
わわわ、みんなが──
ヒュゥィィイイイイイイイ────
───ン

アルカイダ訓練キャンプはこれでもかってくらい降り注ぐ
トマホークの雨で火の海に。
が、
それからまもなく、
無線放送が。
空電ノイズとひずみに混じって聞こえるその声は、
“ガガガピー…神…お恵み
…ザザザピー”
“……我はいまも
…ピーガガガ…生きている…”
はれ?
オサマ・ビンラディンが
20日の幹部会議のため
訓練キャンプに来るのは、たしかたしかだったんじゃ?
──
なにがどうなってこうなった?
登場する事件テロ紛争戦争、その捜査は公表された情報に基づく。
黒字の人物・赤字の人物・紫字の人物および各国の機関団体部局は実在する。
白鳥百合子、ニイタカ・ヤヨイ-カトリーヌらこの文字色は架空の人物であり、
実在する人物との関わりは根拠は創造にしてソースは妄想である。
──
なにがどうなってこうなった?
ここで、
少しばかり──
時間を巻き戻し──

──てみると、
たいてっか向に
地営野の
トスウホがちた近側と
ンィデランビ・マサオ マサオ? 誰?
ホウストの
訓練キャンプ野営地へ向かう
オサマ・ビンラディン一行
道が二手に分かれる辻まで来たところで、
「む、停めるのである」
かたや
ホウストへ続く道 かたや首都
カブールへと至る街道
「このまま
ホウストへ行くか、いったん
カブールへ立ち寄るか、どちらがよいか」
側近や護衛たち、そりゃ全員「
カブール」一択っしょ。
殺伐とした
野営地に泊まるよりそりゃ友人もいて楽しみも息抜きも娯楽も(
野営地とくらべれば)ある
カブールがいいに決まってる。
「では、そうするとしよう」
この
アッラーの思し召しなのか第六感なのか気まぐれなのかなんなのか、
ともかく
ビンラディン一行は
20日の
ホウスト前夜入りをドタキャンして、
分かれ道を
カブール方面へと向かった。
なので
空爆の夜、
ホウスト野営地に
ビンラディンはいなかったんである。
死者はそれぞれの陣営が都合のいい人数を上げてるけども、
アメリカ政府によれば、
アルカイダ30人死亡、
アルカイダによれば、
訓練生6人だけ
死亡、タリバーンによれば、一般人
20人が
死亡。
一般人がそんなへんぴな処でなにしてたんだよだが。
じっさい最も
死者多しなのは、こそっと
パキスタン軍だったりする。
パキスタン三軍統合諜報局ISIは、
キャンプ運営に協力する代わりに、カシミアでおなじみ
カシミール地方で宿敵
インド軍と戦う
民兵の訓練をサービスさせていて。
パキスタン的には裏で
アルカイダとウィン-ウィンですなんて公言できんので、
アメリカに謝罪と賠償をなんてもちろん言えず、
「
パキスタン領内に落っこちた
ミサイルで住民が
2人死んだ」
と嫌味めいた以外は沈黙した。
その仕返しっつうか
トマホークの
不発弾を友好国の
中共に売っぱらい、>
人民解放軍がパクって
「長剣10」を開発しました、なんて噂もひそやかにささやかれ。
いずれにせよ誰目線でもはっきりしてるのは、
「
アメリカは
オサマ・ビンラディンを仕留め損ねました(´・ω・`)」
ってことであり。
さらに、2つめのターゲット↓
スーダン アルシファ製薬工場の方はというと、
たしかに工場は徹底的に木っ端微塵、瓦礫の山となった。
深夜だったので
死者は
警備員1人。
極悪スーダンの
極悪化学兵器工場をみごとに粉砕してい

あ、あれ?
化学へい… あれ?

