「これは我らをハメるための
英米の仕掛けた罠ではないのか(ロシア語」
もしや
ヴェノナ作戦なんてものは
フィルビーを試すための
虚構で、この囮に引っかかって動けば、
フィルビーこそ
二重スパイだと確証を敵に与えてしまうんじゃないか。いや、やつらを出し抜くチャンスかもしれないが、
MI6長官になりそうな
スパイを捨て石にするのはもったいない杉るし。いや待てしかし(ロシア語──
なんか考え杉て自縄自縛に陥る。
ソ連の
スパイマスターたちは敵の
英米も自分たちと同じくらい狡猾に
スパイ活動やってると買いかぶってたんで。

まもなく
外務省アメリカ課長ドナルド・マクリーン@GOMERホーマー、
在米大使館書記官ガイ・バージェス@HICKSヒックス、そろって
ソ連に
亡命。当局が
マクリーンを聴取しようとした直前に。
2人とも
フィルビーと同じ
ケンブリッジ大卒で、
親友だった。
さすがに
フィルビーも2人と近すぎて無傷ではすまなかった。「
友情で親友に警告した」との疑いで
解任(それでも
MI6は間抜けにも
二重スパイとは見抜けず)、
ついに
二重スパイでしたとバレて
ソ連に
亡命したのはなんとさらに
10年も後。
ソ連英雄は切手になれます「私は
祖国を裏切ったのではない、
革命に殉じたのであるキリッ」
いやいやあんた
単なる薄汚い売国奴以外のなんでもないですから。20年もだまされつづけて逃げられて
女王陛下のスパイとんだ赤っ恥である。
さすがの
MI6もこれで懲りて気をつけ
るのかと思いきや、ほんの数年後、
またもや
ソ連の
スパイを
最高幹部にしてしまい、>ふたたび
壊滅的大打撃。
……あのー君たち全員お人好し杉て才能ないから転職した方がいいんじゃ?
それ以外にも、
米陸軍アーリントンホール内
ロシア課に
スパイが紛れ込んで、あと一歩で
ヴェノナ作戦一切をまんまとゲットされる寸前まで肉薄されたり。
スパイの何人かは口裏を合わせて証拠を隠滅、>訴追を免れたり、外国へ逃げたり。
なんかずいぶん危なっかしい
最高機密なんだが、
ただ、
ソ連側もじっさいどのくらい
スパイ網がバレてるのかまで把握できず、
下手に動いてヤブヘビするわけにもいかず、
失敗=
粛清というシビアなお国柄も手伝って思い切った対抗策もかぎられ、
ヴェノナ作戦の秘密は
ソ連サイドの勝手な自滅でかろうじて守られたのだった。
ちなみに──
フィルビー マクリーン バージェスが、"ケンブリッジ・ファイブ"というケンブリッジ大卒スパイ5人組のうちの3人だと分かるのはまた後の話。
残る2人は長らく正体不明のミステリーメンのままだったが、
30年近く経った1979年、高名な美術史学者で英王室絵画鑑定官のサー・アンソニー・ブラントが、4人目の男、暗号名JASONジェイソンだったと遅すぎの身バレ。ナイトの称号剥奪、なにもかも失った。
最後の5人目は、1952年にローマへ逃げた暗号解読員ジョン・ケアンクロス@LISZTリストだとされてるけども未確定。
ケンブリッジ時代の"ケンブリッジ・ファイブ"は米国からの留学生マイケル・ストレイトのスカウトに成功。ソ連の手先化して帰国したストレイトは、のち国務省、>大統領のスピーチライターにまで成り上がった。
さらにケンブリッジ時代のケンブリッジ・ファイブとつるんでいたロスチャイルド3世男爵は、のちのちまでスパイ疑惑を囁かれたロスチャイルドだし。
新
大統領トルーマン、
閣僚をほぼ入れ替え、慌てて
対ソ強硬路線へと急シフト。
コールドウォーの始まりである。
しかし
スパイ問題は政局化をおそれて事なかれ的にスルーしようとした。
そういうぬるさが世論の反感を買い、>
共和党が
中間選挙で躍進、
>そこまできてやっと
スパイ摘発をしぶしぶ認めるっつうダメっぷりで。
陸軍参謀総長オマー・ブラッドレー歩兵戦闘車「
