは、停戦に至るまでついになかった。
ところで、
ニイタカは白洲次郎(と襖の向こうの吉田茂)にむけて、
別れ際にもうひとつ忠告を残していった。

「この呪文はしばらく効力がありますが、そのじつ猛毒でもありますから、世界が次のステージへと移る前に、できる限り早くべつの呪文を唱え直すことをお勧めします」

「さもないと、逆にその毒で命を失うことになりますよ」


そして時計の針はふたたび戦前の大陸へと遡る──

運命の瞬間となったその日そのときへと。

July 29, 1937
1937年 昭和12年
7月29日
Friday
金曜日

Shanghai International Concession
上海共同租界
大陸沿岸部の数ある租界のなかでも、
上海は規模でも経済力でも最大の繁栄を誇る。

「這應該是一個非常!」
「這是我做的時候在哪裡它開始戰鬥逃生!」

「外が騒がしいですね」

「何かあったのでしょうか」
「ミスニイタカ! チャイニーズが叛乱だ! 日本人が大勢殺されたらしい」

「通州トンジョウで!」



‘Tungchow Mutiny’
【通州事件】
日本軍と蒋介石@南京国民政府軍の軍事衝突@盧溝橋事件から2週間後──


満州国と南京国民政府の緩衝地帯、冀東きとう防共自治政府。
日本軍のお膳立てで生まれた傀儡自治区である。
その“首都”通州の城市内で惨劇は起きた。

通州にいた日本軍の支那駐屯歩兵第二聯隊は、この日、北京方面へ出動していて不在。
その隙を突いて、

味方のはずの自治政府の保安隊と学生@中国人3000人が、
とつじょ、城市内に点在する日本人に襲いかかった。
国民党の南京ラジオ放送の「日本軍敗走」っつうデマ放送を真に受けた保安隊が勝ち馬に乗れとばかりに寝返ったのである。
じつはこれよりかなり前から保安隊の隊長たちは、国民政府側と内通していて裏でゆらゆら揺らいでたんだけども、そんなのおくびにも出さず。日本側はぜんぜんそれを知らず、その瞬間まで保安隊の中国人たちを友軍と信じ込んでいた。
7月29日未明──
寝返った保安隊は、天津と通州で同時多発叛乱を開始。
国民党軍も示し合わせて両市に進撃。
天津の方の叛乱は失敗。
日本軍とまともに激突、叛乱者・中国軍ともにあっさり撃退される。
ガチ戦闘での中国軍の弱兵っぷりは安心安定のお約束である。
が、

通州ではそうはいかなかった。
日本軍の留守番は、わずか100人しかも後方支援の非戦闘系のみ。
あまりに多勢に無勢すぎてまもなく全滅。
自治政府長官殷汝耕もあっけなく捕まる。

村尾昌彦大尉夫人
「叛乱した張隊長は毎日家に遊びに来て「好朋友、好朋友」などといひ非常に主人と仲良しだったのにこんなことになるとは支那人ほど信じ難い恐ろしい人間はないでせう」

フレデリック・ウィリアムズ米国人記者
「友人であるかのように警護者のフリをしていた支那兵による通州の日本人男女、子供等の虐殺は、古代から現代までを見渡して最悪の集団屠殺として歴史に記録されるだろう」「女子供はこの兵隊の暴漢どもに暴行を受けた。それから男たちと共にゆっくりと拷問にかけられた……」

「ひどいことには手足を切断され、発見されたときには、ほとんど男女の区別もつかなかった。何時間も女子供の悲鳴が家々から聞こえた。支那兵が強姦し、拷問を──」

「日本軍が急行してすでに治安は回復している」
「女子供も含めて数百人が殺されたらしい」
女学校同窓3人のうち最も死に近いのは、わたしだろう、
そう思っていた。

スパイとして捕らえられれば、処刑が待っている。
だから天津で再会したあの日、彼女たちに感謝を伝えたのだ。

お別れの挨拶のつもりで。


萱島高歩兵第二聯隊長
「日本人男子の死体はほとんどすべてが首に縄をつけて引き回した跡があり、
血潮は壁に散布し、言語に絶したものだった」

「生存者名簿に鈴木つや子、という名の女性がいるか確かめて!」
わたしのせいだ。

「夫は医師で、南街で医院を開いている!」
わたしには華北の諸勢力に張り巡らせた諜報ネットワークがある。
だから手元には、すでに警告が届いていた。
わたしは知っていたのだ、2週間も前から──
通州の保安隊が国民政府および紅軍と密通していること、
機会さえあれば、叛旗を翻す可能性が高いことを。

桜井文雄支那駐屯歩兵第2連隊小隊長
「……鼻に牛の如く針金を通された子供や、片腕を切られた老婆、腹部を銃剣で刺された妊婦等の死体がそこここの埃箱の中や壕の中から……」
「……ある飲食店では一家ことごとく首と両手を切断され惨殺されていた。婦人という婦人は十四、五歳以上はことごとく強姦されており……」

「……陰部に箒を押し込んである者、口中に土砂をつめてある者、腹を縦に断ち割ってある者など……」「……首を縄で縛り、両手を合わせてそれに8番鉄線を貫き通し、一家6人数珠つなぎにして引き回された形跡歴然たる死体があった……」





「ニイタカさん、だね」

「ハルビン警察特務科の白鳥です」
──叛乱の起きる前に通州から離れるようにと、
つや子に警告することも、わたしならできたのだ。
だがわたしは、

「あなたのご友人ですが……」
何もしなかった。

「……残念ながら……」
つや子の夫は日本軍将校と親しい。つや子に警告することで日本軍さらに国民党軍にそれが伝わり、情報源が嗅ぎつけられるのをわたしはおそれたのだ。

だから、つや子を救うためにわたしは何もしなかった。

「心よりお悔やみ申し上げる」
この人はいい人なのだろう。
だからわたしの涙の意味を誤解する。
わたしに涙を流す資格などない。

わたしがつや子を殺し、
その家族を殺し、通州の日本人を殺した。

桂鎮雄第2連隊歩兵隊長代理
「……女中らしき日本婦人の4つの死体があり、全部もがいて死んだようだった」
「……男は目玉をくりぬかれ上半身は蜂の巣のようだった」
「女2人はいずれも背部から銃剣を突き刺され……」

「……子供は手の指を揃えて切断されていた」
「……胸腹の骨が露出し、」
「内臓が散乱し……」



日本軍上層部は、友軍()にまんまとしてやられて軍的にかっこ悪い通州事件ぜんぶを世間から隠そうとしたが、まだ報道統制できるご時世じゃないんでさすがに無理。
「では、これより発表します」

「ああ、待て」

「発表は保安隊とせず、支那人の部隊としてくれ」
日本軍は「味方の保安隊の叛乱」っつうのを「支那人の部隊」っつうまあ嘘じゃないけどわざと敵味方曖昧な表現にして発表。記事をちゃんと読むと下手人s=保安隊とわかるんだが、ほとんどの読者はそんなもんちゃんと読まないんで。
いちおう日本政府はソ連への防波堤として朝鮮半島を併合し、
さらにその防波堤として満州国を建国することになったものの、
それ以上支那動乱に深入りするのは及び腰だったが、


ザッ、ザッ、ザッ、ザッ
この事件を機に潮目が変わる。

─-ぼうしようちょう

暴支膺懲

国内世論は「暴れる支那を打ち懲らしめるべし」へと一気に傾き、
政府も軍も引きずられ、やがて大陸全土を巻き込む大戦へと突き進む。
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| 再掲激情@911/下山事件 | 18:07 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