【事件激情】ウルトラNW: 第13便@再掲【9.11】
*第12便









【事件激情】ウルトラNW: 第13便@再掲【9.11】
「CIAの連中は、我々FBIに干渉されたくなかった。
それが我々に情報を明かさなかった理由だ。
そして9.11が起こった理由なんだ。
CIAのやつらの手は血まみれだ。
あいつらがその手で3000人を殺したのだ」
────James Bamford, A Pretext for War: 9/11(New York, 2004)

登場する事件テロ紛争戦争、その捜査は公表された情報に基づく。
黒字の人物・赤字の人物・紫字の人物および各国の機関団体部局は実在する。
白鳥百合子はじめこの文字色は架空の人物であり、
実在する人物との関わりは、根拠は創造にしてソースは妄想だが、ある意図がある。


May 2, 2001
Wednesday
2001年5月2日 水曜日
Miami
Miami, Florida
フロリダ州マイアミ
Immigration and Naturalization Service : INS
Florida field office
移民帰化局フロリダ支部を3人のアラブ系が訪れ、滞在ビザ延長を申し込んだ。
ま、これだけならべつに珍しくもない光景だろうけども──
FBIの「フロリダセル」監視 *【ウルトラNW之章 : 第10便】が続いてれば、
この場に辿り着いた、かもしれない。なにしろ、









【事件激情】ウルトラNW: 第13便@再掲【9.11】
「CIAの連中は、我々FBIに干渉されたくなかった。
それが我々に情報を明かさなかった理由だ。
そして9.11が起こった理由なんだ。
CIAのやつらの手は血まみれだ。
あいつらがその手で3000人を殺したのだ」
────James Bamford, A Pretext for War: 9/11(New York, 2004)

登場する事件テロ紛争戦争、その捜査は公表された情報に基づく。
黒字の人物・赤字の人物・紫字の人物および各国の機関団体部局は実在する。
白鳥百合子はじめこの文字色は架空の人物であり、
実在する人物との関わりは、根拠は創造にしてソースは妄想だが、ある意図がある。




May 2, 2001
Wednesday
2001年5月2日 水曜日

Miami, Florida
フロリダ州マイアミ

Immigration and Naturalization Service : INS
Florida field office
移民帰化局フロリダ支部を3人のアラブ系が訪れ、滞在ビザ延長を申し込んだ。
ま、これだけならべつに珍しくもない光景だろうけども──
FBIの「フロリダセル」監視 *【ウルトラNW之章 : 第10便】が続いてれば、
この場に辿り着いた、かもしれない。なにしろ、

1人はアドナン・スクリジュマ@モスクイマームの息子、
@アルカイダ準メン疑惑でFBIの監視対象になりかけた男。

そして同行の2人は、

Mohamed Atta
モハメド・アタ

Ziad Jarrah
ジアド・ジャラ
だったから。
ハンブルグセル組がフロリダ州に潜伏し続けたのは、州内に航空学校が180校もあること、移民や中長期滞在の外国人が多くて目立たないからだった。
目端の利くFBI捜査官がこれを見てたらこの同行コンビを怪しみ、ウォッチ対象にすることで、それこそ911がおきるより前に「飛行機計画」の核心に迫れたかもしない。
このアタとジャラこそ中核も中核、911テロのボス級なんだから。


でも実際にはスクリジュマ追尾は予算と人員の関係から始まる前に打ち止めになってて、だからこの日のアタとジャラの出現も当局の警戒網にかすりもしなかった。
「歴史にifやたらればは禁止な」はよく聞く鉄則だし、怪しいやつ全員追っかける気になっても実際は人手も予算も足りないのはパリ同時多発テロと同じなんだが。

けども、911では事前阻止に直結しそうな手がかりがことごとく(陰謀論によればわざと)スルーされてるんで、こういうことも言いたくなるってもんである。

May 8
Tuesday
5月8日 火曜日
コネチカット州


Nawaf al-Hazmi────H────Hani Hanjur
ナワフ・アルハズミとハニ・ハンジュル、コネチカット・ニュージャージー州下見中。

ちなみにハズミの相方ハリド・アルミダルは2月から中東に一時里帰り中である。
この日のハズミハンジュルは“ツアーガイド”付き。

エヤド・アッラババ@ヨルダン国籍ITエンジニア
このアッラババという男、なーんだかうさんくさいんすけどね。

アッラババは以前フォールズチャーチに住んでいて、ダルアルヒジュラモスクにも通っていた。ハズミも一時的に出入りしてたから一瞬ニアミスした、かもしれない。
ただ、接点はそれだけ。
アッラババは4日間にわたってハズミハンジュルを案内して回って、
いろいろナビしていたれりつくり。
一瞬ニアミスしただけの相手なのにめっちゃ親切。
いやーさすがイスラムは博愛を自画自賛するだけはあるよ
なわきゃーない。

