
あああこれは困った、信号が赤に。

さあ優しく美しい私が、助けてあげましょう
ああ、すまないねえ、優しく美しいお嬢さん、おかげで大助かりだ、
実はわし、
サウジアラビアの
王子様なんだよね、
なんでも願いをかなえてあげよう、
えー、ほんとにー?
ぬう「嘘を言うな
ウソを」
「私、仕事で嘘ついたことないですって」
サウジの
スパイマスタートゥルキー・ファイサル王子のリークした、
ホバルタワー爆破テロの真相↓
(手を下したのは
ヒズボラの分派
サウジヒズボラだ)
(その背後でお膳立てしたのは
イランの
ニールイェゴドス@「アルゴドス軍」)
911も
アルカイダも関係ねーじゃんか、と思うかもしらんけど、
ある意味おおいに関係あるんで。
نیروی قدس
Niru-ye Qods(Ghods)/The Quds(Ghods) Forceアルゴドス軍最高指導者直属軍イスラム革命防衛隊の特殊部隊で、
イラン後援の過激派
ヒズボラ@
レバノン、
ハマス@
パレスチナ、
イラクシーア派民兵に、資金武器提供、軍事訓練、
テロ支援、海外にいる
反体制派の暗殺や破壊工作やったり物騒きわまる
特務軍団。

西側諸国で
反体制派イラン人を70人以上
暗殺。
1983年ヒズボラの
ベイルート米海兵隊宿舎自爆テロ、
1994年ブエノスアイレスユダヤ文化センター爆破テロ、の
黒幕。
じつは天下泰平なはずの
日本にも
ゴドス軍の長い長いかぎ爪がのびたことがある。
筑波大学助教授五十嵐一惨殺事件。
1991年7月12日朝筑波大構内
人文・社会学系A棟のエレベーターホールで、
五十嵐助教授の滅多刺し
死体見つかる。前夜、
何者かに襲われたと思われ。
中東イスラム研究者の
五十嵐は
サルマン・ラシュディの問題作
「
悪魔の詩」を
日本語訳していた。
怒ってはいない、これがふだんの顔だ が、この本、「
反イスラム」と激怒した
イラン最高指導者ホメイニ@ごっりごり原理主義が「
著者ラシュディと
発行に関わったやつみんな死刑」の
ファトワーを出した、
っつうデンジャラスな本である。
この
ファトワーに対して
五十嵐は憤り、翻訳するだけでなく、挑むかのように
ホメイニの狭量ぶりをおおやけでディスったりしていた。
それからまもなくの
受難。
日本の
警察はこういうの大の苦手なんで、
捜査はどんづまり、
事件は迷宮入り。
のち週刊誌が"
真相?"をスッパ抜いた。
当日出国した
バングラディシュ人@短期留学生怪しすぎ。
イランの放った
刺客?
茨城県警および
警察庁内で
テロとして
国際捜査すべきだ派と
イスラム敵に回すのやめとこうや派がせめぎ合った、とかなんとか。
が、けっきょく
日本らしい事なかれに流れたらしく、
「大学内のトラブ
ルや怨恨の線も捨て切れず」とかうやむやに。
だがそんな言い訳なぞ誰ひとりとして額面どーりに受けとらず、
「イスラム原理主義ってなにするかわからんマジキ*」イメージが
日本で定着する。
さらに
イタリア、
ノルウェーでも
「悪魔の詩」訳者襲撃事件が。
いずれも
アルゴドス軍が黒幕といわれている。
ちなみに張本人の
ホメイニは
事件前どころか翻訳前の
89年に死んじまってるんだが、
ファトワーは出した本人しか引っ込められないんで、事実上
「死刑宣告」は永遠に有効のまま。いまや
イラン的にもジレンマのタネである。
いまの
イランは
ホメイニ死後の
2代目最高指導者ハネメイ師、
>法学者格が低くていまいちにらみがきかない。
大統領ラフサンジャニは軍出身だが、
>対米関係改善ふくむ改革路線で、
>
イスラム保守派に不満が溜まっている。
ホバルタワーズの
爆弾は、
保守最右翼アルゴドス軍の暴発、
というのが
内務省の見方だ。
アメリカ人に隠した理由か。理由はふたつある。
リヤド首都裁判所ひとつは、我が
王国における
司法だ。
王国の
裁判官カーディは法律家ではなく
宗教学者で、とうぜんながら
保守派だ。
もし
捜査に
異教徒など関わらせれば、法廷で証拠も証言も無効とされる心配がある。
もうひとつは、
サウジアラビアと
イランの関係である。
長らく
シーア派原理主義の
イランは我が
王国の
仮想敵だったが、
ようやく関係修復にかかったところだ。
もし
アメリカ人が
ホバルタワーの
爆弾=
イランの差し金と確証を得れば、すぐさま
テヘランを
空爆しかねん。
軍事力でかなわぬ
イランは
テロで反撃するだろう。
サウジアラビアには
テロの標的になりそうな
米軍基地、
米関連施設がいくつもある。
ペルシャ湾を挟んだだけの
王国も否応なく巻き込まれるのは間違いない。
王家はまたもや
湾岸戦争の再現のごとき難しい判断を迫られるだろう。
それはおおいに避けたい。
だがこのまま放っておいても
アメリカは自力で
イランへとたどりつく。
だから
ユリコシラトリ、君に
伝書使をゆだねるのである。
この
事件に無関係の国の者で、
イスラムでも、
カソリックでも
プロテスタントでも、
ユダヤ教徒でもない者、
アメリカの然るべき地位の者に非公式なメッセージを届けられる者、
それでいて、地位が高すぎず、低すぎず、
分をわきまえながら愚鈍な使用人ではない者、
邪心と我欲のない、嘘をつかず、
容姿端麗にして非の打ち所のない
才媛、