ヴェノナの存在は、
決して世に知られてはならない」
ブラッドレー歩兵戦闘車と
FBI長官フーバーは、毒虫だらけの
民主党も甘あま対応の
トルーマン大統領もひきつづき信用せず、決して
ヴェノナのナマ情報を見せなかった。
とうぜん新
情報機関として店開きしたばかりの
CIAも蚊帳の外に。
CIAが
ヴェノナ情報を回してもらえたのは、
やっと
スバイ狩りがひと段落、
民主党政権も終わる
1952年になってから。
一番の決め手
ヴェノナファィルを隠したもんだから、
立件>
訴追は難易度極高に。

最もタチの悪い
売国奴たちが、うまうまと裁きを免れた。
ホワイトや
カリーら
スパイたちのリーダー格
ネイサン・G・シルバーマスターと
ビクター・パーロ、
原爆スパイセオドア・ホール──
アイドル官僚
アルジャー・ヒスも微罪で出所、ぬけぬけと
冤罪を訴え続ける。
あとこんな↓ゴシッピーかつ陳腐な社会現象も起きる。
ジュディス・コプロン@司法省職員、
ヴェノナ解析で暗号名
SIMAシーマと特定、
>
FBIの仕掛けた
囮捜査に引っかかって捕まった。
んだが、
女優級の
美人だったから、マスコミも騒ぎまくり
国民的冤罪ヒロインに。対する
FBIの
裁判対策はというと──
「えー、ミス
コプロンに対する
捜査は、前回も申し上げましたとおり、
信頼のおける秘密の情報提供者による通報にもとづいて開始されたものでして」
「
ランファー特別捜査官、その
信頼のおける秘密の情報提供者の証人喚問を、
FBIがかたくなに拒んでいる理由は何ですか」
「前回も申し上げましたとおり、
秘密ですから理由も秘密でありまして」
「証人は司法を愚弄していますッ」
「ほんとうは
情報提供者など実在せず、
FBIと
検察は
若く美しく聡明なミス
コプロンにいわれなき罪を着せようとしているのですッ」
「異議あり!
被告が
若く美しく聡明なことと罪の有る無しは無関係です!」
「静粛に!」
(もう帰りたい…)
「静粛に!」
ローゼンバーグ夫妻の
裁判もかんじんの
ヴェノナをあくまで隠したまま進む。
だから
ヴェノナの示す真実と
法廷での事実がびみょーにズレる。外野も騒ぐ。

が、それでも
ヴェノナの存在は最優先で隠されつづけ──
「赤狩り」番長ジョゼフ・マッカーシー上院議員 「わたしは
国務省にいる
共産主義者や
スパイ205人の名簿を手に入れた!」
「
国務長官も
連邦政府も知っているのに放置している!」
"共産主義者57人が我が国の外交政策を変えようしているのだ!"
"アメリカを守れ! 共産主義者を追放せよ!"「え、
ボブ、そんな便利な名簿あったんですか?」
「あったらこんな苦労してねえよ。口からでまかせだろ。先月は
81人って言ってたし」
「あっ(察し そりゃそうか」
「さあさあ、
ガードナー先生、いつまでも
テレビジョン見てないで、この
アイバって売国野郎がどこのどいつか、とっとと突き止めようぜ」
「
長官、
マッカーシー議員があることないこと演説してますが……」
演じるはディカプリオ 「ただのお調子者だ、放っておけ。む、待て、そうだな──」
演じるはディカプリオ「適切なときに適切な
"事実"がやつの耳に入るようにしてやれ。
法廷で茶番やるよりあのバカ騒ぎに紛れ込ませた方が早い。この状況を我々の仕事に利用するのだ」
共産スパイの温床だった
リベラルのイメージは地に墜ち、
共和党は晴れて20年ぶりに政権交代をはたす。
味をしめた
反共政治家は、
共産主義の恐怖あおりまくり、
全米総ヒステリー制御不能の
「赤狩り」へと暴走特急するんである。
ヴェノナ作戦の
暗号解読は
1980年までつづけられた。
しかしその存在は、ずっと隠されつづけ。
ちなみに、
ヴェノナ作戦の対象は
1940年─
48年に傍受した
暗号電文だが、
ぜんぶで
10数万通!