アッラババがなんで過剰に親切だったのかのち明らかになるであろう白戸以下略。

Union Ave. Paterson, New Jersey
ハズミハンジュルは、ニュージャージー州パターソン ユニオンアベニューの古いアパートに部屋を借りて引っ越し。ヒスパニックな看板も目立つ決してお上品とは言いにくい界隈で。9月上旬まで彼らはここを生活拠点にすることになる。
一方、モハメド・アタとマルワン・アルシェヒのモーホーク族疑惑コンビも、

意外な場所に潜伏してたりする。





Delray Beach, Florida
The Seagate Country Club at the Hamlet
フロリダ州デルレイビーチのお高級別荘エリア
「シーゲイト・カントリークラブ・ザ・ハムレット」内の一角に部屋を借りる。

ここはゴルフカントリークラブのさらに奥の院にある、選ばれし勝ち組のいわゆるゲーテッドリゾートコミュニティ。門と塀と24時間セキュリティ完備、住民の許可なく外から入れないし詮索好きなご近所さんもいないし治安もよしお。
テロリスト的なプライバシーも安心安全なんである。

さすがにアルカイダの予算上コンドミニアム借りるのはキツいんで、2人の借りたのは別荘で働く従業員用アパート@1LDK家賃月700ドル。
ここを拠点にアタとアルシェヒは粛々と「飛行機計画」の準備を進めるんである。
このエリア内のコンドミニアムやアパートはオーナー本人が住む以外に、けっこうな割合が賃貸契約で中短期だけ入居してる人もいて入れ替わりが激しく。
だからこういう賃借人がいるのも珍しくはない。
その期待どおり、アラブ青年2人も紛れてほぼ目立たなかった。

ご近所の声「2人とも変な人には見えなかったわ。ヒゲもきちんと剃って清潔そうで。話しぶりもハキハキしていたし、よく見かける外国人ビジネスマンのようだったわ」
2人ともお坊ちゃんでインテリゲンチャだからそう難しい擬装でもないわな。
にしてもハンブルグセル組とミダルハズミ組との生活格差よ!
というかんじに、彼ら聖戦士ズがアメリカ入りしてから911の朝まで、どの州のどの町のどこに住み、なにやってたか、ほぼ1日刻みで分かっている。

たとえば、ナワフ・アルハズミさんが4月18日にバージニア州アレクサンドリアのウォルマートで買い物してました、
とか、

筋肉メン@マジド・モケドさんとアーメド・アルガムディさんが5月18日、ニュージャージー州サウスハッケンサックのジェイドイーストモーテルに泊まりましてね、
とか、

Teterboro, New Jersey
ハニ・ハンジュルさんは5月29日にテターボロでエアフリート訓練システムをレンタルしまして、例によって成績ぜんぜん駄目みたいだったです、

筋肉メン@アフメド・アルナミっちが、6月1日にサントラスト銀行口座782002028
580を開設、VISAクレカ#4011806070815781もゲットしまして、

ハズミダルコンビがウェインのウィリアムパターソン大学のライブラリーにあるPCで旅行情報や書籍の検索してたんですよ、
とか、






アメリカはクレカとデビットカードによる電子決済の国で、
それには社会保障番号ことSocial Security Number必須。
レンタカー借りるのも運転免許取るのも賃貸契約するのもクレカもデビットカードも、その前提になる銀行口座も。とにかくアメリカ国内でふつうに経済活動するには住所連絡先保証人付き社会保障番号が要る。


戸籍制度のないアメリカで身分証明のソースはきほん「社会保障番号 Social Security Number」で、アメリカ国内ではこれがどこまでもついて回る。
これはアメリカ人だけでなく住んでれば外国籍も同じ。
検証サイト「911myths」では聖戦士ズ各人の詳細な細かすぎな履歴がソース付きでアップされている。サイト自体はリンク切れだが今もキャッシュならほとんどのページが閲覧できる(2015年12月現在)
ということもあって、聖戦士ズの行動もほぼ完璧にわかるんである。
そして洞穴とか廃屋で息をひそめて潜伏してたんじゃなく、
思いっ切り本名でふつうに暮らしてたことも。
つまり対テロ当局がまともに連携機能してれば、
ハイジャッカーは芋づる式に見つかったんである。
だが──