いやー参ったなー
「そんなの私しかいませからね」
「さらっと最後1行にウソを混ぜるなさらっと」
「にしても
トゥルキー王子とはな……」
サウド王家一族としてはかなりの異色メン。
アメリカ留学経験有り、バイリンガル、洗練されて穏やかで理知的な会話もできて偉ぶらず、国外事情にも通じ、
欧米の友人も多く。
さらに
中東の
情報機関の長としてはこれまた珍しく
暗殺や
破壊工作を嫌う。
でもぴっかぴかクリーン無臭かというと、大国の
"スパイマスター"がそんなはずなく、
かつて
アフガンムジャヒディンに軍資金を投入して
ソ連と戦わせたのは、
彼
トゥルキー王子の策略だし。
彼の代理人として
アフガンで立ち働いたのは、
オサマ・ビンラディンだし。
いろいろ複雑な
トゥルキー王子だけども、西欧人には隠しまくる隠蔽主義より、最低限でも明かす方が、逆に縄張りを尊重してくれる、とも分かっていて。
だから
内務省の前近代的やり口はうまくない、と思っていた。
怒っているのではない、機嫌は悪いがただし
内務大臣の叔父
ナイーフ王子@こちらは
トゥルキーと丸っと正反対のスペック。
あまり叔父さん否定する動きをして
王家の秩序にさざ波を立てたくない。
「──なんて言ってるあの
王子本人だって相当な食わせもんで半分くらいしか信用できません。それでも
トゥルキー王子が動いたのは相当に危機感があるんだと思います。なにも知らない
アメリカに引っかき回されると相当まずいことになると」
じっさい
合衆国と
イランはいつ何がきっかけで
戦争突入!もおかしくないかんじになっていた。
ホバルタワーズ事件も
イランのしわざ説が浮上、
米連邦の一部ではいくさ支度もじつは始まっていた。
「ひとつ、引っかかることがある。
ホバルの現場で、若い娘を見かけた。
まだ10代そこそこのきれいな娘だ」

「あの少女がなにか引っかかる。なにか知っているはずだ。内々で探させてるんだが、糸口がつかめない」
「その
美少女って目が大きくて
アラブ人にしては色白の女の子ですか?」
「おい待てなんで知ってる?」
「じゃあ、見つけられなくて当然ですよ、あれ私ですから」