そのうち解読できたのは
44年を中心にわずか
2900通程度。
300─
400人ともいわれる
潜入スパイのうち氏素性を特定できたのは
100人くらいで、残る大半は氏名不詳のまま。いまも正体は暴かれてない。
が、基本的にこの時代の
ソ連スパイは日頃から大っぴらに左っぽかったので、どうやらその後おきた
赤狩りの絨毯爆撃に本物の
売国奴も一緒くたに巻き込まれた模様。
一方、
日本の
ウィロビー少将は、「
アカ恐怖症」とか「
小ヒトラー」とか悪口言われても意に介さず、
アメリカ本国より何年も早く
GHQの
左派排除を開始>完了したが、
はたして
ウィロビーが
ヴェノナ情報を知らされてたかどうかは定かでなく。
じっさい
GHQの
ニューディーラーたちは
ヴェノナで暴かれた
スパイたちと人脈つながり深いやつも多かったんでなんともかんとも。
もちろん
ウィロビーの回想録では
ヴェノナの
ヴの字もふれていない。
そして
ウィロビーの陰に見え隠れする
ニイタカなる
日系英国人が、
ヴェノナ作戦でどのような役割をはたしていたかも、架空ゆえ不明である。
冷戦はつづく。時はめぐる。まかれた
毒の種子がつぎつぎと芽生え、はびこる。
──本当の陰謀の話をしよう。
1982年 昭和57年 暮れ
冷戦まっただなか
バブルちょい前の東京。
平和ボケのこの国でも、かなりヤバめの
スパイスキャンダルが起きた。
ソ連の
雑誌東京特派員の
スタニスラフ・レフチェンコ、
アメリカに亡命。
この男、じつは
渋谷を拠点に
スパイ網をあやつる
KGB工作員だった。
その証言で
日本の
KGBエージェント協力者の存在が明るみに出たんである。
「
総理! いま
後藤田さんとケンカしてきました!
やつとは絶交だ!」
「どうしました、
渡邊さん」
「うちの
記者が
ソ連スパイ協力者だ、クビにしろと脅されましたよ。
報道に対する内政干渉じゃないか!」
「あんな
トマスとか
カントとかしか書いてない紙っきれじゃ納得いかんですよ!」
「………」
「どうぞ、ご覧下さい。
こちらのリストは私と
官房長官しか持っていない、
実名付きです」
「…………」
「……分かりました、僕の負けです」
レフチェンコは自分の担当してた者ふくめて
日本人エージェント32人の
地位と
カバーネームを
米下院秘密聴聞会で証言。うち
11人は
実名まで公表された。
▼リアルエージェント(
KGBのコントロール下にある
手先)もしくは、
▼トラステッドコンタクト(信頼できる
KGB協力者)
フーバー=
石田博英@
自民党議員 元
官房長官 元
労働大臣ギャバー=
勝間田清一@元
社会党委員長 のち
衆議院副議長グレース=
伊藤茂@
社会党議員 のち
運輸大臣 社民党副党首カント★=
山根卓二@
サンケイ新聞編集次長 局長アトス=
佐藤保@
社会党左派 党刊行物責任者
バッシン=
山川暁夫@
政治評論家 「
インサイダー」
誌編集長サンドミール=
杉森康二@
日本対外文化協会事務局長フェンフォーキング★=???@
自民党員 党派閥に影響力を持つ
デービー★=???@
サンケイ新聞東京版記者@
カントの補完
キング=???@落選した
社会党議員(のち
社会党幹部)
ティーバー=???@影響力のある
社会党員シュバイク=???