May 15
Tuesday
5月15日 火曜日
【悲報】CIA情報隠しの張本人、FBI大幹部に【FBI/CIA】

FBI’s Headquarters, Counterterrorism/Counterintelligence Division
FBI対テロ/防諜本部でちょっとした人事異動が。

International Terrorism Operation Section
ITOS@国際テロリズム作戦セクションの次長に、CIAアレック支局改めビンラディン問題課から人事交流制度で出向してきたトム・ウィルシャーが就任。

そう、クアラルンプールのアルカイダ秘密会議とハリド・アルミダル情報をFBIに知らせなかった隠蔽工作の張本人ウィルシャーどす。*【ウルトラNW之章 : 次発便】

さらにその補佐官にやはりCIAから出向のダイナ・コルシ、
という情報隠蔽には持ってこいの布陣。
911直前の大事な大事な時期に、よりによって思いっくそCIA利益代表が、FBI司令塔の重職にしれっとおさまったんである。

そもそもこのITOSはFBI副長官補デール・ワトソンが、テロ情報共有と各支局テロ対策支援テコ入れ目的でつくったんだが、
万国共通の官僚病によりまして、初心なんてうやむやに消え去り、現場の捜査官を邪魔するばかりでテロ対策強化どころか劣化させる逆ネ申の巣窟と化していた。
生みの親のワトソン副長官補ですら情報隠されるなんて日常チャ飯事。
とうぜん今回も。
副長官補のような上級職は、捜査官というよりも行政職なんで、組織編成や予算獲得、大まかな捜査体制づくりはやるけども、きほん個々の事案までは普段は関わらない。そういう組織構造の隙につけこまれた感じである。
ウィルシャーが出向してきたのも、建前はCIAとの情報共有を円滑にするため、
だったんだけども、当然逆効果。
敵のウィルシャーとコルシ敵の味方はCIAの意を受けてせっせと円滑とは真逆の情報流通妨害に精を出すことにつうかおまえら国守る仕事しろよ。
とはいえウィルシャー単体が悪党ってわけじゃなく、これ組織ぐるみである。
じつはウィルシャーもそれなりに危機感あったのか、何度も上司に要請していた。

「クアラルンプール秘密会議とかアルミダルとかのネタを、そろそろFBIにチラ見せくらいしてやった方がいいんでねーですか?」
上司といっても出向先のITOSセクション長マイケル・ローレンスにでなく、
“実家”CIAのビンラディン問題課長リッチBや、
その上のCTC@対テロセンター長コファー・ブラックの方に。
でも回答はそのたびに



J. Cofer Black──────Ri────Richard Blee, aka “Rich B.”
「余計なこと言わんでよし」
まーそれでも雲行きが怪しくなるにつれて、
「会議があったこと、アルミダルが参加したことのみ言ってよし」
と上層部しぶしぶやや軟化。
「でも義足のハラドのことは絶対に言うなよな」
「あとハリド・アルミダルがもう我が国に来てることも内緒な」
制約ばっかやんけ。

ウィルシャーはCIAビンラディン問題課にいる分析官マーガレット・ギレスピーにクアラルンプール会議について、さりげなくさもついでのことのように伝える。


ややこやしいけどもマーガレット・ギレスピーはFBIからCIAに出向中のFBI捜査官である。なんつう遠回しな。FBI本部にいるんだから横にいるFBIに言えよであるが。

ようやくやっとこさ初めてアルカイダ秘密会議の一件がFBIに伝わったんである。
1年半も遅れで。それも中途半端に。
(白鳥─クラーク─オニール─秘匿捜査班は
【ウルトラ】界のみの話なんで、リアル界ではこの時点が初になる)

これべつに良心に目覚めたリークなんて立派なもんじゃなく、
単にCIA利益代表として駆逐艦コール爆破テロの首謀者らしい「義足のハラド」についてFBIがどれくらいつかんでるか匂いを嗅ぐため、あえてエサを投下したのだった。
CIAは「クアラルンプール秘密会議」を「駆逐艦爆破テロの主犯“義足のハラド”が出席した会合」ってとこばっか気にしている。
「アメリカ本土で決行予定の大規模テロの打ち合わせ」
って最悪の側面は軽く考えていた。
正直みんなさんアルカイダの実力をナメてたんである。
が、悪いニュースばかりではなく。
May 16
Wednesday
5月26日 水曜日
【朗報】アルカイダメン初の有罪判決【米大使館同時爆破テロ】

United States District Court for the Southern District of New York
ニューヨーク連邦地裁
United States of America v. Osama Bin Laden
「アメリカ合衆国対オサマ・ビンラディン」法廷
在ケニア米大使館爆破テロ@1998で逮捕済みの被告4人への判決。