ほんとに
医薬品つくる工場やんけ!
ಠ益ಠ おいぐぉらCIA! なに間違えとんねん!失敗どころじゃない大ちょんぼである。
スーダン政府はおかげで国内では低迷してた支持率アップ、
国際世論的にも
アメリカの分が悪くなる。
このダメダメ攻撃は結果がダメダメだっただけじゃなく、
超大国
アメリカが、「
一個人」にすぎない
オサマ・ビンラディンに巨万の
軍事力をぶつけた(しかも討ちもらした)ことで、
「犯罪者」ではなく
「敵」に格上げしてしまう結果となり、長い長い不毛な
対テロ戦争へとつながるターニングポイントなんだが、
このときそこまで意識してる人間はほとんどいなかった。

低音質低出力の
無線放送を直接傍受できた人間はごく少なかったものの、

あっちゅう間にメディアに乗って全世界に拡散。
巡航ミサイルの雨を生き延びたことで、
ビンラディンは
反米のアイコンに。
あの
アメリカ軍から生き延びた! 不死身! イケメソ! カリスマ指数も急上昇。
イスラムにかぎらない。
パクスアメリカーナを面白く思わないけどじっと手をみる世界の
反米的人々にとって、
オサマ・ビンラディンの存在は痛快愉快爽快で、
イスラム枠を超えて
アンチアメリカンアイドルになった。本人がそれどう思ったかはともかく。
そして野山に生きる
テロ組織は、圧倒的な
軍事力をもってしても滅ぼせない、
という苦く不吉なリアルもまたはっきりしたんである。
アフガンスーダン攻撃が、
CIAと
米軍の恥さらしに終わって、
大統領猫ソックス
の飼い主は、このあと、
対イラク空爆「砂漠の狐作戦」
コソボ紛争セルビア首都ベオグラード空爆もーなにやっても「
スキャンダル火消しの
空爆乙」呼ばわりがついて回ることに。
それだけでなく、↓こちゃらの人にも深刻な影響が
ムッラーオマル@タリバーン最高指導者@
アフガニスタン分かりにくいが、↑とても困っている。
まさに
ビンラディンを
サウジに引き渡す約束の期限が迫ってるところなんだけども。
アメの攻撃は
タリバーン指導部にも波紋。
「領土に
ミサイル打ち込まれたのにビビッて言いなりになるのか!」
「いやいや
アメは
ソ連と戦った頃から友好国ではないか、なぜわざわざ敵対する」
「いやおれたちの国に
ミサイル打ち込んだ時点で
敵国だろ」
「もう
アフガンは統一した!
サウジアラビアの助けなど必要ない!」「いやあるだろ、金ないじゃんよおれら」「そんなもん神の思し召しでなんとかなるわい」
「異教と戦う闘士
ビンラディンを売り飛ばすのか、それで恥ずかしくないのか」
「いや
ファトワーを出す資格ないのに勝手に
ジハードとか頭おかしい奴だろ」
だけでなく、
ビンラディンのせいで
タリバーンは金の成る木を逃しつつある。
木の名前は石油大手
ユノカル。
中央アジアから
アフガン経由で
アラビア海に至る
ガスパイプラインを敷きたい、>その意を受けた
アメリカ政府、>まあ石油大手の意はつねに優先されるし、>
タリバーンを
イランにぶつけたれとかまたもや
思いつき謀略ごっこを考えてて、>
タリバーン国家受け入れへとなし崩しつつあった
女性の人権抑圧とか
住民虐殺とか
ケシ栽培とかはあーあー見えない聞こえない約束なかんじで。
けども、今回の
ミサイル攻撃でいっさいがっさい丸っとご破算になりそうな。
ムッラーオマルもここまで
タリバーンの総大将として有象無象を引っ張ってきただけあって単なる狂信者ではなく、
このまま
ビンラディンを匿いつづければ
アメリカを怒らせ
サウジと
パキスタンを怒らせ、
タリバーンが孤立無援四面楚歌になるのは目に見えるくらい見えていた。
といって言いなりに
ビンラディンを引き渡してしまえば、
アメリカの脅しに屈したようにみられて国内的な
タリバーンの威信がやばい(;-д- )
「というわけで我が客人
オサマよ、なぜ呼ばれたか分かっておるだろうな」