@公安関係者@
アレスに
公安情報を流す
アレス★=???@
共同通信記者@
シュバイクからの
公安情報を
KGBに流す
アギス★=???@
大手新聞元
モスクワ特派員ドクター★=???@
フリージャーナリスト@
KGBの活動をバックアップ
ヤマモト★=???@
社会党議員ブレーン 大学教授ブラット★=???@
東京の
大学教授カミュ★=???@
東京新聞記者@
韓国問題に通じる
バロン★=???@
アメリカに詳しい学者
ラムセス★=???@
社会党員ディック★=???@議員
クラスノフ★=???@著名な財界人
マスロフ★=???@元
内閣調査室員@
中国専門家
ナザール★=???
@外務省電信官>外交公電を
KGBに売る
レンゴー★=???
@外務省職員????★=???
@外務省職員 レンゴーの妻
・★はKGB正式エージェント・レンゴーの妻は、後年ミトロヒン文書で「エマ」と呼ばれている▼フレンドリーコンタクト(無意識の
協力者・友好的人物)
ツナミ=
堤清二@
西武百貨店会長 セゾングループ総帥ムーヒン=
三浦甲子二@
テレビ朝日専務トマス=
外山四郎@
讀賣新聞政治部記者ウラノフ=
上田卓三@
社会党議員&
部落解放同盟委員長@
ヤマモトに利用されている
ズム=???@
上田の秘書
カネメフ=???@
議員KGBが、
日本の財界人、
自民党、
社会党、
共産党、
外務省、
公安機関、マスコミ、研究機関、大学教授、
労組に、
200人もの
協力者(知らずに情報源や仲介者にされてるお人好し含む)を確保していたこと、
とくに
社会党には
裏資金や
政策案まで注入してずぶずぶの仲だったこと、
彼ら
エージェントの役割は、
日米離反、
日本の政策・世論を
親ソ化する
情報工作で。
1954年外務省職員3人が逮捕された
ラストボロフ事件や、
1980年陸自幹部が逮捕された
宮永事件以来の
大型スパイ疑獄である。
実名組のうち
石田博英は
ソ連の代弁者かってくらいの
媚ソっぷりで有名だったし、
社会党なんて今さら言うまでもなく、
杉森の
日本対外文化協会は
ソ連と文化交流する名目で
社会党がつくった団体、昔っから
KGBの手先疑惑がささやかれてたんで、
「ふーんやっぱり」感が強かった。

でも右派筆頭のはずの
サンケイ新聞編集トップが、
ソ連の
手先、と名指しされたのはさすがに衝撃を呼ぶ。
朝日新聞ならまだしも。
ソ連は
レフチェンコの暴露を
「ウソでたらめ」と激しく全否定。
「
日本のプラウダ」の誉れ高い
朝日新聞も期待をうらぎらず。
杉森康二の「
そんな事実はない! 背後に政治的意図!」投稿を大々的に載せたり、もー全力ふりしぼって
レフチェンコディスりキャンペーンである。
スパイの巣窟呼ばわりされた
日本社会党も「
勝共連合とCIAの陰謀」と言い出し、
勝共連合から名誉毀損で訴えられた。
そして正体不詳の
エージェントのうち、
とくに悪質かつ深刻度の強い
売国奴が↓
自民党派閥に影響力を持つ(政治家秘書?)