「有罪 ギルティ」

Mohammed Sadeek Odeh
モハマド・オデイ@リーダー格

Mohamed Rashed Daoud al-'Owhali
モハメド・ラシード・アルオワリ

Khalfan Khamis Mohamed
ハルハン・ハミス・モハメド

Wadih el Hage
ワデス・エルヘイジ

下手に極刑にして「殉教者」になっちまうのを避けるため、
生きて虜囚の辱めこと「終身刑@仮釈放なし」

ちなみにこのテロで国際指名手配されたお尋ね者21人のうち
本丸ビンラディンやザワヒリはじめ大半が逃亡中のままだけども、
ともかくこれがアルカイダメンを刑事犯として法廷で裁いた初の判例になった。


Mary Jo White─────Patr──Patrick Fitzgerald
連邦検事メアリー・ジョー・ホワイトと検事補パトリック・フィッツジェラルドがFBIニューヨーク支局の対テロ部門と連携、こつこつ証拠固めをして、立証の難しい外国での爆破テロの立件にこぎ着けて有罪を勝ち取ったまさに大勝利。
「テロリストはあくまで人殺しの容疑者としてしょっぴいて刑法で裁く」
「そのへんのゴロツキと同等の単なる人殺し野郎として扱う」
本当ならこれがテロリストと戦う一番正しい道だったはずで、
この時点ならまだ間に合ったはず、
だったんだけども、

やがて世界は警察ではなく軍隊を繰り出して、
テロリスト相手の戦争を始め、
敵の望んだ土俵に立ってしまうんである。

May 30
Wednesday
5月30日 水曜日

Washington D.C.
ワシントン

コンドリーザ・ライス@国家安全保障問題担当大統領補佐官と、
ジョージ・テネット@CIA長官の週次会議。
今回はテネット長官の要請でいつになく同席者多し。

リチャード・クラーク対テロ調整官、メアリー・マッカーシーNSC上級顧問@CIA代表、ジョン・マクラフリンCIA副長官、コファー・ブラック同対テロセンター長、
そして同アレック支局改めビンラディン問題課長
リッチBこと↓リチャード・ブリー。


「この“真に恐ろしい” “第二のパールハーバー”など傍受された通話は、
テロ攻撃の兆候です。それも大規模な」
「ターゲットはイスラエルだと思いますが、
世界中のアメリカ資本も危機にさらされています」
「脅威はどの程度悪いのですか?」
「2000年のミレニアム警戒時は10中7で……」

「見たか、さっきのライスの顔。まるで他人事だぜ」

「今のホワイトハウスは、いつ、どこで、誰が、いかにして、まで具体的に説明できないと気にもとめてくれないよ」
「初めっからそんなの分かりゃ苦労しない」

「直感だが、必ず来る気がする。それもでかいやつが」
「同感だ。情報共有がますます必須となる」

「CIAもどのような些細なことだろうとかまわん、逐一伝えてくれ」
「もちろんだ」

ビンラディン問題課から始まったクアラルンプール秘密会議情報隠しが、
いつ長官テネットの耳に届いたかは定かじゃない。
だがそれを知ってからも、テネットはCIAの外に洩らさなかった。

「…………」
盟友クラークにさえも。
「お帰りなさい、ディック、会議はいかがでした?」

「聞かぬが花だよ、ライザ、そっちは?」
「今朝やっとユリコと話ができました、」
Lisa Gordon-Hagerty
ライザ・ゴードン-ハガティ
@NSCスタッフ@クラークの補佐官


「彼女、とても忙しそうで。例の件、有力な手がかりが手に入るかも、と」

「頭が下がるな。我々も愚痴ばかり言ってられん。やるべきことをやらねば」

June 4
Monday
6月4日 月曜日
フロリダ州

この日、ある人物の逮捕状が発行された。
名前はなんとモハメド・アタ。

4月に交通違反で警察に停められたとき無免許@期限切れだった件で、5月28日の法廷審問に出頭するよう通告されてたんだけども、
アタは飛行機計画準備に忙しくてそれすっぽかしたんで。
大胆というか間抜けというか。

ということは、アタがなにか身分証明使うことがあれば、
データベースに引っかかってたちどころに逮捕しゅる
はずなんだが……。

モハメド・アタはじめハイジャッカー主要メン5人は、時期を少しずつずらしながら、アメリカンエアライン、ユナイテッドエアラインで空の旅へ。
あれ? 逮捕は?