「客人として庇護を受ける代わりに、なにもせぬ、と約束したであろう。なぜ毎度毎度しゃらっと約束を破って勝手なことばかりするのか!」
「あいや待たれい、我は一度もやったと明言しておりませぬ」
「世界中が
オサマ・ビンラディンのしわざだと言っておるわ! なぜ客人として我々の庇護を受けながら
アメリカにちょっかいを出すのだ!」
「しかし
アメリカはこの国に卑劣な
ミサイルの雨を降らせた
敵ですぞ」
「だからそうなったのは、
アメリカの
大使館を爆破したからであろう!」
「それは
アメリカの
軍隊が
2大聖地を
占領しておるのが
悪いのです」
「だからそ
あーっ今はそこまで遡った話をしておるのではない! とにかく!」
「
タリバーン内部でも
アルカイダなど追放してしまえ、という声が大きくなっておる!
いくら客人とはいえどそのような態度では、もはやかばい立てできぬぞ!」
問い詰められた
ビンラディン、どうするかと思ったら、意外にも、

しかも
号泣。
「永遠にあなたに絶対的に帰依します、
最高信仰指導者よ」
オサマ・ビンラディンという男はこういうのをプライドなんて関係なく無意識にやれる生まれながらの人たらしで。
嘘とかポーズじゃなくて、そのときそのときの
ビンラディンはマジで本気なんである。ただほかのときには別のマジで本気になるだけだ。
分かりにくいが、↑いま猛烈に感動している。
素朴な古武士
オマルはあっさりたらされてしまう。
「おお、我が客人よ、
パシュトンの民が頼ってきた友を
敵に売るわけがなかろう」
むーなぜこうなった。
分かりにくいが、↑いま非常に板挟みで懊悩のおうって字書ける?
なんていう最悪のタイミングで、
サウジアラビア総合情報庁長官トゥルキー王子が
カンダハールに来てしまったんである。もちろん
オサマ・ビンラディンの身柄を受けとるために。
だけでなく、
パキスタン三軍統合諜報局ISI長官ナシーム・ラナ中将まで連れてきていた。
ISIも
タリバーンの後ろ盾で
マザリシャリフ攻略でも
タリバーンのふりして助太刀してたくらい肩入れしてるんだけど、これまた
ビンラディンの暴走には困ってたんで。
アフガンの数少ない同盟国ダブルスで迫ることでプレッシャーねらったんである。
が、
「客人
オサマを引き渡すといった覚えはないのである」

「は?」
「我が客人
オサマは傑出した信仰に篤い人物である!」
「
アメリカ人が立ち去るのを願っているだけだ、
占領された地アラビア半島から!」
(#^ω^)ピキッ
(………あ、それ
サウジの偉いさんにいちばん言っちゃあかんやつや)
「そのような立派な男をいじめているヒマがあれば、
不信心者と戦うのがイスラム教徒ではないのか!」
(……ありゃー、こいつ、板挟みでぶっ壊れおった)
「帰ろう、
将軍」
「これ以上、話をしても無駄なようだ」
思わぬ決定的
ケンカ別れ。マザリシャリフがまだ陥落していなければ、
サウジや
パキスタンの支援は
タリバーンにも絶対不可欠だったのだが。あいにく
サウジは
車両400台を景気よく渡して、
パキスタンに至っては
マザリシャリフ攻めまで代理で戦って勝利をお膳立てしてやった、
結果、>気づけば
タリバーンの治世に憂いなしにしてしまった。
(ぬう、
ユリコシラトリが言っておったのは、こういうことか)
(……ぬぬむ、
シラトリのドヤ顔を見ねばならんのが腹立たしいわ)
「いやーミスター
クラーク、お湯ありがとうございます、
おかげでやっと
カップヌードルにありつけますよ」
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