「フェンフォーキング」共同通信記者「アレス」と
公安関係者
「シュバイク」元
内閣調査室メン「マスロフ」外務省の夫婦職員
「レンゴー」と
外交公電電信官「ナザール」自民党員「フェンフォーキング」は一時、
中川一郎の秘書
鈴木宗男か? じゃ
中川の
自殺も
レフチェンコ証言と関係が?──とかヒソヒソささやかれた。のちどうやら違うっぽい(というか
もっとヤバいやつ)とわかるんだが。
じつをいうとこの
スパイ網、
日本の
外事警察にとっては寝耳に水ってわけじゃなく。
警視庁公安部外事1課は
レフチェンコの前任の
特派員がいたころからマーク、
とうぜん
レフチェンコや
エージェントの多くもはじめっから
視察下に。
もっとも
外事課の人手も限りがあるんで、365日みっちりは張りつけず、"
怪しい"となったら期限切って集中的に
視察キャンペーンってかんじだったけども。
そのへんは
KGBも承知のうえで、
外事警察との化かし合いである。
>だが
スパイ防止法も
機密保護法もない
スパイ天国日本でやれる
防諜はかぎられ。せいぜい証拠を突きつけ、
KGB工作員を帰国させるくらいしかできないんで。
漏らした
日本人の方も
国家公務員法や
自衛隊法の違反でしょっぴくことになる
んだが、
これがスパッと割り切れない。
ソ連とは
戦争中でもなく
国交もあるし、
ロシア人と会っただけで=
エージェントとはいえず(
視察対象になるけど)。
政治家や
外交官や
記者が
ソ連とのパイプ・ツテ・情報源として交流したり、とうぜん向こうも便宜はかってもらおうとしてそれに応えたり、どっから違法か境界線じつにあいまいなんである。
公安的な基準でいうと、摘発の境目は「
カネの授受」
宮永事件は
カネもらったのが決め手になって
宮永陸将補逮捕に踏み切った。
きほん
KGBはしつこく
協力者に
カネを渡そうとするんで。
協力者が受けとったらそれをネタに脅してずぶずぶにさせるの術である。
外事1課は
サンケイの
山根にも「おまえの会ってる相手は
KGBだぞえ」とひそかに警告(てか威嚇)、
山根をニセ情報を流す
二重スパイに仕立てようともくろんでいた。
一方、こちらのお役所では──
>素性不明の
「ナザール」「レンゴー」を(形ばかり)探したけども、
>>けっきょく突き止められず(突き止めず)、
>>>お約束の「
公電漏洩の事実はなかった」でそそくさと幕引き。
けどまあ、ここまで職域と立場が限定されてんのに特定できないはずもなく。省内では
彼らの正体は公然の秘密。知ってても事なかれで、波風立てないんである。
ほかの
エージェントたちの正体も、周りの知る人は知ってる、
だがよけいな騒ぎは避け、そのままにされる。なんつーか
日本文化的に。
そして同じく
公安方面の
「シュバイク」「マスロフ」の正体も不明のまま──
「
あなたですね」

よく見抜いたな、
白鳥。
突き止めるなら君だろうと思ってはいたが、本当にしてやられるとは。
みごと
売国奴をあぶり出したわけだ。
あのふて腐れていた
落第生くんが、立派な
公安デカになったな。
妙に聞こえるかもしれんが、いま誇らしい気分だよ。
だから気に病まなくていい。
おあいにくさまです、気に病んでなどいませんから。
ならば、さあ、君のすべき仕事をすればいい、
白鳥警部補。
あなたに、
機密漏洩の疑いがかかっています、
今から同行し、聴取に協力ねがいます──
先生。
それでいい。
だが
断る。
あっ。
しまった!
おい、救急車呼べ!