「
嘘つけ! なんで
これ↓が
あー↑なる!?」
「これとは何ですかこれとは。メガネ外して、オリエンタルメイクしただけです」
「どんなメガネなんだ! 背の高さまで違ったぞ!」
「さあ? 先入観ってのが人間あるみたいですよ」
「でもあの国、じつにめんどくせーんですよね。頭巾はギリ我慢するとしても、女はクルマ運転すんなとか、
勧善懲悪委員会って風紀委員づらのチンピラもうるせーし」
「あ、アラビアン美少女が絡まなくて残念でした。ほんと女となると見境無いなあ」
「ば、ば、
違う! あくまで
捜査のためにだな──」
「はいはい。じゃミスター
クラーク、伝書鳩にご褒美のランチおごって下さい」
「そう言うだろうとこのあいだのケバブの店に予約を入れてある」
「覚えててくれたんですね、うれしすぎる!」
「あっ
こらッ、2人とも聞け! おれの話を!」
クラークは
ホバルタワー事件=
イラン&
サウジヒズボラによるコラボ
テロという報告を
ホワイトハウス首脳にあげた。そのころ
CIAはまるであさっての方面を調べていて、
ヒズボラ-イラン説をデマ扱いしたが、まもなくマヌケはどっちか明らかに。
サウジにふたたび渡った
オニールは粘り腰で
内務省から、
"容疑者取り調べにマジックミラー越しで立ち会う"権を勝ち取る。
容疑者が次々と捕まり、やはり
黒幕=
イランはさらに濃厚になったけども、
イランへの
軍事攻撃はけっきょくとりやめ。
欧州が反対しそうだったんで。
その間に
サウジは
イランと秘密交渉。
イランは内心
湾岸戦争で見せつけられた
米軍の
空爆力をマジ恐怖していて(だったら
テロやんなよだが)、交渉は意外とスムーズに。
■
イランは
サウジ国内で今後
テロしない支援しない、
■
サウジも
サウジ国内の
米軍基地を
イラン攻撃に使わせない、
っつう条件で手打ちになった。
「ちっ、打ち止めか」
どのみち
FBIはあくまで
警察なんで
犯人逮捕>
裁判、じゃないと仕事がない。
軍事衝突になると居場所ないし。
政治と
軍事の問題になったんで
FBIオニールの出番はなくなったけども、
対テロの
鬼クラークの仕事はこれから。
サウジイラン仲直りのダシにされたお人好しで終わるつもりはないんである。
クラークの自著によると、このあと
イラン空爆の代わりに、ごくごくひそかに
イランの
情報省と
アルゴドス軍へのアンダーグラウンドな攻撃が始まった。銃弾の飛び交わない、もっといやらしー戦いが。
ごくごく偶然にも
99年に
イラン情報省でスキャンダルが持ち上がって、
情報大臣が辞任、
次官が
"自殺"している。
少なくとも
ホバル事件を最後に、
イランがらみの
対米テロはなりをひそめ。
以後
イランは
核開発のほうへと軸足を移すんである。
で、
日本はというと、
アメリカの同盟国ながら
イランとも
石油輸入3位だし昔から仲良しだし、逆に
クリントン政権には
媚中・
ジャパンパッシング・
円高政策で不信感極大。
湾岸戦争で
サウジは
多国籍軍の戦争代金
400億ドルも出して経済がヤバくなったが、
日本も
派兵できない代わりに
135億ドルも出して、>礼も言われず「カネだけ出して人は出さない」とか憎まれ口までたたかれ、>ぐぬぬ、>の苦い記憶がある。
だからその
中東で
米イが
戦争なんて
日本としちゃただただ迷惑って事情もあるが、
それが
白鳥の立ち回りの背後にあったかどうかは架空の人物なので定かではなく。
さらにこの年
7月、息つく間もなく
アメリカ国内で緊迫する
事件が次々と。
7月17日 トランスワールド航空800便墜落事故
7月29日 アトランタ五輪爆弾事件とくに
アトランタ五輪は厳重な警備をかいくぐられたあげく
死者も出て、
FBI筆頭に
治安当局の面目丸つぶれ。
はじめ
経済と
市場しか頭になかった
クリントン政権の
対テロシフト、猛速で進む。
国務省「
オサマ・ビンラディンは
国際テロリスト」声明。
チーフエグゼクティブキャットソックスの
飼い主も演説で
国際テロの脅威をうたって
「対テロ戦争」という言葉を初めて使い。
「
大統領猫!
大統領猫!ひと言お願いします!」
「にゃあ」
リチャード・クラーク@NSCテロ対策担当の直談判で、
首席補佐官レオン・パネッタが動き、
10億ドルの
対テロ緊急予算>
FBI・
CIAの
対テロ部門強化、
防空対策強化、海外の
米軍施設防衛強化と矢継ぎ早に。
だが、
FBIと
CIAには、予算とかそういう次元じゃない、もっと
深刻な病巣があるんだが。それはまた
911直前に
致命的弱点として浮き上がるのちの話。
90年代前半まで、
国際テロといえば、たいてい
リビア、
イラン、
イラク、
シリア、
スーダン、
キューバ、
北朝鮮といったやさぐれ国家がかんでいた。
たしかに国家レベルの力がないと
テロやる技術もカネもツテも無理だったんで。
だから、
アルカイダのような"
草の根"的
テロリストだってデっカい
テロやれるもん、
という
テロリズム新世紀到来を、
経験豊富な
安全保障のプロたちは経験豊富なだけになかなか理解できなかった。
どうすればそれを止められるかも。

Suitland,state of Marylandメリーランド州スートランド
"アルファよりセンターへ──"
「──
"ワイルドスワン"は、
スートランドに向かうようです」
"こちらセンター、追跡を続けろ、気づかれるな"
シラトリめ、
クラークとちがっておれはそう簡単にたぶらかされんぞ。
日本人なんて裏で考えてるか分かったもんじゃねえ。
尻尾つかんでぎゃふんと言わせてやる。
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