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【事件激情】マーダーズ イン カントリー (終)【或る田舎的殺戮】

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2004年 加古川

ヤスは犯行直後、に電話。

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やってもうたおばばを頼むぞ」

燃え上がる自宅と警察に助け出された母親を後にして、車での自宅へと。
「迷惑かける、すまん。わしは死ぬ

は発進できないように車のキーを抜き取ったが、ヤスは一斗缶のガソリンを頭からかぶって、
「カギ渡さんなら今、ここで死んだる!
根負けしたからキーをひったくって、ヤスは走り去った。

午前4時

現場から南へ700mくらいのバイパスで信号待ちしてたヤスはたまたまパトカーが現れたのを見て、
「もはやこれまで」
早とちりして爆走

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バイパス陸橋の橋桁に激突
でも車が燃えないんで、助手席のガソリン缶に自分で火をつけたところを、警官に引っ張り出された。

「あんた大丈夫ですか、ケガは?
「俺がやった」
「は?」

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「あれや」

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白んできた空にもくもく昇る黒煙とかすかなサイレン。

警官慌てて、
「動くなっ」

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「動けへんて。そこらじゅう痛いんや
ヤスは憑き物が落ちたような穏やかな顔で、

「俺がやった。恨みや」


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七th終章或る田舎的 祭りの始末
──結 津山三十人殺し
──未結 名張毒ぶどう酒事件
──結 月ヶ瀬村中2女子殺人事件
──未結 加古川親族7人殺害事件


shinbuntoi250.jpg choseunghui160h.jpg upomgon160h.jpg mBryant160h.jpg  
歴代マスマーダーたち

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今年新たにノルウェーから加わった、
アンネシュ“日韓萌え”ブレイビク@77人ギネスワースト更新。

とくに特殊技能もない彼らがひとりで何十人と殺せた理由はただひとつ、連射式ライフルサブマシンガン、ときには爆弾手榴弾まで使ったから。

拳銃はもちろん、刃物ではとうてい無理。

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まして包丁なんて、そもそも人を殺すための道具じゃないし、すぐ刺さらなくなるし折れるし自分の手をケガしたりもする。刺す側の体力と気力もみるみるなくなる。

よほどの精神力と胆力を持ち合わせてないとへこたれる。
で、そんな精神力胆力があったらそもそも大量殺人なんてしない。タフなイメージと違って大量殺人は必ずヘタレ人間がやらかすんである。

にもかかわらず、ヤスのばやい、

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【事件激情】マーダーズ イン カントリー六th【或る田舎的殺戮】

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2004年 平成16年 8月1日

加古川市西神吉町大国

加古川花火大会

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ふう、やっと寝てくれたなあ。

キミヨ*@74歳ヤス@47歳の部屋を覗いて、ふとんで静かに寝てる息子に安心した。

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今日はいつもに増して荒れてたなあ。心配したで。

朝からひときわおかしかった。水やりしてただけの北隣のミシマ*さんをいきなり怒鳴ったり、窓から包丁投げようとしたり。

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加古川花火大会を見てたら、急にスガ*さんの下の子と怒鳴り合うて、外へ飛び出してってもうたし。

と思ったら夜9時過ぎにぶりぶり怒って帰ってきて、

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「待ち伏せしとったのに、いつの間に家に帰りおったんや」

「いてもうたる、今日こそいてもうたる」


ずっと興奮してわめいてた。さいわいいうかスガ*さんとこの子を見失ったらしい。

心配でずっとつきっきりでなだめて。
ヤスが床につくまで気が気でなかったけど。
落ち着いて眠うなったようや(子どもみたい

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そういや、ヤスが置いてる一斗缶のガソリン。気がかり。
そないなもん買うて何に使うんや、ときいたら、

ヒサコ*らぁをぶっ殺したら、テレビにこのボロ家映るやろ。恥ずかしいわ。だから燃したるんや」

あのガソリンもどこかに隠した方がええんかな。ヤスは怒るやろうけど。

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あらもう日付変わってもうた。明日のパートも早いし寝よ。
キミヨ*は部屋へ戻っていった。

これから先どうなるんやろ、とため息つきつつ。


母親の足音が遠のくのを聞き届けて、

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ヤスはそおっと目を開く──


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七th 或る田舎的 大虐殺
──転 津山三十人殺し    ──転 加古川親族7人殺害事件
──転 名張毒ぶどう酒事件 ──転 月ヶ瀬村中2女子殺人事件


1938年 昭和13年 5月21日

岡山県西加茂村

午前3時

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けたたましい半鐘。

大友嘉造*@22歳はとびおきて。

消防団なんで着替えて小走りに出た。

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団員たちが詰め所の前にぞろぞろ集まってる。
なんじゃなんじゃい、どこが火事じゃい。
ずっと半鐘が鳴ってるんだが。

やがて消防団の世話役がやってきて、
「あーご苦労さん。貝尾で強盗が入ったそうじゃ。今寄っても危険じゃけえ、家に帰って待機しんちぇ」

なんじゃなんじゃ紛らわしいの。
と、ぞろぞろ団員たちは家々に戻る。
嘉造*もそのときはなんにも思わず帰った。

なぜか貝尾という名と自分の女房良子*とがむすびついてなかった。

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【事件激情】マーダーズ イン カントリー参rd【或る田舎的殺戮】