──
レフチェンコ証言で示された
カバーネーム「シュバイク」「マスロフ」なる情報漏えい者について、
警察、
公安調査庁、
内閣調査室など
公安関係部局を厳正に精査したが、いずれもその存在は確認されず──
こんど
警部に
昇任って話だぜ。
サッチョーの決して名前の言えない
あの部屋に出向かもだと。
すげー大出世だな。恩師を売り渡したご褒美か。
それがな、現場にいたやつの話じゃ、わざと飛び降りる隙つくってたらしい。
うわ怖えーよ。
“魔女”に逆らうな。恩ある大先輩でも平気で切る冷血だぞ。
「おう、
解析屋」
「あ、
課長代理補佐代理補佐。ご無沙汰です」
「代理補佐そんなついてねーよ、ま、じっさいそう変わらんがな。
どうだ、
公総じゃうまくやってるか」
「知ってるくせに」
「……
内調の方が多少ばたばたしてたようだな。噂は鵜呑みにしないがね」
「噂じゃなくて、
それ本当ですから」

「………ま」
「今日は、休め」

「なにそれ」
「毎度そればっかりだし」
「もうちょっと気の利いたこと、言えないんですか?」
1983年 昭和58年 5月──レフチェンコ証言にもとづき
捜査を進めていた
警察庁は、
「実名の
11名のうち数名を聴取、裏付け調査、
公務員がからむケースも調査した」
「
金銭の授受はいずれも否定した。
物証が乏しく、
捜査の端緒が得られず、
刑事事件として立件することは困難」
「
11名に
リアルエージェントはおらず、いても
"信頼できる人物"まで」
「とはいえ
警察の
視察結果と符合する点も多く、
証言の信憑性は高い」
と発表、
捜査を打ち切った。

その後も
CIAと
SIS@MI6はじめ
西側陣営の
情報機関は、
ソ連の
KGB、
GRUにいちどたりとも勝てることなく
スパイ戦争で圧倒されつづけ。
もちろん
日本は一貫して安心安定の
スパイ天国でありつづけ。
が、皮肉なことに、
スパイ戦争に勝って
西側の機密を手に入れた
クレムリンの
党指導者たちは、逆に
冷戦の
敗北がもはや決定的と思い知る。
金満な
アメリカの巨万の
軍事費に対して、
ソ連は
軍事以外の経済すべて犠牲にして全力いっぱいいっぱいなのについていくのがやっとという衝撃的な格差。
そもそも
KGBが緻密な
スパイ戦術をとってるのも、
CIAみたいに国ごと買収できるような巨万のカネが使えなかったからなんだし。
このまま
軍拡競争つづくと
アメリカと
リアル戦争以前に、
ソ連は
金欠で滅亡する。すっかりやる気の萎えた
ソ連は急激に弱弱になり、
あっけなく
冷戦は終幕。
CIAも
MI6も、
対ソ諜報戦争に負けまくることで、
核戦争ナシの
冷戦終結に貢献したのだった。あくまで結果的に。
さらに、
1992年──
ソ連崩壊後
元
KGB幹部ワシリー・ミトロヒンの
イギリス亡命で、
KGB機密文書が大量流出、
レフチェンコ証言の多く(
社会党ずぶずぶも含めて)が
事実と裏付けられ
ただけでなくさらに
モスクワ駐在経験ある
外交官複数、
田中角栄の側近、
朝日・毎日・讀賣・東京など主要紙にも
ソ連の
エージェントがいたことも明らかとなる。
とうぜんながら
日本の
マスコミほとんどは“
報道しない自由”でだんまりを決め込んだ。
1995年──アメリカ
──ついにあの
ヴェノナファイルも
機密解除、>公開される。



長らく
人権弾圧の
犠牲者、
無実の
殉教者にまつりあげられ、
被害者として振る舞ってきた
彼ら彼女らは、
ただの
売国奴だった。
【10機目 トンネル ─在ペルー大使公邸占拠事件】へとつづく
▲-VENONA PROJECT ヴェノナ作戦 ──ソ連スパイ名簿 ≪・
【VENONA】 CIAによる「ヴェノナ」文書概略/皇運弥栄・
日本再生研究会 SC Venonaの解読・
{情報}史への一考察 早稲田大学学園祭における研究発表・
つくられた共産主義国家中国 ジョージ・マーシャルの背信外交・
ミトロヒン文書とレフチェンコ・メモで解読するKGBの対日工作・
ミトロヒン文書とレフチェンコ・メモ/ワールド&インテリジェンス・
VENONA/National Security Agency・
In the Enemy’s House/Federal Bureau of investigation・
RED FILES: Secret Victories of the KGB - Robert Lamphere Interview・
JOHN EARL HAYNES HISTORICAL WRITINGS・
The Mitrokhin Archive II