行き先はニューヨークやワシントン。

飛行機計画の下見ツアーである。


空港の荷物検査や乗員の動きもことこまかに予習。
ってあれ? 搭乗チケゲットに身分証要るのに、逮捕は?

「ボーイングならもっと大型の747や777のほうが効果も大きいんじゃないか?」
「それはそうだが欲を張るのは危険だ。中型機でないと失敗のリスクが大きくなる」

「同感だ、訓練キャンプの教本とおりだった。我々の人数で乗員乗客を大人しくさせておくのは大型機では目が届かず無理だ」

中型で座席数200~250席ていどのボーイング757か767でいこうってことになる。
この2機種なら操縦席のインパネがほぼ同じで、
フライトシミュレーターを1つマスターすれば済むし。
つーか、なんでアタやん逮捕されんの? ねえ?



「ん?」

「はい、どちらさま」
“テーブルの下を見ろ”

「おー、景品はなにかな」

“この通話が終わったらすぐ、それ残りも全部穴を開けて、川に捨てろ”
「はは、スパイ映画みたい」

「映画じゃない、現実だ。バレたらリアルに失業するからな。
その数列で穴の空いてる数字をルールにしたがい並べろ。メモするな」

「えー暗記苦手ん」

“……以上だ”
「えー? これだけ? 回りくどいだけじゃん。もっとないの?」
“ぜいたく言うな。それだけ掘るのも大変だったんだぞ!”

白鳥が國松現スイス大使@元警察庁長官に頼んで仕込んだ種がやっと芽を出した。
日本最強の国際情報力を持つ組織は外務省でも防衛庁でもなく「ザ・商社」なんで。
商社マン擬装も多い「別班」要員もこの商社ネットワークに食い込んでるんである。

“君か、頼みは何だね”

「まーたまた、いつもわたしが頼んでばかりみたいじゃん。
まあ、頼むんだけどさ。今から文字列を言います、AB…」

「何のパズルだね、これは」
“ここにお金の出入りがあったら知らせてくれますか?”

「念のため言っておくが、それは我が国の銀行じゃないぞ」
“あ、そうだっけ?(しれっ) で、もうひとつお願い”

「これについてCがつく誰かさんに一切知らせないでほしいんです。あそこに知れると塩漬けにされて現場がなんにもできなくなるから」

「覚えておこう」

(さてと、次なにやるんだっけ、あ、搭乗時刻だ)

(疲れた……カップヌードル食べたいな、)

(ちゃんと醤油味のやつ)

「オマリ、アブドルアジズ・アルオマリ、オーケー」






「なんだろ、いま寒気が」
June 27
Wednesday
6月29日 金曜日

アメリカから飛び立った白鳥が向かった先は──





「お待たせしました、お客様」
تركي الفيصل)
Turki bin Faisal Al Saud
トゥルキー・アルファイサル王子@サウジアラビア総合情報庁長官


「おや、追加を頼んではいな──」

「……む、今度はキモノかね」
「日本料理店ですから。と言いつつここ中国人経営で支配人は韓国人ですけど」


「失礼ながら今日は殿下に無礼を働くために参りまして」
「ならばいつもどおりの行動ではないか」

「まずオイルマネーで飽食な殿下の慧眼はとうにお見通しでしょうが念のため。
今から殿下の召し上がるのは、日本料理と名の付いたまったく別の有機物です」


「あんなもんを日本料理と言われるのは、この中華もどきの内装となんちゃって花魁な制服と同じく日本人の端くれとして超心外です」

「少なくともノリノリでコスプレしておるように見えるが」
「それはそれ、これはこれです」

「この店に招待した者が紛い物を供する愚者だと
わざわざクサしにきたのかね。本題を言いたまえ」
「はい、では遠慮なく」

「昨年来ずっと不思議だったんですよ。そもそもCIAのヒューミント系のポンコツ化は深刻で、とくに対アルカイダでは最底辺レベルまで現場力が落ちています。

なのにどうやってビンラディンの最側近の動きなんて
コアな情報をキャッチできたんだろうって。
いまだCIAはアルカイダ内に協力者を確保できてないのに。なぜでしょう?」

「アルカイダの内情に深く通じるほど近い位置にいながら、CIAともパイプのある誰かが教えた、と考えると辻褄が合います。
そんな蝙蝠みたいな人いるんかいな、と思いましたけど、地球は広いですねえ」

「…………」

「CIAにハリド・アルミダルとナワフ・アルハズミの情報をリークしたのは、」


「あなたですね、殿下」
≫ 続きを読む
- 関連記事
スポンサーサイト
| 再掲激情@911/下山事件 | 20:13 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