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「あのクソ母屋が。許さへんぞ
「あのクソ母屋が。許さへんぞ
「あのクソ母屋が。許さへんぞ


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「あのクソ母屋が。許さへんぞ」「あのクソ母屋が。許さへんぞ
「あのクソ母屋が。許さへんぞ」「あのクソ母屋が。許さへんぞ
「あのクソ母屋が。許さへんぞ」「あのクソ母屋が。許さへんぞ
「あのクソ母屋が。許さへんぞ」「あのクソ母屋が。許さへんぞ



2004年8月1日
加古川花火大会の夜──

kakogawa011;234 
ヤス@47歳キミヨ*@74歳の母子、
自宅の2階で花火を見物中。

すると、自転車のランプが家の玄関を照らした。
ご近所スガ*家の息子だった。
たまたまかわざとか。

ヤス、また例によってかっと頭に血が上昇。
また覗きに来よったんか!

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「なんじゃあ!」
いつものとおり怒声。いきなり沸点低い。

スガ*の息子もこれまた挑発的に、
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「なんどい、出てこんかいボケえっ!」

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「おぅ、待っとれ!」

ヤスは下駄箱に設置の包丁(え?)をひっつかんで、

「おらぁ、待てや、こらぁッ」

これ別にヤクザやヤンチーの抗争じゃない。カタギのご近所さん同士の会話
事件直前はこの調子がご近所の常態と化していた。

でも今宵はいつもと違ってた。

「ああ、ごうがわく、今日こそいてもうたる」

この7時間後──
藤城康孝は、親族と隣人一家8人殺傷する。


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参rd 或る田舎的 ペルソナ ノン グラータ
──加古川親族7人殺害事件


兵庫県加古川市──

明石焼姫路城にはさまれる不利すぎる位置取りのせいか、なんつーかこーいまいち存在感の薄い地方自治体なんである。

靴下生産日本一、あと神戸牛も育ってるし。それと加古川(川の名前)にヌートリアもいるし。
人口だって地方自治体には珍しく増えてる方なんだが。

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市南部の沿岸地帯は神戸製鋼が君臨。阪神工業地帯の雄。
新ベッドタウンでもあり、国道沿いは量販店激戦区。

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一方、市北部。広がる昔ながらの農村的ワールド

藤城康孝ことヤス犯人はヤスの暮らしてるのは、市北部のしかも駅と駅の間、ぽっかり空いた真空地帯。
郊外都市内にできた都市内田舎だったトシウチダシャではないトシナイイナカ
不自然な発達をした都市にはよくこういう空隙ができる。

住民はほぼお百姓の子孫、先祖代々ここに家と土地があって地縁血縁じつに濃ゆい。

この事件
関係する4世帯10人がそろって同姓なのが象徴的だ。

代々同族の者たちがごくごくごく狭い半径50m以内に肩寄せ合って居を構える、
昔なら当たり前。仕事もたいてい同じ(農業)だし、まあ一族集住は合理的だった。

でも今どき親族が四六時中隣り合ってたら、メリットはいまや皆無どころか、
ただただ災いのもと

ここでもそのジンクスすぎるほどジンクスの通りに。

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キミヨ*ヤス、母子二人暮らし。

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ただし、74歳@パート息子47歳@無職で。


母子が暮らす家に隣接して、一族本家のお屋敷がある。

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本家はでーんとでかくてお城みたい。都市近郊の農村でよく見かける、むやみに重厚感あふれる巨大日本住宅。ヤス母子のなんとのう安普請な家とは比べものにならず。

“お城”の主は、本家当主(故人)夫人ヒサコ*@80歳
ヤスにとっては父親の兄嫁で伯母でそして宿敵である。


さて、事件が起きると、
近隣住民の声」は、

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「玄関で話してただけなのに“悪口言いおって”と家から飛び出てきて、胸ぐらつかまれた人もいた」「殴られた人も」「子どもたちも遠回りして学校へ行った」

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「あの人たちはヒサコ*さんの土地に住んでて、税金を全然払ってくれないので払ってるんや、とよくこぼされた」

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「あの母親は昔から気が荒く、他人の犬@散歩中の腹を蹴って死なせた」「母親は仕切りたがりでパート先でも思うとおりにならないと怒る性格だった」

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「あの母子は本家に迷惑ばかりかけて。息子が暴れても母親は謝りもしない、近所に謝りに回るのは本家のヒサコ*さんだった」「息子は働いてないのに母親からお金もらってブランドとか着ていて釣りボートも買ってもらっていて」

しかも「のぞき見されてる! 盗聴されてる!」とわめいて暴れたこともあるっとくれば、こりゃもう電波系でガチだろってことだしで。

報道でも「マザコン中年が被害妄想で暴発」って内容に落ち着いていった。

トラブルメーカーとち狂った分家に振り回される、善良でまともな本家
そして善良なのに勝手に妄想で憎まれて難儀なご近所

って構図になる



……ホントに彼らの言うとおりなら


が、

この事件の裁判では、検察もそして判決も、
「ご近所さんがた」の言い分をほぼすべて、華麗にスルーした。

なぜかといえば──

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